ガチホモ悪役令嬢に転生する

てんてん

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第四部 そして剥がれ落ちる

エピローグ 2

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"あの子は、無事だよ。"


微睡みの中で、その短い報告を聞いた

だが、それだけで涙が出た。

「……良かった。」

メッセージを送ってくれた"彼"は
二つの世界の均衡を乱さぬ様に、小さく弱い魔力の波に乗せて、時々メッセージをくれる。

夢から覚めた私にとって、それは何よりの慰めだった。

封印された世界樹の中で、魔力が尽きるまで、再生を行う。

お母様の話では、私が封印されてからかなりの年月がたっていたらしい。

我ながら、愚かだ

傍らにお母様がいてくれる事すら、私には赦される事では無いのでは?

そう思ってしまう、けれど

「それを言うなら、私も同罪よ?」

だから"一緒に世界に償いましょう"

聞けばお母様は、私に自分の声が届く様に
私がこれ以上、憎悪に囚われ無い様にと
色々と手は尽くしたが、実は外界はどうなろうと構わなかったらしい。

"この"世界樹は枯れない様にしなければ
とは、考えていたそうだが…お母様。

「だって、私の娘を封印した人間共が、国がどうなろうと知った事じゃないもの。」

アルフォンスも、もういないしね
そう言ってにっこりと美しく笑う

お母様は、私が封印された後の外界を、ずっと見ていたらしい。

世界樹が内側から枯れ、周辺の森が枯れ初めた時、異変に最初に気がついたのは、
辺境の民だったそうだ。

そこから、泉が川が枯れ始め、作物が育たなくなり国が荒れ始めた。

瘴気が吹き出し、魔物が生まれ跋扈し始め

民が飢え、教会が、皇家が荒れた
それをお母様は、見るだけで何もしなかったそうだ。


「だって当たり前じゃない、どうして
"私達が"助けなきゃいけないの?」


そう、お母様が助けたかったのは、私だけだった

「世界樹はね、頑張って再生するわよ。」

人間は知ったこっちゃ無いわ



…あの日、お父様がドラゴンに殺され、お母様が相打ちになった後

私は父方の親戚という人間達の手で、皇家に預けられた。

"自分達の手に余る"という理由で

母方の妖精郷は、混血の私を同族とは認めず、彼等の元に私を返す事も出来ない

自分達が御するのは難しい、魔力が強いだけの人とは違う生き物だ

"人間"からすれば、そうするしか無いだろう、皇家に引渡しただけでも情はあったのかもしれない。

そこで私は、誰と触れ合うことも無く、教育を受けることも無く、殆ど監禁状態で育てられた。

"産まれっぱなし"とは言い得て妙だ

あの子達の知る"ゲームのウィルミナ"は
どうだったかは知らないが

同じだったのは"皇子の婚約者"という所だが、私はその人と話をした事は無い

婚約の儀式の時に、横に並んだ位だ

何故なら、私は最初から世界樹に捧げる
生贄だったから。

世界樹が枯れない様に、魔力を補填する
生きた肥料の様なものだった。

皇子と婚約したのは、言ってしまえば国民や他種族に対する建前の為

"世界の為に、自分達はこんな犠牲を払いましたよ"と、言うため
それは"この世界を維持する為"という
彼等の大義に基づいた、公然の秘密というモノだったが。

だから私には、教育も交流も必要無い

むしろ知恵をつけたら困っただろう

そして私は、それを知っても何も感じなかった、悲嘆すら無かった。
両親は既になく、触れ合う人も、心を刺激することも無く"只、生きている"私は

あの子が言っていた"脳が機能していない"状態だったのかもしれない。

私が狂い、暴走したのは

"お母様も世界樹の生贄にされていた"

それを知ったからだ、私を封印する儀式を行なった神官が口を滑らせた。

"母親と同じ所へ行くのだ、感謝しろ"

だから呪った、呪い続けた、お母様の声すら聞こえない程に、産まれて初めて湧き出した感情に、囚われてしまった。

「"ウィル"もその辺りの事情は、解らなかったみたいよ。」

でも、知らなくても良い事よね

そう言って、お母様はころころ笑う

…この事実を知ったら、あの子はどう思うだろう、怒るだろうか、それとも呆れるだろうか、それが解らないのは悲しいが…。


それも私への罰なのだろう、そう想い

今日も祈り続ける
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