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5章 お爺ちゃんと聖魔大戦
352.お爺ちゃんとネクロノミコン
結局割り振りステータスについて私は一度考えるのをやめた。
別に今すぐ取り掛かれと言うものでもないし、後で振ればいいだろう。
それよりも眷属化し直した九尾との絆値を上げに行こうと電車に乗った所で久しぶりに見る顔があった。
「あれ? くま君じゃない。イメチェンした?」
「久し振りくまー。実はちょっと困った事になってるくま」
一瞬誰かと思ったけど、そこには金色の毛皮を纏ったツキノワグマがいた。電車によく乗れたね、と思ったが彼はムー陣営なので肉体の拡大縮小はお手のものだと思い出す。
その上で困ってることを聞くと、どうも襲ってくるレッドネームを全て撃破したものの、名前を覚えてない人に再び出会って、それから全身が金色のオーラに包まれたそうだ。
それと同時にワールドアナウンスが告知され、気が気じゃないとも言っていた。
本来真っ黒な毛皮が今じゃ洋風で目立って仕方ないと嘆いている。いいんじゃないの? ヒーローっぽくて。
そこを指摘したら本人曰くのんびりお昼寝できないことを嘆いている様だった。
「しかし、あのアナウンスはくま君の仕業だったか」
「仕業とか酷いくま。くまは無実くま」
「私だって何度無実の罪を被ったか分からないよ? 他人はね、結果的に原因がそうなら無実でも何でもお前のせいだと決めつけたがるんだ。要は文句を言う相手を欲しているのさ」
「くまー」
相変わらず声色と仕草は可愛らしいのだけどね。
しかし人間サイズだと比較的威圧感は減るものだ。
「それよりもまずは魔導書に選ばれたことを喜ぼうよ。新しいメニューも決めること多いじゃない?」
「くまー。何をどう振ったらいいか分からないくま。こういうのは均一に振ると割りを食うって昔からとーちゃんも言ってたくま。だから偏った方向に振っていくくま。得意分野を伸ばすくまね」
「なるほどね。それで、君の幻影はまだ恥ずかしがり屋さんなのかな?」
「誰が恥ずかしがり屋ですって?」
「あ、こら勝手に。アキカゼさんに失礼な真似はやめるくま」
くま君の影からニュルンと現れたのは、快活そうな淡い髪の毛を背中に伸ばした少女だった。歳の頃はマリンくらいか?
幻影の中では一番背格好が高い。恥ずかしがり屋と言われてそれを否定する様に出てきたのだろう。何故かそう言うのが許せない年頃の様だ。
「これはお初にお目にかかります、お嬢さん。くま君からそう聞いていたものでね。てっきり今もそうなのだと思っていたんですよ」
「そう、別にいいわ。あと我はアル=アジフって名前があるの。お嬢さんじゃなくてそう呼んでくれる?」
「まったく、わがままで困ってしまうくま。うちの娘も将来こうなってしまうくま? 怖いくまー」
「育て方を誤ればそうなってしまうだろうね。ただこの子の場合はくまくんに可愛がって貰いたくてツンツンしているのだと思うよ? うちのシェリルがまったく同じタイプだ。きっと前のマスターとは距離をおいたまま過ごしたんだろうね。くま君はしっかり彼女の心に寄り添ってあげてね?」
「なるほど、そう言うことくまね。それなら得意くま。アールはかわいいくまねー」
「ちょ、マスター。やめなさいよ、その男の言った事を真に受けるのは。周りが見てるでしょ!?」
口ではそう言いつつも、顔はまんざらでもなさそうに表情を赤らめた。ほらやっぱり言った通りじゃない。
「はっはっは。若いですねぇ」
「君もいつの間に現れたのさ」
いつのまにかルリーエが影から生えてきて私の横でお茶を楽しんでいる。その上で見た目こそお姉さんぶってるアル=アジフを見て若いと断言した。
この列車は普通車の筈なのによく顔出すよね、君。
怪異専用乗り換えは随分先だよ?
ホームはちょうどシクセントリオンの乗り換え地点にある。
乗り換えも何も結界が張られており、そこから先はベルト持ちプレイヤーでしか出入りできないのだけど。
ベルト持ちプレイヤーだからこそ利用したいだろうと私も路線を引くのを手伝ったのだ。
「お前! 塩の香りがまとわりついてるわね! 何者?」
「ふっふっふー何者でしょうね?」
「こらこら、対抗するのはやめなさい。普通に答えてあげなさいよ。どっちが子供かわからないじゃないの」
イキり散らすルリーエの頭にぽこんとゲンコツを落とす。
「マスター、酷いです」
力は込めてないのに痛がるルリーエ。マスターと聞いて私と彼女の関係性を瞬時で理解したのか、アル=アジフ君、もといアール君は納得した様に腕組みしてうんうん唸った。
「マスター……つまりあんたも神格崇拝者ということね?」
アール君が表情を顰めながら身構える。
身構えることかな? いや、身構えるか。
くま君や彼女にとってマスターといえば敵対者というイメージだ。だったら紹介は少しフレンドリーに行こうじゃないか。
「ええ、そうですよ。改めて自己紹介しましょうか。私はアキカゼ・ハヤテ。趣味は写真撮影と深海に人を導くこと。そしてクトゥルフさんとはビジネスパートナーです。ね、ルリーエ?」
「最後がちょっとだけ違いますね。クトゥルフ様とマスターは一心同体です。それが答えられたら完璧でした」
「えー」
「なんなのこいつ? あのクトゥルフと対等にありながらこのフレンドリーさは。あいつは暴君よ? 人と馴れ合う性格なんてしてないのよ?」
「ひどーい。まぁ言ってることはなんら間違ってませんけどね? ただマスターと出会って変わったんですよ。現に起きてますし」
「起きてる? ちょっと待って!? 起きてるの? あいつ!? だめじゃない。人の世に存在してちゃいけないやつよ! 他の神格は何やってんのよ!」
「あれ? くま君はこの世界を旅してたんだよね。なんで彼女この世界のこと知らないの?」
「きっとあれくま。くま達はずっと並行世界に囚われてたくま。アキカゼさんに言われてた様に、レッドネームの襲撃を受ける際、そこにいるのにいない様な感覚を受ける時があるくま。そこにいる時は景色はずっと森の中に固定されるくまね」
「つまり、その並行世界ではずっと世界は変わってなかったわけだと?」
あれ? でも歴史改竄後もくま君居たよね?
もしかしてくま君を導いた相手的には今の歴史改竄は望んだことではないと?
むしろ自分より先にやられて困ってるって感じかもしれない。
『まず間違いなくそうでしょう。これは本戦会場でその眷属に狙われる可能性が出てきました』
『眷属がいるってことは相手は神格か。でもなんで魔導書陣営に介入してるの?』
『暇なんでしょう。今回魔導書組からハブられましたし。あとアトランティス人もハブられてますね』
『ハブられ組と言うわけですね』
『卑屈で参っちゃいますよねー』
なんで嬉しそうなのさ、君。
それよりも、そのナイアルラトテップの動向が気になるね。
聖魔大戦の本戦開催地では眷属入交で戦闘に入るようだし。
そもそもどんな場所かは知らされてないんだよね。
まず間違いなくドリームランドっぽいけど。
「どう言うことよ、マスター」
「窓の外を見ればわかるくま」
「は? 外?」
アール君が疑わしげに窓の外を見る。
そこには地平線の奥まで海が見えた。
ちなみに反対側の窓の景色も海・海・海だ。
つまりこの列車は海のど真ん中を走っているのだ。
理屈は気にしてはいけない。
「何よこれ、海の上走ってるのこの列車」
「うん。と言うかこの世界の7割海だから」
「つまりクトゥルフ様が世界の7割を牛耳ってるって訳です!」
ドヤ顔でルリーエが言った。
アール君が顔面蒼白になった。信じられないと言う顔で外の景色を眺めている。
「他の神は何やってたのよ。旧支配者に乗っ取られちゃってさ」
「クトゥルフ様は起きてただけなんですよね。数億年前から」
「なんであいつが起きてる世界線に我が居るのよ!」
若干涙目のアール君。最強の魔導書らしいのにメンタル弱いなこの子。こんなんでこの先やっていけるのかね?
「ちなみに聖典側も頑張って今があるんだよ。7割が支配下ってことは3割は陸地があるってことだからね」
「確かにそれはそうなんだけど」
「ちなみに少し前までは9割牛耳ってました!」
「なんなのよこの世界! 旧支配者にいい様にされ過ぎじゃない!?」
この子も魔導書側なのに随分と冷静さを失っているね。
おかしいな。他の魔導書陣営は仲良くやれてるのに。
やはり扱ってる魔導書と神格が複数存在するからかな?
確固たる信念がないと言うか、色々ブレてるんだよね。
あとはそうだな、どっちかと言うより魔導書側なのに聖典よりの思考な辺りは、うんヒーロールートなのかもしれない。
これと言った眷属もいなさそうだし。
ならば私達は悪役を頑張りましょうかね。
何、嫌われ役は慣れてる。言ってて悲しくなるけどね。
「ならば君たちが世界をただしたらいい。そのための力を得たのだろう?」
「その通りよ、マスター。悪者に言われる様じゃまだまだだけどね」
「くまー、アキカゼさんとは戦いたくないくまー。勝ち筋が見えてこないくまー」
「何腑抜けたこと言ってんのよ! シャキッとする!」
「くま!」
なんともはや。すっかり尻に敷かれてるね。
果たしてこのコンビがどんな活躍をするのやら。
思考を巡らせてるうちに私の降りる駅が来てしまった。
「では私はここで。精々頑張ってくれたまえ。くま君は気張りすぎに気をつけて」
「では皆様、ごきげんよう」
降りる時だけお行儀よくするよね、ルリーエって。
さっきまでのドヤ顔はそれで消えたりしないよ?
『大丈夫です。周囲の意識改竄は実施済みですので』
さいですか。
それよりもアール君とは敵対する形になってしまったが、魔導書陣営ってだけでこうも嫌われてしまうとは思わなかったな。
幻影によっては敵対関係もあると言うことか。
『ふふ。僕はいつまでもハヤテさんの味方ですけどね?』
はいはい、そう言いつつも私の行動を操ってるルリーエの好きにしたらいいんじゃない?
私もその中で好き勝手するから。
『ぶえー。ハヤテさんならこうするだろうなってルートを選んでるだけなのにー』
最終的に遊ぶ面々が面白くなれば良いんだけどね。
私だけが楽しんでる様じゃだめだよ。
私は楽しみたいけど、家族全員が同様に楽しめる様じゃないと一緒のゲームで遊ぶ意味がないからね。
別に今すぐ取り掛かれと言うものでもないし、後で振ればいいだろう。
それよりも眷属化し直した九尾との絆値を上げに行こうと電車に乗った所で久しぶりに見る顔があった。
「あれ? くま君じゃない。イメチェンした?」
「久し振りくまー。実はちょっと困った事になってるくま」
一瞬誰かと思ったけど、そこには金色の毛皮を纏ったツキノワグマがいた。電車によく乗れたね、と思ったが彼はムー陣営なので肉体の拡大縮小はお手のものだと思い出す。
その上で困ってることを聞くと、どうも襲ってくるレッドネームを全て撃破したものの、名前を覚えてない人に再び出会って、それから全身が金色のオーラに包まれたそうだ。
それと同時にワールドアナウンスが告知され、気が気じゃないとも言っていた。
本来真っ黒な毛皮が今じゃ洋風で目立って仕方ないと嘆いている。いいんじゃないの? ヒーローっぽくて。
そこを指摘したら本人曰くのんびりお昼寝できないことを嘆いている様だった。
「しかし、あのアナウンスはくま君の仕業だったか」
「仕業とか酷いくま。くまは無実くま」
「私だって何度無実の罪を被ったか分からないよ? 他人はね、結果的に原因がそうなら無実でも何でもお前のせいだと決めつけたがるんだ。要は文句を言う相手を欲しているのさ」
「くまー」
相変わらず声色と仕草は可愛らしいのだけどね。
しかし人間サイズだと比較的威圧感は減るものだ。
「それよりもまずは魔導書に選ばれたことを喜ぼうよ。新しいメニューも決めること多いじゃない?」
「くまー。何をどう振ったらいいか分からないくま。こういうのは均一に振ると割りを食うって昔からとーちゃんも言ってたくま。だから偏った方向に振っていくくま。得意分野を伸ばすくまね」
「なるほどね。それで、君の幻影はまだ恥ずかしがり屋さんなのかな?」
「誰が恥ずかしがり屋ですって?」
「あ、こら勝手に。アキカゼさんに失礼な真似はやめるくま」
くま君の影からニュルンと現れたのは、快活そうな淡い髪の毛を背中に伸ばした少女だった。歳の頃はマリンくらいか?
幻影の中では一番背格好が高い。恥ずかしがり屋と言われてそれを否定する様に出てきたのだろう。何故かそう言うのが許せない年頃の様だ。
「これはお初にお目にかかります、お嬢さん。くま君からそう聞いていたものでね。てっきり今もそうなのだと思っていたんですよ」
「そう、別にいいわ。あと我はアル=アジフって名前があるの。お嬢さんじゃなくてそう呼んでくれる?」
「まったく、わがままで困ってしまうくま。うちの娘も将来こうなってしまうくま? 怖いくまー」
「育て方を誤ればそうなってしまうだろうね。ただこの子の場合はくまくんに可愛がって貰いたくてツンツンしているのだと思うよ? うちのシェリルがまったく同じタイプだ。きっと前のマスターとは距離をおいたまま過ごしたんだろうね。くま君はしっかり彼女の心に寄り添ってあげてね?」
「なるほど、そう言うことくまね。それなら得意くま。アールはかわいいくまねー」
「ちょ、マスター。やめなさいよ、その男の言った事を真に受けるのは。周りが見てるでしょ!?」
口ではそう言いつつも、顔はまんざらでもなさそうに表情を赤らめた。ほらやっぱり言った通りじゃない。
「はっはっは。若いですねぇ」
「君もいつの間に現れたのさ」
いつのまにかルリーエが影から生えてきて私の横でお茶を楽しんでいる。その上で見た目こそお姉さんぶってるアル=アジフを見て若いと断言した。
この列車は普通車の筈なのによく顔出すよね、君。
怪異専用乗り換えは随分先だよ?
ホームはちょうどシクセントリオンの乗り換え地点にある。
乗り換えも何も結界が張られており、そこから先はベルト持ちプレイヤーでしか出入りできないのだけど。
ベルト持ちプレイヤーだからこそ利用したいだろうと私も路線を引くのを手伝ったのだ。
「お前! 塩の香りがまとわりついてるわね! 何者?」
「ふっふっふー何者でしょうね?」
「こらこら、対抗するのはやめなさい。普通に答えてあげなさいよ。どっちが子供かわからないじゃないの」
イキり散らすルリーエの頭にぽこんとゲンコツを落とす。
「マスター、酷いです」
力は込めてないのに痛がるルリーエ。マスターと聞いて私と彼女の関係性を瞬時で理解したのか、アル=アジフ君、もといアール君は納得した様に腕組みしてうんうん唸った。
「マスター……つまりあんたも神格崇拝者ということね?」
アール君が表情を顰めながら身構える。
身構えることかな? いや、身構えるか。
くま君や彼女にとってマスターといえば敵対者というイメージだ。だったら紹介は少しフレンドリーに行こうじゃないか。
「ええ、そうですよ。改めて自己紹介しましょうか。私はアキカゼ・ハヤテ。趣味は写真撮影と深海に人を導くこと。そしてクトゥルフさんとはビジネスパートナーです。ね、ルリーエ?」
「最後がちょっとだけ違いますね。クトゥルフ様とマスターは一心同体です。それが答えられたら完璧でした」
「えー」
「なんなのこいつ? あのクトゥルフと対等にありながらこのフレンドリーさは。あいつは暴君よ? 人と馴れ合う性格なんてしてないのよ?」
「ひどーい。まぁ言ってることはなんら間違ってませんけどね? ただマスターと出会って変わったんですよ。現に起きてますし」
「起きてる? ちょっと待って!? 起きてるの? あいつ!? だめじゃない。人の世に存在してちゃいけないやつよ! 他の神格は何やってんのよ!」
「あれ? くま君はこの世界を旅してたんだよね。なんで彼女この世界のこと知らないの?」
「きっとあれくま。くま達はずっと並行世界に囚われてたくま。アキカゼさんに言われてた様に、レッドネームの襲撃を受ける際、そこにいるのにいない様な感覚を受ける時があるくま。そこにいる時は景色はずっと森の中に固定されるくまね」
「つまり、その並行世界ではずっと世界は変わってなかったわけだと?」
あれ? でも歴史改竄後もくま君居たよね?
もしかしてくま君を導いた相手的には今の歴史改竄は望んだことではないと?
むしろ自分より先にやられて困ってるって感じかもしれない。
『まず間違いなくそうでしょう。これは本戦会場でその眷属に狙われる可能性が出てきました』
『眷属がいるってことは相手は神格か。でもなんで魔導書陣営に介入してるの?』
『暇なんでしょう。今回魔導書組からハブられましたし。あとアトランティス人もハブられてますね』
『ハブられ組と言うわけですね』
『卑屈で参っちゃいますよねー』
なんで嬉しそうなのさ、君。
それよりも、そのナイアルラトテップの動向が気になるね。
聖魔大戦の本戦開催地では眷属入交で戦闘に入るようだし。
そもそもどんな場所かは知らされてないんだよね。
まず間違いなくドリームランドっぽいけど。
「どう言うことよ、マスター」
「窓の外を見ればわかるくま」
「は? 外?」
アール君が疑わしげに窓の外を見る。
そこには地平線の奥まで海が見えた。
ちなみに反対側の窓の景色も海・海・海だ。
つまりこの列車は海のど真ん中を走っているのだ。
理屈は気にしてはいけない。
「何よこれ、海の上走ってるのこの列車」
「うん。と言うかこの世界の7割海だから」
「つまりクトゥルフ様が世界の7割を牛耳ってるって訳です!」
ドヤ顔でルリーエが言った。
アール君が顔面蒼白になった。信じられないと言う顔で外の景色を眺めている。
「他の神は何やってたのよ。旧支配者に乗っ取られちゃってさ」
「クトゥルフ様は起きてただけなんですよね。数億年前から」
「なんであいつが起きてる世界線に我が居るのよ!」
若干涙目のアール君。最強の魔導書らしいのにメンタル弱いなこの子。こんなんでこの先やっていけるのかね?
「ちなみに聖典側も頑張って今があるんだよ。7割が支配下ってことは3割は陸地があるってことだからね」
「確かにそれはそうなんだけど」
「ちなみに少し前までは9割牛耳ってました!」
「なんなのよこの世界! 旧支配者にいい様にされ過ぎじゃない!?」
この子も魔導書側なのに随分と冷静さを失っているね。
おかしいな。他の魔導書陣営は仲良くやれてるのに。
やはり扱ってる魔導書と神格が複数存在するからかな?
確固たる信念がないと言うか、色々ブレてるんだよね。
あとはそうだな、どっちかと言うより魔導書側なのに聖典よりの思考な辺りは、うんヒーロールートなのかもしれない。
これと言った眷属もいなさそうだし。
ならば私達は悪役を頑張りましょうかね。
何、嫌われ役は慣れてる。言ってて悲しくなるけどね。
「ならば君たちが世界をただしたらいい。そのための力を得たのだろう?」
「その通りよ、マスター。悪者に言われる様じゃまだまだだけどね」
「くまー、アキカゼさんとは戦いたくないくまー。勝ち筋が見えてこないくまー」
「何腑抜けたこと言ってんのよ! シャキッとする!」
「くま!」
なんともはや。すっかり尻に敷かれてるね。
果たしてこのコンビがどんな活躍をするのやら。
思考を巡らせてるうちに私の降りる駅が来てしまった。
「では私はここで。精々頑張ってくれたまえ。くま君は気張りすぎに気をつけて」
「では皆様、ごきげんよう」
降りる時だけお行儀よくするよね、ルリーエって。
さっきまでのドヤ顔はそれで消えたりしないよ?
『大丈夫です。周囲の意識改竄は実施済みですので』
さいですか。
それよりもアール君とは敵対する形になってしまったが、魔導書陣営ってだけでこうも嫌われてしまうとは思わなかったな。
幻影によっては敵対関係もあると言うことか。
『ふふ。僕はいつまでもハヤテさんの味方ですけどね?』
はいはい、そう言いつつも私の行動を操ってるルリーエの好きにしたらいいんじゃない?
私もその中で好き勝手するから。
『ぶえー。ハヤテさんならこうするだろうなってルートを選んでるだけなのにー』
最終的に遊ぶ面々が面白くなれば良いんだけどね。
私だけが楽しんでる様じゃだめだよ。
私は楽しみたいけど、家族全員が同様に楽しめる様じゃないと一緒のゲームで遊ぶ意味がないからね。
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