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5章 お爺ちゃんと聖魔大戦
330.お爺ちゃんとクトゥルフさん①
約束。そんな風に捉えているクトゥルフさんに少し可笑しく思いながら私は一歩近づきこう答える。
彼が何者であろうと、私のスタンスは変わらない。
いや、変えてはいけないと思うから。
「約束ですか? そんなご大層なやり取りはしてなかったと思うけど?」
[そうであったか? では余の思い過ごしか]
「はい。だから誘いに来ました」
[余にはやる事がある。しかしそなたの誘いの内容を聞かぬ内には断ることも出来ぬか。して、そなたが余に望むものはなんだ? 此度の戦役の重要人物として聞いてやらぬこともない]
「きっとあなたが暇してる頃だと思いまして、また一緒に私と冒険に出てみないかとお誘いに来たんです。もちろん、今のあなたは重要な役職に就いている。本当はこうして誘いに来る事自体が間違ってる。周囲からはそういう目で見られることは分かっていました」
[では何故そうまでして余を誘う?]
「一目見てわかりました。今のあなたに足りないのは刺激だ。世を平定して、平穏を保った大英雄。その大英雄の魂は本来しなくていい事に忙殺されている。だから私の誘いは束の間の息抜きです。と、言うことで少しの間お借りしていきますけどいいですか?」
クトゥルフさんにではなく、隣に居るサハギンモードのスズキさんことルリーエに聞く。
本人は頑なにその場から離れる気がないのだろう。
数億年なんて時間で縛りつけられた結果、その場所にいない事が不安で仕方がないのかもしれない。
あの時かわした口約束がまさかここまで彼を縛り付けるとは思わなかった。
それはきっと、私に似てしまったからだな。
変なところで責任感を持ってしまって、頑なになる。
本当に私そっくりになってしまっている。
だからこそ、そんな価値観をぶち砕こうとこうして誘いに出た。
かつて私が孫のマリンに誘われた様に、彼にはこうやって同じ目線で見て忠告を入れてやれる友が必要だ。
しかし王になって世界に君臨してしまった彼にはそんな存在は居なかった。
周囲には忠義に熱い臣下と眷属のみ。
だから私が誘い、周囲がクトゥルフさんをどう思っているかを見せつけてやる必要があった。
スズキさんことルリーエは、芸人の様なノリで「どうぞどうぞ」と品物を贈呈するが如く仮にも主人差し出してくる。
彼女達にも手に余っていたらしい。
言葉の端々から苦労が見えた。
[こら、ルリーエ。余を物の様に扱うとは!]
「僕達がもう聖域は大丈夫ですよって言ってるのに聞かないあなたが悪いんですよ。ここ数億年ですっかり心配性になっちゃって。僕達はもう平気です。だから遊びに行ってください」
[ぬぅ、そうか? 余がいなくてもここは平気か?]
「はい。長い間お疲れ様でした。数億年ぶりに羽でも伸ばしていったらどうですか?」
[そなたがそう言うのなら、ここは任せる]
「行ってらっしゃいませ、我が王」
[ああ、では行ってくる]
肉体をその場所に置き、魂を私のアバターと紐付けする。
彼はその場所にいながら魂だけ私と共にある存在となる。
だからと言って眠りについたわけではない。
緊急事態が起きればすぐに意識を飛ばして臨戦態勢を取れる様になっているらしい。
だから私との付き合いは本当に息抜きなのだ。
[して、どこに行くか用向きはあるか?]
堅苦しい口調のまま、冒険心を滾らせる今代の王は、せっつく様に私へと催促してくる。
「忘れちゃいましたか? 私のスタイルは足の向くまま気の向くまま、ですよ? 幸いにしてハプニングの方からやってくる体質でして」
[そうであったな。久方ぶりなので忘れておった]
「今はゆっくりとあなたが平定した世界を眺めていてください。私もね、どこがどんな風に変わったのか変化を楽しむつもりですから」
変わらない。彼は口調こそ王様ではあるけど、気持ちは私と邂逅した時のままだ。好奇心の赴くままに行動し、そして気持ちがわかち合えたあの時のままだった。
きっと根本的な本質が似ているんだなと思った。
聖域であるルルイエは平日でもお祭り騒ぎの様に忙しなくしている。道ゆく人々にインタビューして回ると、楽しいからしているのであって、誰かに命令されてやってるわけではないとのことだった。
どんな仕事についているかを尋ねて、そのままついていくことに。私は人間のスタイルのままだが、特に何もしてないのに当たり前の様に溶け込んで会話を弾ませた。
ここにいる多くは人族に偏見を持っていないのが窺える。
普通は深海と同じ水圧に人間が耐えられるわけがないのだが、それを耐えてる時点で普通じゃないと思われてるのかもしれない。
何はともあれこうした一般人(魚?)の仕事風景を拝む事は私以外にもクトゥルフさんにもいい刺激を与えると思う。
彼は眷属の上に立つ存在だから、こうして一般の目で見て回ることができぬ身だ。大体が目を合わせる前に平伏してしまうからね。下々のもの達がどの様にして自分達を支えてくれるか知らぬままここまで来ているのだ。その知識の共有は計り知れない事だろう。
今回のは普通に突撃インタビューだったけど、人類にとっても得難い情報である事は間違いないようだ。
ここでは地上人と呼ぶらしいけどね、そういった情報を発信していく場所を作る事を今後の目標にしようかな?
≪ありがとうございました。とても貴重な体験をさせて戴きました≫
≪いいって事よ。あんたも地上人なのにやるな≫
≪いえいえ、私程度の地上人にはゴロゴロ居ますよ?≫
≪そうかい? 地上も少し見ない内に変わったのかねぇ≫
≪そりゃ変わりますよ。ルルイエだってここ数年で随分と景観が変わったでしょう?≫
≪違いねぇ≫
お礼を言いながらその方とは別れた。
一期一会で特に名前も聞いていない。
人となりが分かれば心を交わしあえるのが会話なのだ。
どこの誰かと身分を明かしてはできない会話もある。
特に私の場合はね。
[随分と楽しそうな語らいであったな。余も混ざりたかったぞ?]
≪やめて下さい。彼、萎縮してしまいますよ?≫
[ぬぅ、余にそのつもりがなくてもか?]
≪はい。今はまだ私の内側で我慢してて下さい。その時が来ましたらきちんと活躍の場を与えますから≫
[分かった。その時まで待つとしよう]
この人はこうして周囲に迷惑をかけていたんだろうな。
情景が目に浮かぶ様だ。
ある程度の探索兼写真撮影を終えてルルイエを発つ。
本来ならそこで待っててくれてる筈の魚型の列車は見る影もなく……
あの人私を置き去りにして勝手に帰ったな?
と内心で怒りが込み上げていた。
仕方ないので海上まで上がり、そのまま風操作で空を駆ける。
[空を飛ぶのは、いつも慣れんな]
「ふふふ、私は体を動かすのと同じくらい慣れてしまいましたけどね?」
[余もいつか飛べる日が来るであろうか?]
「飛びたいのですか?」
[そうであるな。飛べたら、便利そうだ]
「ならば身近にプロフェッショナルが居るので教えを乞うてみたら如何ですか?」
[余の周りに?]
「ええ。ルリーエさんとかね。彼女は努力の人だ。いえ、人という括りで捉えるのは失礼でしたか。あなたの寝所を預かる精霊ですからね。彼女の努力は近くで見てきましたから。何でもはできませんが、空を飛んだり、重力を無かったことにすることなんかは得意ですよ?」
[それは知らなかった。今度聞いてみよう]
精神は離れていてもすぐに戻せるので彼はいいことを聞いたとばかりに上機嫌になった。
海上の上を飛んでいると分かるが、世界のほとんどは海で形成されていた。
ポツポツと島があり、その中心地にアトランティス製の街が存在している。
面白いことに街は何かを示す様な点で形成されており、線で結ぶと何かの仕掛けが作動しそうな気になってくる。
もちろんただの思いつきだからやるとしたら家族に断りを入れてからにするけどね。
「さて、そろそろ街が見えてきた。いい加減降りよう」
[先程からいくつも街を素通りしておいてか?]
「そういうのは見て見ぬ振りするものですよ?」
クトゥルフさんからダメ出しを受けつつ、私は街に降り立った。随分と技術後退をしたセカンドルナはアトランティス時代の技術が生きたまま、砦としての形態が見え隠れしていた。
よもやマナの木の根本にこんな仕掛けがあっただなんて知る由もない。
「まさか街と木がセットだなんてなぁ」
縦に細く伸びたセカンドルナに、スロット台のレバーの如く生えた木。その木がマナの大木だなんて呼ばれて居る。
[知らなかったのか?]
「以前はこうじゃ無かったですからね。そんな事より降りましょうか」
ましたから指を差されて注目を浴びてしまって居るのは些か居心地が悪いから。クトゥルフさんにそう促して私は地上へと降り立った。
周囲に人垣ができる。
その中心地には何故かシェリルと探偵さん、どざえもんさんに、いつぞや世話した>>0001君ともう一人知らない人が一堂に会していた。
「やぁ、みんな。こんなところで集合して一体何のお話をしていたのかな?」
身内だったこともあってフレンドリーに話しかけるも、娘からギロリと睨みつけられた。おお、怖い。
「父さんには関係ないわ。それよりも魔導書陣営はあっち行ってくれる? ここは聖典陣営の集会場だから」
「はいはい、邪魔して悪かったよ」
ひらひらと手を振って、私達は囲われた輪の中からショートワープで抜け出した。
一瞬で消え去った事実に人垣がより一層慌ただしくなる。
大袈裟だねぇ、私のデータなんて周知の事実だろうに。
「どうやらここは私には居心地の悪い場所の様だ。他に行こう」
[良いのか? 血を分けた肉親であろう?]
「親子であっても会話が成り立たない時もあるんだよ。特にこうやって陣営分けしてるとね。さて、違う街にも行ってみようか。なんせこのゲームには12個の街があるんだからね」
[楽しみだ]
そんな風に旅行を続けていた私たちの知らぬところで、事は大きく動いていた。
シェリルを代表にした聖典連合が、過去にわたり歴史をただそうと動き出していたことなんてこの時の私には知る由もなかった。
というか、後になって知ったというのが本音である。
後日アーカイブ化されたシェリルの配信動画にて、過去世界改編を試みる会などが異例の登録者数を誇ったのだから気にならない方がおかしいのではあるが、私はそれを特に重くは受け止めなかった。
せいぜい頑張りなさいと応援していると知ったら向こうは何を思うだろうか?
彼が何者であろうと、私のスタンスは変わらない。
いや、変えてはいけないと思うから。
「約束ですか? そんなご大層なやり取りはしてなかったと思うけど?」
[そうであったか? では余の思い過ごしか]
「はい。だから誘いに来ました」
[余にはやる事がある。しかしそなたの誘いの内容を聞かぬ内には断ることも出来ぬか。して、そなたが余に望むものはなんだ? 此度の戦役の重要人物として聞いてやらぬこともない]
「きっとあなたが暇してる頃だと思いまして、また一緒に私と冒険に出てみないかとお誘いに来たんです。もちろん、今のあなたは重要な役職に就いている。本当はこうして誘いに来る事自体が間違ってる。周囲からはそういう目で見られることは分かっていました」
[では何故そうまでして余を誘う?]
「一目見てわかりました。今のあなたに足りないのは刺激だ。世を平定して、平穏を保った大英雄。その大英雄の魂は本来しなくていい事に忙殺されている。だから私の誘いは束の間の息抜きです。と、言うことで少しの間お借りしていきますけどいいですか?」
クトゥルフさんにではなく、隣に居るサハギンモードのスズキさんことルリーエに聞く。
本人は頑なにその場から離れる気がないのだろう。
数億年なんて時間で縛りつけられた結果、その場所にいない事が不安で仕方がないのかもしれない。
あの時かわした口約束がまさかここまで彼を縛り付けるとは思わなかった。
それはきっと、私に似てしまったからだな。
変なところで責任感を持ってしまって、頑なになる。
本当に私そっくりになってしまっている。
だからこそ、そんな価値観をぶち砕こうとこうして誘いに出た。
かつて私が孫のマリンに誘われた様に、彼にはこうやって同じ目線で見て忠告を入れてやれる友が必要だ。
しかし王になって世界に君臨してしまった彼にはそんな存在は居なかった。
周囲には忠義に熱い臣下と眷属のみ。
だから私が誘い、周囲がクトゥルフさんをどう思っているかを見せつけてやる必要があった。
スズキさんことルリーエは、芸人の様なノリで「どうぞどうぞ」と品物を贈呈するが如く仮にも主人差し出してくる。
彼女達にも手に余っていたらしい。
言葉の端々から苦労が見えた。
[こら、ルリーエ。余を物の様に扱うとは!]
「僕達がもう聖域は大丈夫ですよって言ってるのに聞かないあなたが悪いんですよ。ここ数億年ですっかり心配性になっちゃって。僕達はもう平気です。だから遊びに行ってください」
[ぬぅ、そうか? 余がいなくてもここは平気か?]
「はい。長い間お疲れ様でした。数億年ぶりに羽でも伸ばしていったらどうですか?」
[そなたがそう言うのなら、ここは任せる]
「行ってらっしゃいませ、我が王」
[ああ、では行ってくる]
肉体をその場所に置き、魂を私のアバターと紐付けする。
彼はその場所にいながら魂だけ私と共にある存在となる。
だからと言って眠りについたわけではない。
緊急事態が起きればすぐに意識を飛ばして臨戦態勢を取れる様になっているらしい。
だから私との付き合いは本当に息抜きなのだ。
[して、どこに行くか用向きはあるか?]
堅苦しい口調のまま、冒険心を滾らせる今代の王は、せっつく様に私へと催促してくる。
「忘れちゃいましたか? 私のスタイルは足の向くまま気の向くまま、ですよ? 幸いにしてハプニングの方からやってくる体質でして」
[そうであったな。久方ぶりなので忘れておった]
「今はゆっくりとあなたが平定した世界を眺めていてください。私もね、どこがどんな風に変わったのか変化を楽しむつもりですから」
変わらない。彼は口調こそ王様ではあるけど、気持ちは私と邂逅した時のままだ。好奇心の赴くままに行動し、そして気持ちがわかち合えたあの時のままだった。
きっと根本的な本質が似ているんだなと思った。
聖域であるルルイエは平日でもお祭り騒ぎの様に忙しなくしている。道ゆく人々にインタビューして回ると、楽しいからしているのであって、誰かに命令されてやってるわけではないとのことだった。
どんな仕事についているかを尋ねて、そのままついていくことに。私は人間のスタイルのままだが、特に何もしてないのに当たり前の様に溶け込んで会話を弾ませた。
ここにいる多くは人族に偏見を持っていないのが窺える。
普通は深海と同じ水圧に人間が耐えられるわけがないのだが、それを耐えてる時点で普通じゃないと思われてるのかもしれない。
何はともあれこうした一般人(魚?)の仕事風景を拝む事は私以外にもクトゥルフさんにもいい刺激を与えると思う。
彼は眷属の上に立つ存在だから、こうして一般の目で見て回ることができぬ身だ。大体が目を合わせる前に平伏してしまうからね。下々のもの達がどの様にして自分達を支えてくれるか知らぬままここまで来ているのだ。その知識の共有は計り知れない事だろう。
今回のは普通に突撃インタビューだったけど、人類にとっても得難い情報である事は間違いないようだ。
ここでは地上人と呼ぶらしいけどね、そういった情報を発信していく場所を作る事を今後の目標にしようかな?
≪ありがとうございました。とても貴重な体験をさせて戴きました≫
≪いいって事よ。あんたも地上人なのにやるな≫
≪いえいえ、私程度の地上人にはゴロゴロ居ますよ?≫
≪そうかい? 地上も少し見ない内に変わったのかねぇ≫
≪そりゃ変わりますよ。ルルイエだってここ数年で随分と景観が変わったでしょう?≫
≪違いねぇ≫
お礼を言いながらその方とは別れた。
一期一会で特に名前も聞いていない。
人となりが分かれば心を交わしあえるのが会話なのだ。
どこの誰かと身分を明かしてはできない会話もある。
特に私の場合はね。
[随分と楽しそうな語らいであったな。余も混ざりたかったぞ?]
≪やめて下さい。彼、萎縮してしまいますよ?≫
[ぬぅ、余にそのつもりがなくてもか?]
≪はい。今はまだ私の内側で我慢してて下さい。その時が来ましたらきちんと活躍の場を与えますから≫
[分かった。その時まで待つとしよう]
この人はこうして周囲に迷惑をかけていたんだろうな。
情景が目に浮かぶ様だ。
ある程度の探索兼写真撮影を終えてルルイエを発つ。
本来ならそこで待っててくれてる筈の魚型の列車は見る影もなく……
あの人私を置き去りにして勝手に帰ったな?
と内心で怒りが込み上げていた。
仕方ないので海上まで上がり、そのまま風操作で空を駆ける。
[空を飛ぶのは、いつも慣れんな]
「ふふふ、私は体を動かすのと同じくらい慣れてしまいましたけどね?」
[余もいつか飛べる日が来るであろうか?]
「飛びたいのですか?」
[そうであるな。飛べたら、便利そうだ]
「ならば身近にプロフェッショナルが居るので教えを乞うてみたら如何ですか?」
[余の周りに?]
「ええ。ルリーエさんとかね。彼女は努力の人だ。いえ、人という括りで捉えるのは失礼でしたか。あなたの寝所を預かる精霊ですからね。彼女の努力は近くで見てきましたから。何でもはできませんが、空を飛んだり、重力を無かったことにすることなんかは得意ですよ?」
[それは知らなかった。今度聞いてみよう]
精神は離れていてもすぐに戻せるので彼はいいことを聞いたとばかりに上機嫌になった。
海上の上を飛んでいると分かるが、世界のほとんどは海で形成されていた。
ポツポツと島があり、その中心地にアトランティス製の街が存在している。
面白いことに街は何かを示す様な点で形成されており、線で結ぶと何かの仕掛けが作動しそうな気になってくる。
もちろんただの思いつきだからやるとしたら家族に断りを入れてからにするけどね。
「さて、そろそろ街が見えてきた。いい加減降りよう」
[先程からいくつも街を素通りしておいてか?]
「そういうのは見て見ぬ振りするものですよ?」
クトゥルフさんからダメ出しを受けつつ、私は街に降り立った。随分と技術後退をしたセカンドルナはアトランティス時代の技術が生きたまま、砦としての形態が見え隠れしていた。
よもやマナの木の根本にこんな仕掛けがあっただなんて知る由もない。
「まさか街と木がセットだなんてなぁ」
縦に細く伸びたセカンドルナに、スロット台のレバーの如く生えた木。その木がマナの大木だなんて呼ばれて居る。
[知らなかったのか?]
「以前はこうじゃ無かったですからね。そんな事より降りましょうか」
ましたから指を差されて注目を浴びてしまって居るのは些か居心地が悪いから。クトゥルフさんにそう促して私は地上へと降り立った。
周囲に人垣ができる。
その中心地には何故かシェリルと探偵さん、どざえもんさんに、いつぞや世話した>>0001君ともう一人知らない人が一堂に会していた。
「やぁ、みんな。こんなところで集合して一体何のお話をしていたのかな?」
身内だったこともあってフレンドリーに話しかけるも、娘からギロリと睨みつけられた。おお、怖い。
「父さんには関係ないわ。それよりも魔導書陣営はあっち行ってくれる? ここは聖典陣営の集会場だから」
「はいはい、邪魔して悪かったよ」
ひらひらと手を振って、私達は囲われた輪の中からショートワープで抜け出した。
一瞬で消え去った事実に人垣がより一層慌ただしくなる。
大袈裟だねぇ、私のデータなんて周知の事実だろうに。
「どうやらここは私には居心地の悪い場所の様だ。他に行こう」
[良いのか? 血を分けた肉親であろう?]
「親子であっても会話が成り立たない時もあるんだよ。特にこうやって陣営分けしてるとね。さて、違う街にも行ってみようか。なんせこのゲームには12個の街があるんだからね」
[楽しみだ]
そんな風に旅行を続けていた私たちの知らぬところで、事は大きく動いていた。
シェリルを代表にした聖典連合が、過去にわたり歴史をただそうと動き出していたことなんてこの時の私には知る由もなかった。
というか、後になって知ったというのが本音である。
後日アーカイブ化されたシェリルの配信動画にて、過去世界改編を試みる会などが異例の登録者数を誇ったのだから気にならない方がおかしいのではあるが、私はそれを特に重くは受け止めなかった。
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