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外伝/閑話
弟だった"彼"の話 1
しおりを挟む夜空の様な空間、所々に小さな光が浮かび下からは、極光に様な光がまるで道のように浮かび上がる
その中を、ある世界では藍原譲、また別の世界では、ペルレ.フォン.ファーレンハイトと、呼ばれていた少年は、また藍原譲の世界に戻る為に、その極光の上を滑る様に飛んで行く。
腕の中には、三つの魂、元の世界の兄と弟
そして、先程までいた世界の"姉"だった人の魂、それらを大事に抱え、彼は光の上を遡行する。
別世界では、金髪に紫の瞳の赤子だった姿は、"元々"の姿に戻り10才の黒髪の少年に戻っている。
いや、"戻った"というのは実は少し違う
実は、彼は別の世界でもその姿のままだった、だがウィルミナの母ヴァルデの
"要望"という名の都合で、赤子の姿になっていた
彼は、ウィルミナの世界に極力齟齬を持たせない為"生まれた弟"の役の着ぐるみを"着ていた"のだ
だが、"あの世界"のウィルミナが夢から醒め、元の世界へ帰るとなれば"着ぐるみ"はもう御役御免だった。
あの世界樹の中で、ヴァルデが娘の為に紡いだ世界の外では、彼の姿は10才のままずっと、外からその世界を見守っていた。
だけど、やっと帰れる
腕の中の魂を見て、自然に笑みが浮かぶ
色々と苦労もしたが報われた、今はそれを純粋に喜ぼう、そう思っていると
遡行する極光の道の途中、マーカーの様に白い光の筋が上に伸びている
"ここ"が、分岐点か
そう思うと、彼は腕の中の魂達に
「健闘を祈る…ちゃんと守れよ。」
と、話かけその魂を光の中に解き放った
そしてまた、1人で遡行を始める
後は、自分の生命の心配だけで良い
後の事は後で考えよう。
そう思いながら、彼は自分の"分岐点"の中へと、その身を躍らせた。
暫しの暗闇
最初に知覚したのは、何かが焼ける臭いと何処か困惑した、記憶に残る幼い顔の兄の姿だった、帰ってきた
そう思う余韻も無く、パチパチと何かが燃える音と、煙が部屋に充満してくる。
記憶の中の様に、子供部屋のドアを開けようとする兄の肩を掴むと、驚く兄の身体を抱き上げて、そのまま窓から飛び降りた
脳の処理が追いついて無いのか、兄は大人しいが、背後では家が燃え上がり、周囲には消防車や野次馬の姿が見えた。
最初のあの日、自分が死んだ本来の時間軸の世界では、自分達が気が付いた時は、ここまで火が燃え上がっていたのか、と何処か他人事の様に考えていた、その時
「航!譲!!」
自分達の名を呼びながら、両親に抱きしめられた
事態を理解した兄は、恐怖と安堵で
そして、自分は「還ってきた。」という実感で、二人両親に抱きしめられて号泣した
自分はもう、元の自分では無いのだけれど
今だけは、この喜びを享受したい。
これからの事は、ひとまず思考の外におき彼は、還ってきた喜びと幸福に身を委ねた
両親の肩越しに見える世界が、昨日まで見えていた世界と変わっていても。
今だけは
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