【完結】Atlantis World Online-定年から始めるVRMMO-

双葉 鳴

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4章 お爺ちゃんと生配信

302.お爺ちゃんと古代獣討伐スレ民_11

【何してんだこの人達?】
【お馬さんごっこかな?】
【ずいぶん生臭いお馬さんですね】
【よく落ちないよなアキカゼさん】
【ロデオも真っ青の揺れじゃんか】
【そもそもそんなスピード出てないし】
【逆にスピード出てない方が危ないんだが】
【って、大怪獣バトルを無視して本体の方に行ったぞ】
【二人してすっげーわるい顔してる】
【そりゃ、産後疲れの母体見たらな】
【もしこれが人型だったら罪悪感半端なさそう】
【大丈夫、モンスターだよ】
【よし、やれ!】
【ヒャッハーー】


 コメント欄が大騒ぎしているのを他所に、弱った本体にどうすればダメージを与えられるか検証を重ねていく。

 取り敢えずピョン吉召喚、からの──領域拡張で真上と真下の空間に領域を広げ、真下……テュポーンの本体と上空で飛び跳ねてもらう。
 中間をゴム毬と化したピョン吉が速度を増して跳弾した!


【えっぐ】
【なんつートラップ仕掛けるんだ】
【トラップとは?】
【死体に鞭打ちレベルの冒涜なんですが】
【それでも削れない耐久】
【だが増やさないという意味では有効】
【逆にピョン吉の三半規管が大変なことに】
【カエルにそんなもんあると思うか?】


 そして同時にボール強化型/マジックを召喚する。
 輸送+風操作でピョン吉の跳弾アタックに巻き込まれないようにしつつ、魔法の雨霰を上空から降らせた。
 

【え、古代獣は同時召喚できないはずじゃ?】
【強化型はノーマル枠なんだよなぁ】
【ただし捕獲できるかどうかは別】
【捕獲してもアキカゼさんのようには使えないの間違いでは?】
【そうとも言う】
【普通に中ボスクラスなんだけど】
【流石にレイド枠には届かないか】
【でも魔法って利くの?】
【多分これ検証だと思う】
【えらい豪華な検証メンバーやな】
【切り札が多いからね】
【お、耐久減ってきてない?】
【そうか? 変わってないと思うけど】
【これ多分だけど、無効じゃなくて一定ダメージ以下をカットするだけで蓄積したダメージが上回れば通るのでは?】
【本当だ。じわじわと減ってきてる】
【これは新しいパターン構築ですわ】
【もっとモロゾフ君に注目してあげて】
【あーっと、そこに魚の人の分身体がイキリ散らしながら自爆特攻をかましたーー!!】
【なんて酷い絵面なんだ】
【眠れテュポーン、慈悲はない】
【ゲスト放ったらかしにして自由にやりすぎだろ!】
【むしろ早い者勝ち宣言した上での行動なんだよなぁ】

「ついでにビームも持っていきたまえ」

【追撃のレーザー連射!!】
【レムリアの器が便利すぎる】
【ショートワープしながら上空からビームの雨を降らせてる】
【これで物理・魔法・ビームの同時攻撃の完成か】
【その他に邪神ライダーの効果で行動阻害を起こすんだろ?】
【普通に極悪なんだけど、誰だよ戦えないとか言ったやつ】
【自称だぞ? 本人曰くアタックスキル皆無とかなんとか】
【もうスキル云々で弱いとか言う奴いねぇだろ!】
【配信活動する前は結構いたけど、今はだいぶ減ったよな】
【こんなもの見せられたら発言も撤回するわ】
【お前ら手首ドリルかよ?】
【あんな酷い絵面でもやはり残りの耐久は10%でピッタリ止まるか】
【相手も粘るなぁ】
【アキカゼさんが来てから押せ押せムードなのは?】
【いつもそうだろ、いい加減にしろ】
【むしろ今回テイムが目的じゃないからいいのでは?】
【前回のやつ見たく周回募集じゃないしな】
【前回も本日の配信なんですが?】
【日を跨がずにあんだけ濃い動きするのはこの人ぐらい】

「さて、時間稼ぎはここまでか」

【ああ、ピョン吉が消えたー】
【100秒の制限はきついな】

「デザートも置いていこう。山田家、ご馳走してあげなさい」

[キュォオオオオオオン!!]

【古代獣三匹使役者は伊達じゃない】
【8本の首が同時にブレス吐きやがったぞ!?】
【ここに来て状態異常のフルコースが来たか】
【満身創痍のテュポーンvsヤマタノオロチとか胸熱】
【その横でキマイラとムー人が戦ってるんやで】
【なんだこの怪獣大決戦?】
【あーーっと、モロゾフ、ここでチキンタルタルのテイムしたヨルムンガンドの尻尾を持って鞭のように振り回したー!!】
【ごめん、なんて?】
【巨大化して縄跳びするぞ、ムー人】
【できてもしねーよ!】
【いや、草】


 どうやら向こうも盛り上がってるようだね。


「スズキさん」

「はい?」

「こっちもそろそろ止めと行こうか」

「はい!」


 猛毒、麻痺、防御力ダウン、火傷、凍結、弱点看破。
 その他諸々の情報がスズキさんを通して私に流れ込んでくる。
 スクリーンショットを通してみても同じ状況だ。

 これが領域侵犯の能力?
 やはり強力すぎる。一人の人間が操っていい力じゃないぞ、でも……私の手に渡ったのだからそれを正しく使ってやれば良い。


「見えた。弱点は腹の中!」


 腹の上にあるコアは見せかけのまやかし。
 しかし物理や魔法、ビームを悉く跳ね返す分厚い皮の前では弱点まで届かない。


「スズキさん、テュポーンのお腹の中に入れる?」

「食べられに行くんですか?」

「目的のものがお腹の中にあるんだ。消化されない程度に水を纏っていく。着いてきてくれないか?」

「しょうがないですねぇ。本当に僕でいいんですか?」

「スズキさんがいいんだ。こんな提案君以外じゃ許可してくれないもの」

「はい、僕とハヤテさんは一蓮托生ですから」


 ちょっと意味深に微笑み、スズキさんの背中に乗った私は、ぐったりしてる蛇の中からテュポーンの腹の中へと入っていく。

 中は空洞になっており、広い部屋の中には胃酸の海とその中央にキラキラ輝くクリスタルがあった。


「スズキさん、大丈夫?」

「ちょっと手足に力が入りませんけど」

「ここからは空を飛ぼうか?」

「そうですね。でも嫌な予感もするのでこのままでも平気ですよ。まだまだストックはあるので」


 そう言うと、近くに新しいスズキさんがプカリと浮かび上がる。まるでそこを足場にしろと言いたげに、クリスタルに向かってスズキさんボディが浮き上がった。

 嫌な予感というのはルルイエの幻影としての直感か?
 どのみち私の取れる手段は一つしかなかった。


「飲み込め、ヘビー」

[キシャァアアアアアアアアア!!]


 バクン!
 それは呆気なく飲み込まれ、テュポーンの肉体は崩壊する。
 崩れ去った肉体は光の粒子となって、天に登っていった。

 しかし、戦闘終了のアナウンスがいつまで経っても流れてこない。


<個体名:ヘビーがテュポーンに支配されました>

<個体名:ヘビーがアキカゼハヤテのテイム枠から消滅しました>

<warning! 古代獣テュポーンが復活しました>


 ヘビー、まさか弱点であるあのクリスタルが寄生主だったというのか?
 スズキさんの直感はそういう事か。
 既に死に体のボディを捨てて、新しい宿主を探したというわけだ。


「ヘビー、敵は取るからね」

「弔い合戦ですね、お供します」

【むしろ生贄に選んだのアキカゼさんでは?】
【しっ、それ以上はいけない】
【でもレーザーが弱点のヘビーなら余裕じゃね?】
【つまりクリア方法はボロボロになるまで追い込んで→体内に侵入→弱い古代獣を乗っ取らせて討伐?】
【草】
【そう言えばシェリル戦でも何かを乗っ取らせて勝ってたな】
【早く言えや】
【普通にそれが攻略に繋がるとは思わねーだろ!】


 案の定、れーめん氏のライジング・アース号に備え付けられてたビーム兵器で無双し始めたモロゾフ氏の手により、見事テュポーンは討ち果たされた。


「なんというか、終わってみれば呆気なかったな」

「最後の最後にあんなギミックを残していたなんて……道理で勝てないはずです」

「正攻法は食べられにいくだなんて誰も思わないでしょ」

「君たち食べ物の名前なのに?」


 私のツッコミに一同苦笑い。
 むしろ食べ物の名前になったのはネーム重複不可である為、好きな名前が使えず、仕方ないから好きな食べ物の名前を使ったら通ったというだけらしい。

 モロゾフ氏達とはそれで分かれて、私とスズキさんはファストリアに赴き、二匹目のヘビーをテイムしてから次のゲストのいる地へと足を向けた。
 一度ログアウトしてからでもいいかなと思ったけど、ポータルでジャンプするだけだし、と挨拶だけ先にしようということになる。


【次は誰の募集に向かうんだろ?】
【古代獣で掲示板関連で6以上っていたっけ?】

「向かう先はナインテイルだよ」

【あっはい】
【ナインテイルかー】
【あそこに屯できる時点で素人じゃないわ】
【掲示板見てるのは素人ばかりじゃないからな】
【掲示板で仕入れるれる情報なんてピンキリだろ】

「いよいよ見えてきたよ。いやー、私ここにくるの初めてなんですよね」

【なのに迷いのない足取り】

「事前に打ち合わせしてるので。あ、居ました。あの人達です、おーーい」


 そこに居たのは、見知った顔ぶれ。
 そう、さっき出会ったモロゾフさんの所属クランである餓狼の牙の面々である。


「待ってました、アキカゼさん」

「お久しぶりですリーガル氏。アイドルプロデュース以来だね、元気してた?」

「その節はうちの娘が大変お世話になりました」

「いえいえ、元気なお子さんで羨ましいですよ」

「元気さではマリンさんもなかなかでしょうに」

「いやはや、お恥ずかしい限りです。それでは世間話はこれくらいにしまして、早速今回のゲストの自己紹介といきましょうか」

【どう見ても上位クランのマスターだが?】

「生憎と今回のゲストは俺じゃない。そしてうちのクランメンバーでもないぞ?」

【じゃあなんで居るしwww】
【丁度居ただけで話してそう】
【それは草】

「リーガル氏のお友達という事で知り合いの顔が近くにあった方が安心するという事で居てもらってるんだ」

【リーガルのフレンド?】
【待て、嫌な予感がする】

「( ^ω^ )誰が嫌な予感だ! 俺様の名前を言ってみやがれ!!」

【あーー、こいつか】
【ついにこの日がきてしまったか】

「どうどう、落ち着いて。彼はクラン『6ch連合』マスターの( ^ω^ )氏だよ」

「それなんて読めばいいんです?」

「( ^ω^ メ)えがお、だぞ」

【クランメンバー全員顔文字の奴らやんけ】


 そう、私の企画に最後に任命したのは一癖も二癖もありそうな見た目とはあまりにもかけ離れたネーミングの彼らだった。
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