【完結】Atlantis World Online-定年から始めるVRMMO-

双葉 鳴

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4章 お爺ちゃんと生配信

275.お爺ちゃんとアイドル戦国時代①

「はい、こんにちは。アキカゼです。前回は良くも悪くも反響が大きくてびっくりしてますけど、今回はあそこまで酷くならないと思います。それでは今日お邪魔する方の自己紹介から始めましょう」

【前回のアレは強烈だった】
【今回はどんなキワモノがエントリーするんだろう】
【SAN値を直葬されない事を祈る】

「はーい、こんみくるーん♪  ファンのみんな、今日はあたしみくる⭐︎フォーエバーと、」

「おはもふもふ~。羊谷あかりの配信アイドルユニット、ユニゾンスクエアでお送りするよー」

【うはwww】
【どっちもアイドルの中堅どころやん】
【アキカゼさん、アイドルに興味あったんだ?】
【前回との温度差で風邪を引きそう】
【一転してまた明るいところ狙ってきたなー】

「うちの孫と同世代らしくてね。これを機にその世代の流行を知っておこうと思ってね」

【それ聞く相手間違ってますよ?】
【その二人は取扱注意なんで】

「はぁ~? みくるはともかくあかりちゃんをディスってる訳?」

「みくるちゃん、どう、どう」

【さりげなくディスってるのはみくるの方】
【あかりちゃんかわいそう】

「え、わたしディスられてたの? ひどいよみくるちゃーん」

「騙されちゃダメよあかりちゃん。こいつらリスナーに紛れたアンチだから」

「もー、騙すなんてひどいです! ぷんぷん!」


 何やら若者達でいろいろ通じ合ってる様だね。
 でもこのままだと一向に話が終わらないので打ち切ることにした。


「はい、配信者の先輩というだけあって受け答えもバッチリですね」

【今の流れをサラッとぶった斬るな】
【流すのがアキカゼさんやで?】
【つよい】
【むしろ制御し切れる自信があった?】

「制御と言われても、スズキさんに比べたら大人しい良い子じゃないですか。それじゃあ今回のテーマを発表します」

【だから比べる相手www】
【確かにアレに比べたら御し易いか】
【ドッキリで種族を強制的に変えてくる悪戯っ子だぞ?】
【アレを悪戯で済ませられるにはアキカゼさんくらい】
【しかも10日とかwww】
【カイゼルは呆れてたしな】
【今から嫌な予感しかしない件】
【炎上商法かな?】
【アキカゼさんが煽動したらチリ一つ残らなそう】
【焼け野が原シスターズに命名変更しようぜ】
【やめろ!】

「はい、今回は二人のアイドル活動の裏側を協力のもとお見せしちゃおうという趣旨で進めます。たまにはこんな風な箸休め的な配信もいいものですよね」

【箸休め扱いはやめてあげて】
【その子達中堅とは言え40万人のファン居ますから】
【他のゲームなら上位に登れるんだけど】
【AWOは上には上がいるから】

「へぇ、上位って誰だろう?」

【自分の身内に興味無さすぎませんかね?】
【マリンちゃんは非公認アイドルだから】
【追っかけが気持ち悪い以外は上位に居ますよ】

「マリンがねぇ。本人はそういうの恥ずかしがるからそっとしておいてあげて」

【身内はそう言うやろなぁ】
【銀姫ちゃんで検索すればヒットしますね】

「でも今日は孫の話はしないでくれると助かるね。ゲストさんに申し訳ない。フォーエバーさんと羊谷さんだって頑張ってるんだよ?」

【そっちで呼ぶんだ?】
【呼び方に悪意がある】

「流石に初対面で名前呼びは許可が必要でしょ?」

「あたしはみくるって呼んでくれていいわよ?」

「ではわたしはあかりで」

「それじゃあみくるさんにあかりさん」

「ちょっと他人行儀すぐる気もするけど、まぁいいわ」

「はい、今回はよろしくお願いしますね」


 みくるさんは少し背伸びしたいお年頃かな?
 マリンと一緒で甘えたいのを必死に我慢してる様に感じた。
 そしてあかりさんの方は、天然っぽいのは計算だね。
 パープルと同じ気配がするもの。
 
 取り敢えず相手にする方向性は家族に向けるものでいいか。
 基本的には自由にさせて、要所要所でヨイショする。
 これで行こう。



 ◇


 アイドルの一日は早朝から始まる。
 そんなテロップと共に茶番が始まった。

 それは彼女達の配信の前振りで催される茶番である。
 それを側で見ながら、後でアドバイスを送ると言うやりとりをして進めていく。


「どうでしたか、今の?」

「少し場面場面に情報を入れようとしすぎているね。そのおかげで本来伝えるべき情報がとっ散らかってるよ?」

【鋭い】
【厳しすぎへん?】
【それは俺も思った】


 先程の茶番はみくるさんが寝起きと同時にファンからのメッセージを確認して一喜一憂し、今日も一日頑張るぞと言うものだった。

 しかしそんな内容だったにもかかわらず、映像は彼女の意外な一面どころかノーメイクでも可愛い寝顔のアップから始まり、柄物のパジャマを写し、少しカメラを引いてぬいぐるみが飾られた部屋を見渡し、椅子に座って作業を始めるみくるさんが映る。
 そこでも最近買ったのだろう、お気に入りにアイテムが数秒映っている。
 下手をすればコメントチェックした時間が数秒もないくらいだ。


「うっ、身に覚えがあり過ぎる」

「君はアイドルになって何をしたいの? 自分の可愛さをアピールしたいだけ? だったら非公式でも出来るよね」

【アキカゼさん、それ以上はやめてあげて】
【みくるちゃんさっきから黙り込んでるから】
【初っ端から抉ってきやがるぜ】
【実はこの人ドSなのでは?】

「それは……」

「何をそんなに焦ってるの? ランキングで上位になれないとみくるさんの魅力は落ちていくの? 私はそうは思わない。みくるさんの良さに気づいている人は絶対にいるよ。その人に感謝をしたことはある? それとも上位に入れなきゃ感謝する意味はないと思ってるかな?」

「そんな事ない! あたしは、あたしを見出してくれて、いつも配信を応援してくれるファンに感謝してるもん!」

「じゃあその場面をもっとたくさんのファンに伝えてあげようよ。そうだね、カメラマンは私が勤めよう。君はありのままの自分を出しなさい」

「それでランキングが上がるの?」

「ランキングを駆け上がるのがみくるさんの夢だったっけ? 違うでしょ。応援してくれるファンに少しでも恩返ししたいと言う気持ちを出していきなさい。人気は自ずとついてくる」

「分かった」

【この時みくる、意外と素直】
【俺もこんな大人になりたいもんだぜ】
【この人娘がシェリルやパープルさんだぜ? 実績がちげーよ】
【そう嫌そうだったわ】
【歴戦のパパやんな】

「そんな訳ないじゃない。私はダメな父親だよ。母さんに散々苦労かけたしね。娘達は私の事を今ほど尊敬してなかったよ」

【ありゃ、そうなんか?】

「父親は子供の成長を見守ることしかできないんだ。こうやって誰かのお手伝いをしてあげてるのは、その時の無力な自分を体験したからこその無念を晴らそうとしてるんだよ。みくるさんは少し背伸びした感じが初々しくて可愛いよね。そこを伸ばしてあげたらもっと人気が出てもおかしくないと思うんだ。誰しも間違いは起きるものだよ。それを私は少し早く正しただけだ。何もしてないのと一緒だよ」

【こりゃ自称プロデューサーが霞んで見えますわ】
【善意と親心が合わさり最強に見える】

「大袈裟だね。でも娘を持ったことのある父親なら気持ちはわかってくれるんじゃないかな? 自分の娘だったらまずアイドルにさせないでしょ。あんなに肌を露出させた格好、文句言わずにはいられなくなる。口を酸っぱくして反対して嫌われるまでがセットだ」

【草】
【アキカゼさんも苦労してるんやな】
【すごく良くわかる】
【本当にね、うちの娘はアイドルに憧れなかっただけまだマシだな】
【リーガルさん……】
【あなたの娘さんはもう少し恥じらいを持ったほうがいいと思います】
【娘を愚弄するか? いいだろう、戦争だ】

「ストップ。親バカがすぎると嫌われるよ、リーガル氏」

【そんな、どうすればいいんですか?】

「娘さんを遠くから見守ってあげなさい。父親は見守ることしかできないんだよ。あまり口うるさくすると取り返しのつかないことになる。私のようにね?」

【勉強させていただきます】
【あれ、いつからここ娘を持つ父親の人生相談所になったんだ?】
【潜在的アイドル予備軍が多く潜んでるんやで】
【あとは親の許可さえあればって子は少なくない】
【銀姫ちゃんは親が認めてないもんな】
【いや、本人のやる気が0なだけで、ご両親は準備オッケーなんだぞ?】
【早速ゲスト置き去りにするんじゃないwww】
【納得のアキカゼクオリティです】
【出だしから絶好調ですねwww】
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