【完結】Atlantis World Online-定年から始めるVRMMO-

双葉 鳴

文字の大きさ
184 / 497
3章 お爺ちゃんと古代の導き

159.お爺ちゃん達と[六の試練]①

 その場所は一面、白で埋め尽くされていた。
 不思議と足場があるようで、しかしそれ以外がなんら解析不明。
 照りつける太陽が影すらも塗りつぶし、目的地を不明瞭にしているのだ。おまけにスクリーンショットを構えた途端に眼をやられる仕様らしく、今までに比べて難易度が明らかに高くなっていることを実感した。


「これは早々にお手上げだね。眩しすぎて何も見えない。印をつけるにしても、こんなに明るくちゃ、せっかくの印もぼやけてしまうし」

「諦めるのは早いですよ。まずは今まで手に入れた称号スキルを片っ端から使ってみましょう」


 探偵さんが開始早々諦める声を上げる中、私はそれを否定するように提案した。


「ダメで元々って奴か。嫌いじゃないよ、そういうの」

「風よりも水ですかね?」

「三の試練の応用ですか!」

「じゃあスズキ君、アレやるよ。スプリンクラー。氷出すから水お願い」

「はーい」


 早速光を屈折させる水のシャワーを周囲に拡散させると、周囲の景色が徐々にだが変化していく。
 視界に映ったのは白一色で塗りつぶされた四角い部屋だった。
 天井はなく、部屋の隅々まで光が行き届いて真っ白に見えていたらしい。扉らしいものも見えるが、どうやら鍵がかかってるようだ。鍵穴らしいものは見つかるが、肝心の鍵は見つからなかった。


「お、当たりかな? 少年、スクリーンショットはどうだ?」

「まだ眩しいですね。目の前の扉を映そうにもスクリーンは城で埋め尽くされてる」

「他にも何か必要なのかもしれないです」

「なら重力操作だ!」


 この中で一番体重の重いジキンさんが重力を操る。
 光が遠ざかったことにより、少しだけ上の景色に雲がかかる。
 スクリーンショットはようやく真っ白から目に映った景色と同じものが現れた。

 パシャリと映し込み、それを全員にメール送信。
 ちなみに私はよく見えてない。ずっと太陽を見てたのと同じくらいのダメージが目にきてる為、ぼんやりとしか見えていない。


「少年、大丈夫か?」

「少々立ちくらみする程度ですが」

「無理はダメですよ」

「分かっている」


 少しだけ休憩を申し出て、その場に座り込む。瞳を休ませて、最近仲直りした次女の笑顔を思い出したらあっという間に瞳は回復した。我ながら単純なつくりだと思う。送り出してくれた娘のためにも何がなんでも一回でクリアするぞという気持ちが湧き上がった。


「待たせたね。今確認した。『鍵は足元にある』だったか?」

「足元ってひんやりしてるんですよね? もしかして氷でしょうか?」

「多分それだ。私が水操作を鍵穴に使い、そのまま氷作成で鍵を作ってみる。みんなはなるべくその状態を維持していて欲しい」

「分かりました」「任せたよ」「早くしてくださいね?」


 三者三様の返事を聞き、繊細な操作で鍵穴に水を通して中いっぱいになるまで水を貯め、そこに氷作成で全体を凍らせた。
 うっかり扉全体を凍らせるところだったが、意識を集中させること10分。ようやく扉のロックが解錠された。


「待たせたね。こっちだ」


 扉を開き、探偵さんとスズキさんが作業をやめて歩いてくる。
 ジキンさんは体重を維持したまま扉を潜った。
 次のフロアは天井だけではなく、壁からも光が入ってきた。
 足元は氷付いているが、白く塗りつぶされた部屋は足場と壁の境界線を曖昧にした。
 ここでは探偵さんのアイディアが活躍した。


「ならば僕とスズキ君で水操作を行い、両サイドの足場の境界線を探るよ。地面に当たれば弾かれるけど、通り過ぎたらそこに足場はないってことになる」


 つまりは水が跳ね上がる状態を維持するする必要があり、なんならずっとスキルを使用し続ける状態を任せるという事だ。
 さっきの部屋も同様に、APとSPを過剰に消耗させるやり方。しかしそれ以外の方法もなく、休憩を挟みつつ我々はフロアを渡り歩く。

 そして二つ目のフロアの出口は高い場所にあった。
 とても歩いてはいけず、飛び上がるとフロア全体が太陽に近づいてしまう憎い仕掛けである。
 ジキンさんの重力操作で辛うじて探索できてる私達にとって、それは一番の握手である。
 五の試練の時もそうだったように、ある程度の場所まで落とすと地上に真っ逆さまになる為、上げすぎず、落としすぎずが重要なのだ。


「ならば私が水操作の氷作成で足場を作ります。ジキンさんはそれに合わせて重力操作の調整をお願いします」

「仕方ありませんね。ダークマターをたくさん仕入れてきて正解でした。おかげでバックがパンパンだ」


 常に30袋は持ち歩いてるジキンさんがさらに多く持ってきていると聞いてその本気具合が伺える。ただ同時に不安もよぎってくる。


「ちなみに他の調理アイテムを持ってきたりなんかは?」

「無いですね。今回は皆さんにご馳走になろうかと」

「呆れたものだ」

「僕の手作りでいいならどうぞ!」


 どうやらスズキさんの持ち込んだ調理アイテムは手製のようだ。え、その手で作ったんですか? 
 その体じゃエプロンだってつけれないでしょうに。
 あまり深く考えることをやめようか。
 本人は乗り気で調理したというのだ。普段おちゃらけた彼女なりのイメージアップ作戦かもしれないし。


「ENが回復するんならなんでもいいですよ」

「その言葉、覚えておきますよ?」


 ふっふっふーと何やら意気込むスズキさん。それってどんな意味があるんだろうか?
 氷の階段を作り上げて次へ向かう前に消耗したAPとSPを回復させ、私達は次のフロアへと進んだ。
感想 1,316

あなたにおすすめの小説

『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた

歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無実の罪で謹慎中ですが、静かな暮らしが快適なので戻る気はありません

けろ
恋愛
王太子妃候補だった伯爵令嬢エレシア・ヴァレンティスは、ある日突然、身に覚えのない疑いをかけられ、婚約破棄と無期限謹慎を言い渡される。 外出禁止。職務停止。干渉禁止。 誰がどう見ても理不尽な処分――のはずだった。 けれどエレシアは、その命令を前にして気づいてしまう。 誰にも呼ばれない。誰にも期待されない。誰にも干渉されない。 それは、前世で決して手に入らなかった“静かな時間”そのものだと。 こうして始まった、誰にも邪魔されない穏やかな謹慎生活。 一方その頃、彼女を切り捨てた王城では、思わぬ方向へ事態が転がり始めて――? これは、無実の罪で閉じ込められた令嬢が、皮肉にも理想の生活を手に入れてしまう物語。 叫ばず、争わず、ただ静かに距離を取ることで完成する、異色の婚約破棄ざまぁです。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。