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勝ち取れ、仲間の蘇生と友の信頼!
19話 Bランクダンジョン実況生中継①
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「はいはーい? 聞こえてるかなー? 今回は私、天上天下会長の蓬莱百合とー?」
「【+1】の飯狗頼忠っす」
「【洗浄】の要石カガリだよー!」
「【フレイムトーチャー】の漆戸慎だ」
「以上の四名で、鹿児島県にあるBランクダンジョンに来ていまーす!」
:なんて?
:ダンジョン内なのに生中継できるのってどうなってんの?
:この中に殺人犯がいます!
:おいおいメンツがおかしくないか?
「生中継兼カメラマンには【ディメンジョンゲート】の神条胡桃ちゃんが来てくれてまーす」
:カメラを揺さぶるのやめろ! 酔うわ
:メンツが豪華すぎるww さすが天上天下
:でも付き添いの戦力が弱すぎて足引っ張らね?
「あ、勘違いしないで欲しいんだけど、今回攻略するのはこちらの三人の高校生だよ? 一人は自分の力及ばずで二人のクラスメイトを救えなかった漆戸君。他の二人は一緒に行動しつつも分断されちゃった子だねー? 流石に危なくなったら私も参戦するけど、取り敢えずやらせるだけやってみる感じだよー? 狙うは金の鍵! 二人の蘇生を目標に今日は頑張るそうなので、私が場を提供しました!」
「あの時は救えなかった命、次こそは救ってみせる」
:殺人鬼がなんかいってら
:言うなよ、ミスで命落とすなんて探索者やってりゃ何処でもある
:故意なんだよなぁ
:金の鍵! 市場にないもんなぁ
:一般人生き返らせるのに金の鍵はなぁ
:聖女様もお人が悪い
:かぐや姫かよ、無茶振りがすぎるわ!
「ま、あんまり気負うなよ慎。焦りは油断を生むぜ。ポーションでも飲んで落ち着け、な?」
俺はマジックバックから取り出した余剰分のポーションを慎に渡す。
慎は理解が追いつかないと言う顔でポーションと俺を交互に見た。
「なぁ、頼忠。これは今何処から出した? 飲料水にするには高級すぎるが?」
「気にすんなよ。うちら攻略組は喉乾いたら飲んでたぜ? な、要石さん?」
「懐かしいねー、相場知ったら目玉飛び出しそうになったけど」
「俺の常識がおかしいのか? こいつの世話になる時は体の一部を欠損した時の応急処置用だと思ったが……」
:殺人鬼が追い詰められてて草
:果たして【+1】が無知なのか、豪胆なのか
:【洗浄】ちゃんも当たり前のように飲んでるのなんなの?
:感覚バグりそう
「ほらほら、駄弁ってる側から敵さんのお出ましだよー? 君たちならどうする?」
蓬莱さんの声に寄ってきたような気がするが、問題ない。
現れたのは痩せこけた犬。ボロボロの体毛と、爛れた肌。
目玉はこぼれ落ちていて、俗に言うゾンビ犬というやつだった。
それが五体。最初から殺意が高い! これがBランクダンジョンか!
「先手必勝! フレイムジャベリン!」
<漆戸慎の攻撃!>
複数の炎の槍がゾンビドッグに襲いかかる!
ゾンビドッグAに500のダメージ!
ゾンビドッグBに500のダメージ!
ゾンビドッグCに500のダメージ!
ゾンビドッグDに500のダメージ!
ゾンビドッグEに500のダメージ!
ゾンビドッグ達は『延焼』の状態異常を負っている
でもさすが慎だな。密集してるからこそ『延焼』を狙っての集中攻撃。だがゾンビなので即死しないなら余裕で動く!
「ちぃ、Bランクのライフの多さを見誤った!」
「慎君、うちらを頼ってくれても大丈夫よん! 頼っち!」
「こいつを喰らいなぁ! 幻覚毒だぜぇ!」
<飯狗頼忠の投擲>
ヒット!
幻覚毒が周囲を惑わす
ゾンビドッグAは敵を見失った
ゾンビドッグBは敵を見失った
ゾンビドッグCは敵を見失った
ゾンビドッグDは敵を見失った
ゾンビドッグEは敵を見失った
俺の投擲値は2000ある。命中と同時に弾けてゾンビ犬に命中すればこの通りである。
「からのー、循環!」
<要石カガリの攻撃!>
ミス、ダメージは与えられない!
<循環発動!>
ゾンビドッグAは幻覚に飲まれた
ゾンビドッグBは幻覚に飲まれた
ゾンビドッグCは幻覚に飲まれた
ゾンビドッグDは幻覚に飲まれた
ゾンビドッグEは幻覚に飲まれた
要石さんのシルバーレイピアの先端に洗浄とは違う水の螺旋が集まって、それがゾンビ犬を貫いた!
ダメージはあまり与えてる感じはなかったが、まるで敵を見失ったように周囲を見渡している。
この前のレベルアップで獲得したのかな?
五体同時に成功させてる腕を褒めないわけにもいかない。
グッジョブとハンドサインを送れば、笑顔で返してきた。
あらかわいい。ちょっと勘違いしちゃいそうだぜ。
だが、場は整った。
「こっからが俺の真骨頂だぜー!」
俺は金の宝箱を振り上げて、近くの地面をぶん殴った。
<飯狗頼忠の攻撃>
バックアタック!
クリティカル!
ミス、攻撃は空ぶった
<ゴールドボックスオープン!>
トラップ発動!
聖なる七色の光が前方にいるモンスターへ襲いかかる!
ゾンビドッグAに15000ダメージ!
ゾンビドッグBに15000ダメージ!
ゾンビドッグCに15000ダメージ!
ゾンビドッグDに15000ダメージ!
ゾンビドッグEに15000ダメージ!
オーバーキル!
魔物の群れをやっつけた!
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<オーバーキルボーナス!>
銀の鍵を手に入れた
シルバーボックスを手に入れた
<+5発動!>
銀の鍵を手に入れた
銀の鍵を手に入れた
銀の鍵を手に入れた
銀の鍵を手に入れた
銀の鍵を手に入れた
シルバーボックスを手に入れた
シルバーボックスを手に入れた
シルバーボックスを手に入れた
シルバーボックスを手に入れた
シルバーボックスを手に入れた
ふぅむ、ゴールドボックスの性能を舐めてたぜ。
よもや俺のスキルが発動するまもなくオーバーキルダメージを与えるとは。
ドロップの方で活躍したのでまぁ良いか。
:は? 今何が起きた?
:【+1】が宝箱で殴りかかったところまでは覚えてる
:そしたら虹色の光が視界を覆って
:パーッて広がって……うおっ、眩し!
:気がついたらモンスター達が死んでいたでござる
:シルバーボックスがアホみたいに落ちてるの草
:鍵も同等あるってことは【+1】のスキルか?
:あれ?【+1】普通に強くね?
:戦えないって話何処行ったんだよ
「あっはははは、頼忠君は私の期待を裏切らないねぇ、その宝箱はどうするの? ここで開けていく?」
「こいつは俺の命綱なんで普通に持っていきますよ。要石さん、お腹空いたらいつでも言ってね? 非常食投げるから」
「まだ平気だよー」
「って事で、こいつは持っていきます」
シルバーボックスをマジックバッグに指定すると、床に転がってた宝箱が即座に消えた。
:は? なんでこいつマジックバッグ持ってんの?
「ボスドロですねぇ。ちなみにダブって計6個あるっす」
:▶︎殺してでも奪い取る
「はい、そこのコメントギルティ。頼忠君の身柄は天上天下預かりです。今度彼を貶める発言をしたら容赦なく制裁するからねー?」
:羨ましい。ちょうだいちょうだいちょうだい
「すいませんねぇ、そう言うことなんで。欲しかったら天上天下さんを通してください。俺の一存じゃあげられないので」
:この余裕ヅラ、ぶん殴りてぇ!
:殴るためには魔境のBランクダンジョンに行く必要があるが
:なんだかんだでこいつ弱くはないもんな
:【+1】が雑魚って認識は改める必要がありそうだ
「頼忠、お前強くなったんだな」
「別に俺は強くねーぞ? 幸運が飛び抜けて頭おかしいだけで、宝箱のトラップが確定で発動する感じだ。他のステなんか100も越えてねーし、LV40の割にステ低すぎかよって思ってるもん」
:は? こいつ今なんつった?
:LV40?
:Bランク探索者推奨ゾーンじゃねーか!
「ちなみに幸運は4000ありまーす。ブイブイ」
:幸運だけ数値がエグいて
:それじゃ投擲と回避がバグる訳だよ
「ちなみに彼は私の攻撃すら回避するからねー?」
:天上天下の会長の攻撃を回避するったら相当よ?
:他の数値低くても、幸運だけで2000増えるのはなぁ
:さっきの投擲命中率はそれかぁ
:でもなんでわざわざ状態異常かけたの? 回避高いなら後ろにまわりこめばいいのに
「高いのは回避で敏捷じゃない点と、状態異常で前後不覚にするとバックアタックとクリティカルが乗ってダメージが跳ね上がるからだなー。みんなもそう言うテクニック使わない? 流石に俺だけではないと思うが」
:ああ、なるほど。敏捷が低いのか
:足は速くないわけね
:前衛にいない理由が分かった
:でも【洗浄】ちゃんを前において平気な理由は?
「彼女には最高の装備を提供してるから。あとポーションと非常食は最優先に回してる。体張ってくれてんだ。普通こんくらいはするだろ?」
:過剰すぎるんだよなぁ
:【洗浄】ちゃん、この環境を普通だと思ったらダメだぞ?
:そうそう、普通はポーションの投げ売りなんてしないから
:ポーションは最後の最後まで取っておくアイテムだよ
「そうは言うけどさぁ、それを真に受けて要石さんが死んだら、あんたら責任とってくれんの?」
:…………
:そうだよな、俺たちの常識とあてはめちゃダメだ
:そっか、ここはBランクダンジョンだもんな
:タンクに落ちられたら終わるからサポートも充実してるのか
:偉そうに高説垂れてた俺らが恥ずかしいわ
「あははは、確かに私が前で平気かなって不安な部分もあるよ? でも頼っちが最後まで一緒にいてくれるって分かってるから、私は頑張れるんだー」
この笑顔である。童貞だったら即座に惚れちゃうね。まぁ向こうは視聴者アピールのつもりで言ってるので、そういう勘違いは俺はしないが。
要石さんと俺の硬い信頼に一人だけ輪に入れない慎の構図。
俺たちと違って早々にクラスメイトを諦めた過去の自分を呪っているのか、はたまたまた別の理由か。一人離れた場所で拳を握りしめていた。
一抹の不安を抱きながら、俺たちはやたら現れるゾンビドッグエリアを歩いた。
ウッヒョー、シルバーボックスフィーバーだぜぇ!!
「【+1】の飯狗頼忠っす」
「【洗浄】の要石カガリだよー!」
「【フレイムトーチャー】の漆戸慎だ」
「以上の四名で、鹿児島県にあるBランクダンジョンに来ていまーす!」
:なんて?
:ダンジョン内なのに生中継できるのってどうなってんの?
:この中に殺人犯がいます!
:おいおいメンツがおかしくないか?
「生中継兼カメラマンには【ディメンジョンゲート】の神条胡桃ちゃんが来てくれてまーす」
:カメラを揺さぶるのやめろ! 酔うわ
:メンツが豪華すぎるww さすが天上天下
:でも付き添いの戦力が弱すぎて足引っ張らね?
「あ、勘違いしないで欲しいんだけど、今回攻略するのはこちらの三人の高校生だよ? 一人は自分の力及ばずで二人のクラスメイトを救えなかった漆戸君。他の二人は一緒に行動しつつも分断されちゃった子だねー? 流石に危なくなったら私も参戦するけど、取り敢えずやらせるだけやってみる感じだよー? 狙うは金の鍵! 二人の蘇生を目標に今日は頑張るそうなので、私が場を提供しました!」
「あの時は救えなかった命、次こそは救ってみせる」
:殺人鬼がなんかいってら
:言うなよ、ミスで命落とすなんて探索者やってりゃ何処でもある
:故意なんだよなぁ
:金の鍵! 市場にないもんなぁ
:一般人生き返らせるのに金の鍵はなぁ
:聖女様もお人が悪い
:かぐや姫かよ、無茶振りがすぎるわ!
「ま、あんまり気負うなよ慎。焦りは油断を生むぜ。ポーションでも飲んで落ち着け、な?」
俺はマジックバックから取り出した余剰分のポーションを慎に渡す。
慎は理解が追いつかないと言う顔でポーションと俺を交互に見た。
「なぁ、頼忠。これは今何処から出した? 飲料水にするには高級すぎるが?」
「気にすんなよ。うちら攻略組は喉乾いたら飲んでたぜ? な、要石さん?」
「懐かしいねー、相場知ったら目玉飛び出しそうになったけど」
「俺の常識がおかしいのか? こいつの世話になる時は体の一部を欠損した時の応急処置用だと思ったが……」
:殺人鬼が追い詰められてて草
:果たして【+1】が無知なのか、豪胆なのか
:【洗浄】ちゃんも当たり前のように飲んでるのなんなの?
:感覚バグりそう
「ほらほら、駄弁ってる側から敵さんのお出ましだよー? 君たちならどうする?」
蓬莱さんの声に寄ってきたような気がするが、問題ない。
現れたのは痩せこけた犬。ボロボロの体毛と、爛れた肌。
目玉はこぼれ落ちていて、俗に言うゾンビ犬というやつだった。
それが五体。最初から殺意が高い! これがBランクダンジョンか!
「先手必勝! フレイムジャベリン!」
<漆戸慎の攻撃!>
複数の炎の槍がゾンビドッグに襲いかかる!
ゾンビドッグAに500のダメージ!
ゾンビドッグBに500のダメージ!
ゾンビドッグCに500のダメージ!
ゾンビドッグDに500のダメージ!
ゾンビドッグEに500のダメージ!
ゾンビドッグ達は『延焼』の状態異常を負っている
でもさすが慎だな。密集してるからこそ『延焼』を狙っての集中攻撃。だがゾンビなので即死しないなら余裕で動く!
「ちぃ、Bランクのライフの多さを見誤った!」
「慎君、うちらを頼ってくれても大丈夫よん! 頼っち!」
「こいつを喰らいなぁ! 幻覚毒だぜぇ!」
<飯狗頼忠の投擲>
ヒット!
幻覚毒が周囲を惑わす
ゾンビドッグAは敵を見失った
ゾンビドッグBは敵を見失った
ゾンビドッグCは敵を見失った
ゾンビドッグDは敵を見失った
ゾンビドッグEは敵を見失った
俺の投擲値は2000ある。命中と同時に弾けてゾンビ犬に命中すればこの通りである。
「からのー、循環!」
<要石カガリの攻撃!>
ミス、ダメージは与えられない!
<循環発動!>
ゾンビドッグAは幻覚に飲まれた
ゾンビドッグBは幻覚に飲まれた
ゾンビドッグCは幻覚に飲まれた
ゾンビドッグDは幻覚に飲まれた
ゾンビドッグEは幻覚に飲まれた
要石さんのシルバーレイピアの先端に洗浄とは違う水の螺旋が集まって、それがゾンビ犬を貫いた!
ダメージはあまり与えてる感じはなかったが、まるで敵を見失ったように周囲を見渡している。
この前のレベルアップで獲得したのかな?
五体同時に成功させてる腕を褒めないわけにもいかない。
グッジョブとハンドサインを送れば、笑顔で返してきた。
あらかわいい。ちょっと勘違いしちゃいそうだぜ。
だが、場は整った。
「こっからが俺の真骨頂だぜー!」
俺は金の宝箱を振り上げて、近くの地面をぶん殴った。
<飯狗頼忠の攻撃>
バックアタック!
クリティカル!
ミス、攻撃は空ぶった
<ゴールドボックスオープン!>
トラップ発動!
聖なる七色の光が前方にいるモンスターへ襲いかかる!
ゾンビドッグAに15000ダメージ!
ゾンビドッグBに15000ダメージ!
ゾンビドッグCに15000ダメージ!
ゾンビドッグDに15000ダメージ!
ゾンビドッグEに15000ダメージ!
オーバーキル!
魔物の群れをやっつけた!
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<オーバーキルボーナス!>
銀の鍵を手に入れた
シルバーボックスを手に入れた
<+5発動!>
銀の鍵を手に入れた
銀の鍵を手に入れた
銀の鍵を手に入れた
銀の鍵を手に入れた
銀の鍵を手に入れた
シルバーボックスを手に入れた
シルバーボックスを手に入れた
シルバーボックスを手に入れた
シルバーボックスを手に入れた
シルバーボックスを手に入れた
ふぅむ、ゴールドボックスの性能を舐めてたぜ。
よもや俺のスキルが発動するまもなくオーバーキルダメージを与えるとは。
ドロップの方で活躍したのでまぁ良いか。
:は? 今何が起きた?
:【+1】が宝箱で殴りかかったところまでは覚えてる
:そしたら虹色の光が視界を覆って
:パーッて広がって……うおっ、眩し!
:気がついたらモンスター達が死んでいたでござる
:シルバーボックスがアホみたいに落ちてるの草
:鍵も同等あるってことは【+1】のスキルか?
:あれ?【+1】普通に強くね?
:戦えないって話何処行ったんだよ
「あっはははは、頼忠君は私の期待を裏切らないねぇ、その宝箱はどうするの? ここで開けていく?」
「こいつは俺の命綱なんで普通に持っていきますよ。要石さん、お腹空いたらいつでも言ってね? 非常食投げるから」
「まだ平気だよー」
「って事で、こいつは持っていきます」
シルバーボックスをマジックバッグに指定すると、床に転がってた宝箱が即座に消えた。
:は? なんでこいつマジックバッグ持ってんの?
「ボスドロですねぇ。ちなみにダブって計6個あるっす」
:▶︎殺してでも奪い取る
「はい、そこのコメントギルティ。頼忠君の身柄は天上天下預かりです。今度彼を貶める発言をしたら容赦なく制裁するからねー?」
:羨ましい。ちょうだいちょうだいちょうだい
「すいませんねぇ、そう言うことなんで。欲しかったら天上天下さんを通してください。俺の一存じゃあげられないので」
:この余裕ヅラ、ぶん殴りてぇ!
:殴るためには魔境のBランクダンジョンに行く必要があるが
:なんだかんだでこいつ弱くはないもんな
:【+1】が雑魚って認識は改める必要がありそうだ
「頼忠、お前強くなったんだな」
「別に俺は強くねーぞ? 幸運が飛び抜けて頭おかしいだけで、宝箱のトラップが確定で発動する感じだ。他のステなんか100も越えてねーし、LV40の割にステ低すぎかよって思ってるもん」
:は? こいつ今なんつった?
:LV40?
:Bランク探索者推奨ゾーンじゃねーか!
「ちなみに幸運は4000ありまーす。ブイブイ」
:幸運だけ数値がエグいて
:それじゃ投擲と回避がバグる訳だよ
「ちなみに彼は私の攻撃すら回避するからねー?」
:天上天下の会長の攻撃を回避するったら相当よ?
:他の数値低くても、幸運だけで2000増えるのはなぁ
:さっきの投擲命中率はそれかぁ
:でもなんでわざわざ状態異常かけたの? 回避高いなら後ろにまわりこめばいいのに
「高いのは回避で敏捷じゃない点と、状態異常で前後不覚にするとバックアタックとクリティカルが乗ってダメージが跳ね上がるからだなー。みんなもそう言うテクニック使わない? 流石に俺だけではないと思うが」
:ああ、なるほど。敏捷が低いのか
:足は速くないわけね
:前衛にいない理由が分かった
:でも【洗浄】ちゃんを前において平気な理由は?
「彼女には最高の装備を提供してるから。あとポーションと非常食は最優先に回してる。体張ってくれてんだ。普通こんくらいはするだろ?」
:過剰すぎるんだよなぁ
:【洗浄】ちゃん、この環境を普通だと思ったらダメだぞ?
:そうそう、普通はポーションの投げ売りなんてしないから
:ポーションは最後の最後まで取っておくアイテムだよ
「そうは言うけどさぁ、それを真に受けて要石さんが死んだら、あんたら責任とってくれんの?」
:…………
:そうだよな、俺たちの常識とあてはめちゃダメだ
:そっか、ここはBランクダンジョンだもんな
:タンクに落ちられたら終わるからサポートも充実してるのか
:偉そうに高説垂れてた俺らが恥ずかしいわ
「あははは、確かに私が前で平気かなって不安な部分もあるよ? でも頼っちが最後まで一緒にいてくれるって分かってるから、私は頑張れるんだー」
この笑顔である。童貞だったら即座に惚れちゃうね。まぁ向こうは視聴者アピールのつもりで言ってるので、そういう勘違いは俺はしないが。
要石さんと俺の硬い信頼に一人だけ輪に入れない慎の構図。
俺たちと違って早々にクラスメイトを諦めた過去の自分を呪っているのか、はたまたまた別の理由か。一人離れた場所で拳を握りしめていた。
一抹の不安を抱きながら、俺たちはやたら現れるゾンビドッグエリアを歩いた。
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