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3章 お爺ちゃんと古代の導き
162.お爺ちゃん達と[六の試練]④
氷の足場に乗ってウォータースライダーに流されるがままになる私達。水操作と氷作成で自分の足場を凝結させているのでいつでも着脱が可能な状態を維持している。
足元にもしっかりくっつけているので吹き飛ばされる事もない。ただ、氷の上に乗る為に私とスズキさんは重力操作で身体を軽くさせている。
自ずとフィールドは上に上がり、氷の足場が照射される危険性がかなり上がる。
そんな懸念を抱いていた時である。
一番前で望遠鏡を構えていた探偵さんが叫んだ。
「前方、氷の壁あり! 分かれ道だ! 今のままじゃ通れそうもないぞ!」
「緊急回避! 一旦分離させよう!」
即座に4分割し、一列に再連結。
「右、左。どっちいく?」
「右は嫌な予感がする」
「どっちにしろ時間がありません! ここは探偵さんの直感を信じましょう」
言うが早いか水操作で左側に向けて対角線上に氷のレールを敷く。あとは押し出される水の勢いに流されて、私達左のルートへ流されていく。
流される事数分。
氷で作られた洞窟内を走るウォータースライダーに突如光がさした。思わず目を瞑りたくなるほどの極光が私達を照らす。
その極光の直撃を受けていたのは右側のルート。
天井の半分以上の氷が溶け落ちており、そちらのルートを通っていたら今頃氷の足場は無事では済まなかっただろう。
まさに探偵さんの直感を信じてよかったz
行きがけにあんなに流れていた氷の足場は、全部水に変わり果てている。
「右、選ばなくてよかったですね」
「ほんとだよ」
「今度は3方向の分かれ道だ、どうする?」
「じゃあ真ん中で!」
「正気か少年! あの照射具合から察するに真ん中のルートも危ないぞ?」
「ここは私を信じてください」
「分かった。それじゃあ左右に行かないように壁を作る。みんな、はぐれないように再度氷作成でくっつけて!」
今度は私の案を通させてもらった。
するとがくんと直下行に降り始める。
「ちょ、マスター! これ、大丈夫なんだよね!?」
ジキンさんが叫んだ。
全員が声にならない声を上げ、雲を抜けて緩やかな流れに変わる。
「生きてる?」
「死ぬかと思いましたよ」
「あれ、右と左の道選んでたら危なかったんですかね?」
スズキさんが首を傾げて問うてくる。
ただ、このルート以外がこちらに来た感じはなさそうだ。
今もなお私たちの来た道からは水と氷が流れ出ていた。
まるで貯水庫のような作りで、ある程度水が溜まるまで私達はここでゆらゆら漂うことしかできない。
「わからないけど、真上から落下してくる水と氷を押し除けて戻るのは難しそうだ。スズキさんならできる?」
「多分僕でも難しいと思います。もっと道が広ければ避けていけるんですけど」
「だよね、じゃあこのまま行こうか」
こくり、と体全体で頷いてスズキさんは唸る。
氷とぶつかり稽古なんて誰もしたくないですもんね。
「そろそろ水が溜まりそうだ。みんな、食事はした?」
「あ、まだです」
「今はゲージが見えないから、手が空いたらなるべくした方がいい。これから先、どこに食べられる余裕ができるかわからないからね」
確かに。
ジキンさんからダークマターを分けてもらってパクパクと食べ進める。ここに来て私は調理アイテムのチョイスをまずったかと思い至った。
全員が軽食スタイルなのに対し、私だけ時間のかかる鴨南蛮そばを多めに持ってきていた。それを食べ始める私にジキンさんがジト目を向ける。
「マスター、奥さんを大切にしてるのはわかりますけど、他にもっと食べやすいものとかなかったんですか?」
うるさいなぁ、いいじゃないですか。私はこれが好きなんですよ。
既に食事を終えた他二人も同情するような視線で私を見ていた。なんだい、みんな美味しいって言ってくれてたのにそう言う目で見て。もうお裾分けしてあげないんだから。
だから何クソと思って食べる速度を上げているところで、
「今食べ終わりますか……らぁああああああああ!?」
流され始めたウォータースライダーは急勾配を下っていく。
勢いでスープが顔にかかってしまうところだった。
おのれ、試練めぇ!
「ほらー、言わんこっちゃない」
「あはは、ドンマイですハヤテさん」
「少年、気を抜いてる暇はないぞ! 天井から氷のツララがお出迎えだ!」
「本当に忙しいですね!」
重力で体重を全員が重くして水の中に潜ることで回避。
その合間にずぞずぞと麺を啜る。
なんとか完食仕切ると次は足場からもツララが生えて迫る。
「ここは僕に任せ給え!」
探偵さんが決めポーズをしながら水操作。
ツララの真上に道を作って、氷でコーティングして私達を誘う。
「ナイス判断です!」
「まだまだくるぞ。どうやらここからが本番のようだ」
眼前には氷で作られたトラップの数々が私たちの前に現れる。
この容赦のなさは四の試練を彷彿とさせた。
全員が一丸となって特殊スキルを使って回避していく。
中にはどうやっても回避出来ないのもあったが、それこそ四の試練の裏をついたトラップ崩しの要領でスズキさんが明後日の方向に水操作を使って氷の起点を崩し、崩壊させて突破した。
流されながら食事をしつつ三十分、ようやく私達は次のエリアへとたどり着くことができた。
そこはただの暗い部屋だった。
一番最初の部屋が白なら、前後左右上下を封鎖された黒の部屋。唯一の足場は氷と水でビシャビシャに濡れており、それ以外には何も見えない。何もない。
「行き止まり?」
「ここまで来てハズレとか。そんな~」
「いえ、何もないからこそ何かが隠されてるって事もあります。ジキンさん、確かフラッシュの巻物を買い込んでましたよね?」
「いえ、まさか極光の試練で使うとは思わず」
「置いてきてしまったんですか?」
呆れた。せっかく見せ場を作ってあげたと言うのに。
「巻物なら僕がいくつか常備してる。どこに使う?」
「流石探偵さん。まずは天井に一つ、そして足元に一つ。それを私がスクリーンショットで納めていきますので」
「了解した。まずは天井から。いくよ」
探偵さんがフラッシュの巻物を空中に放り出す。
すると勝手に解かれて全てが開き、約10秒間の光源を作り出す。スクリーンショットを構えていた私は余す事なくパシャパシャと写し取る。
「どうだった?」
「どうも暗号のようだ。__銀__と書かれている」
「銀? 光と何か関係あるだろうか?」
「他にも似たような暗号が隠されてるかもしれない。巻物の方、任せるよ?」
「心得た」
「活躍の機会失っちゃったね、じぃじ?」
「僕のダークマターで助けられた人が何を言ってるんです? 道中何度も死にそうな顔してたじゃない」
「そうだったっけ?」
「すぐ忘れるんだから。それに僕だけすぐ悪者にしようとするのはマスターの悪い癖です。みんながそれを倣らう必要はないんですからね?」
「はーい」
「ほら、そこ。壁と床と天井から暗号出てきたからこっちきて頭動かして」
「じぃじ、呼ばれてますよ?」
「あなたもですよ。なんで僕ばかり……」
サブマスターがブツクサと何か言ってますが、スズキさんも特に気にした風もなく私達と合流して頭を悩ませた。
足元にもしっかりくっつけているので吹き飛ばされる事もない。ただ、氷の上に乗る為に私とスズキさんは重力操作で身体を軽くさせている。
自ずとフィールドは上に上がり、氷の足場が照射される危険性がかなり上がる。
そんな懸念を抱いていた時である。
一番前で望遠鏡を構えていた探偵さんが叫んだ。
「前方、氷の壁あり! 分かれ道だ! 今のままじゃ通れそうもないぞ!」
「緊急回避! 一旦分離させよう!」
即座に4分割し、一列に再連結。
「右、左。どっちいく?」
「右は嫌な予感がする」
「どっちにしろ時間がありません! ここは探偵さんの直感を信じましょう」
言うが早いか水操作で左側に向けて対角線上に氷のレールを敷く。あとは押し出される水の勢いに流されて、私達左のルートへ流されていく。
流される事数分。
氷で作られた洞窟内を走るウォータースライダーに突如光がさした。思わず目を瞑りたくなるほどの極光が私達を照らす。
その極光の直撃を受けていたのは右側のルート。
天井の半分以上の氷が溶け落ちており、そちらのルートを通っていたら今頃氷の足場は無事では済まなかっただろう。
まさに探偵さんの直感を信じてよかったz
行きがけにあんなに流れていた氷の足場は、全部水に変わり果てている。
「右、選ばなくてよかったですね」
「ほんとだよ」
「今度は3方向の分かれ道だ、どうする?」
「じゃあ真ん中で!」
「正気か少年! あの照射具合から察するに真ん中のルートも危ないぞ?」
「ここは私を信じてください」
「分かった。それじゃあ左右に行かないように壁を作る。みんな、はぐれないように再度氷作成でくっつけて!」
今度は私の案を通させてもらった。
するとがくんと直下行に降り始める。
「ちょ、マスター! これ、大丈夫なんだよね!?」
ジキンさんが叫んだ。
全員が声にならない声を上げ、雲を抜けて緩やかな流れに変わる。
「生きてる?」
「死ぬかと思いましたよ」
「あれ、右と左の道選んでたら危なかったんですかね?」
スズキさんが首を傾げて問うてくる。
ただ、このルート以外がこちらに来た感じはなさそうだ。
今もなお私たちの来た道からは水と氷が流れ出ていた。
まるで貯水庫のような作りで、ある程度水が溜まるまで私達はここでゆらゆら漂うことしかできない。
「わからないけど、真上から落下してくる水と氷を押し除けて戻るのは難しそうだ。スズキさんならできる?」
「多分僕でも難しいと思います。もっと道が広ければ避けていけるんですけど」
「だよね、じゃあこのまま行こうか」
こくり、と体全体で頷いてスズキさんは唸る。
氷とぶつかり稽古なんて誰もしたくないですもんね。
「そろそろ水が溜まりそうだ。みんな、食事はした?」
「あ、まだです」
「今はゲージが見えないから、手が空いたらなるべくした方がいい。これから先、どこに食べられる余裕ができるかわからないからね」
確かに。
ジキンさんからダークマターを分けてもらってパクパクと食べ進める。ここに来て私は調理アイテムのチョイスをまずったかと思い至った。
全員が軽食スタイルなのに対し、私だけ時間のかかる鴨南蛮そばを多めに持ってきていた。それを食べ始める私にジキンさんがジト目を向ける。
「マスター、奥さんを大切にしてるのはわかりますけど、他にもっと食べやすいものとかなかったんですか?」
うるさいなぁ、いいじゃないですか。私はこれが好きなんですよ。
既に食事を終えた他二人も同情するような視線で私を見ていた。なんだい、みんな美味しいって言ってくれてたのにそう言う目で見て。もうお裾分けしてあげないんだから。
だから何クソと思って食べる速度を上げているところで、
「今食べ終わりますか……らぁああああああああ!?」
流され始めたウォータースライダーは急勾配を下っていく。
勢いでスープが顔にかかってしまうところだった。
おのれ、試練めぇ!
「ほらー、言わんこっちゃない」
「あはは、ドンマイですハヤテさん」
「少年、気を抜いてる暇はないぞ! 天井から氷のツララがお出迎えだ!」
「本当に忙しいですね!」
重力で体重を全員が重くして水の中に潜ることで回避。
その合間にずぞずぞと麺を啜る。
なんとか完食仕切ると次は足場からもツララが生えて迫る。
「ここは僕に任せ給え!」
探偵さんが決めポーズをしながら水操作。
ツララの真上に道を作って、氷でコーティングして私達を誘う。
「ナイス判断です!」
「まだまだくるぞ。どうやらここからが本番のようだ」
眼前には氷で作られたトラップの数々が私たちの前に現れる。
この容赦のなさは四の試練を彷彿とさせた。
全員が一丸となって特殊スキルを使って回避していく。
中にはどうやっても回避出来ないのもあったが、それこそ四の試練の裏をついたトラップ崩しの要領でスズキさんが明後日の方向に水操作を使って氷の起点を崩し、崩壊させて突破した。
流されながら食事をしつつ三十分、ようやく私達は次のエリアへとたどり着くことができた。
そこはただの暗い部屋だった。
一番最初の部屋が白なら、前後左右上下を封鎖された黒の部屋。唯一の足場は氷と水でビシャビシャに濡れており、それ以外には何も見えない。何もない。
「行き止まり?」
「ここまで来てハズレとか。そんな~」
「いえ、何もないからこそ何かが隠されてるって事もあります。ジキンさん、確かフラッシュの巻物を買い込んでましたよね?」
「いえ、まさか極光の試練で使うとは思わず」
「置いてきてしまったんですか?」
呆れた。せっかく見せ場を作ってあげたと言うのに。
「巻物なら僕がいくつか常備してる。どこに使う?」
「流石探偵さん。まずは天井に一つ、そして足元に一つ。それを私がスクリーンショットで納めていきますので」
「了解した。まずは天井から。いくよ」
探偵さんがフラッシュの巻物を空中に放り出す。
すると勝手に解かれて全てが開き、約10秒間の光源を作り出す。スクリーンショットを構えていた私は余す事なくパシャパシャと写し取る。
「どうだった?」
「どうも暗号のようだ。__銀__と書かれている」
「銀? 光と何か関係あるだろうか?」
「他にも似たような暗号が隠されてるかもしれない。巻物の方、任せるよ?」
「心得た」
「活躍の機会失っちゃったね、じぃじ?」
「僕のダークマターで助けられた人が何を言ってるんです? 道中何度も死にそうな顔してたじゃない」
「そうだったっけ?」
「すぐ忘れるんだから。それに僕だけすぐ悪者にしようとするのはマスターの悪い癖です。みんながそれを倣らう必要はないんですからね?」
「はーい」
「ほら、そこ。壁と床と天井から暗号出てきたからこっちきて頭動かして」
「じぃじ、呼ばれてますよ?」
「あなたもですよ。なんで僕ばかり……」
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