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一章
賑わう街角
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ログイン後のイマジンは活気に満ち溢れていました。それと私が精霊である事で注目を集めることはなくなったように感じます。
それは精霊装備の検証班がまとめたスレが原因でしょうね。
ドライアドをしている方は見かけませんが、セイレーン、サン、ノームなどの精霊の人気が高いようですね。
種族によって装備箇所が違ってきますから、そこが原因な気もしますが……まあいいでしょう。それは例えるならば……
サンなら腕にしがみつく《腕装備》
ルナなら抱っこ《体装備上》
サラマンダーなら肩の上に浮遊する《装飾》
セイレーンなら肩車 《頭装備》
ドライアドならおんぶ《背中装備》
ノームなら足元に隠れる《体装備下》
ダークネスなら影に潜む《足装備》
それぞれ違ったタイプの幼女(せいれい)がプレイヤーに付き従い……なんと言いますか、親子連れがテーマパークに遊びに来ている雰囲気ですか? が強く感じられました。
マリさんと合流後、私もおんぶされる形でその一団に加わります。周りから注がれる視線が心なしか穏やかになった気がします。
まるで出社した時の職場の雰囲気とどこか似たような気もしますがそれはどうでもいいでしょう。
マリさんに連れられて冒険者組合に行くと、入り口付近ではパーティ勧誘の呼び込み合戦が繰り広げられていました。
その中で見知った顔を発見します。
うさ耳をピンと立てたリチャードさんでした。
マリさんが手を振ると、リチャードさんは一緒に担当していたもう一人に呼び込みを任せて、抜け出してきました。
任せた彼女オロオロしてますけど置いてきてよかったんですか?
彼は「あれも社会勉強だから」と言い張ってましたので良いのでしょう。何事も経験ですからね。つい先日一緒に遊んでいた時のオドオドしていた彼と同一人物とは思えませんでしたが気にしても仕方がない事でしょう。
彼はクラン設立のための資金繰りをしているらしく、今も寄せ集めでパーティを組むべく奔走しているようでした。
こちらへ駆け寄ってきた彼にマリさんが一言。
「賑わってるねー」
「なに立役者が何そんな他人事みたいに言ってるんすか」
マリさんの言葉に呆れ気味にリチャードさんが突っ込みを入れます。
根っからの突っ込み気質のようで、その流麗な動作は手慣れている感じでしたね。
もしかしたら彼は案外苦労人かもしれません。だってツッコミ慣れているということは、常にツッコミ相手が近くにいるという事でしょうから。
『マリさんならいつもこの調子だよ?』
「そうなんすか、ってミュウさんも凄かったっすけどね。なんすかあのリザルトの結果は……素材分けしてる時内心ビビりまくってたっすよ」
『あははは~』
「どうだ、うちのミュウさんはすごいでしょ!」
『どうしてマリさんが得意気なのかなー?』
「正直それがなかったら全滅必死っすよ」
「あははは~、固い事いうない」
「おーい、リッチ。アコに募集押し付けてなに油売ってんだ」
アーサーさんが出かけるぞーとばかりにリチャードさんを呼びにきました。
そこへわたし達が会釈をすると、これはどうもとばかりに挨拶を交わします。
「これはこれは、マリさんにミュウさんもご一緒でしたか」
「そっすよー優先順位を蔑ろにできないっす」
「せめて一言断ってからだなー」
「アーサー、そちらの方達は?」
リチャードさんの言い分にアーサーさんは頼み方を打診し、後からやってきたハーフリングの少女がアーサーの肩越しにこちらを覗き込んでいました。
「こちら例のパーティでリーダーを務めたバード種のマリさんとサポートでリージュを軽々追い抜いたドライアドのミュウさんだ」
「いよっす」
『どもー』
「かるっ。挨拶軽っ!」
「にゃはははは~、褒めるない」
『それ絶対褒めてないよマリさん』
「と、まぁこんな二人組だけど実力は折り紙つきだ。正直この二人が居なかったら勝ちは拾えないレベルの戦いだった。
んで、こっちがウチのメンバーで調薬師のアコ。見ての通りハーフリングで非戦闘員でな」
「アコです。お話は彼から聞かされてましたが未だに信じられません。その……だってあまりお強そうには……」
「まあ俺っちだって信じられないっすよ。自身に秘められたパワーってやつをね?」
「そうやってお前はすぐ調子にのる」
ごつん
「あいたっ! アサっち、なにも殴る事ないじゃないっすか」
「あははは~、そちらさんは相変わらずだーねー」
「まぁ、ここで立ち話もなんだし。どうです? 続きは酒場で」
アーサーさんは表情を少し険しくして辺りへ注意を振りまきました。あまり周りに聞かせたくない話みたいですね。
マリさんは「奢ってくれるなら」と快諾し、わたしはそれにつられる形で中に入っていきます。
この際エリア移動が発生しますので周囲に向けて巻きつけていた糸は解除。
リチャードさんが調子のいい言葉で「ささ、汚いところっすがどうぞどうぞ」と我が家のような振る舞いで後ろからわたし達を隠すように構えていたのでビンゴでしょうね。何やらあの件以降問題も抱えていたようでした。
それは新たに実装されたクランシステムにありました。
その概要を参照するなら、現状は討伐したメンバーしかなし得ない内容が記されていたのです。
条件①:冒険者ランク【E】以上
条件②:フィールドボス撃破プレイヤーである事(パーティ参加プレイヤーでも可)
条件③:契約費30万G(以降毎月5万G支払い)
と、金欠気味なプレイヤーには厳しい内容でした。これは酷いですね。
まず冒険者ランク【E】以上。
納品を300ポイント分組合に提供すれば可能ですね。これは素材が集まりやすい現状では誰でも可能でしょう。
そして契約費の30万G。
初期のクランは最大で20人まで参加可能だそうです。頭数で割れば一人15,000Gで済みます。しかし現状のお金の周りはどうでしょうか。
新規プレイヤーの所持金が1,000G
一日の稼ぎが300~500G
熟練プレイヤーの一日の稼ぎが3000~5,000G
そしてボスモンスターの売値が最安値で2000G、レアで10,000G
装備の新調を控えているプレイヤーも多く、現実味のないものでした。
またクラン解放の概要が完全に組合任せなので運営からの告知もありません。
ただ条件を提示されただけで、それを乗り越えた者だけに実情を知る権利が与えられるという仕組み。
しかし冒険者ランクが【E】になったプレイヤーは組合にお金を貯金できるようです。これらはアーサーさんから公開された情報です。
しかしランク【E】になれるプレイヤーは限られてます。
ただでさえ38日以上何の攻略法もつかめないまま返り討ちにあっている様な相手です。
弱体化した状態でリスポーンはされているようですが、ようやくちょっと手強いレベルに落ち着いたとの事。先が思いやられますが、流石にそこまで手助けしてあげるわけにはいきません。今回は熱烈アピールの返答をするため。そしてレベルや種族問わず相性次第で攻略出来ることを知らしめる為の攻略参戦。
それでも負けが込んでいる当たり、まだまだ一般プレイヤーのクラン解放者は多くないのでしょう。
それと私達が戦ったボスは多少手傷を負った状態でしたから、そのちょっと前まで戦闘を行っていたプレイヤーが居たはずです。いわば横殴りに近しい行為ですね。
その方が居なかったら私達も “穏便に倒す” のは怪しかったですし、共闘ということで素材の提供か何か言われてきているのでしょうか?
それは精霊装備の検証班がまとめたスレが原因でしょうね。
ドライアドをしている方は見かけませんが、セイレーン、サン、ノームなどの精霊の人気が高いようですね。
種族によって装備箇所が違ってきますから、そこが原因な気もしますが……まあいいでしょう。それは例えるならば……
サンなら腕にしがみつく《腕装備》
ルナなら抱っこ《体装備上》
サラマンダーなら肩の上に浮遊する《装飾》
セイレーンなら肩車 《頭装備》
ドライアドならおんぶ《背中装備》
ノームなら足元に隠れる《体装備下》
ダークネスなら影に潜む《足装備》
それぞれ違ったタイプの幼女(せいれい)がプレイヤーに付き従い……なんと言いますか、親子連れがテーマパークに遊びに来ている雰囲気ですか? が強く感じられました。
マリさんと合流後、私もおんぶされる形でその一団に加わります。周りから注がれる視線が心なしか穏やかになった気がします。
まるで出社した時の職場の雰囲気とどこか似たような気もしますがそれはどうでもいいでしょう。
マリさんに連れられて冒険者組合に行くと、入り口付近ではパーティ勧誘の呼び込み合戦が繰り広げられていました。
その中で見知った顔を発見します。
うさ耳をピンと立てたリチャードさんでした。
マリさんが手を振ると、リチャードさんは一緒に担当していたもう一人に呼び込みを任せて、抜け出してきました。
任せた彼女オロオロしてますけど置いてきてよかったんですか?
彼は「あれも社会勉強だから」と言い張ってましたので良いのでしょう。何事も経験ですからね。つい先日一緒に遊んでいた時のオドオドしていた彼と同一人物とは思えませんでしたが気にしても仕方がない事でしょう。
彼はクラン設立のための資金繰りをしているらしく、今も寄せ集めでパーティを組むべく奔走しているようでした。
こちらへ駆け寄ってきた彼にマリさんが一言。
「賑わってるねー」
「なに立役者が何そんな他人事みたいに言ってるんすか」
マリさんの言葉に呆れ気味にリチャードさんが突っ込みを入れます。
根っからの突っ込み気質のようで、その流麗な動作は手慣れている感じでしたね。
もしかしたら彼は案外苦労人かもしれません。だってツッコミ慣れているということは、常にツッコミ相手が近くにいるという事でしょうから。
『マリさんならいつもこの調子だよ?』
「そうなんすか、ってミュウさんも凄かったっすけどね。なんすかあのリザルトの結果は……素材分けしてる時内心ビビりまくってたっすよ」
『あははは~』
「どうだ、うちのミュウさんはすごいでしょ!」
『どうしてマリさんが得意気なのかなー?』
「正直それがなかったら全滅必死っすよ」
「あははは~、固い事いうない」
「おーい、リッチ。アコに募集押し付けてなに油売ってんだ」
アーサーさんが出かけるぞーとばかりにリチャードさんを呼びにきました。
そこへわたし達が会釈をすると、これはどうもとばかりに挨拶を交わします。
「これはこれは、マリさんにミュウさんもご一緒でしたか」
「そっすよー優先順位を蔑ろにできないっす」
「せめて一言断ってからだなー」
「アーサー、そちらの方達は?」
リチャードさんの言い分にアーサーさんは頼み方を打診し、後からやってきたハーフリングの少女がアーサーの肩越しにこちらを覗き込んでいました。
「こちら例のパーティでリーダーを務めたバード種のマリさんとサポートでリージュを軽々追い抜いたドライアドのミュウさんだ」
「いよっす」
『どもー』
「かるっ。挨拶軽っ!」
「にゃはははは~、褒めるない」
『それ絶対褒めてないよマリさん』
「と、まぁこんな二人組だけど実力は折り紙つきだ。正直この二人が居なかったら勝ちは拾えないレベルの戦いだった。
んで、こっちがウチのメンバーで調薬師のアコ。見ての通りハーフリングで非戦闘員でな」
「アコです。お話は彼から聞かされてましたが未だに信じられません。その……だってあまりお強そうには……」
「まあ俺っちだって信じられないっすよ。自身に秘められたパワーってやつをね?」
「そうやってお前はすぐ調子にのる」
ごつん
「あいたっ! アサっち、なにも殴る事ないじゃないっすか」
「あははは~、そちらさんは相変わらずだーねー」
「まぁ、ここで立ち話もなんだし。どうです? 続きは酒場で」
アーサーさんは表情を少し険しくして辺りへ注意を振りまきました。あまり周りに聞かせたくない話みたいですね。
マリさんは「奢ってくれるなら」と快諾し、わたしはそれにつられる形で中に入っていきます。
この際エリア移動が発生しますので周囲に向けて巻きつけていた糸は解除。
リチャードさんが調子のいい言葉で「ささ、汚いところっすがどうぞどうぞ」と我が家のような振る舞いで後ろからわたし達を隠すように構えていたのでビンゴでしょうね。何やらあの件以降問題も抱えていたようでした。
それは新たに実装されたクランシステムにありました。
その概要を参照するなら、現状は討伐したメンバーしかなし得ない内容が記されていたのです。
条件①:冒険者ランク【E】以上
条件②:フィールドボス撃破プレイヤーである事(パーティ参加プレイヤーでも可)
条件③:契約費30万G(以降毎月5万G支払い)
と、金欠気味なプレイヤーには厳しい内容でした。これは酷いですね。
まず冒険者ランク【E】以上。
納品を300ポイント分組合に提供すれば可能ですね。これは素材が集まりやすい現状では誰でも可能でしょう。
そして契約費の30万G。
初期のクランは最大で20人まで参加可能だそうです。頭数で割れば一人15,000Gで済みます。しかし現状のお金の周りはどうでしょうか。
新規プレイヤーの所持金が1,000G
一日の稼ぎが300~500G
熟練プレイヤーの一日の稼ぎが3000~5,000G
そしてボスモンスターの売値が最安値で2000G、レアで10,000G
装備の新調を控えているプレイヤーも多く、現実味のないものでした。
またクラン解放の概要が完全に組合任せなので運営からの告知もありません。
ただ条件を提示されただけで、それを乗り越えた者だけに実情を知る権利が与えられるという仕組み。
しかし冒険者ランクが【E】になったプレイヤーは組合にお金を貯金できるようです。これらはアーサーさんから公開された情報です。
しかしランク【E】になれるプレイヤーは限られてます。
ただでさえ38日以上何の攻略法もつかめないまま返り討ちにあっている様な相手です。
弱体化した状態でリスポーンはされているようですが、ようやくちょっと手強いレベルに落ち着いたとの事。先が思いやられますが、流石にそこまで手助けしてあげるわけにはいきません。今回は熱烈アピールの返答をするため。そしてレベルや種族問わず相性次第で攻略出来ることを知らしめる為の攻略参戦。
それでも負けが込んでいる当たり、まだまだ一般プレイヤーのクラン解放者は多くないのでしょう。
それと私達が戦ったボスは多少手傷を負った状態でしたから、そのちょっと前まで戦闘を行っていたプレイヤーが居たはずです。いわば横殴りに近しい行為ですね。
その方が居なかったら私達も “穏便に倒す” のは怪しかったですし、共闘ということで素材の提供か何か言われてきているのでしょうか?
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