【完結】Atlantis World Online-定年から始めるVRMMO-

双葉 鳴

文字の大きさ
221 / 497
3章 お爺ちゃんと古代の導き

193.お爺ちゃん達と[八の試練]⑧

 あれからいくつかの部屋を周り、映像資料を閲覧後、大体の情報でムーの民から一方的な被害を受けているレムリアの民。
 アトランティスの民としてはレムリアの文明技術の高さを欲してだろう事は穏健派の彼の行動からも察する事ができるだろう。

 しかし解せない事はいくつかある。


「この争いの発端ってなんでしょうか?」

「そこですよね。レムリアの文明力は見事なものですが、精神生命体であるアトランティスがそこまでして欲しがるものなんですか?」


 そこなんだよね。
 アトランティスだってレーザーに電磁バリアとそれなりの科学力を見せている。ムーの方は知らないけど。


「そこを知らねば彼と会話してもなぁなぁではぐらかされてしまいますよね」

「下手すれば敵対行動されかねない。エネミーの親玉の疑いがある穏健派とはあり仲違いしたくない。まだどこかに何かが埋まってそうなモヤモヤがあるんだよなぁ」

「そもそもムーってどんな人たちかも明らかにされてません。レムリアを狙ってるのはわかりますが、目的は?」

「レムリア共通の敵であることは確かですよ。私地下でレムリアの器持ってるだけで殺されましたもん」

「え?」


 スズキさんの質問に私が知ってる限りの答えを出すと、スズキさんのみならず、他全員の目が座る。


「ちょっとマスター、持ってるんじゃないですか情報!」

「え? 地下ルートの龍神族がムーの民の可能性があるってみんなに話してませんでしたっけ」

「聞いてないですよ。地下に行って変な称号もらったって聞いたくらいです。龍神族にキルされたとは聞きましたが、レムリア関連だとは言ってませんでした」


 あれー? そうだっけ?
 おかしいなぁ。


「しかしこの施設を探しても出て来ないわけだ。眠ってるとすれば地下ルートの方が有力ですね」

「しかし装備してると敵意めっちゃ取りますよ」

「じゃあ装備しなきゃいい」


 ごもっとも。
 そこで私達は一度戻って情報をまとめる事にした。
 単純にあそこで押し問答する以外にそれらしい情報が出て来なかったものと、ムー人がなにを求めているかで話は変わってくるのだ。
 早速シェリルに連絡を取り、事前に打ち合わせした内容を語る。


『と、言うわけでそっちで情報何か出てる? ムー人がなにを求めてるかわからずに詰まってるんだ』

『みんな大精霊の行方探しで忙しいわ。ムーの民とかどうでもいいし。そもそもアトランティス関係のイベントじゃないの?』

『じゃあ私達がそっちに直接お邪魔して勝手に探索しても?』

『後で情報を共有してくれるなら構わない』

『お安い御用だ。後ついでに私たちのクランでイベントを起こすことになったから、後ろ盾になってくれ』

『内容による』

『古代人の情報を求めてる。私の方でアトランティス人とレムリア人の接触は確認した。ムーだけがわからない』

『わざわざ地下に来る意味がわからない』

『地下の龍神族がムー人の子孫の可能性がある』

『そういう事。なら好きにして。その情報は私の方で売ってもいいの?』

『もちろん。ただこちらで保有してる情報と交換という形になるけど大丈夫かな?』

『お釣りが来る。父さん、自分の名前が売れてる事理解してないもの』

『おいおい、私はただの一プレイヤーだよ?』

『そう言うところ。母さんが心配してる。パープルは何か言ってなかった?』

『あの子は私の味方だからね』

『母さんは心配してる。あまり心配させないで。約束』

『言われなくとも母さんが嫌がることはしないさ。それでは近日中にそっち行くから。じゃあ』


 通話を切り、メンバーに向き直る。


「会話だけ聞いてると、相手が可哀想になるのはどうしてですかね」

「ああ、わかります。また適当な言葉で誤魔化されてるんだろうなってひしひし伝わってくるんですよね」

「実際シェリルも似たようなものなので余計な心配ですよ。あの子とここまで風呂敷広げて話せるのってこの人ぐらいだし。あの子もあの子で終始無言だしで」

「アキ、あんた苦労してるのね」

「嫁入りした家じゃこれが日常茶飯事よ。もう慣れたわ」

「慣れって怖いですねー」

「スズキ君はこれから体験しますよ」

「ウチの旦那様は優しいので、僕が引っ張っていく方ですかねー?」

「それ、優しいんじゃない奴」


 軽く揚げ足を取りながら雑談を終えると、丁度穏健派の彼と出くわした。びっくりした。徘徊型なんだ。


■■■■■■出かけるのか?」

「少し情報をまとめようと思いまして。ここは出入り自由じゃありませんよね?」

■■■■■■■■■■■■■人目避けに使ってるくらいだ

「ならば再入場時には同じ手順ですね?」

■■■■問題ない■■■■■■■■■■それを貸してくれるか?」


 穏健派の彼は私のレムリアの器に指の先を向けた。
 これは奪う事のできない概念武器。
 手に取ることはできないが、譲渡はできないはずだ。
 

「壊さないでくださいよ」

■■■■■■■■■■私を誰だと思っている?」


 誰か名乗ってもくれないくせによく言いますよね。
 喉元まで出かけた言葉を飲み込み、口には出さない。
 

■■■■■■■よしこれで良い■■■■■■■■■■■■■これで再入場が可能になった


 なにをされたのか全然わからず、ただし手元に返ってきたレムリアの器はその名称が変えられていた。


[レムリアの器がバージョンアップしました]

[レムリアの器βになったことにより、エネミーから敵対行動されなくなりました]

[アトランティス人との親密を獲得しました]


 なに、なに、なに?
 ちょっと会話しただけでこの情報の渦は。
 アトランティス関連で一番の貢献者だった自覚はあった。
 けれどどこで好感度を稼いでいたのか全くわからない。

 穏健派の彼は白衣をたなびかせて優雅に部屋に帰って行きました。


「ハヤテさん、アトランティス人といつの間に好感度上げたんですかー?」

「さぁ?」

「何やら弄られてたみたいだけど、何されてたんですか?」

「ああ、なんでも再度この空間に来るためのパスを打ち込んでくれたみたいです。ついでにエネミーから狙われなくなりました」

「どうでも良いように言われた内容が聞き捨てならないんですが?」


 探偵さんの言いたい事はわかるよ。
 こっちだってツッコミが追いつかないんですから。


「穏健派の人って実はいい人だったり?」

「それかすぐに敵対行動取らなかったのが良かったんじゃないですか? 流石に僕達は怪しさから武器取りましたし。その差ですよ」

「なのかなぁ?」

「どちらにせよいい事ですよ。でもフェイクが役立たずになっちゃいましたね」

「その分ミラージュが仕事をしてくれるでしょう」

「少年はどんどん遠くにいくねー。僕も負けてられないな」


 どんどん世間に公表できない情報が出てくるなー。
 逆に考えればムーの情報を獲得するのに回せる情報が増えたと言うことにしておこうか。

 ちなみにその後地下ルートで若干一名のリタイアを出したのは言うまでもない。ただでさえ灼熱地帯だ。
 空陸海を制覇したスズキさんと言えど、灼熱地獄だけは無理だったようだ。
感想 1,316

あなたにおすすめの小説

『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた

歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無実の罪で謹慎中ですが、静かな暮らしが快適なので戻る気はありません

けろ
恋愛
王太子妃候補だった伯爵令嬢エレシア・ヴァレンティスは、ある日突然、身に覚えのない疑いをかけられ、婚約破棄と無期限謹慎を言い渡される。 外出禁止。職務停止。干渉禁止。 誰がどう見ても理不尽な処分――のはずだった。 けれどエレシアは、その命令を前にして気づいてしまう。 誰にも呼ばれない。誰にも期待されない。誰にも干渉されない。 それは、前世で決して手に入らなかった“静かな時間”そのものだと。 こうして始まった、誰にも邪魔されない穏やかな謹慎生活。 一方その頃、彼女を切り捨てた王城では、思わぬ方向へ事態が転がり始めて――? これは、無実の罪で閉じ込められた令嬢が、皮肉にも理想の生活を手に入れてしまう物語。 叫ばず、争わず、ただ静かに距離を取ることで完成する、異色の婚約破棄ざまぁです。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。