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4章 お爺ちゃんと生配信
247.お爺ちゃん達とvsヤマタノオロチ7
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方針を固めていざ、領域内へと足を踏み込む。
ものの見事に分散され、私に向けて勢いよく黒い首が鎌首をもたげた。
ブレスの構え!
地を蹴り、首の真横までショートワープで移動。懐から取り出したレムリアの器をビームソードモードにしながら一閃!
そのまま分断された首は消え去り、新たな首が生えようと切断面が蠢いていた。
空歩で足場を作って飛び退く。生えてきたのは看破の灰色。
それも同じ手順で切り裂き、私と同じ様に違う手段で首を撃ち抜いたアウル君とで合う。
「やぁ、今回はムササビ君とタッグを組むのかい?」
しっかりと頭のついたメタルトライダーに向けて声をかけると、片手を上げて会釈される。
「今回の俺っちの役回りは回避兼電池だからな。ジキンさんのエネルギー供給機関を飛行によって賄う簡易エネルギーパックとして動くことにした」
「僕としてはエネルギー消費量を抑えるために物理攻撃を増やしたんですが、それでもドリルの回転にも少なくないエネルギーが使われるのでありがたい限りですよ」
へぇ、いいじゃないの。
そしてムササビ君らしいのが意地でも武装を整えないと言うところだ。戦闘機というよりはジェット機と呼ばれるのは分かる気もした。彼には戦いには参加すれど、自分のメカを兵器にしたくないという心情があるのだろう。
ゲームと言えどその一歩を踏み出して仕舞えば後戻りできなくなってしまうのかもしれないね。
そして不器用な親子は、何故かキャッチボールをしていた。
……間にヤマタノオロチを挟んで。
ビームを受け止めて投げるピッチャー型で。
どこからエネルギーを供給してるのかと思ったら、あの人グローブにレムリアの器を仕込んでましたよ。
そして巨大化したくま君もユニフォームみたいなのを着てお揃いのグローブを装着してました。
仲良いですね。
でもさっきからデッドボールもいいところのダメージを受けてるヤマタノオロチが怒り心頭でブレス攻撃をしてるよ?
「うわ、とーちゃん毒ガス攻撃が来たくま!」
「問題ない。風操作」
「じゃあくまの番くまね」
「よーしこい」
ジキンさんの手から発動した風操作で火炎毒ガスのブレスは真上に飛んでいって霧散した。
そのままキャッチボールを続行する親子。
視聴者も随分と困惑したコメントを打ち込んでいる。
何せお揃いのユニフォームを身に纏う犬型ロボットと巨大なリアルツキノワグマがキャッチボールなんかしてるんだもん。
毎回思うけどその絵面なんとかならない?
【あれ、ここ空き地だっけ? 土管を幻視した】
【その土管、カラフルな首つけてない?】
【空き地っていう概念がもう古い】
【ヤマタノオロチ君構ってもらえないでかわいそう】
【領域内に来て早々キャッチボールしてるプレイヤーが居るとは思わんだろwww】
【いうて俺らが戦ってる時に横でそんなことされたら気が散るだろ?】
【当たり前じゃん。普通にキックするよ。真面目にやれって】
【逆にアキカゼさんのパーティー以外で許されんだろ、こんなの】
「まぁいいんじゃないの、一応耐久は削れてるし。好きにしろと言ったのは私だ。必要な時に仕事を果たしてくれたらそれでいいよ。テイムの戦力として付き合わせてるのは私だからね」
【めっちゃ優しい】
【優しいか? テキトーの間違いじゃねーの?】
【適当は適度に当たり前って事で何してもいいって意味じゃないからな?】
【言うてテイムは相当な無理ゲーですけどね?】
【それ】
【まぁでも心の狭いパーティーリーダーが多いのは本当よ。時間に追われてるのも分かるけど、アキカゼさんくらいの余裕は持ちたいよな】
【もともとこのゲームってドロップ配分がシビアだからな。ドロップ狙いならシビアになるのも分かるよ】
「私はアイテムをそこまで重要視したことはないね。採掘や採取で役に立てなかったのは身につまされる思いだったけどさ」
【アキカゼさんの場合は装備新調するって言う発想からしてなさそうだし】
【そもそも戦闘特化じゃない限り金も使わんしな】
【アキカゼさんは情報獲得だけでゲーム内マネー潤ってるから素材集めるって発想がないのかも】
【スタート地点から俺らと違うもんなー】
さて、雑談に花を咲かせていた所で耐久が80%を切った。
ここで尻尾が爆発し、中から桃色の首が現れた。
そう、別に切り離さなくても耐久を削っていけば勝手に首が生えたのだ。
「唸れ! ブラスター!」
そこへ姿を見せなかった師父氏からの空間歪曲攻撃が発射される。桃色の首が爆発し、残り八本の首がまっすぐに伸びた。
「くま君!」
「そいやぁあああ! クマーー」
その首に手元に装備していた十束剣(巨大化バージョン)を横凪に振り回し、全ての首が消える。
ここからだ。
[ギャォオオオオオン!!]
九本の首が同時に生え、その中央から虹色の首が出てきたのは。狙いはくま君だ。
「甘いくま! その急速ならとーちゃんとのキャッチボールで慣れたクマよ!」
その為のキャッチボールだったか!
レーザービームはミットに吸い込まれ、それをピッチャーライナー狙いで投げつけた!
くま君の膂力から投げ込まれたボールは音速の壁を超えて火が付き虹首の真芯に直撃した。
「追撃くまー」
桃首は完全に無防備。
くま君の薙ぎ払いは桃首の電磁バリアを無効化し、一気に虹首へと到達した。
残りの耐久は50%
[ギャォオオオオオオ、ギャォオオオオオオ!!]
ヤマタノオロチは再度全ての首を失った。
【やったか!?】
【ガハハ勝ったな風呂入ってくる】
【立て続けにフラグを立てるな!】
【前回はここからの猛攻で死んだからな】
その通り。
これはヤマタノオロチであってヤマタノオロチではない。
ここからは切らなくても勝手に首が入れ替わるモグラ叩きが始まるのだ。
耐久ゲージを減らせるのはたったの一本。
虹色のみ!
それ以外は全部ハズレで、白が5回出るだけで虹首で消費した耐久ゲージを回復されるクソ仕様になっている。
「ここからが正念場です。みなさん用意はいいですか?」
「とっくに準備はできてます」
「あ、今ので剣が元に戻っちゃったくま」
「回収しに行きます。くま君はジキンさんと一緒にいてください」
「オッケーくま」
「ワシはステルスしたまま不動でおるよ」
「その方がいいでしょう。下手にヘイトを稼がず、またブラスターの援護射撃を頼みますね?」
「心得た」
「アウル君とムササビ君のタッグはジキンさんのサポートで。余力は残しながらね」
「はい!」
さてここからは持久戦だ。
前回は切り札を温存していたつもりだったが、こうも厄介な相手だとは一ミリも思っていなかった。
ピョン吉までは泥試合だけど耐え切れれば勝てたから。
けど今回は当たりを引かなきゃ回復され続けるモードを搭載している。
そして勝手に切り替わる首は、切らなきゃ永遠に当たりである虹首が出てこない仕様だ。
初めからそういう想定なのか、それとも偶然の産物なのか。
だがこれで以前から思っていたことが確信に至れた。
この古代獣、もしかしなくてもアトランティスの過激派が過去に作った失敗作じゃないか?
それもムーどころかレムリアにも侵攻するつもりで作った。
ムーだけだったらピョン吉までで事足りる。
しかしヤマタノオロチからは明らかにレムリアにメタを貼っていた。
過激派も一枚岩ではなかったと言うことだろうね。
やれやれ。私達の様に仲良く手を繋ぐことだってできただろうに。
一つため息を吐き、発狂モードのヤマタノオロチに向き直る。
さて、ここはアトランティス陣営としても尻拭いをしてやるべきか。
十本のカラフルな首に向けて私はレムリアの器を構えるのだった。
ものの見事に分散され、私に向けて勢いよく黒い首が鎌首をもたげた。
ブレスの構え!
地を蹴り、首の真横までショートワープで移動。懐から取り出したレムリアの器をビームソードモードにしながら一閃!
そのまま分断された首は消え去り、新たな首が生えようと切断面が蠢いていた。
空歩で足場を作って飛び退く。生えてきたのは看破の灰色。
それも同じ手順で切り裂き、私と同じ様に違う手段で首を撃ち抜いたアウル君とで合う。
「やぁ、今回はムササビ君とタッグを組むのかい?」
しっかりと頭のついたメタルトライダーに向けて声をかけると、片手を上げて会釈される。
「今回の俺っちの役回りは回避兼電池だからな。ジキンさんのエネルギー供給機関を飛行によって賄う簡易エネルギーパックとして動くことにした」
「僕としてはエネルギー消費量を抑えるために物理攻撃を増やしたんですが、それでもドリルの回転にも少なくないエネルギーが使われるのでありがたい限りですよ」
へぇ、いいじゃないの。
そしてムササビ君らしいのが意地でも武装を整えないと言うところだ。戦闘機というよりはジェット機と呼ばれるのは分かる気もした。彼には戦いには参加すれど、自分のメカを兵器にしたくないという心情があるのだろう。
ゲームと言えどその一歩を踏み出して仕舞えば後戻りできなくなってしまうのかもしれないね。
そして不器用な親子は、何故かキャッチボールをしていた。
……間にヤマタノオロチを挟んで。
ビームを受け止めて投げるピッチャー型で。
どこからエネルギーを供給してるのかと思ったら、あの人グローブにレムリアの器を仕込んでましたよ。
そして巨大化したくま君もユニフォームみたいなのを着てお揃いのグローブを装着してました。
仲良いですね。
でもさっきからデッドボールもいいところのダメージを受けてるヤマタノオロチが怒り心頭でブレス攻撃をしてるよ?
「うわ、とーちゃん毒ガス攻撃が来たくま!」
「問題ない。風操作」
「じゃあくまの番くまね」
「よーしこい」
ジキンさんの手から発動した風操作で火炎毒ガスのブレスは真上に飛んでいって霧散した。
そのままキャッチボールを続行する親子。
視聴者も随分と困惑したコメントを打ち込んでいる。
何せお揃いのユニフォームを身に纏う犬型ロボットと巨大なリアルツキノワグマがキャッチボールなんかしてるんだもん。
毎回思うけどその絵面なんとかならない?
【あれ、ここ空き地だっけ? 土管を幻視した】
【その土管、カラフルな首つけてない?】
【空き地っていう概念がもう古い】
【ヤマタノオロチ君構ってもらえないでかわいそう】
【領域内に来て早々キャッチボールしてるプレイヤーが居るとは思わんだろwww】
【いうて俺らが戦ってる時に横でそんなことされたら気が散るだろ?】
【当たり前じゃん。普通にキックするよ。真面目にやれって】
【逆にアキカゼさんのパーティー以外で許されんだろ、こんなの】
「まぁいいんじゃないの、一応耐久は削れてるし。好きにしろと言ったのは私だ。必要な時に仕事を果たしてくれたらそれでいいよ。テイムの戦力として付き合わせてるのは私だからね」
【めっちゃ優しい】
【優しいか? テキトーの間違いじゃねーの?】
【適当は適度に当たり前って事で何してもいいって意味じゃないからな?】
【言うてテイムは相当な無理ゲーですけどね?】
【それ】
【まぁでも心の狭いパーティーリーダーが多いのは本当よ。時間に追われてるのも分かるけど、アキカゼさんくらいの余裕は持ちたいよな】
【もともとこのゲームってドロップ配分がシビアだからな。ドロップ狙いならシビアになるのも分かるよ】
「私はアイテムをそこまで重要視したことはないね。採掘や採取で役に立てなかったのは身につまされる思いだったけどさ」
【アキカゼさんの場合は装備新調するって言う発想からしてなさそうだし】
【そもそも戦闘特化じゃない限り金も使わんしな】
【アキカゼさんは情報獲得だけでゲーム内マネー潤ってるから素材集めるって発想がないのかも】
【スタート地点から俺らと違うもんなー】
さて、雑談に花を咲かせていた所で耐久が80%を切った。
ここで尻尾が爆発し、中から桃色の首が現れた。
そう、別に切り離さなくても耐久を削っていけば勝手に首が生えたのだ。
「唸れ! ブラスター!」
そこへ姿を見せなかった師父氏からの空間歪曲攻撃が発射される。桃色の首が爆発し、残り八本の首がまっすぐに伸びた。
「くま君!」
「そいやぁあああ! クマーー」
その首に手元に装備していた十束剣(巨大化バージョン)を横凪に振り回し、全ての首が消える。
ここからだ。
[ギャォオオオオオン!!]
九本の首が同時に生え、その中央から虹色の首が出てきたのは。狙いはくま君だ。
「甘いくま! その急速ならとーちゃんとのキャッチボールで慣れたクマよ!」
その為のキャッチボールだったか!
レーザービームはミットに吸い込まれ、それをピッチャーライナー狙いで投げつけた!
くま君の膂力から投げ込まれたボールは音速の壁を超えて火が付き虹首の真芯に直撃した。
「追撃くまー」
桃首は完全に無防備。
くま君の薙ぎ払いは桃首の電磁バリアを無効化し、一気に虹首へと到達した。
残りの耐久は50%
[ギャォオオオオオオ、ギャォオオオオオオ!!]
ヤマタノオロチは再度全ての首を失った。
【やったか!?】
【ガハハ勝ったな風呂入ってくる】
【立て続けにフラグを立てるな!】
【前回はここからの猛攻で死んだからな】
その通り。
これはヤマタノオロチであってヤマタノオロチではない。
ここからは切らなくても勝手に首が入れ替わるモグラ叩きが始まるのだ。
耐久ゲージを減らせるのはたったの一本。
虹色のみ!
それ以外は全部ハズレで、白が5回出るだけで虹首で消費した耐久ゲージを回復されるクソ仕様になっている。
「ここからが正念場です。みなさん用意はいいですか?」
「とっくに準備はできてます」
「あ、今ので剣が元に戻っちゃったくま」
「回収しに行きます。くま君はジキンさんと一緒にいてください」
「オッケーくま」
「ワシはステルスしたまま不動でおるよ」
「その方がいいでしょう。下手にヘイトを稼がず、またブラスターの援護射撃を頼みますね?」
「心得た」
「アウル君とムササビ君のタッグはジキンさんのサポートで。余力は残しながらね」
「はい!」
さてここからは持久戦だ。
前回は切り札を温存していたつもりだったが、こうも厄介な相手だとは一ミリも思っていなかった。
ピョン吉までは泥試合だけど耐え切れれば勝てたから。
けど今回は当たりを引かなきゃ回復され続けるモードを搭載している。
そして勝手に切り替わる首は、切らなきゃ永遠に当たりである虹首が出てこない仕様だ。
初めからそういう想定なのか、それとも偶然の産物なのか。
だがこれで以前から思っていたことが確信に至れた。
この古代獣、もしかしなくてもアトランティスの過激派が過去に作った失敗作じゃないか?
それもムーどころかレムリアにも侵攻するつもりで作った。
ムーだけだったらピョン吉までで事足りる。
しかしヤマタノオロチからは明らかにレムリアにメタを貼っていた。
過激派も一枚岩ではなかったと言うことだろうね。
やれやれ。私達の様に仲良く手を繋ぐことだってできただろうに。
一つため息を吐き、発狂モードのヤマタノオロチに向き直る。
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