180 / 497
3章 お爺ちゃんと古代の導き
155.お爺ちゃん達と[五の試練]④
「あ、ハヤテさーん。見てくださーい」
スズキさんがワクワクしながら私に訴えかける。
「凄いね。何をしたらこんなになったの」
「それはね、水操作で氷を作って高度を微調整してる時に水を浴びせかけてしまったんだ。最初はちょっとしたミスとして処理したが、スズキ君が真似をしてそこら辺に水を引っ掛けて遊ぶようになって、偶然見つけたんだ」
「テヘヘ」
スズキさんがいつになく申し訳なさそうに頭を掻いている。
魚人の頭って何処だろう?
まぁ結果オーライと言うことにしておきましょう。
「ナイスですスズキさん」
「ハヤテさんならそう言ってくれると思いました」
「普通ならペナルティも良いところですよ? まぁ、今更ですけど」
「なんだか和やかなパーティーですね。肩の力が抜けるというか……」
「それがうちのクランの良いところでね。もりもりハンバーグさんも一緒に頭を悩ませて貰って良いですか?」
「乗り合わせた船です。構いませんよ」
「良かった。それでこれは地球儀っぽいけど、ジキンさんはどう思う?」
「うーん。その赤い印は現在地っぽいんですよね」
「成る程。探偵さんは?」
「そうだねぇ、僕だったらこれ以外にも似たようなものがセットで隠されているんじゃないかと踏んでいるよ」
「ほぅ。つまり」
「僕の出番って事ですね?」
キメ顔でスズキさんが水操作で流水を作って背泳ぎでどこかに行ってしまう。あの人はどうしてあんなに自由奔放なんでしょうか。まぁ、別に構いませんけど。
「ちなみにこちらはランダさんに手土産を三つ程発見しました」
「おぉ! 素晴らしいですもりもりハンバーグさん!」
「ちょっと、どうして私を無視するんですか?」
もりもりハンバーグさんに擦り寄るなりガシッと手を取り感謝の意を告げるジキンさん。
上下にブンブン振られながら本人も何処か困惑している。
「どうせマスターは金魚の糞みたいについて回ってただけでしょう?」
「ひどいなぁ、そんなこと言うんだったらこの素材は全部オクト君のところに回すからね?」
「ズルイですよ、それをされたら僕の立場が地の底だ!」
「だったらもう少しクランマスターを労うことです」
新素材をチラつかせながら私はジキンさんの前から立ち去った。あの人は一応あの場に残ってくれるらしい。
探偵さんも他の場所に行ったし、こちらも何か新しい発見を見つけに回る。
「いつもあんな感じなんですか?」
「うん? まあね。みんな好き勝手に動くからまとめる私は大変だよ」
肩を竦めて見せると、どこか遠い目で空を見上げるもりもりハンバーグ氏。
「羨ましいな。うちのクランはマスターのワンマンでして。私どもメンバーはその尻拭いに何度奔走したことか」
「それを言われたらクランマスターは弱いですね。私も結構やらかしますので」
パシャパシャとそこら辺に水操作で変化が見られないかの様子を見ている。
「それでも仲良さげじゃないですか。私どもは上から押さえつけられてばかりで、どうにもこうにも」
「ふーん。もりもりハンバーグさんはさ、そのクランでどうなりたいの?」
「どう、とは?」
「なんていうか自分の立ち位置っていうの? それをなんとかしようとして悩んでたりするのかあと思ってさ」
ちょうど真反対に位置するある一部の柱。
そこに水をかけたら一瞬で溶けてレンズを作った。
これは一体……レンズと言えば虫眼鏡。太陽光で熱を集めることで何かを炙り出す事を思い浮かべる。
しかし太陽は雲の真上だ。このまま上げてしまって良いのか悩み、すぐにパーティー全員にスクリーンショットを撮ってメール送信した。反応はまちまちだ。
そんな時にもりもりハンバーグ氏が独白する。
「私は多分、もっとマスターにも素材の本当の価値を知って欲しいのかもしれません」
「ふむ。それは誰かに決められた価値ではなく、もっと広い意味でかな?」
「はい。リアルで考古学者なんてやってるせいかもしれません。職業病ですかね」
「成る程それは職業病だ。そんな考古学者のもりもりハンバーグさんから見て、このレンズはどんな仕掛けが隠されてると思う?」
「仕掛けですか?」
「うん」
もりもりハンバーグ氏腕を組みじっと見上げる。キョロキョロと周囲を見廻し、やがて考えがまとまったように一つうなずいた。
「私だったらそうですね、確かこの上に大きな太陽がありましたね。眩しかった記憶があります。そしてそのままだとフィールド全体が溶けてしまうとアキカゼさんは言いいました」
「言いましたね」
「ならばスイッチはその太陽です。仕掛けを全て起動させた状態で上に登ることで何かが現れるのかもしれないと、私の考古学者の勘ですがね」
「私も概ね同じ考えだよ。この無駄に硬い足元には何かが隠されている。そんな風にずっと思っていた。何せ今までの試練の足場はずっと雲だったのに、ここに来て急にこんなしっかりとした作りだ。怪しいにも程がある」
「やはりそうだったんですか。仲間内でも移動にアイテムを浪費し過ぎると愚痴を零していました」
「なら次はもりもりハンバーグさんがその仲間にこの場所を教えてあげてください。そして称号の共有をしてあげてください」
「良いのですか?」
「良いも何もその称号は既に貴方のものだ。どのように扱うかは貴方が考えて使えば良い。それで最終的に貴方のクランが大きくなったら、クランマスターだってガミガミ言わなくなるかもしれないでしょ? メンバーだってもっと伸び伸びやれるかもしれない」
「アキカゼさん……今日出会ったばかりの私の事情にそこまで考えて……この力は私の方で大切に使わせていただきます。そしてゆくゆくは多くの未知なる素材の提供をお約束しましょう」
「そこまでしなくても良いよ。でも、うん。そうしてもらえたらうちのクラメンさんは喜ぶかもしれない。私はよく無欲な男だとよく周りから言われる。けどそんな事はない。ただみんなの言う常識に興味がないだけなんだ。私の楽しみ方は少々特殊でね、あまり周囲に理解してもらえないんだ」
もりもりハンバーグ氏はその気持ちわかりますと同意してくれた。人と違うプレイイングはやはり周囲から理解されないからね。でも理解者が集まれば色んな突破力が生まれる。
『少年、こっちでも見つけたよ。今画像をそっちに送る』
探偵さんの一方的なコールの後、メールから画像が受信された。その映像記録を取り出し、もりもりハンバーグ氏に見せた。
「これは……レンズですか。しかも大きさの違う」
「どうやら私達の考えはビンゴのようだ。この真下には何かがある。太陽光を上手いこと中心に集められるように他の仕掛けも起動させてしまおう」
「はい!」
私達は情報を回し合い、すべての仕掛けを起動させた。
中心にあった地球儀を囲うように設置されたレンズに、それ以外を屈強な壁に囲まれて準備はいよいよ完了。
もりもりハンバーグ氏にもダークマターを分けて全員の浮力をゼロに。雲を抜けてすぐに太陽光が照りつけると、凝縮された光が地球儀を貫き、その場所に地下へ続く通路を作っていた。
スズキさんがワクワクしながら私に訴えかける。
「凄いね。何をしたらこんなになったの」
「それはね、水操作で氷を作って高度を微調整してる時に水を浴びせかけてしまったんだ。最初はちょっとしたミスとして処理したが、スズキ君が真似をしてそこら辺に水を引っ掛けて遊ぶようになって、偶然見つけたんだ」
「テヘヘ」
スズキさんがいつになく申し訳なさそうに頭を掻いている。
魚人の頭って何処だろう?
まぁ結果オーライと言うことにしておきましょう。
「ナイスですスズキさん」
「ハヤテさんならそう言ってくれると思いました」
「普通ならペナルティも良いところですよ? まぁ、今更ですけど」
「なんだか和やかなパーティーですね。肩の力が抜けるというか……」
「それがうちのクランの良いところでね。もりもりハンバーグさんも一緒に頭を悩ませて貰って良いですか?」
「乗り合わせた船です。構いませんよ」
「良かった。それでこれは地球儀っぽいけど、ジキンさんはどう思う?」
「うーん。その赤い印は現在地っぽいんですよね」
「成る程。探偵さんは?」
「そうだねぇ、僕だったらこれ以外にも似たようなものがセットで隠されているんじゃないかと踏んでいるよ」
「ほぅ。つまり」
「僕の出番って事ですね?」
キメ顔でスズキさんが水操作で流水を作って背泳ぎでどこかに行ってしまう。あの人はどうしてあんなに自由奔放なんでしょうか。まぁ、別に構いませんけど。
「ちなみにこちらはランダさんに手土産を三つ程発見しました」
「おぉ! 素晴らしいですもりもりハンバーグさん!」
「ちょっと、どうして私を無視するんですか?」
もりもりハンバーグさんに擦り寄るなりガシッと手を取り感謝の意を告げるジキンさん。
上下にブンブン振られながら本人も何処か困惑している。
「どうせマスターは金魚の糞みたいについて回ってただけでしょう?」
「ひどいなぁ、そんなこと言うんだったらこの素材は全部オクト君のところに回すからね?」
「ズルイですよ、それをされたら僕の立場が地の底だ!」
「だったらもう少しクランマスターを労うことです」
新素材をチラつかせながら私はジキンさんの前から立ち去った。あの人は一応あの場に残ってくれるらしい。
探偵さんも他の場所に行ったし、こちらも何か新しい発見を見つけに回る。
「いつもあんな感じなんですか?」
「うん? まあね。みんな好き勝手に動くからまとめる私は大変だよ」
肩を竦めて見せると、どこか遠い目で空を見上げるもりもりハンバーグ氏。
「羨ましいな。うちのクランはマスターのワンマンでして。私どもメンバーはその尻拭いに何度奔走したことか」
「それを言われたらクランマスターは弱いですね。私も結構やらかしますので」
パシャパシャとそこら辺に水操作で変化が見られないかの様子を見ている。
「それでも仲良さげじゃないですか。私どもは上から押さえつけられてばかりで、どうにもこうにも」
「ふーん。もりもりハンバーグさんはさ、そのクランでどうなりたいの?」
「どう、とは?」
「なんていうか自分の立ち位置っていうの? それをなんとかしようとして悩んでたりするのかあと思ってさ」
ちょうど真反対に位置するある一部の柱。
そこに水をかけたら一瞬で溶けてレンズを作った。
これは一体……レンズと言えば虫眼鏡。太陽光で熱を集めることで何かを炙り出す事を思い浮かべる。
しかし太陽は雲の真上だ。このまま上げてしまって良いのか悩み、すぐにパーティー全員にスクリーンショットを撮ってメール送信した。反応はまちまちだ。
そんな時にもりもりハンバーグ氏が独白する。
「私は多分、もっとマスターにも素材の本当の価値を知って欲しいのかもしれません」
「ふむ。それは誰かに決められた価値ではなく、もっと広い意味でかな?」
「はい。リアルで考古学者なんてやってるせいかもしれません。職業病ですかね」
「成る程それは職業病だ。そんな考古学者のもりもりハンバーグさんから見て、このレンズはどんな仕掛けが隠されてると思う?」
「仕掛けですか?」
「うん」
もりもりハンバーグ氏腕を組みじっと見上げる。キョロキョロと周囲を見廻し、やがて考えがまとまったように一つうなずいた。
「私だったらそうですね、確かこの上に大きな太陽がありましたね。眩しかった記憶があります。そしてそのままだとフィールド全体が溶けてしまうとアキカゼさんは言いいました」
「言いましたね」
「ならばスイッチはその太陽です。仕掛けを全て起動させた状態で上に登ることで何かが現れるのかもしれないと、私の考古学者の勘ですがね」
「私も概ね同じ考えだよ。この無駄に硬い足元には何かが隠されている。そんな風にずっと思っていた。何せ今までの試練の足場はずっと雲だったのに、ここに来て急にこんなしっかりとした作りだ。怪しいにも程がある」
「やはりそうだったんですか。仲間内でも移動にアイテムを浪費し過ぎると愚痴を零していました」
「なら次はもりもりハンバーグさんがその仲間にこの場所を教えてあげてください。そして称号の共有をしてあげてください」
「良いのですか?」
「良いも何もその称号は既に貴方のものだ。どのように扱うかは貴方が考えて使えば良い。それで最終的に貴方のクランが大きくなったら、クランマスターだってガミガミ言わなくなるかもしれないでしょ? メンバーだってもっと伸び伸びやれるかもしれない」
「アキカゼさん……今日出会ったばかりの私の事情にそこまで考えて……この力は私の方で大切に使わせていただきます。そしてゆくゆくは多くの未知なる素材の提供をお約束しましょう」
「そこまでしなくても良いよ。でも、うん。そうしてもらえたらうちのクラメンさんは喜ぶかもしれない。私はよく無欲な男だとよく周りから言われる。けどそんな事はない。ただみんなの言う常識に興味がないだけなんだ。私の楽しみ方は少々特殊でね、あまり周囲に理解してもらえないんだ」
もりもりハンバーグ氏はその気持ちわかりますと同意してくれた。人と違うプレイイングはやはり周囲から理解されないからね。でも理解者が集まれば色んな突破力が生まれる。
『少年、こっちでも見つけたよ。今画像をそっちに送る』
探偵さんの一方的なコールの後、メールから画像が受信された。その映像記録を取り出し、もりもりハンバーグ氏に見せた。
「これは……レンズですか。しかも大きさの違う」
「どうやら私達の考えはビンゴのようだ。この真下には何かがある。太陽光を上手いこと中心に集められるように他の仕掛けも起動させてしまおう」
「はい!」
私達は情報を回し合い、すべての仕掛けを起動させた。
中心にあった地球儀を囲うように設置されたレンズに、それ以外を屈強な壁に囲まれて準備はいよいよ完了。
もりもりハンバーグ氏にもダークマターを分けて全員の浮力をゼロに。雲を抜けてすぐに太陽光が照りつけると、凝縮された光が地球儀を貫き、その場所に地下へ続く通路を作っていた。
あなたにおすすめの小説
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた
歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
無実の罪で謹慎中ですが、静かな暮らしが快適なので戻る気はありません
けろ
恋愛
王太子妃候補だった伯爵令嬢エレシア・ヴァレンティスは、ある日突然、身に覚えのない疑いをかけられ、婚約破棄と無期限謹慎を言い渡される。
外出禁止。職務停止。干渉禁止。
誰がどう見ても理不尽な処分――のはずだった。
けれどエレシアは、その命令を前にして気づいてしまう。
誰にも呼ばれない。誰にも期待されない。誰にも干渉されない。
それは、前世で決して手に入らなかった“静かな時間”そのものだと。
こうして始まった、誰にも邪魔されない穏やかな謹慎生活。
一方その頃、彼女を切り捨てた王城では、思わぬ方向へ事態が転がり始めて――?
これは、無実の罪で閉じ込められた令嬢が、皮肉にも理想の生活を手に入れてしまう物語。
叫ばず、争わず、ただ静かに距離を取ることで完成する、異色の婚約破棄ざまぁです。
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。