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3章 お爺ちゃんと古代の導き
123.お爺ちゃんとメンバー選定
協定クランへの施しは済ませた。あとは勝手にやってくれる事だろう。しかしこちらもこちらで真・シークレットクエストを進めるメンバーを決める必要があった。
取り敢えず私の都合に合わせてもらえる人。朝から晩までゲームをやってる人で、日常に支障をきたさない人となると相当限定されてくる。要は暇人だ。そんな人に声をかけてマスタールームに集まってもらう事にしていた。
まず最初に現れたのは……
「なんですか? 呼び出しなんて珍しい」
「そんなに珍しいかな?」
「そうですよ僕なんかにわざわざ声をかけるのなんて逆に初めてでわ? またなんか企んでるんでしょ?」
「そんなそんな」
ジキンさんは垂れた犬耳をふぁさとかきあげながら「ほんとかなー?」と呟く。信用があるのかないのか、それでもこうして顔を出してくれるだけでもありがたいよね。
「少年、僕に何か用かな?」
「お待ちしてました探偵さん」
空き開かれた扉の向こうでいちいちポーズを取りながら現れたのは探偵さんこと秋風疾風。同姓同名のキャラの漢字バージョンの親友だ。ここら辺で選出メンバーの傾向は大分お察しだろう。
「ハヤテさーん、僕に声をかけてくれるなんて珍しいじゃないですか! 何処かいい水場見つけたんですか!」
次いでやってきたのはこのクランの特殊枠であるスズキさん。
ペタペタ扉の向こうからやってきて、先に来て来客用のソファに座ってた二人を見て「こりゃどうも」とお辞儀をしていた。
お辞儀された方も困惑しながらお辞儀を返している。
しかしスズキさんて椅子に座れたっけ?
と、思ったら床にペタンと足を畳んで座っていた。
器用な人だ。
「あなた、私達になんの用ですか?」
「うちの旦那まで居るじゃない」
「やぁ、ランダさん。またこの人何か企んでるみたいだよ」
「またなの? でも、まぁこのメンバーならある程度はなんとかなりそうよね」
以前一度彼女達のお手伝いをした時のメンバーだからね。
そう言った意味でもお誘いしやすかったんだ。
「なに、私の見つけた真・シークレットクエストをうちのクランメンバーでやってみようと思っただけさ。ただ空にたどり着くまでにそれなりに苦労はあると思う。その過程のお手伝いができたらなと思って今日ここにきてもらったんだ」
「え、このメンバーで空に上がるんですか? 流石に無謀では?」
「ハヤテさーん! 僕、木にしがみつく握力ないです! 泳ぐのは得意なんですけど」
ハイ、と威勢よくスズキさんが挙手する。
「そういうと思ってこういう力を手にしたよ。水操作」
私の手元から一定量の水がある程度の深さを持って溢れ出る。
「わ、わ! なんですかこれ!」
「びっくりしたでしょう? 空にあるフィールドの試練で手に入る称号の特殊スキルさ」
「え、これさえあれば何処でもいけちゃうじゃないですか!」
「うん。スズキさんにピッタリのスキルだと思ってご招待したんだ」
「わーい、僕ハヤテさんに忘れられてると思ってました」
「そんな事ないよ。ちょっと孫の世話してたりクラン立ち上げるのに忙しかっただけで、どこかで誘おうと思ってたよ」
「そんなそんな」
相変わらずの謙虚さだ。なのに彼女は見た目の奇抜さでお笑い芸人の如く何処にでも行く。派手な格好も相まってより目立つだろうに。やっぱり寂しがり屋なのかもね。
「しかし少年、それならば僕を誘った意味は?」
「探偵さんはロマン好きだろう?」
「ああ、大好物だ!」
「これから行く場所はね、古代兵器などの謎が残された天空大陸。試練と言うのはキーワード集めなのさ。そのキーワードを集めた先にようやく行ける場所がある」
「トレジャーハントではない、しかし未知への挑戦か。胸が躍るな!」
はい、一名様ご案内。
相変わらず単純な人でよかった。彼は昔からこうだな。
オカルトが大好物で、足りない情報を想像力で補完する。
そこでジキンさんが満を辞してブー垂れた。
「じゃあ僕が行く意味ないじゃないですか」
「クランで行くんですからサブマスターも来てくださいよ」
「あれ、強制?」
「そうですよ。それに奥さんにいいところを見せるチャンスですよ?」
「モノは言いようですね」
ブツクサ言いながらも、何処か嬉しげだ。彼もなんだかんだ単純で助かってる。
「それだとあたしらはオマケかい?」
「むしろメインですよ。探索は私達でするので、調理の方でお助けして欲しいのです。特殊スキルは新ゲージのAPをガリガリ削ってくるのが多いので多用できない。しかし満腹度を司るエネルギーで回復する。空腹が一番の敵なので」
「料理だけ作ってろってかい?」
「それだとただの主婦業じゃない。私達の実力を疑ってるの?」
「そうは言うけど、足場ないよ?」
その一言で威勢の良かった女性部は黙った。
結局人型である以上、足をつく場所が必要なわけで。
「ねぇ、少年。僕それ初耳なんだけど?」
「探偵さんなら上空でも秘密道具で切り抜けてもらえてるって信じてますので」
「うわぁ、期待が重い!」
「ねぇハヤテさん。それ僕にも言ってます?」
「しかし私のパーティーメンバーになると、新スキル『輸送』でメンバー全員に重力無視の効果がつきます!」
『「おぉ!」』
ここで全員が声を上げる。
「輸送というのはあれよね? 以前マナの大木の上で出店した時の」
「うん、パーティ版だ。けれどスタミナがガンガン減るので調理アイテムは必須なんだ。是非私の為にお手を貸していただきたい。正直なところ、調理アイテムのある無しで探索を諦めるレベルなんだよ」
「そういう事。まぁ仕方ないわね。このメンバーに他に料理得意そうな人居ないし。ランダさん、やってあげましょうか」
「いいのかい、アキ?」
「誘ってくれるだけマシでしょ? そして空の上。きっと景色も最高のはず。あの人は私達にその景色を見せたいのよ。それでお誘いしてるのだと思うわ。調理云々はこじつけね」
「成る程ね、相変わらずまどろっこしいやり口ね」
「ホント。もっとストレートで良いのに」
ありゃ、バレてる。
そう言えばマナの大木の景色もいつか見せてあげたいと思ってたことも見抜かれてたもんなぁ。
と、言うわけでクエストを進めるメンバーを集めて私達のクランは動き出す。まずはマナの大木完全制覇に向けて!
取り敢えず私の都合に合わせてもらえる人。朝から晩までゲームをやってる人で、日常に支障をきたさない人となると相当限定されてくる。要は暇人だ。そんな人に声をかけてマスタールームに集まってもらう事にしていた。
まず最初に現れたのは……
「なんですか? 呼び出しなんて珍しい」
「そんなに珍しいかな?」
「そうですよ僕なんかにわざわざ声をかけるのなんて逆に初めてでわ? またなんか企んでるんでしょ?」
「そんなそんな」
ジキンさんは垂れた犬耳をふぁさとかきあげながら「ほんとかなー?」と呟く。信用があるのかないのか、それでもこうして顔を出してくれるだけでもありがたいよね。
「少年、僕に何か用かな?」
「お待ちしてました探偵さん」
空き開かれた扉の向こうでいちいちポーズを取りながら現れたのは探偵さんこと秋風疾風。同姓同名のキャラの漢字バージョンの親友だ。ここら辺で選出メンバーの傾向は大分お察しだろう。
「ハヤテさーん、僕に声をかけてくれるなんて珍しいじゃないですか! 何処かいい水場見つけたんですか!」
次いでやってきたのはこのクランの特殊枠であるスズキさん。
ペタペタ扉の向こうからやってきて、先に来て来客用のソファに座ってた二人を見て「こりゃどうも」とお辞儀をしていた。
お辞儀された方も困惑しながらお辞儀を返している。
しかしスズキさんて椅子に座れたっけ?
と、思ったら床にペタンと足を畳んで座っていた。
器用な人だ。
「あなた、私達になんの用ですか?」
「うちの旦那まで居るじゃない」
「やぁ、ランダさん。またこの人何か企んでるみたいだよ」
「またなの? でも、まぁこのメンバーならある程度はなんとかなりそうよね」
以前一度彼女達のお手伝いをした時のメンバーだからね。
そう言った意味でもお誘いしやすかったんだ。
「なに、私の見つけた真・シークレットクエストをうちのクランメンバーでやってみようと思っただけさ。ただ空にたどり着くまでにそれなりに苦労はあると思う。その過程のお手伝いができたらなと思って今日ここにきてもらったんだ」
「え、このメンバーで空に上がるんですか? 流石に無謀では?」
「ハヤテさーん! 僕、木にしがみつく握力ないです! 泳ぐのは得意なんですけど」
ハイ、と威勢よくスズキさんが挙手する。
「そういうと思ってこういう力を手にしたよ。水操作」
私の手元から一定量の水がある程度の深さを持って溢れ出る。
「わ、わ! なんですかこれ!」
「びっくりしたでしょう? 空にあるフィールドの試練で手に入る称号の特殊スキルさ」
「え、これさえあれば何処でもいけちゃうじゃないですか!」
「うん。スズキさんにピッタリのスキルだと思ってご招待したんだ」
「わーい、僕ハヤテさんに忘れられてると思ってました」
「そんな事ないよ。ちょっと孫の世話してたりクラン立ち上げるのに忙しかっただけで、どこかで誘おうと思ってたよ」
「そんなそんな」
相変わらずの謙虚さだ。なのに彼女は見た目の奇抜さでお笑い芸人の如く何処にでも行く。派手な格好も相まってより目立つだろうに。やっぱり寂しがり屋なのかもね。
「しかし少年、それならば僕を誘った意味は?」
「探偵さんはロマン好きだろう?」
「ああ、大好物だ!」
「これから行く場所はね、古代兵器などの謎が残された天空大陸。試練と言うのはキーワード集めなのさ。そのキーワードを集めた先にようやく行ける場所がある」
「トレジャーハントではない、しかし未知への挑戦か。胸が躍るな!」
はい、一名様ご案内。
相変わらず単純な人でよかった。彼は昔からこうだな。
オカルトが大好物で、足りない情報を想像力で補完する。
そこでジキンさんが満を辞してブー垂れた。
「じゃあ僕が行く意味ないじゃないですか」
「クランで行くんですからサブマスターも来てくださいよ」
「あれ、強制?」
「そうですよ。それに奥さんにいいところを見せるチャンスですよ?」
「モノは言いようですね」
ブツクサ言いながらも、何処か嬉しげだ。彼もなんだかんだ単純で助かってる。
「それだとあたしらはオマケかい?」
「むしろメインですよ。探索は私達でするので、調理の方でお助けして欲しいのです。特殊スキルは新ゲージのAPをガリガリ削ってくるのが多いので多用できない。しかし満腹度を司るエネルギーで回復する。空腹が一番の敵なので」
「料理だけ作ってろってかい?」
「それだとただの主婦業じゃない。私達の実力を疑ってるの?」
「そうは言うけど、足場ないよ?」
その一言で威勢の良かった女性部は黙った。
結局人型である以上、足をつく場所が必要なわけで。
「ねぇ、少年。僕それ初耳なんだけど?」
「探偵さんなら上空でも秘密道具で切り抜けてもらえてるって信じてますので」
「うわぁ、期待が重い!」
「ねぇハヤテさん。それ僕にも言ってます?」
「しかし私のパーティーメンバーになると、新スキル『輸送』でメンバー全員に重力無視の効果がつきます!」
『「おぉ!」』
ここで全員が声を上げる。
「輸送というのはあれよね? 以前マナの大木の上で出店した時の」
「うん、パーティ版だ。けれどスタミナがガンガン減るので調理アイテムは必須なんだ。是非私の為にお手を貸していただきたい。正直なところ、調理アイテムのある無しで探索を諦めるレベルなんだよ」
「そういう事。まぁ仕方ないわね。このメンバーに他に料理得意そうな人居ないし。ランダさん、やってあげましょうか」
「いいのかい、アキ?」
「誘ってくれるだけマシでしょ? そして空の上。きっと景色も最高のはず。あの人は私達にその景色を見せたいのよ。それでお誘いしてるのだと思うわ。調理云々はこじつけね」
「成る程ね、相変わらずまどろっこしいやり口ね」
「ホント。もっとストレートで良いのに」
ありゃ、バレてる。
そう言えばマナの大木の景色もいつか見せてあげたいと思ってたことも見抜かれてたもんなぁ。
と、言うわけでクエストを進めるメンバーを集めて私達のクランは動き出す。まずはマナの大木完全制覇に向けて!
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