ガチホモ悪役令嬢に転生する

てんてん

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外伝/閑話

弟の話

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「弟達呼んで、鍋したいんだけどいい?」

食事の時に、遠慮がちに聞かれ

「俺は良いよ!大歓迎!何の鍋にする?」

「良いの?ありがとう~!」

そう言ってニコニコ笑う航さん、俺も久しぶりに会いたいので、嬉しい

「多分、アホみたいに食うから前日に買い物行って来るね。」

いるもの、かいておいて貰うと助かると言ってくれるから、つい顔が綻ぶ

ああ、幸せだ

今の生活が、本当は夢なのではと、正直怖くなる事はある。
でも、それを言うと航さんも

「俺もだよ。」

と、言ってくれる

現金な話だが"同意してもらえる"それだけで、ホッとする。
帰って来て、まさかこんなに不安定な気分になるとは思わなかった。
けれど、それを言ったら航さんは

「そりゃあ、一回死ぬ様な…いや死んだ感覚を味わって、誰にも言えない経験したんだもの、今普通に生活出来てるだけで凄いよ?」

俺の手を握って、そう言ってくれる。

その温度に、ホッとして身体の力が抜ける
共感してくれる人がいる事の、有り難さよ

航さんは、ちゃんと話をしてくれるのも
嬉しいと、言ってくれる。

実は、弟の譲さんは子供の頃から秘密主義で、何も言ってくれないんだそうだ。

「話してくれるのは、全部終わった時か、アイツの判断で"知ってた方が安全"って思った時だけ!」

余りにギリギリしてるので、つい

「何があったの?」

と聞いたら、何と言うか…うん…凄かった

神隠しから始まって、その後も頻繁に行方不明になったそうだ、お風呂やトイレから消えた事もあったらしい。

心配しても

「しばらくしたら落ち着くから。」

と、理由を言わない、その後本当に落ち着いたと思ったら、今度は事故にあいまくる様になったそうだ。

鉄骨が落ちてくる、車やバイクが突っ込んでくる、道を歩いてたら、何故かマンホールの蓋が外れてて落ちた事もあったらしい

「え…?何かお祓いした方が良くない?」

と、言うと

「俺もそう言ったら"意味が無い"ってぶった斬られた。」

…それは…弟ガチ勢の航さんにとっては、拷問なのでは!?そう言うと

「解ってくれてありがとうぅぅぅぅ!!」

もう、すっっごい辛かったのぉぉ!!
と、言いながら机に突っ伏した航さんの頭を撫でると、「ふぁぁ~っ」って鳴いてた

譲さんェ…。



久しぶりに4人で集まって、夕食を楽しんだ、元から夜通し楽しむつもりだったが
酒が入ったせいか、ちょっと眠ってしまった。うとうとしていたら、譲さんに

「隣の部屋とギター、借りていい?」
と、聞かれたので、ほわほわしていたが

「良いよォ~。」

と、言ってうたた寝してしまった。

しばらくして、微かにギターと歌声が届いた、呟く様に譲さんが歌っている。
こっそり部屋に入り、"それ"を聞く

真っ暗な部屋の中、窓は開けられて月も見えない、けれど"何か"に向けて
囁く様に、歌声が流れる。

ああ、これは"師匠"の代表的なあの歌だ
惑星のタイトルがついた、あの歌
譲さん"馬の骨"だったんか

サビに入った時に、自然にコーラスに入ってしまった。

終わった時に、譲さんがこちらに背中を向けたまま話始めた

「…この歌は、師匠曰く"帰路"なんだって、それでね…タイトルの惑星は、地球の"兄弟星"だって言われてる。」

ああだから"僕は君だから"なのか

「あとこれは個人的な解釈だけど、俺はこの歌は"もう二度と会えない人を励ます歌"だと思ってるんだ。」

振り向いた譲さんが、困った様に笑い

「泣かないで"お姉ちゃん"大丈夫、あの子は元気だよ。」

その言葉で涙腺が壊れた。

「……解るの?」

しゃくりあげながら聞くと、彼は小さく
"うん"と言い、短い時間なら、声だけは届けられるんだ、と教えてくれた。


「コーラスしてくれた声も、多分届いてるよ、喜んでくれると思う。」

頻繁には無理だけど、時々一緒に歌う?
というお誘いに、凄い勢いで頷いていた

暗い部屋の中、譲さんの瞳が見覚えのある
色に変わり、薄く光る

あの世界の弟と同じ紫の色、ああこの子は
本当に、ルルのままなんだ。


(今なら、航さんの不安が良く解るな。)

この人が 、まだあの世界と繋がっている事に、少しの不穏さが胸に落ちる。

本能で、それを感じとってる航さんてば
マジ弟ガチ勢…まぁそれは置いといて、だ

「……譲さん、お願いだから、心のコマンド"生命大事に"に設定してね。」

そう言うと

「大丈夫、俺、天寿全うする気満々。」

何でそんな事言われたか解らない、という顔をしながらも、譲さんはそう言った。

言質とったからな!ちゃんと守れよ!



翌日、弟達が帰った後とりあえず、航さんに報告しておいた。

報・連・相大事だし、弟は守らねばだし
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