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34話 ダンジョン管理者との邂逅
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空ウツボの盛り合わせ丼を食べたあと、初めて調味料とも言えないものが出てきたなと思った。
どちらかと言えば加工品。
「いやー食った食った」
「でも調味料とはちょっと違う感じだったね、美味かったけど」
「特殊変化、もしかしてレア食材に対しては最も美味な部位に変化するとか?」
「私もこんなの初めてです!」
「本当に俺次第なスキルだなぁ。取り敢えず、もう二、三匹仕入れてダンジョンセンターに卸しましょう。日持ちするかどうかも知りたい」
「私は今猛烈に感動してますよぉ! レベルが30も上がって総合ステがC4に」
「おめでとう御座います」
ミサちゃんにとっての適合食材更新を歓迎しながら、俺は別のことを考える。
それは先ほどの特殊変化のもたらした結果だ。
今まで調味料だったのにどうみても生物。
特殊加工しているとは言え、日持ちする感じでもなさそうだ。
流通は難しいだろうな。
魚卵はともかく肝が保たない。
手にしたらその場で調理できないとすぐ廃棄行きだろう。
素材から特殊変化まで扱いに困る食材だ。
「どっちも日持ちしなさそうな見た目してるけどな」
「肝なんて苦味の代表選手だろうに」
「なので苦味吸収スライムをセットでつける。こいつは俺しかできないからな。一流の料理人ならどういう料理にするか興味がある。日持ちしてくれりゃいいんだが」
「ポンちゃん、それって苦味を抜いた状態で流通させられないか? こう、真空パックに詰めてさ」
「そんな技術俺持ってないぞ?」
「パック詰は素材があればオレがやる」
ヨッちゃんがそんなことを言い出した。
「ヨッちゃんが?」
「おうよ、これは是非みんなにも食べてほしいからな。肝を捨ててたやつがひっくり返るうまさだ! このほろ苦さ経験できないのは人生の八割以上の損失だ。なにしろこいつは日本酒に超合う! 全国の飲兵衛はぜひ口にすべき!」
<コメント>
:草
:みんな無言で食ってたけど、やっぱり美味かったんか
:そりゃ美味けりゃ無言にもなるわ
:ここ、ミサミサのチャンネルやで
:何気に真空パック技術を公開すんな
:相当な魔力練度が必要じゃね?
:ヨッちゃんなら出来そう
「俺の腸詰め技術でなんとか出来ないかな?」
「ミンサーで砕いた肉を包むだけじゃないのか?」
「一応包む肉は指定できるんだ。一度やってみよう、何匹か頼めるか? クララちゃんも大丈夫?」
「またあれが食べられるんならOKです」
了承を貰ったので腸詰めが可能かどうかを調べる。
たったそれだけだ。
それよりも、気になることがある。
俺の特殊調理は制限がない。彼女は制限がある。
だから一体のモンスターに対してスキルの使用回数が一回減るのが普通なのか、と。
俺の活け〆の道筋は目に見える全ての範囲に適用される。
振るう包丁こそ制限はないが、一振りで全てのモンスターを解体できる。
制限系の苦労を俺は知らないが、その制限が一つのものに対して、というのは自分で制限をしてるのではないか? と思う。
「ポンちゃん、5匹釣れたー」
「ヨシ、じゃあちょっと実験だ。クララちゃん、この五匹にまとめて特殊変化使ってみて」
「え、五匹全部にですか?」
「もし一度に使用制限が5減るか、もしかしたら一種類の素材に対してなら消費が1で済むのかの実験だ」
「面白そうですね、もしそれが可能だったら……」
「ああ、ダンジョンセンターで回す仕事量も増えるぞ」
「お給料がいっぱいもらえますね! やります!」
という事で普通に倒して死体を回収、その場に肝が五個落ちた。
クララちゃんとしては満足そうな顔、回数が1で済んだのかもしれない。
ならばとそれを指定して苦味吸収スライムで加工後、腸詰めでソーセージに。
ミンサーで砕かなくても、何故か五本分のソーセージになる。
ミンサーのミンチ肉の原理も不明だけど、腸詰めの原理も不明なんだよな。
そしてちょうどここには5人居る。
全員が顔を見合わせ、口にする。
生で食うのはどうかと思ったが、全員無言。
それだけ美味だった。
ソーセージに加工された時点で程よくボイルされていて、日持ちはしそうな感じ。
そのあとはあれがいつでも食えるようにするために大量に狩りまくった。
そこからは全員が一致団結して捕獲作業に乗り込む。
コメントではダンジョンに空ウツボってこんなに居たっけ? という言葉が飛び出るほど、本日の漁獲量は大漁と言えた。
全部肝ソーセージだと味気ないので、いくつか魚卵を選択して持ち帰る。こっちはヨッちゃんが簡易真空状態を作って持ち運んだ。
「今日はコラボレーションありがとうございました!」
ダンジョンセンターに帰れば収録はおしまい。
俺たちも楽しかったよ、と御礼の言葉を言って別れる。
「さて、納品も済ませたし、行くか?」
「ウホウホ」
「屋良さんも来たんですか?」
「コメント欄にもいたろ? 俺が呼ばなくても来てたぞ」
「あたしも来たぜ! 今日はガッツリ戦っていくつもりだ!」
拳を前で突き合わせて、井伊世さんが叫んだ。
呼んでないのにくるあたり、この人たち暇なのかな?
「ヨッちゃん、魔法の使用回数は?」
「さっきのソーセージで全回復! ついに至ったぜぇ、Aによぉ!」
レベル上限が上がったそうだ。50で止まっていた上限が100になった。
そしてB止まりだったステータスが一度にAになった。
俺もAが含まれるが、ヨッちゃんは一気に跳ね上がったそうだ。
これが適合調理効果なのだそうだ。
俺の料理バフの恩恵もあるが、ヨッちゃんがパワーアップすればするだけ俺も調理しやすくなるので良いことばかりだ。
「私はここで皆さんのお帰りをお待ちしてますね。食材の納品はお任せを」
「またね、クララちゃん」
「本宝治さんには何から何までお世話になりっぱなしで。恩が溜まりっぱなしです」
「俺も助かってるからチャラでいいよ」
「そういうわけにはいきません!」
クララちゃんは律儀だなぁと思いながら目的地へ進む。
それがダンジョンに走る亀裂。
そこに包丁を刺し、切り開いた。
階下に伸びる階段の先には小さな小部屋と椅子。
椅子の上には頭のてっぺんから爪先まで真っ白な少女が俺たちを歓迎した。
『ベルセティナ.オン.アセトアセト,カリギュル?セヴィオーラ』
何かを喋っている、というのがわかったが、どこか別の国の言葉のように聞こえる。
それが問いかけなのか、はたまた警告なのかは俺たちに判断はつきそうもない。
ぐねり、と輪郭が変わる。
話が通じてないのがわかるなり、神妙な面持ちで考え、そして閃いたかのように胸の前で手を打つ。
『この言語なら通じるか? 異界の隣人よ。妾は第四迷宮の使者オンセヴァーナリンノス.ヘケラ.ルギオス。お主達のことはいつも見ておった』
ようやく理解できる言語を語ったと思ったら、全く理解できない内容だということが判明した。
まずい、ここにいるのは暴力が得意な脳筋しかいない!
俺とヨッちゃんは学がないし、どうにも出来ない。
こんなことならクララちゃんを連れてくるべきだった!
そう思ったので蜻蛉返りして急遽来てもらい、解説してもらったところ……
「つまるところ彼女はこの世界とは別の世界軸からやってきた。そして帰るためにはエネルギーが必要。エネルギーの獲得にダンジョンをこの世界に切り拓いた。必要なエネルギーは魔法を使って倒された守護者の命みたい」
その守護者がモンスターで、現地人の俺たちが授かった力で撃退する時に生まれるエネルギーを回収するのが目的らしい。
それ以外の鉱物とかは彼女にとってはなんの意味もなく、今まで通り採掘していいそうだ。
どちらにとってもWin-Winの関係らしい。
『じゃが、この場所が見つかるのはもっと先だと思っておった。お主らの言葉に言い換えるならイレギュラー。そこのお主とお主は妾にとってのイレギュラーじゃな』
少女は俺とクララちゃんを差してそういった。
共通してるのは特殊となのつくスキルを持ってることくらい。
「イレギュラーとは、貴女にとって想定外であると言うことですか?」
『同時に待ち望んでもおった』
「待っていた?」
『お主らのスキルは妾の求めるエネルギー効率が非常に良いんじゃ』
「なんてこった」
要するに俺たちはこの世界からダンジョンが消えるかどうかの大事な鍵らしい。
今の通り料理を作って楽しむ分には大歓迎で、俺たちは死ぬまでこの状態で良いのだと立証された。
『という事で、これからも頼むぞ? ポンちゃん』
ダンジョン側の責任者は、何故か俺たちについてくることになった。
こんなに形で歳は俺たちの数万年歳上で、さらにお酒も飲めるとのこと。
俺たちの珍道中に新たなメンバーが加わった。
「ところで俺たちはあなたをなんて呼べば良いんです?」
『オリンで良いぞ?』
新しい仲間は、割と気さくな相手だった。
これならば、うまいことやっていけるかもしれない。
どちらかと言えば加工品。
「いやー食った食った」
「でも調味料とはちょっと違う感じだったね、美味かったけど」
「特殊変化、もしかしてレア食材に対しては最も美味な部位に変化するとか?」
「私もこんなの初めてです!」
「本当に俺次第なスキルだなぁ。取り敢えず、もう二、三匹仕入れてダンジョンセンターに卸しましょう。日持ちするかどうかも知りたい」
「私は今猛烈に感動してますよぉ! レベルが30も上がって総合ステがC4に」
「おめでとう御座います」
ミサちゃんにとっての適合食材更新を歓迎しながら、俺は別のことを考える。
それは先ほどの特殊変化のもたらした結果だ。
今まで調味料だったのにどうみても生物。
特殊加工しているとは言え、日持ちする感じでもなさそうだ。
流通は難しいだろうな。
魚卵はともかく肝が保たない。
手にしたらその場で調理できないとすぐ廃棄行きだろう。
素材から特殊変化まで扱いに困る食材だ。
「どっちも日持ちしなさそうな見た目してるけどな」
「肝なんて苦味の代表選手だろうに」
「なので苦味吸収スライムをセットでつける。こいつは俺しかできないからな。一流の料理人ならどういう料理にするか興味がある。日持ちしてくれりゃいいんだが」
「ポンちゃん、それって苦味を抜いた状態で流通させられないか? こう、真空パックに詰めてさ」
「そんな技術俺持ってないぞ?」
「パック詰は素材があればオレがやる」
ヨッちゃんがそんなことを言い出した。
「ヨッちゃんが?」
「おうよ、これは是非みんなにも食べてほしいからな。肝を捨ててたやつがひっくり返るうまさだ! このほろ苦さ経験できないのは人生の八割以上の損失だ。なにしろこいつは日本酒に超合う! 全国の飲兵衛はぜひ口にすべき!」
<コメント>
:草
:みんな無言で食ってたけど、やっぱり美味かったんか
:そりゃ美味けりゃ無言にもなるわ
:ここ、ミサミサのチャンネルやで
:何気に真空パック技術を公開すんな
:相当な魔力練度が必要じゃね?
:ヨッちゃんなら出来そう
「俺の腸詰め技術でなんとか出来ないかな?」
「ミンサーで砕いた肉を包むだけじゃないのか?」
「一応包む肉は指定できるんだ。一度やってみよう、何匹か頼めるか? クララちゃんも大丈夫?」
「またあれが食べられるんならOKです」
了承を貰ったので腸詰めが可能かどうかを調べる。
たったそれだけだ。
それよりも、気になることがある。
俺の特殊調理は制限がない。彼女は制限がある。
だから一体のモンスターに対してスキルの使用回数が一回減るのが普通なのか、と。
俺の活け〆の道筋は目に見える全ての範囲に適用される。
振るう包丁こそ制限はないが、一振りで全てのモンスターを解体できる。
制限系の苦労を俺は知らないが、その制限が一つのものに対して、というのは自分で制限をしてるのではないか? と思う。
「ポンちゃん、5匹釣れたー」
「ヨシ、じゃあちょっと実験だ。クララちゃん、この五匹にまとめて特殊変化使ってみて」
「え、五匹全部にですか?」
「もし一度に使用制限が5減るか、もしかしたら一種類の素材に対してなら消費が1で済むのかの実験だ」
「面白そうですね、もしそれが可能だったら……」
「ああ、ダンジョンセンターで回す仕事量も増えるぞ」
「お給料がいっぱいもらえますね! やります!」
という事で普通に倒して死体を回収、その場に肝が五個落ちた。
クララちゃんとしては満足そうな顔、回数が1で済んだのかもしれない。
ならばとそれを指定して苦味吸収スライムで加工後、腸詰めでソーセージに。
ミンサーで砕かなくても、何故か五本分のソーセージになる。
ミンサーのミンチ肉の原理も不明だけど、腸詰めの原理も不明なんだよな。
そしてちょうどここには5人居る。
全員が顔を見合わせ、口にする。
生で食うのはどうかと思ったが、全員無言。
それだけ美味だった。
ソーセージに加工された時点で程よくボイルされていて、日持ちはしそうな感じ。
そのあとはあれがいつでも食えるようにするために大量に狩りまくった。
そこからは全員が一致団結して捕獲作業に乗り込む。
コメントではダンジョンに空ウツボってこんなに居たっけ? という言葉が飛び出るほど、本日の漁獲量は大漁と言えた。
全部肝ソーセージだと味気ないので、いくつか魚卵を選択して持ち帰る。こっちはヨッちゃんが簡易真空状態を作って持ち運んだ。
「今日はコラボレーションありがとうございました!」
ダンジョンセンターに帰れば収録はおしまい。
俺たちも楽しかったよ、と御礼の言葉を言って別れる。
「さて、納品も済ませたし、行くか?」
「ウホウホ」
「屋良さんも来たんですか?」
「コメント欄にもいたろ? 俺が呼ばなくても来てたぞ」
「あたしも来たぜ! 今日はガッツリ戦っていくつもりだ!」
拳を前で突き合わせて、井伊世さんが叫んだ。
呼んでないのにくるあたり、この人たち暇なのかな?
「ヨッちゃん、魔法の使用回数は?」
「さっきのソーセージで全回復! ついに至ったぜぇ、Aによぉ!」
レベル上限が上がったそうだ。50で止まっていた上限が100になった。
そしてB止まりだったステータスが一度にAになった。
俺もAが含まれるが、ヨッちゃんは一気に跳ね上がったそうだ。
これが適合調理効果なのだそうだ。
俺の料理バフの恩恵もあるが、ヨッちゃんがパワーアップすればするだけ俺も調理しやすくなるので良いことばかりだ。
「私はここで皆さんのお帰りをお待ちしてますね。食材の納品はお任せを」
「またね、クララちゃん」
「本宝治さんには何から何までお世話になりっぱなしで。恩が溜まりっぱなしです」
「俺も助かってるからチャラでいいよ」
「そういうわけにはいきません!」
クララちゃんは律儀だなぁと思いながら目的地へ進む。
それがダンジョンに走る亀裂。
そこに包丁を刺し、切り開いた。
階下に伸びる階段の先には小さな小部屋と椅子。
椅子の上には頭のてっぺんから爪先まで真っ白な少女が俺たちを歓迎した。
『ベルセティナ.オン.アセトアセト,カリギュル?セヴィオーラ』
何かを喋っている、というのがわかったが、どこか別の国の言葉のように聞こえる。
それが問いかけなのか、はたまた警告なのかは俺たちに判断はつきそうもない。
ぐねり、と輪郭が変わる。
話が通じてないのがわかるなり、神妙な面持ちで考え、そして閃いたかのように胸の前で手を打つ。
『この言語なら通じるか? 異界の隣人よ。妾は第四迷宮の使者オンセヴァーナリンノス.ヘケラ.ルギオス。お主達のことはいつも見ておった』
ようやく理解できる言語を語ったと思ったら、全く理解できない内容だということが判明した。
まずい、ここにいるのは暴力が得意な脳筋しかいない!
俺とヨッちゃんは学がないし、どうにも出来ない。
こんなことならクララちゃんを連れてくるべきだった!
そう思ったので蜻蛉返りして急遽来てもらい、解説してもらったところ……
「つまるところ彼女はこの世界とは別の世界軸からやってきた。そして帰るためにはエネルギーが必要。エネルギーの獲得にダンジョンをこの世界に切り拓いた。必要なエネルギーは魔法を使って倒された守護者の命みたい」
その守護者がモンスターで、現地人の俺たちが授かった力で撃退する時に生まれるエネルギーを回収するのが目的らしい。
それ以外の鉱物とかは彼女にとってはなんの意味もなく、今まで通り採掘していいそうだ。
どちらにとってもWin-Winの関係らしい。
『じゃが、この場所が見つかるのはもっと先だと思っておった。お主らの言葉に言い換えるならイレギュラー。そこのお主とお主は妾にとってのイレギュラーじゃな』
少女は俺とクララちゃんを差してそういった。
共通してるのは特殊となのつくスキルを持ってることくらい。
「イレギュラーとは、貴女にとって想定外であると言うことですか?」
『同時に待ち望んでもおった』
「待っていた?」
『お主らのスキルは妾の求めるエネルギー効率が非常に良いんじゃ』
「なんてこった」
要するに俺たちはこの世界からダンジョンが消えるかどうかの大事な鍵らしい。
今の通り料理を作って楽しむ分には大歓迎で、俺たちは死ぬまでこの状態で良いのだと立証された。
『という事で、これからも頼むぞ? ポンちゃん』
ダンジョン側の責任者は、何故か俺たちについてくることになった。
こんなに形で歳は俺たちの数万年歳上で、さらにお酒も飲めるとのこと。
俺たちの珍道中に新たなメンバーが加わった。
「ところで俺たちはあなたをなんて呼べば良いんです?」
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