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第四部 そして剥がれ落ちる
エピローグ 1
しおりを挟む夏も終わり、そろそろ長袖が必要な時期
そんな時、最近家を出た兄から
「鍋しようぜ。」
と、簡潔かつ有無を言わせぬ連絡があった
もう一人の兄にも、どうするかと聞いたら
「…面倒だから行きたくないんだけど、来いってうるさいから行く。」
"あの日"長男の愛情集中砲火の対象から解放された次男は、一人の時間を楽しみたかった様だが、許され無かったらしい。
「あ!でも、久しぶりにお前に会えるのか!じゃあお土産持って行くな!」
そして、次男は次男でブラコンだった。
こんな、愛情の食物連鎖いらないんだが
けれど兄の"嫁"に俺も久しぶりに会いたいので、そこは楽しみだ。
"あの日"俺達の意識が戻ったのは、兄弟3人で"たまには外食を"と出かけた街中だった。
奇妙な感覚だった、一瞬で自分に別の自分がインストールされた
それまでの俺の人生に、別の2人分の俺の記憶が流れ込む、横で兄貴も顔を歪ませていたが、そこにもう一人の兄の声がした
「あ、今日だったんだ 、おい!急いだ方が良いぞ"マルガレーテ""フロル"!」
その声の主は"もう一人の兄"
この双子の兄の片方は、子供の頃からどこか変わっていて、異常に身体が丈夫な上に
妙に怪力だったりと、人離れしている所があった。
俺が産まれる前、家が火事になった時には
双子の兄を、炎の中から担ぎ出し
"火傷の一つも無く"助けたんだそうだ、そんな兄を長男は嫉妬するどころか
"神様に取られない様に"
と逆に護る様になった、次男はその愛情表現にうんざりしながらも、甘んじて受けていたが。
「おい!」
と、もう一度声をかけられた時には
"マルガレーテ"と呼ばれた兄はもう走り出していた、記憶に残るあの日の場所へ
俺も続いて走る、ヤバい早い、異様に体が軽い、これフロルの時の身体能力も、加算されてないか?
そして、走って行った先には刃物を構えて
"誰か"に向かって行く男の姿
だが、追いついた長男が、その男の手首を蹴りあげていた。
あの世界の、身体能力の恩恵か、危なげなく動く事が出来た。
注意して殺さないよう、俺も男を蹴り飛ばす、地面に転がる凶器を見つけた、通行人がザワつき始めたが
次男が男を押さえつけ、警察に連絡すると
安堵の空気に変わっていった。
目の前には、ポカンとした顔で"俺達"の
ウィルミナ様だった人がいた。
俺達は、ちゃんと間に合えた
長男が、その場で"ウィルミナ"を口説き始めたのには、呆れるしか無かったが
おいアンタ、マルガレーテ様の時の上品さ
何処に置いて来たんだよ。と言うと
「ち○こ無い状態だったからね、大人しくするしか無いじゃんね。」
とか言いやがった!去勢された猫か!!
あ!猫に失礼だったわ!ごめん!!
フロルの記憶が戻った事で、次男の妙な優秀さにも納得がいった
この人は身体ごと"こちら"に帰って来たらしい、元の身体が、龍の宝玉ならそりゃあ規格外に出来てる筈だ。
そして長男"藍原 航(あいばら わたる)"は、半年かけてウィルミナ様こと
"天宮 朔夜(あまみや さくや)"さんを
口説き落とし
「孫は任せた!」
と、言って家を出て行ってしまった。
因みに両親は
「弟に異常に執着していた時に比べれば、遥かに健全。」
と、2人の交際を認めている。
次男こと、譲(ゆずる)兄ちゃんは
「やっと色々な肩の荷がおりた。」
そう言って笑った
聞けば、10才でこちらに戻った兄は、火事から兄を助け、自分をこちらの世界に順応させつつ、あの日を警戒していたんだそうだ…お疲れ様です!
「…やっと気が抜ける。」
と言う言葉に思わず涙が出たよ、本当に
お疲れ様です!!
とりあえずは、やっときた平和に感謝してあの男夫婦冷やかしに行こう。
余談だが、訪ねた兄の新居が、防音ばっちりのマンションで、妙に艶々した2人に出迎えられて、逆に精神攻撃を食らった。
お幸せそうで!何よりです!!クソが!!
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