【完結】Atlantis World Online-定年から始めるVRMMO-

双葉 鳴

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3章 お爺ちゃんと古代の導き

188.お爺ちゃん、装備を整える

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 いやぁ、酷い目にあった。
 でも面白いネタを拾えたのは上々だ。
 あとは何か新しい発見でもしようか。

 現状素材集めに関しては私とスズキさんが不要なんだよね。
 探偵さん達採掘組がフィールのクランと組んで探索回して素材の一割をうちに回してあとはオクト君のところで管理してもらってる。
 そのあとどこに流れていくかは私の預かり知らぬところだ。

 そう言えば最近ステータスを覗いてないことに気がついた。
 最近は派生らしい派生もなく、打ち止めもいいところだからなぁ。逆に100も200もスキル持ってる人はどうやって集めてるんだろうね?


プレイヤー:アキカゼ・ハヤテ
種族:人間
冒険ランク:C
クランマスター〈15/15〉
LP■■■■■■■■■■
SP■■■■■■■□□□
ST
EN■■■■■□□□□□
AP■■■■■■■□□□
EP■■□□□□□□□□


 最近増えたゲージはEP。多分これは地下専用のポイントだろうね。Earth Point。つまり大地の力か、わかりやすい。
 が、たったの20%しかない理由がわからない。何せ力を使ってないのだから。
 もしかしなくても倒した数によって回復できるポイント最大値が違うのだろうか?
 どちらにせよわからないことばかりで憶測を出ないので後でどざえもんさんに聞こう。

 そしていつの間にかおかしくなっていたのがST、スタミナだ。ゲージそのものが消えるなんて知らないよ?
 他の人は常に見えるらしいから、どうも私だけらしいんだよね。消費しないんならしないで助かるけど。
 


 そしてスキルは、また見え方が変わっているな。
 そういえばバージョンアップ何回もしているものな。
 メンテナンスらしいメンテナンスなんてレイドイベントの後くらいだったけど、見てないうちに変わったのだなぁ。

 何せスキルは念じれば出てくるし、意識して使わないと何を覚えたか忘れそうになる。だからこそパッシヴを選んだのもあった。勝手に生えて活動しやすくなる。いいことづくめだ。



〈スキル骨子……パッシヴ極/合計派生数48個〉
※あと2つの派生で冒険ランクBを獲得!

◎持久力UP『持久力UP・中』『持久力UP・大』
『持久力維持』『ST維持』『ST維持・中』『ST維持・大』
『ST消費軽減』『ST消費軽減・中』『ST消費軽減・大』

◎木登り補正『クライミング』『壁上り補正』
『垂直移動』『重力無視』
『スカイウォーク』『リフトボード』
『影踏み』『影縫い』
『移送』『輸送』『ショートワープ』

◎水泳補正『潜水』『古代泳法』
『水圧耐性』『海底歩法』
『水中内活動』『海の目』『海の手』『海の意思』

◎低酸素内活動
『石の呼吸』『火の呼吸』『炎の呼吸』『空の呼吸』『雲の呼吸』『木の呼吸』『水の呼吸』『雷の呼吸』『氷の呼吸』『極光の呼吸』
※無の呼吸……STゲージ消失

◎命中率UP『クリティカル』『必中』『ハイクリティカル』
『妖精眼』『念話』
※スキル複合可能


 まさかパッシヴスキルの仕業だったのか。
 まぁ、うん。STゲージを消費しなくていいなら楽だ。
 また周囲から何か言われそうだけど、黙ってればいいか。
 余計なこと言うから突っ込まれるんだし。

 それと冒険ランクを獲得したおかげか、あといくつ派生させれば獲得出来るか知れたのはいいね。もうちょっとで取れるとわかれば頑張れるものだ。
 そして新しく入手したのはこれ。


〈霊装〉
銀鎧の騎士:ランクA++
30分間、移動可能な場所へ、ヘイトを取らずに直接の移動出来る。有効範囲は目視の届く限り。
※チャージング可能


 ただの瞬間移動じゃなかったんだ、これ。
 説明書はよく読むべきだな。
 他人の使用してるのを見て使い方を決めたらダメだな。
 それとそれで瞬間移動をしていたからか、いつからか派生先にあったショートワープが開示されていた。
 もう無理して霊装使わなくてもいいかな? と思うが、あっちはAP使うので調理アイテムが切れたら使えるか。
 無駄にするかどうかは自分次第なのだ。
 単純に忘れていると言うのもあるがね。
 ゲージが消えたことでスキル枠が一つ完全に死んでしまったのは痛いな。どこかで補填はないものか。後で娘に聞いてみよう。


 そして称号スキル。
 地味に増え方という意味ではスキル以上に増えたよね。
 半分以上使ってないスキルが多いけど、常に世話になってるのは古代語翻訳だね。これがあるからネタ集めには困らなかった。


〈称号〉
妖精の加護/特定スキルへの派生
木登りマスター/木登り時のST消費緩和
古代の代弁者/古代語翻訳
セカンドルナの代理許可人/敷地内探索許可証
空中戦闘の心得/空歩★
妖精邂逅者/ナビゲートフェアリー ON/OFF★
風の支配者/風操作★
水の支配者/水操作★
陽炎の支配者/ミラージュ★
真偽の支配者/フェイク★
重力の支配者/重力操作★
極光の支配者/陽光操作★
レムリアとの盟友/レムリアの器の機能を最大限に引き出す
大地の精霊契約者/視覚強化+2


 ★がついてるのは任意で使えるやつだね。
 七つの試練を越えて、随分と溜まったよね。
 思えば称号スキルにも世話になったよなぁ。


 装備は変わらずだ。武器にレムリアの器が参加したくらいで私はいまだに初心者の服を着ているよ。酷い詐欺だと思うけど、装備品は基本的にオシャレ枠だ。見た目に拘って、さらに耐性をつけると値段がお高くなるらしい。ダグラスさんがそう言ってた。
 本人はこだわりすぎるから武具は打たないって言ってたけど、健介君は作ってるんだったよなぁ、いい加減装備を新調しようか。自分のことをいつまでも初心者だと思っているからダメなんだな。

 と言うわけでクラン『朱の明星』へと手土産を持って遊びに行く。確か本拠地はファイべリオンだったな。私はサードウィルの噴水からファイべリオンへと転送機能を使ってワープした。

 場所がわからないのでプレイヤーを呼びかけてたどり着く。
 いつの間にか時の人になってて、ますます身だしなみを整えなければと言う気持ちにさせられた。


「いらっしゃいませ、アキカゼさん。ようこそ我がクランへ」

「こんにちわ。今日はちょっと服を新調しようと思ってきたんだ」

「わざわざそれだけの為に来るのはアキカゼさんくらいですよ? だったらパープルのところに頼んだ方がいいですって」


 受付に立ってたのはダグラスさんの娘さんの紘子ちゃんで、パープルとは同級生だ。


「それもそうなんだけどね、今オクト君が忙しくしてるからこっちに頼みに来たんだ。いつまでも初心者の装いじゃ周囲に示しがつかないからね」
「逆に今までずっとそれで来れる方がおかしいんですけどね」
「着替え損ねたんだよ。ほら、私は撮影だけしてればよかったから」
「あはは、おじさんらしいですね」


 それからも雑談を続け、最近の流行りの装備を一通り見た。
 その中で垢抜けることなく、それなりに大人びて見えるトレンチコートを見つけて注文した。それとグレーのチョッキと浅いグリーンのネクタイにトレンチコートに合わせたスラックスを追加で注文する。


「他に何かつけておきたい耐性とかありますか?」

「見栄え重視で、汚れが滲みないようにしてくれればありがたい」

「そこらへんはもちろん拘って作りますので。ウチの場合ですと、オーダーメイドは大体属性耐性とか載せたりするんですけどねー」

「残念ながら私は戦闘に無頓着だ。あ、そうそう、拳銃のホルスターみたいなのも作って欲しい。忘れてた」


 探偵さんみたいに懐から取り出してカッコよく決めてみたいと言うのもある。


「ああ、アレですね。完璧に懐に収める為にも一度採寸だけさせていただいても?」

「構わないよ。称号がないと満足に動かせないのは確認済みだから」

「あら、残念」

「欲しかったら試練をクリアする事だね」

「はーい」


 紘子ちゃんは屈託のない笑みで笑うと工房に引っ込んだ。
 数分もすれば戻ってくる。採寸だけと言うこともあって、素早い。


「本当に動かないんですね、セーフティも完璧だわ」

「試したのかい?」

「動かせたらラッキーと思いまして」

「抜け目ないね」

「性分ですので。それと出来上がりの連絡ですが、個人的に送るにはフレンド登録が早いですが、枠あります?」

「そうだな、パープルに頼んでもいいが、個人的な買い物なのでフレンド登録しようか」

「はーい。申請しました」

「受領したよ」

「それでは見積もり取って後々メール送りますねー」

「と、先に支払いをしておこうか。足りるといいんだけど」


 ごとん。
 カウンターに並べたのは加工済みのオリハルコンのインゴット5本と、未加工の天鋼シルファー1個。
 それを目にした途端青褪めていた紘子ちゃんだったが「貰いすぎですよぉ」と言いつつもしっかり懐に納めていた。
 もはや返す気はないとその目が雄弁に物語っている。
 そういう欲望に素直なところ、嫌いじゃないよ?


「じゃ、頼むね?」

「我が工房の全てを燃やし尽くして全力で当たります!」


 大袈裟だなぁ、と思いつつ。

 後日受け取りに行ったらやたらと気合の入った装いになっていた。ラメでも入っているのか、ベージュのトレンチコートがキラキラ光って非常に派手になってしまっている。
 これ、余計に目立つんじゃない?
 困るなぁ、なるべく地味なの選んだのに。
 代金を奮発しすぎちゃったかな?

 人目を集めてしまうのも嫌なので、陽光操作★で一瞬目潰しをして、ショートワープと霊装を使って素早くサードウィルの拠点へと戻った。
 さて、妻達は今頃どうしているだろうか?
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