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3章 お爺ちゃんと古代の導き
113.お爺ちゃんと空中散歩⑤
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「悪いね、途中で降ろす様なことになってしまって」
私は巻き込んだプレイヤー諸君に頭を下げながら謝罪する。
「いえいえ、とんでもないです。こちらこそ、アキカゼさんに連れてって貰わなきゃこんな大冒険出来てませんでしたって!」
猿門氏が身振り手振りで『これ以上は付き合い切れない』と言いたそうにしていた。よもや一日でここまで話が二転三転する様なことなど遭った事がないと言いたげだ。
これから先、いっぱい有るだろうからいい教訓になってくれればいいが。
『アキカゼさん、本日はありがとうございました。それと、止まり木の件ですが……」
「うん、それね」
鳥類旅行記のクランさんには悪いけど、止まり木の代わりになる様なものは“無い”と言うことが判明した。
だからバン・ゴハン氏が消極的な理由が分かってしまう。
『なんとか目処が立ちました。今後お世話になる上で、また相談に乗ってもらうためにもフレンド良いですか?』
ほう、ほう?
あの状態で目処が立つと言い切れる辺りは猿門氏よりは前向きだ。やはり前提として飛べると言うのが彼らの強みなんだろうね。
「良いとも。こちらからお願いしたいくらいだ」
そう言ったらピヨピヨ言いながら大興奮で二羽は飛び上がった。それを遠目に見ていた三人組がなんとも言えない顔で二羽を見つめている。
その顔は私を見るジキンさんの様で、ああ、哀れまれているなという気配がする。
いいんだ、別にそれは。
持つべき者と持たざる者の違い。
私や今喜んでくれてる二羽にだって苦手分野はある。
それが戦闘だったり、生産だったり。
そういう分野で活躍してるプレイヤーに対して似た様な感情を抱くことはこちらにだって有る。
だから今は得意分野でさらなる飛躍を見せる二羽に意識を向ける。
「ではバン・ゴハン氏、ムッコロ氏、これからもよろしくお願いしますね?」
『こちらこそ』
『勉強させてもらいます……ってブログ書かれてるんですね?』
ああ、気がついてしまったか。
なるべくなら後で気がついて欲しかったね。
私としては“面白記事”を載せてるつもりだったけど、周囲からの反応は真逆。
とんでもなく貴重だから表に出しちゃダメって血相を変えるんだもの。
でもそれは一般に戦闘できるプレイヤーにとって有能なもの。
彼ら野生種にとっては違うものと思いたいが……さてさて?
『これは……非常に興味深い記事が色々ありますね。また連絡させてもらいます。いくよ、ゴハン君』
『待って、ムッコロさん!』
どうやら騒動の種になる事はなさそうで良かったよ。
輸送で安全圏まで運んでから私はスカイウォークで聖獣様の元まで戻り、天使さんと一緒に妖精さんのところへ至る。
同時に行くと門は固く閉ざされており、私が単独で赴いて交渉する。交渉といっても見えない相手に身振り手振りでお願いするのみだ。
相手の感覚は掴めなくとも、ナビゲートフェアリーで存在してるのは把握しているからだ。
そこで何かが集まって輪郭が出来上がっていくと共に、何処かで聞いたことのある声が頭の中に響いた。
【ニャー、アキカゼ・ハヤテ。もう来たのかニャ? もっとかかるものと思ったニャ】
ネコ妖精のミー氏!
【ミーはミーだニャ。余計な飾りは要らないニャ。それで、用事は何かニャ?】
それが、天空人が困っている様子なんだ。
何か私にしてあげられる事はないかい?
【ニャー……あの子達の自業自得の気もするニャ。住処にしてる空鯨の恩恵ばかりありがたがってミー達妖精の力を軽んじてたニャ。いい気味ニャ……と言うわけにも行かないニャんね】
何か思い悩む様な声色で、頭の中に念波が送られてくる。
【あまり天空人にいい思入れはないニャンけど、同盟を結んでるアキカゼ・ハヤテの言葉を蔑ろに出来ないニャン。一緒について行ってやるニャ】
おお、ありがたい。
ミーが居れば百人力だ。
【もっと褒めていいんニャよ?】
気の良い方で良かった。
私は天使のお嬢さんの元へ戻ると訳を説明し、再び空導石の元へと舞い戻った。
そこでミーの力を使って一時的にその効力を高めた。
そう、これでも一時的なのだ。
しかし天使のお嬢さんはみるみる回復していく様に、驚きを隠せない様だ。
堅苦しかった相好を崩し、涙をこぼしていた。
きっと、ずっと一人で抱え込んでいたのだろう。
巫女の務めか何か知らないが、一族の中で一番始祖の特性を引き継いでいるからって女の子にやらせる事じゃないでしょうに。
誰か補佐でも居なかったものなのかね?
【終わったニャ】
お疲れ様です、ミー。
【ミーが手を貸すのはこれっきりニャンよ? 後はアキカゼ・ハヤテ達がやるニャ】
そう言うと輪郭を保っていたミーの形が崩れ、集まっていた妖精達がハラハラと何処かへ飛んでいってしまった。
もしかして思念を飛ばすためだけに一時的に自分よりくらいの低い妖精を形代に使っていたのだろうか?
「妖精様に大きな借りができてしまったな」
「その様だ」
捉え方は人それぞれ。個人的に借りを作ってしまったことを呟いたのに、天使のお嬢さんに同意されてしまって、なんと返していいかわからない。
と、そこへ。
[ワールドアナウンス:プレイヤー、アキカゼ・ハヤテの手によってワールドクエスト『空導力を満たせ』が開始されました]
<現在100/10000です。一人当たり100換算ですが、これはゲーム内時間で一日経過で1減少していきます。0になると砕け、二度とクエストが発生しなくなるのでご注意ください!>
<ナビゲートフェアリーを空導石に導いたプレイヤーには新ゲージ『空導力/AP』が解放されます>
<最後に10000ポイントを達成したプレイヤーには豪華商品がご用意されています。これを機に是非ご参加下さい!>
なんともはや、ブログで使う予定の特ダネが勝手にワールドアナウンスから放たれてしまった。
開始した覚えはないよ、私は?
まさかの強制クエストだったとは……
今まで選択式だから完全に油断していた。
そこからはいつも通り、オクト君や金狼氏から「何勝手に進めてるですか!?」って怒鳴られたけど、これは全く別のやつだよと言ったら黙った。
それでも頼って欲しいと言われたけど……別に今までの過程でどこかに誰かに頼る要素あったかなと振り返る。
ないよね。うん、無い。
私は自己完結し、ブログ作成に移る事にした。
私は巻き込んだプレイヤー諸君に頭を下げながら謝罪する。
「いえいえ、とんでもないです。こちらこそ、アキカゼさんに連れてって貰わなきゃこんな大冒険出来てませんでしたって!」
猿門氏が身振り手振りで『これ以上は付き合い切れない』と言いたそうにしていた。よもや一日でここまで話が二転三転する様なことなど遭った事がないと言いたげだ。
これから先、いっぱい有るだろうからいい教訓になってくれればいいが。
『アキカゼさん、本日はありがとうございました。それと、止まり木の件ですが……」
「うん、それね」
鳥類旅行記のクランさんには悪いけど、止まり木の代わりになる様なものは“無い”と言うことが判明した。
だからバン・ゴハン氏が消極的な理由が分かってしまう。
『なんとか目処が立ちました。今後お世話になる上で、また相談に乗ってもらうためにもフレンド良いですか?』
ほう、ほう?
あの状態で目処が立つと言い切れる辺りは猿門氏よりは前向きだ。やはり前提として飛べると言うのが彼らの強みなんだろうね。
「良いとも。こちらからお願いしたいくらいだ」
そう言ったらピヨピヨ言いながら大興奮で二羽は飛び上がった。それを遠目に見ていた三人組がなんとも言えない顔で二羽を見つめている。
その顔は私を見るジキンさんの様で、ああ、哀れまれているなという気配がする。
いいんだ、別にそれは。
持つべき者と持たざる者の違い。
私や今喜んでくれてる二羽にだって苦手分野はある。
それが戦闘だったり、生産だったり。
そういう分野で活躍してるプレイヤーに対して似た様な感情を抱くことはこちらにだって有る。
だから今は得意分野でさらなる飛躍を見せる二羽に意識を向ける。
「ではバン・ゴハン氏、ムッコロ氏、これからもよろしくお願いしますね?」
『こちらこそ』
『勉強させてもらいます……ってブログ書かれてるんですね?』
ああ、気がついてしまったか。
なるべくなら後で気がついて欲しかったね。
私としては“面白記事”を載せてるつもりだったけど、周囲からの反応は真逆。
とんでもなく貴重だから表に出しちゃダメって血相を変えるんだもの。
でもそれは一般に戦闘できるプレイヤーにとって有能なもの。
彼ら野生種にとっては違うものと思いたいが……さてさて?
『これは……非常に興味深い記事が色々ありますね。また連絡させてもらいます。いくよ、ゴハン君』
『待って、ムッコロさん!』
どうやら騒動の種になる事はなさそうで良かったよ。
輸送で安全圏まで運んでから私はスカイウォークで聖獣様の元まで戻り、天使さんと一緒に妖精さんのところへ至る。
同時に行くと門は固く閉ざされており、私が単独で赴いて交渉する。交渉といっても見えない相手に身振り手振りでお願いするのみだ。
相手の感覚は掴めなくとも、ナビゲートフェアリーで存在してるのは把握しているからだ。
そこで何かが集まって輪郭が出来上がっていくと共に、何処かで聞いたことのある声が頭の中に響いた。
【ニャー、アキカゼ・ハヤテ。もう来たのかニャ? もっとかかるものと思ったニャ】
ネコ妖精のミー氏!
【ミーはミーだニャ。余計な飾りは要らないニャ。それで、用事は何かニャ?】
それが、天空人が困っている様子なんだ。
何か私にしてあげられる事はないかい?
【ニャー……あの子達の自業自得の気もするニャ。住処にしてる空鯨の恩恵ばかりありがたがってミー達妖精の力を軽んじてたニャ。いい気味ニャ……と言うわけにも行かないニャんね】
何か思い悩む様な声色で、頭の中に念波が送られてくる。
【あまり天空人にいい思入れはないニャンけど、同盟を結んでるアキカゼ・ハヤテの言葉を蔑ろに出来ないニャン。一緒について行ってやるニャ】
おお、ありがたい。
ミーが居れば百人力だ。
【もっと褒めていいんニャよ?】
気の良い方で良かった。
私は天使のお嬢さんの元へ戻ると訳を説明し、再び空導石の元へと舞い戻った。
そこでミーの力を使って一時的にその効力を高めた。
そう、これでも一時的なのだ。
しかし天使のお嬢さんはみるみる回復していく様に、驚きを隠せない様だ。
堅苦しかった相好を崩し、涙をこぼしていた。
きっと、ずっと一人で抱え込んでいたのだろう。
巫女の務めか何か知らないが、一族の中で一番始祖の特性を引き継いでいるからって女の子にやらせる事じゃないでしょうに。
誰か補佐でも居なかったものなのかね?
【終わったニャ】
お疲れ様です、ミー。
【ミーが手を貸すのはこれっきりニャンよ? 後はアキカゼ・ハヤテ達がやるニャ】
そう言うと輪郭を保っていたミーの形が崩れ、集まっていた妖精達がハラハラと何処かへ飛んでいってしまった。
もしかして思念を飛ばすためだけに一時的に自分よりくらいの低い妖精を形代に使っていたのだろうか?
「妖精様に大きな借りができてしまったな」
「その様だ」
捉え方は人それぞれ。個人的に借りを作ってしまったことを呟いたのに、天使のお嬢さんに同意されてしまって、なんと返していいかわからない。
と、そこへ。
[ワールドアナウンス:プレイヤー、アキカゼ・ハヤテの手によってワールドクエスト『空導力を満たせ』が開始されました]
<現在100/10000です。一人当たり100換算ですが、これはゲーム内時間で一日経過で1減少していきます。0になると砕け、二度とクエストが発生しなくなるのでご注意ください!>
<ナビゲートフェアリーを空導石に導いたプレイヤーには新ゲージ『空導力/AP』が解放されます>
<最後に10000ポイントを達成したプレイヤーには豪華商品がご用意されています。これを機に是非ご参加下さい!>
なんともはや、ブログで使う予定の特ダネが勝手にワールドアナウンスから放たれてしまった。
開始した覚えはないよ、私は?
まさかの強制クエストだったとは……
今まで選択式だから完全に油断していた。
そこからはいつも通り、オクト君や金狼氏から「何勝手に進めてるですか!?」って怒鳴られたけど、これは全く別のやつだよと言ったら黙った。
それでも頼って欲しいと言われたけど……別に今までの過程でどこかに誰かに頼る要素あったかなと振り返る。
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