239 / 497
4章 お爺ちゃんと生配信
208.お爺ちゃんと陣営散歩①
しおりを挟む
「ええと、聞こえてるかな? こんにちは、アキカゼです。今日は大した配信じゃないですけど、まだこちらにこれない人の為に陣営に行く為の手段を手っ取り早く紹介していこうと思います」
【助かる】
【助かる】
【助かる】
【今北産業。今度はなんの配信?】
【陣営への行き方チャート配信】
【待ってた】
コメントのノリはそれなりにいいみたいだ。
試聴はするけどコメントを打たないロム勢の方が多いときく。
マリンは今の時間学校だからアーカイブに書き込むとか言ってたっけ。
「そういうわけで私は今賑わってるマナの大木の麓に来ています。何やら色んなプレイヤーがいる様です。突撃してみましょう。失礼、少しいいですか?」
「なんだあんた……ってアキカゼさん?」
「はいアキカゼです。今日は何をしにこちらへ?」
「それをあんたが聞くのか?」
プレイヤーは苦渋の表情で聞いてくる。
まぁ言いたいことはわからないでもないけど。
この木に登りに来た人は目的もバラバラだからね。
飛空挺のお金が払えないから地力到達したいって人もいるにはいるし。
「一応お聞きしてるだけですよ。その装備の整い具合から見て陣営目的ですよね?」
「そうだ」
「でしたら道中お付き合いしますよ。あ、あと4人呼んできてパーティー組みましょう」
「いいのか? おーいみんなー」
「通りがかったついでと言うやつです」
【ガタッ】
【ガタッ】
【ガタッ】
【ガタッ ズルッ ドンガラガッシャーーン】
【おい1人転んだぞ】
【↑ここまでテンプレ】
【その場に居合わせただけのプレイヤーの役得感が凄まじいな】
【クソ、平日のこの時間にログインできるプレイヤーが羨ましいぜ】
何やらコメント欄が荒ぶってるけど大丈夫かな?
最後はジャンケン合戦にまで持ち込んで4人を選抜してました。
「取り敢えず自己紹介からしましょう。私は知ってると思いますがアキカゼ・ハヤテです」
「俺は時短。クラン『ジャスティスナイツ』のクランマスターもしてる」
時短君はいかにも騎士風の装備を身にまとったエルフの男性だ。弓よりも細剣を扱い、重い盾も平気で持ち上げる重騎士スタイルの様だ。そんな形で木登りするのは過酷だろうに。
ちなみに彼が呼びかけた1人目である。
「私はハーノス。クラン『精巧超人』の一軍よ。以後お見知り置きを」
そしてハーノス君はパリッとした漆黒のスーツに身を包んでいた。一軍という言葉に聞き覚えがあったので、質問してみたらやっぱりシェリルのとこのクランメンバーだったそうだ。
彼女曰く、シェリルは女性としても母親としても尊敬できる先輩だという話だ。慕われている様でなによりだ。
「私はキウイ。アキカゼさんには『鳥類旅行記』の一員だと言えばわかりやすいかな?」
「ええ、キウイさんですね。こちらこそよろしくお願いします。マスターのアララギさんはお元気で?」
「元気すぎるくらいですよ。いつもアキカゼさんに感謝してました」
それは良かった。
彼女は手と足が鳥で、上半身は女性型の俗に言うハルピュイア風のハーフビーストである。キウイという名前の通り、全面的に蛍光色のライトグリーンの毛色な彼女は果物のキウイに非常によく似ていた。
「僕はランディス。クランは無所属のソロプレイヤーです。今日はスキルを増やしに参ったのですが、僕が入ってお邪魔にならないでしょうか?」
「大丈夫。私は一緒についていくだけだからね」
「あ、別に助けてくれたりそういうのとかはないんですね」
「ハッハッハ。そんなに上手い話はないさ。ただ先駆者としてちょっとしたコツを教えてやれるだけだよ。ちなみにこれらは配信されてるので君にだけ教えてるという事ではないよ。あ、配信大丈夫だった?」
「大丈夫です。どうせ僕が目立つことはないでしょうし」
ランディス君は如何にも最近始めましたと言わんばかりの素人っぽさを醸し出していた。スタート地点がセカンドルナだものね。彼の様な人物が1人くらいいた方がわかりやすくていいだろう。
「最後に俺だな。紹介いるか?」
「ギン君、私が知っててもみんなが知らなきゃ意味がないでしょ。なんのための自己紹介だと思ってるの?」
「まぁそうか。俺の名はギン。クラン『漆黒の帝』のサブマスターだ。よろしく頼む」
最後に再開したのは久しぶりの顔合わせ。
ジキンさんとこの次男坊であるギン君だ。
初顔合わせはパープルを誘ってこのゲームに入った時以来か。
金狼氏とはしょっちゅう顔を合わせるけど、彼も元気そうで良かったよ。
しかし集まったうちの三人が身内の知り合いとか世の中狭いね。
「はい、じゃあそんなわけでパーティーリーダーを決めたいと思いま……ええと、私でいいんですか?」
「言い出しっぺの法則って知ってるか? アキカゼさん」
全員が私に指をさし、ギン君が被せる様にして口を挟んだ。
パーティー名は『陣営ツアーご案内』にした。
「これまた独特なネーミングセンスだな」
「いいんだよ、こういうので。わかりやすさ重視で行くよ。さて私からみんなにプレゼントするスキルがある」
「なんですか、スキル?」
「輸送……というスキルはご存知かな?」
「聞いたことがありませんね。それがアキカゼさん特有のスキル群の一つというのはわかります」
ランディス君が疑問を口にし、ハーノス君が顎に手を当てながらそう推察する。
流石はシェリルのところの一軍さんだ。
でも残念、こんなのは別に特別でもなんでもないんだ。
「体験してみればわかるさ『輸送』……これは常にスタミナを消費し続ける代わりにパーティーメンバーに私の持つ『重力無視』を付け加えるスキルだ。範囲は決まっているので離れすぎない様にしてね」
「重力無視? つまり自分の体重は加味されないのか?」
「しかしアキカゼさん1人に負担をかけてしまうのは気が引けます」
「大丈夫だよ。そんな時にこそ調理アイテムがあるんだから」
「なるほど食事バフか」
「中でもうちの娘の料理は絶品でね、私は行きがけにこれを食べるだけでいいから君たちは気にしないで先に進むといい」
「でも離れすぎると効果が切れるんじゃないんですか?」
「大丈夫だよ。私は空が飛べるからね。離れすぎない様に飛べば問題ない」
「余裕の正体はそれかよ。ちなみにそれは称号スキルだよな?」
「その通り。君達がこれから獲得するであろうAPを消費する。そっちの回復手段もあるから気にせずに登ってくれたまえ」
私は登り始めたパーティーメンバーを見上げつつ、ホットサンドを食べ終えると足元を蹴り上げて空を飛ぶ。
一蹴りでギン君達のところまでひとっ飛びだ。
「やぁ、さっきぶり」
「げ、もう追いつきやがった」
【エグいジャンプ力してんな】
【さすアキ】
【戦闘では当たり前の様に見てたけど、実際に目の当たりにするとエグくて草も生えない】
【空ルート開拓者は化け物か】
【他人と比べてわかるエグさ】
コメントからは心ない言葉が多く散見した。
まぁ当たらずも遠からず。
実際戦闘中と違って木登りするのは散歩してるのと違わない。
「みんな、スタミナの消費を自己申告でお願い」
「まだ90%だ」
「85%です、すいません」
「60%でーす」
「30%切りました」
「70%ってところだな」
上から私、時短君、ハーノス君、キウイさん、ランディス君、ギン君の順番で口を開く。
「キウイさんは鳥類なのに減りが早いね」
「体がこんなに軽いのなんて初めてで、つい張り切りすぎちゃったみたいです! テンション爆上がりです!」
【わかる】
【鳥類あるあるだな】
【バード系は羽ばたくだけでスタミナめっちゃ消費するんだよ】
【へー】
【なので滑空がデフォ】
【新知識だわ】
なるほどね。だから体が軽いほどいいんだ。
バン・ゴハン君もムッコロ君との違いはそこか。
彼らは単独で空の上に達せたが、あのクランメンバー全員がそこにいられたわけではないものね。
そのうち孫のマリンも連れて行きたいよ。
「よし、じゃあ三合目で休憩だ。店を出すから適当に寛いでくれ」
「金取るの?」
「もちろん。作り手にこの日のために頑張って貰ったんだから」
「作り手にもよるが……」
ギン君がチロリと商品棚に目を向ける。
「うちのクラメンで料理を作れる人員は限られてるからね。あとは外部発注もあるよ。私としてはどれも美味しいけど、料理バフが5個以上ついてるのはやめておいた方がいい。舌が迷子になるからね」
「舌が迷子ってなんだよ」
「それはギン君が一番よく分かってる人のさ」
「おふくろのか。確かにホットドッグ食ってたはずなのに食後にうどん食い終わった気分になるのは舌が迷子状態だな」
【意味不】
【でた、ランダさんのうどんドッグだ】
【確かサブマスがうどん好きで作ったんだっけ?】
【神のサンドイッチもういっぺん食いてーなー】
【アキエさんの鴨南蛮蕎麦も普通にうまかったけどなー】
【アキカゼさん、もう一回出展希望】
コメント欄にはあの時のプレイヤーも多く見受けられた。
妻の料理を好きだと言ってくれる人とは友達になりたいものだ。
「悪いけどあの営業は赤字だからもうやらないよ。それにこんなに人通りが多くなると忙しくなってしまうだろう?」
「忙しくなるからやらないとか商売舐めてるんですか?」
ここでハーノス君が食ってかかる。
もしかして彼女のリアルのお仕事って経営者だったのかな?
「そうだね。商売する気はなかったんだよ。今じゃ離れ離れに暮らしてる妻とのんびりした時間を作りたくて誘い出したんだ。彼女も最初こそ不承不承だったけど、翌日から乗り気だったよ」
「あら、そういう……ごめんなさい早とちりしてしまいました」
「きゃー、素敵!」
ハーノス君が頭を下げ、キウイさんがはしゃいだところで商売を開始する。一通り選んでそれぞれ食事していたところで、後発組が申し訳なさそうに声をかけてくる。
「すいません、それって部外者の俺らも買っていいですか?」
「構わないよ。在庫限りだけどね。休憩が終われば先に進んでしまうから自由に選びなさい」
「やったぜ、じゃあ俺は話題のうどんドッグで」
「好きだねぇ。お値段はバカみたいに高いけど、味は保証するよ」
「うげ、一個アベレージ10万もすんのかよ、コレ」
【バフが5個乗る時点で高くて当たり前なんだよなぁ】
【見た目ジャンクフードで味は高級料理店という謎仕様】
【三食おにぎりも好きだったぜ】
【クラメンも尖ってるんだよなー、アキカゼさんとこのクラン】
【銀姫ちゃんが居て目立ってない時点でお察しだろ】
【全員のキャラが濃すぎる問題】
【助かる】
【助かる】
【助かる】
【今北産業。今度はなんの配信?】
【陣営への行き方チャート配信】
【待ってた】
コメントのノリはそれなりにいいみたいだ。
試聴はするけどコメントを打たないロム勢の方が多いときく。
マリンは今の時間学校だからアーカイブに書き込むとか言ってたっけ。
「そういうわけで私は今賑わってるマナの大木の麓に来ています。何やら色んなプレイヤーがいる様です。突撃してみましょう。失礼、少しいいですか?」
「なんだあんた……ってアキカゼさん?」
「はいアキカゼです。今日は何をしにこちらへ?」
「それをあんたが聞くのか?」
プレイヤーは苦渋の表情で聞いてくる。
まぁ言いたいことはわからないでもないけど。
この木に登りに来た人は目的もバラバラだからね。
飛空挺のお金が払えないから地力到達したいって人もいるにはいるし。
「一応お聞きしてるだけですよ。その装備の整い具合から見て陣営目的ですよね?」
「そうだ」
「でしたら道中お付き合いしますよ。あ、あと4人呼んできてパーティー組みましょう」
「いいのか? おーいみんなー」
「通りがかったついでと言うやつです」
【ガタッ】
【ガタッ】
【ガタッ】
【ガタッ ズルッ ドンガラガッシャーーン】
【おい1人転んだぞ】
【↑ここまでテンプレ】
【その場に居合わせただけのプレイヤーの役得感が凄まじいな】
【クソ、平日のこの時間にログインできるプレイヤーが羨ましいぜ】
何やらコメント欄が荒ぶってるけど大丈夫かな?
最後はジャンケン合戦にまで持ち込んで4人を選抜してました。
「取り敢えず自己紹介からしましょう。私は知ってると思いますがアキカゼ・ハヤテです」
「俺は時短。クラン『ジャスティスナイツ』のクランマスターもしてる」
時短君はいかにも騎士風の装備を身にまとったエルフの男性だ。弓よりも細剣を扱い、重い盾も平気で持ち上げる重騎士スタイルの様だ。そんな形で木登りするのは過酷だろうに。
ちなみに彼が呼びかけた1人目である。
「私はハーノス。クラン『精巧超人』の一軍よ。以後お見知り置きを」
そしてハーノス君はパリッとした漆黒のスーツに身を包んでいた。一軍という言葉に聞き覚えがあったので、質問してみたらやっぱりシェリルのとこのクランメンバーだったそうだ。
彼女曰く、シェリルは女性としても母親としても尊敬できる先輩だという話だ。慕われている様でなによりだ。
「私はキウイ。アキカゼさんには『鳥類旅行記』の一員だと言えばわかりやすいかな?」
「ええ、キウイさんですね。こちらこそよろしくお願いします。マスターのアララギさんはお元気で?」
「元気すぎるくらいですよ。いつもアキカゼさんに感謝してました」
それは良かった。
彼女は手と足が鳥で、上半身は女性型の俗に言うハルピュイア風のハーフビーストである。キウイという名前の通り、全面的に蛍光色のライトグリーンの毛色な彼女は果物のキウイに非常によく似ていた。
「僕はランディス。クランは無所属のソロプレイヤーです。今日はスキルを増やしに参ったのですが、僕が入ってお邪魔にならないでしょうか?」
「大丈夫。私は一緒についていくだけだからね」
「あ、別に助けてくれたりそういうのとかはないんですね」
「ハッハッハ。そんなに上手い話はないさ。ただ先駆者としてちょっとしたコツを教えてやれるだけだよ。ちなみにこれらは配信されてるので君にだけ教えてるという事ではないよ。あ、配信大丈夫だった?」
「大丈夫です。どうせ僕が目立つことはないでしょうし」
ランディス君は如何にも最近始めましたと言わんばかりの素人っぽさを醸し出していた。スタート地点がセカンドルナだものね。彼の様な人物が1人くらいいた方がわかりやすくていいだろう。
「最後に俺だな。紹介いるか?」
「ギン君、私が知っててもみんなが知らなきゃ意味がないでしょ。なんのための自己紹介だと思ってるの?」
「まぁそうか。俺の名はギン。クラン『漆黒の帝』のサブマスターだ。よろしく頼む」
最後に再開したのは久しぶりの顔合わせ。
ジキンさんとこの次男坊であるギン君だ。
初顔合わせはパープルを誘ってこのゲームに入った時以来か。
金狼氏とはしょっちゅう顔を合わせるけど、彼も元気そうで良かったよ。
しかし集まったうちの三人が身内の知り合いとか世の中狭いね。
「はい、じゃあそんなわけでパーティーリーダーを決めたいと思いま……ええと、私でいいんですか?」
「言い出しっぺの法則って知ってるか? アキカゼさん」
全員が私に指をさし、ギン君が被せる様にして口を挟んだ。
パーティー名は『陣営ツアーご案内』にした。
「これまた独特なネーミングセンスだな」
「いいんだよ、こういうので。わかりやすさ重視で行くよ。さて私からみんなにプレゼントするスキルがある」
「なんですか、スキル?」
「輸送……というスキルはご存知かな?」
「聞いたことがありませんね。それがアキカゼさん特有のスキル群の一つというのはわかります」
ランディス君が疑問を口にし、ハーノス君が顎に手を当てながらそう推察する。
流石はシェリルのところの一軍さんだ。
でも残念、こんなのは別に特別でもなんでもないんだ。
「体験してみればわかるさ『輸送』……これは常にスタミナを消費し続ける代わりにパーティーメンバーに私の持つ『重力無視』を付け加えるスキルだ。範囲は決まっているので離れすぎない様にしてね」
「重力無視? つまり自分の体重は加味されないのか?」
「しかしアキカゼさん1人に負担をかけてしまうのは気が引けます」
「大丈夫だよ。そんな時にこそ調理アイテムがあるんだから」
「なるほど食事バフか」
「中でもうちの娘の料理は絶品でね、私は行きがけにこれを食べるだけでいいから君たちは気にしないで先に進むといい」
「でも離れすぎると効果が切れるんじゃないんですか?」
「大丈夫だよ。私は空が飛べるからね。離れすぎない様に飛べば問題ない」
「余裕の正体はそれかよ。ちなみにそれは称号スキルだよな?」
「その通り。君達がこれから獲得するであろうAPを消費する。そっちの回復手段もあるから気にせずに登ってくれたまえ」
私は登り始めたパーティーメンバーを見上げつつ、ホットサンドを食べ終えると足元を蹴り上げて空を飛ぶ。
一蹴りでギン君達のところまでひとっ飛びだ。
「やぁ、さっきぶり」
「げ、もう追いつきやがった」
【エグいジャンプ力してんな】
【さすアキ】
【戦闘では当たり前の様に見てたけど、実際に目の当たりにするとエグくて草も生えない】
【空ルート開拓者は化け物か】
【他人と比べてわかるエグさ】
コメントからは心ない言葉が多く散見した。
まぁ当たらずも遠からず。
実際戦闘中と違って木登りするのは散歩してるのと違わない。
「みんな、スタミナの消費を自己申告でお願い」
「まだ90%だ」
「85%です、すいません」
「60%でーす」
「30%切りました」
「70%ってところだな」
上から私、時短君、ハーノス君、キウイさん、ランディス君、ギン君の順番で口を開く。
「キウイさんは鳥類なのに減りが早いね」
「体がこんなに軽いのなんて初めてで、つい張り切りすぎちゃったみたいです! テンション爆上がりです!」
【わかる】
【鳥類あるあるだな】
【バード系は羽ばたくだけでスタミナめっちゃ消費するんだよ】
【へー】
【なので滑空がデフォ】
【新知識だわ】
なるほどね。だから体が軽いほどいいんだ。
バン・ゴハン君もムッコロ君との違いはそこか。
彼らは単独で空の上に達せたが、あのクランメンバー全員がそこにいられたわけではないものね。
そのうち孫のマリンも連れて行きたいよ。
「よし、じゃあ三合目で休憩だ。店を出すから適当に寛いでくれ」
「金取るの?」
「もちろん。作り手にこの日のために頑張って貰ったんだから」
「作り手にもよるが……」
ギン君がチロリと商品棚に目を向ける。
「うちのクラメンで料理を作れる人員は限られてるからね。あとは外部発注もあるよ。私としてはどれも美味しいけど、料理バフが5個以上ついてるのはやめておいた方がいい。舌が迷子になるからね」
「舌が迷子ってなんだよ」
「それはギン君が一番よく分かってる人のさ」
「おふくろのか。確かにホットドッグ食ってたはずなのに食後にうどん食い終わった気分になるのは舌が迷子状態だな」
【意味不】
【でた、ランダさんのうどんドッグだ】
【確かサブマスがうどん好きで作ったんだっけ?】
【神のサンドイッチもういっぺん食いてーなー】
【アキエさんの鴨南蛮蕎麦も普通にうまかったけどなー】
【アキカゼさん、もう一回出展希望】
コメント欄にはあの時のプレイヤーも多く見受けられた。
妻の料理を好きだと言ってくれる人とは友達になりたいものだ。
「悪いけどあの営業は赤字だからもうやらないよ。それにこんなに人通りが多くなると忙しくなってしまうだろう?」
「忙しくなるからやらないとか商売舐めてるんですか?」
ここでハーノス君が食ってかかる。
もしかして彼女のリアルのお仕事って経営者だったのかな?
「そうだね。商売する気はなかったんだよ。今じゃ離れ離れに暮らしてる妻とのんびりした時間を作りたくて誘い出したんだ。彼女も最初こそ不承不承だったけど、翌日から乗り気だったよ」
「あら、そういう……ごめんなさい早とちりしてしまいました」
「きゃー、素敵!」
ハーノス君が頭を下げ、キウイさんがはしゃいだところで商売を開始する。一通り選んでそれぞれ食事していたところで、後発組が申し訳なさそうに声をかけてくる。
「すいません、それって部外者の俺らも買っていいですか?」
「構わないよ。在庫限りだけどね。休憩が終われば先に進んでしまうから自由に選びなさい」
「やったぜ、じゃあ俺は話題のうどんドッグで」
「好きだねぇ。お値段はバカみたいに高いけど、味は保証するよ」
「うげ、一個アベレージ10万もすんのかよ、コレ」
【バフが5個乗る時点で高くて当たり前なんだよなぁ】
【見た目ジャンクフードで味は高級料理店という謎仕様】
【三食おにぎりも好きだったぜ】
【クラメンも尖ってるんだよなー、アキカゼさんとこのクラン】
【銀姫ちゃんが居て目立ってない時点でお察しだろ】
【全員のキャラが濃すぎる問題】
1
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる