俺だけ✨宝箱✨で殴るダンジョン生活

双葉 鳴

文字の大きさ
24 / 36
勝ち取れ、仲間の蘇生と友の信頼!

24話 Bランクダンジョン実況生中継⑥

しおりを挟む
 結構な光量が出たのだろう、全員が目を凝らして見た先にあったのは、何かの生物の卵だった。


:これは想定外
:これがレインボーボックスちゃんの中身ですか
:ハズレ? ハズレなんだよな? ハズレだと言ってよバーニィ
:【+1】でさえ卵なんだからお察し
:やたら落ちてる数が違うのだけに目を瞑れば
:詳細! 詳細を教えて!


「まずは私から」


 蓬莱さんが挙手をして、アイテム情報を語る。


「私が獲得したのは武神の卵。これは孵化した際、武神をモチーフにしたペットを獲得できるものと出ている。きっとこれから先の探索で、このペット達が我々に齎してくれる影響は大きいのだろう。少々イカついのが玉に瑕だが、こいつが私の新しい相棒だ!」


:ほへぇ、ペット枠か。想定したこともないわ
:武器は? 防具は? 専用装備はぁあああ?
:他の子は?


「俺はマジックサークルモンキーの卵と出ている。これは魔法使いの詠唱速度上昇、威力上昇の効果を有しているのだと思う。言うなれば外付けの装備枠だな。その上で成長もするらしいので、成長する武器の様に思っておけば良さそうだ。ちなみに孵化したらアイテムの譲渡は出来ない。生まれた時に初めて見た相手を親と認識する様だ」


:猿なのに卵から出てくるのか?
:シッ、あまり突っ込むなよ
:きっと不思議生物なんだよ
:一気にファンタジー感出してきたな
:ペットなら俺はパスかな、餌代次第
:それも合わせて配信で明かされるやろ


「私のは天使の卵だったよ! 小さな天使が行動に聖属性を付与してくれるんだって! パーティメンバーにも効果が及ぶからこれからのアタックも安心だね?」


:こっちは天使か
:改めて武神の際物感よ
:シッ
:言うなよ、本人も可愛いやつの方が良かったって顔してるし
:お似合いなんだよなぁ
:逆に天使とか似合わなすぎる
:シッ


「おい、何でうちのは全部ラッキーラビットの卵なんだ? それも六個も」


:草
:幸運をこれ以上加速させるな!
:幸運祭りが始まる予感
:もう始まってるやろがい!
:また【+5】が暴れたのか
:たまげたなぁ
:一番雑魚そうなペット引いてるのに嫌な予感しかしないのが凄い
:今までやってた幸運特化によるゴリ押しがペットでさらにブーストされるんだぞ! 嫌な予感であってる


 俺が悲嘆に暮れる中、コメントだけは異常な伸びを見せた。
 一応金の鍵は神条さん経由でアイリーンさんの元へ。
 魂の定着は恙なく行われる事だろう。
 念のため虹の鍵を取っておいてるのは『やっぱりやめた』と言い出しかねないのでお土産としてだ。

 一応世話になってるのは事実だし、独り身だからこそペットの存在に救われる事もあるだろうとの配慮だ。

 まあ、あげるにしたってダブればの話だがな!

 そして前に進んでから神条さんのディメンジョンゲートで入口に戻り、何回もヒュドラゾンビ戦をやり直した。

 自分達の要望が通らずに泣き崩れるご遺族達。
 阿鼻叫喚の渦に叩き込まれるコメント欄。
 そして戦闘終了のたびに増えていく俺の金の鍵と虹の鍵とレインボーボックス達。

 50戦目くらいからレインボーボックスから出た卵が孵り、戦力増強! 餌は個体によって異なるが、うちのウサギ達は餌にシルバーボックスを要求。
 ムシャムシャしてたちまち巨大化していった。
 霊体なのでモンスターに殺されることはないのだが、俺の姿はもふもふに揉みくちゃにされてカメラから消えるなどのアクシデントもあった。至福の時間である。ウサギ、良いな。最初は邪魔者のように扱っていたが次第に愛くるしさが戦場の花となる。
 今じゃ可愛い盛りだ。デカいと言ったって四足歩行で軽自動車サイズだしな。十分デカいって? 多分ヒュドラゾンビを見慣れてて感覚バグってるんだと思う。そう言うことにしておいて。

 そしてこの子ら、一匹あたりの平均ステータスはゴミなんだけど、俺のステータスを反映してその20%を飼い主に投影するって特殊技能で俺の幸運を底上げしてくれてるんだが、まぁよく餌を食う。
 その割に位階っつーの? それは一のままだが、可愛いは正義らしくてコメント欄は俺と場所を代わりたい奴が殺到した。

 まるで要石さんをペットに置き換えた感じだ。
 それも【+5】のおかげで無駄に6匹もいるし、倒すのがヒュドラゾンビなのでレベルは爆上がりするしで大変なことに。
 気が付けばステータスも伸びたが、幸運だけそれこそ異様な伸びを見せていた。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 飯狗頼忠
 レベル:80
 称号 :死に抗う者、クレイジープレゼンター
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 筋力:  80  【+96】  176
 知識:  70  【+84】  154
 耐久:  90 【+108】  198
 精神: 120 【+144】  264
 器用: 130 【+156】  286
 敏捷: 100 【+120】  220
 幸運:8000【+9600】17600
 
 物  攻:筋力+器用÷2 232【+8800】
 物  防:耐久+筋力÷2 187
 魔  攻:知識+精神÷2 209
 魔  防:精神+耐久÷2 231
 投  擲:器用+幸運÷28931
 回  避:敏捷+幸運÷28910
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 <スキル>
【+1】発動確率 50%×幸運補正
【+2】発動確率 25%×幸運補正
【+3】発動確率 10%×幸運補正
【+5】発動確率0.1%×幸運補正
◎行動回数、ドロップ再抽選に大きく影響する/パッシブ
 
【レベル+1】発動率   1%×幸運補正
【レベル+2】発動率0.01%×幸運補正
◎レベル上昇時、確率でレベルアップ/パッシブ
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 <霊獣:ラッキーラビット>
 ピョン吉、ピョン次、ピョン美、ピョン子、ピョン奈、ピョン太
 【位階:一】
 主人のステータスを参照し、20%を主人に還元【個体別】
 一日一回、即死判定を無効化してくれる【個体別】
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 <装備>
 ラックアクセルボウ【命中+8800%】
 ラックアクセルの矢【物攻+8800】
 虹の盾
 ゴールドボックス×1
 レインボーボックス×1
 マジックポーチ×2
 マジックバッグ×7
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 <アイテム>
 ゴールドボックス×370
 レインボーボックス×69
 金の鍵×370
 虹の鍵×70
 ポーション×9999
 マナポーション×9999
 高級非常食×9999
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 まぁ、いつものことだ。見慣れた景色だな。
 あとはこれは裏技だと思うんだが、俺から吸ったステータスを5で割って6を掛ける事で倍以上になってるのが嬉しい。
 それでも低いって言うな。気にしてんだよ!

 それよりもこの子達の意外な性能はは即死攻撃無効の方にある。
 これは結構な当たりなのでは?
 って思うが、そう思うのは俺が幸運極振りで他のステが低い故だろう。まぁダンジョンにおいて即死無効は強すぎる。
 それってつまり鍵なしで宝箱開けてもノーダメって事だもんな。
 そう言う意味では俺と相性が良すぎた。
 鍵はあくまで死なないための保険だから、死なないなら鍵の価値も死ぬわけだ。ま、この情報をバラす必要はない。
 コメントじゃ一番雑魚みたいな扱われ方だし、逆にバレたらそれこそ殺人が起きそうだ。そう言う意味でも秘匿でいいだろ。

 
 そして迎えた100戦目でようやく勝負勘を掴んだ慎が漸く金の鍵を獲得した。
 時間経過にして二時間後のことである。
 え、一戦二分しかないのかって? コツを掴んだらあとは流れ作業よ。ダメージ分配を考慮して俺のスキルが発動しすぎないようにするのがコツかな?
 要石さんの神経覚醒アタックもパーティー全員に付与できたのがでかい。これで他人のライフコアもあらかた出たんじゃないかってくらいだもん。いやーお疲れお疲れ。深層まで行かずに済んで良かったよな!


「やったぞ! 金の鍵だ!」

「おめでとう慎君!」

「良かったな、慎」

「良くぞ頑張ったね、漆戸君。君の頑張りはだれよりも全世界のみんなが認めてるよ」


:人ってここまで変われるんだなって正直思ってなかった
:殺人鬼から英雄の如き担がれ方で草
:実際人の命救ってんねんで?
:お前が金の鍵差し出せって言われて差し出せるかって話だよ
:俺なら依頼バックれて自分に使うわ
:普通はそうよ
:俺も無理、他人の死より自分のパワーアップやんな
:ここの人達には失望しました!
:人の心とかないんですか!?
:実際、人が死ぬ場所ってダンジョンに限った話じゃないんすよ
:そうそう、ウチの両親も借金取りに追い込まれて身投げしましたし
:それとこれとは状況が違うでしょ!
:違わないんだよなぁ、連続通り魔事件に襲われて死んだって人もいるよ。もちろんその犠牲者の遺族達はどんなにお金を積んでも聖女達からは見向きもされなかった
:え……
:正直、今回は異例中の異例と思った方がいいよ?
:まず蘇生ってすごいお金かかるの
:時間もな? ウチの大統領が暗殺された時も大変だったよ。表向きは葬儀をしてたけど裏で蘇生を試みてた。高い金払って、何人も護衛雇って肉体の維持費でポーションアホみたいにつぎ込んで。でも復活出来なかったんだよ
:聖女もピンキリやから
:まず【特級聖女】が日本にわざわざ来ること自体が例外


「私が呼びました~」


:英雄の肩書き使ったんか
:納得
:蘇生の代金がアホかって思ったけど、忙しい中呼ばれたらそりゃこれくらいの悪戯もしたくなるか
:なんて言っても世界のアイリーン嬢ぞ
:アイリーン嬢、腕はいいけど蘇生の相場が50億~の人だから
:そりゃ一般人が蘇生お願いするのは無理な話よ
:ところでご遺族さん達は蘇生後のポーション分の代金払えるんですかね?
:今のところプレゼントで飲み水みたいに扱われてるけどこれはここが異例なだけで相場は値上げ傾向にあるよ
:それは、飯狗君になんとかしてもらうことは出来ないんでしょうか?
:お友達なら、当然譲ってくれますよね!
:この乞食根性である
:あんたら各家に無償で5000万づつ貰ったんじゃないんか
:そんな話あったっけ?
:【+1】が金の鍵を無償提供して売れた代金を各家に分けるって話が出てたじゃん?
:ああ、じゃあポーション代は間に合うか
:そんなもんとっくにありませんよ!
:はぁ?
:なんでこの人逆ギレしてんの?
:金がないから持ってる人から無心するのが果たして正義かどうか
:これが全世界放送ってこと忘れてそう


「まぁご家族のお気持ちも分かりますよ。私もダンジョンブレイクで両親や弟を亡くしてますし。勿論、ダンジョンから溢れ出たモンスターによる被害です。当時はスキルの発現もまだ一般的ではなかったですし、死者蘇生なんて技術もなかったです。お酒に逃げたりしましたよ。だから私は遺族の方達が何にお金を消費したのか良くわかるんです」


:でしたら私達の心情、わかってくれますよね!?
:ね!


「いやー、無理でしょ。蓬莱さんとあなた方では状況が何もかも違う。ライフコアが綺麗で蘇生の目があって、かつ加害者への復讐じみた依頼書、無理難題とも言える目的の設定。自分達の命はかけずに高みの見物。そして外野からのマナー違反の数々。残念ですけど俺はクラスメイトを復活させたいからこの依頼を受けたのであって、決してあなた達を調子づかせるためにここにいるわけじゃないんです。ポーションは供給してあげてもいいですが、お金はきちんと払ってくださいね?」


:そんな……
:お友達なら……


「あー、と色々勘違いされてるようなので訂正させて貰いますね? 春日井さんと狭間さんはクラスメイトではありますが、生前俺に対して嫌がらせ、イジメに近しい行為を働いておりました。俺からは別に死んで欲しいとまでは思ってませんが、まぁ嫌な感じでしたね。好きか嫌いかで言われたら顔はあまり見たくないです。クラスメイトのよしみで助けてやったって感じで、それ以上でもそれ以下の感情も持ち合わせてないです、はい」


:えっ
:まぁレベル1の【+1】ならそりゃイジメられるよな
:自分より能力低いってそれだけで世間じゃマイナスだから
:世間一般の被害者だから【+1】は
:まさか自分たちの娘がいじめの加害者だと初めて知ったとか?
:あり得る


「あの時はお前に辛く当たって悪かった。彼女達をそのように扇動したのも俺だ。反省している、ごめん、頼忠」


:やっぱりこいつが主犯か
:罪を認めたって許すわけないやろ
:潔い土下座である
:形だけの謝罪に意味はないよ
:実際殺されかけたらなぁ
:その上で無理難題の依頼に抜擢
:俺だったらぶん殴ってる
:殺されたって文句言えねーよ
:その上で依頼達成しちまうところがすごいんだ!
:【+1】のファン割と増えたよなー、この配信で
:増えたのは【+1】のファンじゃなくて飯狗頼忠本人のファンだろ
:草
:まぁこんだけプレゼントばら撒きゃファンもつく
:そのファン、乞食って肩書きついてない?
:言うなや、俺もお前も乞食。それでいいだろ?
:良くないんだよなぁ
:巻き込むな、お前一人で汚名を背負え


「私も、自分より弱くて役に立たないって勝手に決めつけて、酷いこといっぱい言ったよね。最終的に助けてくれたのは頼っちで、だからこうして反省して役に立とうと体を張ってます。許してくれなんて到底言えないけど、でも、せめてお友達からやり直させてください!」


:おおっと、まさか【洗浄】ちゃんも加害者だった件
:全方位加害者とはたまげたなぁ
:世間一般の【+1】はステータス弱者で奴隷みたいなとこあるから
:被害者ぶってた加害者ご遺族はどこ行った?
:ダンマリを決め込んでるよ
:特大なブーメラン投げてるってようやく気づいたか
:釣り針がデカすぎたんだよなぁ
:自分達の蘇生が好条件すぎたって初見では見抜けんでしょ
:俺達の仲間を蘇生する際、アイリーン嬢が来てくれる可能性ときたら……
:ほぼ0%なんよなぁ
:悲しいことにこれが現実!貧乏人には蘇生の可能性すらない!
:夢くらい見させて欲しかったが、50億本と出せる奴はそんな居ないからな


「別に、俺はコメントで言うほどお前らに対してなんとも思ってねーけど。慎は親父さんを亡くした思い込みからの疎遠で、要石さんに至っては俺も同じくらい悪いことしたって思ってる。だからさ、誰が悪いとかはここは関係ないと思うんだ。そりゃ、いじめられてる時はなんだこいつ!って思いもしたけど、結果慎がダンジョンに無理矢理にでも連れてきてくれて、要石さんがブーブー言いながらも囮役を引き受けてくれたおかげで今の俺がある。そう思うと全部が全部憎いって感情は湧かねーんだわ。だから俺からも言わせてもらう。誘ってくれてさんきゅな、慎。要石さんも改めて囮役助かってます。おかげで俺の汚名も返上出来たしwin-winで良くね?」


:ぐあーーー、こいつ懐深すぎんだろ!
:その懐の深さに甘えてたのが俺らだから
:乞食乙!
:まだたくさんボックス余ってるでしょ? 開けてプレゼントしよ?
:ほぼゴールドとレインボーな件
:配れるわけないんだよなぁ
:配ったら奪い合いだぞ!?
:殺しても奪い取るが現実に起きちゃう!


「勿論それらは天上天下預かりで、オークションでの入金のみ引き受けますんでプレゼントを期待してる方はごめんなさいね~? お金は頼忠君のお家に入りますが、桁が桁なので蓬莱バンクでの預かりになると思いまーす」


:この手の平の返しようである
:仕方ねーよ、この配信でレインボーの中身の性能確認はできたんだし、それ以上を求めるのはゴミ屑の所業
:ゴミ屑言うなし!
:人の物欲しがって集る奴にゴミ屑以外の名称が思いつかない
:成長する外付けの武器だもんなぁ、タダでくれるわけないわ!
:ゴールドだってまだ行き届いてないもんな
:ここの配信見てると脳がバグりそうになるが、別に供給が過多になったわけでもなんでもなかった!


 ◇


 そんなこんなで俺達は安全に探索を終了し、魂の定着の場に立ち会った。
 ポーションの過剰摂取でだいぶ髪が伸びて美肌効果がアップしてるが、寝ているのは間違いなく当時命を失った彼女達である。

 目を覚ました彼女達は意識が混濁しており、慎の顔を見て表情を引き攣らせた。
 きっと自分を置いて逃げた光景が蘇ったのだろう。
 それを要石さんが抱き止めて「もう大丈夫だから」と懸命に介護。
 精神状態が安定するまで入院を続けた。

 それから二ヶ月後。
 無事に退院して蘇生した娘達に散々振り回されたご遺族達は、俺たちの家族に何度も頭を下げに来た。
 内容は自分たちに都合のいい依頼書の制作、そして蘇生代金を踏み倒そうとしたこと。ポーションも代金支払いについてはまだ待って欲しいとのことを蘇生直後の娘を引き連れている事から世間様は彼女の親族達に厳しい視線を送ってるらしい。

 なんせあの配信、世界規模だからなぁ。
 プレゼント配布で美味い思いした奴らは俺を神の御使みたいに敬って、それを顎で使おうとしてた遺族に遺憾の意を示したのが禍《わざわい》してお仕事を失った、なんて話も聞く。

 どこでどんなツテがあるのか分からんけども、自分達が迷惑をかけた分、自分達が体を張って稼ぐからと【トーチ】【合成】の蘇生組はやる気満々だ。
 問題は彼女達のやる気に反比例して引き取り手がいない事にあるが。

 なので自ずと引き取り手は俺たちということになり……
 今日も今日とてFランクダンジョンへとダイブする。


「毎回思うが慎、Dランクのお前がFで物足りるのか? 付き合わせてなんだけどさ」

「何言ってんだ、前の俺は死んだって配信時に言っただろ。今じゃお前と一緒のFからスタートだよ。ダンジョンタレントは辞めたんだ。あの依頼を受けてから俺はもっとこの探索者に真剣に打ち込んでみようと思った。それもこれも頼忠のお陰なんだぜ?」

「そうだろぉ? もっと褒めてもいいんだぜ?」

「そうやってすぐ調子に乗る。いや、そうやって調子に乗ってくれるおかげで俺も救われるんだ。お前が友達をやり直してくれて、俺も母さんも本当に助かってる。本当に絶縁されても仕方ないことをしたのに……ありがとうはこっちの台詞なんだよ、頼忠」

「そうやって過去のことを気にし過ぎんのがお前の悪い癖だな」

「頼忠が前向きすぎるんだって」

「【+1】のポジティブさ舐めんな! 前を向かなきゃ落ちこぼれていくばっかりなんだぞ?」


 と、言ってる側からメンバーが揃ったみたいだ。今日は後発組も実戦をさせるって言うが平気だろうか?
 慎はいつまで経っても心配性だし、要石さんはあんまり深く物事を考えてないしで俺だけ気苦労背負わされてるんだよな。

 でも心配するのは流石に彼女らを舐めすぎだぜ?
 なんと言っても俺が提供したゴールドボックスの五点セットで武器防具をガチガチに固めたんだからな!
 おまけに霊獣もセットだ。Fランクなのに重装備過ぎるって?
 これぐらいでいいんだよ、春日井と狭間の家族は保護対象になってないんだ。あの配信以降、いつ蘇生させた娘に手を挙げるかわかったもんじゃない。だから防御は固めておくに越したことはないんだ。
 霊獣はステータスのブーストアイテムみたいなもんだ。
 位階が低いうちは賑やかし程度だが。

 あとは現場慣れだけだ!そう音頭を取る要石さんに続く二名。
 盾役を要石さんが務めて、俺たちは後発組を暖かく見守る。
 これが日課になった。

 ランクアップはしないのかって?
 したら下手に周囲に迷惑をかけるからな。
 俺たちはのんびりでいいんだ。

 それにランクを上げることでメリット以上にデメリットの方が大きいこともある。
 例えば世界規模の緊急招集とか、Bランク以上は強制出撃だ。
 今日も蓬莱さんは【勇者】として各地を飛び回ってる。
 配信によって遊んでるのがバレた所為らしい。
 俺も連れてきてくれって要請は受けてるが、まだFランクなのでと断り続けていた。

 俺のレベルは100を超えて素の幸運は10000を超えたが、他のステータスが軒並み貧弱なので前線に行ったところで活躍の見込みが薄いのだ。

 そして仲間内のなあなあでゴールド、またはレインボーボックスの提供を無心されそうで嫌というのが本音。
 きっと仲間を救うためだからと何度も甘い汁を吸おうって奴がわらわらやってくるに違いない。そんな時恩を売るのと同時に無茶振りをさせられるのが目に見えてる。

 探索者ってやたら縦社会な所あるから、どこの誰かもわからんやつに頭下げるとか誰得なんだよなぁ。

 なので俺はFランクが丁度良い。
 装備はとっくにAでも遜色ないが、平和な日常が何よりも大好きなので意地でもここに居座ってやるんだ!

 お金も十分稼いだし、無理して危険な目に遭うことないわ。
 マジ。
しおりを挟む
感想 82

あなたにおすすめの小説

追放されたら無能スキルで無双する

ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。 見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。 僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。 咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。 僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

勤続5年。1日15時間勤務。業務内容:戦闘ログ解析。

厳座励主(ごんざれす)
ファンタジー
ダンジョン出現から六年。攻略をライブ配信し投げ銭を稼ぐストリーマーは、いまや新時代のヒーローだ。その舞台裏、ひたすらモンスターの戦闘映像を解析する男が一人。百万件を超える戦闘ログを叩き込んだ頭脳は、彼が偶然カメラを握った瞬間に覚醒する。 敵の挙動を完全に読み切る彼の視点は、まさに戦場の未来を映す神の映像。 配信は熱狂の渦に包まれ、世界のトップストリーマーから専属オファーが殺到する。 常人離れした読みを手にした無名の裏方は、再びダンジョンへ舞い戻る。 誰も死なせないために。 そして、封じた過去の記憶と向き合うために。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

処理中です...