461 / 497
5章 お爺ちゃんと聖魔大戦
410.お爺ちゃんのドリームランド探訪22
鳴り止まぬ地響き。
それは直下型地震のようにこの祠全体が揺れているようだった。
私は即座にパーティー申請を送り、輸送+リフトボードで身の安全を確保した。
そして揺れない足場で入り口付近まで着くと、祠が塔の最上階のように大地から迫り上がっていた。
これはつまり……
「お義父さん、これはもしかすると……」
上に伸びていく祠。
多分だけどこのままいけば地上に出るだろうね。
それくらい長い地響き。
私たちを外に送り出した後も、祠は上に上に伸びていく。
「いやぁ、壮観だね」
「上に伸びていくのはわかるが、問題はその足場部分が塔の形になっているのが気になるな」
のんびり口調の探偵さんと真剣な口調で考察を始めるどざえもんさん。
「さて、そろそろ塔の入り口が見えてくる頃だよ?」
「なぜそうだと分かる?」
「もちろん勘だけど?」
「諦めなよ、どざえもん氏。この人の勘はよく当たる」
「はは、違いない」
さまざまな考察を交えながら、私たちは地鳴りが収まるのを待つ。まるで封印が完璧に解かれたように、高く伸びた塔の最下層。その入り口をどざえもんさんの精霊術でヒントを探って入塔。
どうもこの塔部分は聖典側のために用意されたものらしい。
と、言っても今回はたまたまそのスキルを収めているのが聖典側の人員だったという気がしないでもないが。
「少年、解読は可能?」
「このメンツにレムリア勢はいないからな。ムー言語なら解読できるが、オールマイティとなるとアキカゼさんに頼む他なくなる」
塔の一階は壁画で埋まっており、早速それの解読を求められた。早速白旗を上げた探偵さんとどざえもんさん。
アトランティス言語でもなければムー言語でもない?
なら残るはレムリアか? と思うのが一般的だが、スクリーンショットをかざしてもそれらしい情報が見えてこない。
「誰か、明かりを灯してくれる?」
「|◉〻◉)じゃあ僕光っておきますね?」
早速出来そうな役割を手に入れてウキウキ気分のスズキさん。
しかしかの字が率先してやりたがる場合、コメディ寄りになるのはご愛嬌で。
「やめて、そのぼやぁと浮かび上がる点灯! 明るい時間が短すぎるし!」
「変顔しないと光れないのか?」
【こwれwはw】
【九の試練を思い出させますなぁ】
【この人昔っからそうだったな】
【ネタを挟まないと呼吸ができないのかな?】
「|◉〻◉)文句を言うなら自分でやってください! 僕だって一生懸命体を張ってると言うのに!」
「張ってる場所が違うと言うか。まぁお義父さん付きの照明は僕がやりますから、スズキさんはリスナーさん担当をよろしくお願いします」
「|ー〻ー)ゞ ガッテン!」
【おいwww】
【ハンバーグさぁん、こっちに被害寄せないでください】
【前々から思ってたけどこの人割と鬼畜だよな】
「まぁ冗談はともかく、陽光操作ぐらいは僕に任せてくれていいよ。こいつをつまみながらほどほどにやろう」
ここでようやく重い腰を上げた探偵さん。
さっさと名乗り出ればいいのに、見てられないとばかりに前に出るあたりは登場タイミングを見計らってたな?
もりもりハンバーグ君にダークマターを差し入れしながら手の平から浮かび上がる光の球を生み出し、それを塔の中央に添えて光量を調節。光源の確保薬を奪われたスズキさんは憤慨しながら探偵さんに付き纏っている。
それをガードしにアンラ君とスプンタ君が前に出て取っ組み合いの喧嘩をしていた。
見ている分には子供の喧嘩だ。
殺しはしないだろう。というかパーティ組んでるからフレンドリーファイヤは適応しない。子供の喧嘩で済んでるのはそのせいか。
「どうも。ちょうど切らしていたところでした」
「えー、結構売れ残ってるよコレ?」
「空の調査隊のほとんどは地力到達してませんからね。後割と消耗品にしては高いですし」
「そうかな? クラン割引してもらってるからかあんまり高く感じたことないや」
「えっ、私は割引してもらったことないよ?」
【草】
【おい、クランマスター!】
【福利厚生がクランマスターに行き届いてない件】
「それはほら、君はサブマスターに色々丸投げしすぎだから。君専用の値段設定がされてるんじゃない? 僕たちは迷惑かけてないから普通に値引きしてもらえてるよ」
「はは、信用問題だったか。俺はそもそも空に上がらんからな。利用したことがないんだ」
「僕はよく買い付けに行ってますよ。AP問題は大体あれで解決出来ますし、娘なんかもお気に入りでAP関係なく求められるので僕の手持ちもすぐになくなってしまって」
「妙に後引く味だよね、コレ」
「そうなんですよ。見た目とのギャップが酷くて。子供心を掴んで離さないようです」
「と、いうわけで食べるかい、君たち」
「えー、真っ黒焦げじゃん。美味しいの、コレ?」
ニコニコしながら幻影達にお菓子を配る探偵さん。
アンラ君は手に取りまじまじ見ながら、しかし口に入れるのを躊躇しているようだ。
まぁ真っ黒な食品て基本食欲湧かないしね。
「俺も頂いていいか?」
「どうぞどうぞ。割引してもらってるから大量に買い付けられるんだ。無駄に余ってるから袋ごとあげるよ」
「すまんな。ほら、涅槃もどうだ?」
「マスターと一緒?」
「そうだ。せーのでいっしょにたべよう」
「それなら食べる!」
「ヤディスも食べる?」
「んー、スズちゃんと一緒なら」
「よし分かった。僕の分も残してくれるならいいよ」
「良かったね、スズちゃん」
そんな一連の流れを見て、スズキさんはこのままもらってしまっていいか迷っているようだった。
というか全員がマスターから手配りされているのに、自分だけがされてない。
僕も欲しいです。と目で訴えてくるスズキさんに、私は貰っておきなさいとウィンクしてやり、ヤディス君に混じってもりもりハンバーグ君からダークマターを授かっていた。
【第三者視点から見たら怪しい薬のやりとりにしか見えないよな、コレ】
【ほんそれ】
【しー、名場面を汚すな】
【言うほど名場面か? これ】
【いがみ合ってた魔道書と聖典が仲良く食事を分け合ってるシーンだぞ。名場面だろうが】
【いがみ合ってたのは一部だけだぞ】
【それ】
【親しき仲にも礼儀ありという言葉を知らないだめな大人達なんだよ。そっとして置いてやろう】
【謎の上から目線!】
光源問題を解決した私は解読する文字そのものが偽装されてる物だといち早く気がついた。
真なる言葉を組み合わせて一つのフレーズになる。
塔の一階に隠されてる文字は一つ。
それをナビゲートフェアリーの反応で確認する。
見えた!
その場面を切り取るようにシャッターを切り、画像に取り込むと<グラーキのかけらを獲得しました>と出た。
あっ あー、そう言う?
なんとなく状況を察してもりもりハンバーグ君達に向き直る。
「何か見つかりましたか?」
「あーうん。どうやらここ……グラーキのカケラを集めるための施設みたいだ」
「あっ」
「つまり?」
「ハンバーグ君の裏技発見でこの塔を攻略する意味が消えたと言う意味だな」
【コンブwww】
【海藻に草を生やすな】
【逆に聖典側は夢魔の鉄鉱石取り放題なんじゃね?】
【いやいや、そこは流石に祠だけだろ】
コメント欄でも察してくれたようだ。
私たちがいかに遠回りしているかを指摘してくれたように、ある種の気付きがもりもりハンバーグ君に謎の行動を取らせる。
ノミとハンマー。
それを使って塔の壁を削り、私へと寄越してきた。
それをスクリーンショットでパシャリ。
判定は見事に夢魔の鉄鉱石と出ている。
もしかしなくとも鉄鉱石フィーバーなのかもしれないね。
「よし、壊そう」
「そうだな、鉄鉱石は手元にいくらでも欲しい」
「その前に上層階の調査をしてからにしませんか? 壊すのはいつでもできるはずです」
「確かにそうだ。もし仮に私の仮説が事実だとしても、取れる素材までが全く同じとは限らないからね」
【仮にそうだとしても壊すの確定なのは草】
【塔を見つけたらまず周辺に何があるか調べるのが探索者の手段じゃねぇの?】
【周囲にいるのなんてバグ=シャースくらいだろ】
【あっ、もしかするとバグ=シャースの復活時間に関わりあるんじゃねぇ? この塔】
コメント欄の指摘に、壊す一択だった私たちの手がぴたりと止まる。
一度撃退したとはいえ、煮湯を飲まされた記憶はそうそう消えない。
私は素材を、探偵さんはリベンジをそれぞれ考えていた。
「少年、もう少し調査を続けようか?」
「そうだね。お互い目先のことに夢中になりすぎてるけど、本来私達は探索をしにきているのを忘れてはいけないよ?」
【諭すように言ってるけど、この人も類友だから】
【自然な流れでバグ=シャース討伐に誘ったもんな】
【それがなければあんな悲劇は起こらなかったわけで】
【あれ? 割と自業自得じゃね?】
【ちくわ大明神】
【なんだ今の?】
【誰だ今の】
【ちくわ大明神警察だ!】
【変なの来た】
【ちくわ自体が魚類殺しに関与してるから怒りを拭えない】
【つーて、普通に魚食うけどな俺ら】
【弱肉強食ですから】
【じゃあちくわOKじゃんか】
【なんだこの流れ】
そうして全部で9階層からなるこの塔を制覇する頃にはグラーキとの再戦が待っていて。
しかしどうにも様子がおかしい。
海中戦や陸上戦とは違い、今度のグラーキは空を自在に飛んでいるのだ。
因みに夢魔の鉄鉱石はレア判定で銀鉱石の入手を確認している。採掘技能の高さがレア判定の高さに繋がるので、探偵さんが掘ったら一発レアだったあたりから素材集めはその道のプロが行ったほうがいいだろうと決まった。
そしてグラーキ戦。
空を飛べるようになって鰓呼吸を忘れたかのようにしていたから海中に引き摺り込んだら溺れて死んだ。
海の上で勝負仕掛けてくる時点で負けは確定していた物だ。
なんせこっちはどざえもんさん以外空を飛べるし、どざえもんさんに至っては巨大化出来るのでどれだけ高く、早く飛べようと土俵の差は変わらなかったりするのだ。
意外と凶悪だったのは巨大化したどざえもんさんの精霊術かな?
あれ、扱う本人の体格で基準値を割り出すのか、普通に災害規模の津波を巻き起こしたり、海の底からの水鉄砲で上空を飛び交うグラーキを狙い撃ちしたりと出鱈目な強さを誇った。
この人が味方で良かったよ。
そして巨大化した時の精霊術の厄介さが身にしみた。
そこに仏聖典側の権能が付加されて攻撃に守りに大活躍だった。
なんだかんだで最後にいいところを持っていった探偵さんの断罪剣でフィニッシュ。
魔道書陣営のNPC、幻影、プレイヤーに特攻する上、攻撃力が増加していくのは本当のチートでしょ。
そしてグラーキ討伐後、
<ワールドアナウンス:グラーキの封印が完全に解かれました。本日より個体グラーキは通常モンスターとしてポップします>
はい、戦犯。
普通に戦って勝てる相手だけど、通常エンカウントするとなると話は別だ。しかし素材集めはしやすくなっただろう。
というか、出現場所が特に指定されてない。
私たちは顔を見合わせ、笑って誤魔化すことにした。
どうせアナウンスが聞こえたのは私たちくらいだ。
黙っておけば平気である。
そういう事にした。
それは直下型地震のようにこの祠全体が揺れているようだった。
私は即座にパーティー申請を送り、輸送+リフトボードで身の安全を確保した。
そして揺れない足場で入り口付近まで着くと、祠が塔の最上階のように大地から迫り上がっていた。
これはつまり……
「お義父さん、これはもしかすると……」
上に伸びていく祠。
多分だけどこのままいけば地上に出るだろうね。
それくらい長い地響き。
私たちを外に送り出した後も、祠は上に上に伸びていく。
「いやぁ、壮観だね」
「上に伸びていくのはわかるが、問題はその足場部分が塔の形になっているのが気になるな」
のんびり口調の探偵さんと真剣な口調で考察を始めるどざえもんさん。
「さて、そろそろ塔の入り口が見えてくる頃だよ?」
「なぜそうだと分かる?」
「もちろん勘だけど?」
「諦めなよ、どざえもん氏。この人の勘はよく当たる」
「はは、違いない」
さまざまな考察を交えながら、私たちは地鳴りが収まるのを待つ。まるで封印が完璧に解かれたように、高く伸びた塔の最下層。その入り口をどざえもんさんの精霊術でヒントを探って入塔。
どうもこの塔部分は聖典側のために用意されたものらしい。
と、言っても今回はたまたまそのスキルを収めているのが聖典側の人員だったという気がしないでもないが。
「少年、解読は可能?」
「このメンツにレムリア勢はいないからな。ムー言語なら解読できるが、オールマイティとなるとアキカゼさんに頼む他なくなる」
塔の一階は壁画で埋まっており、早速それの解読を求められた。早速白旗を上げた探偵さんとどざえもんさん。
アトランティス言語でもなければムー言語でもない?
なら残るはレムリアか? と思うのが一般的だが、スクリーンショットをかざしてもそれらしい情報が見えてこない。
「誰か、明かりを灯してくれる?」
「|◉〻◉)じゃあ僕光っておきますね?」
早速出来そうな役割を手に入れてウキウキ気分のスズキさん。
しかしかの字が率先してやりたがる場合、コメディ寄りになるのはご愛嬌で。
「やめて、そのぼやぁと浮かび上がる点灯! 明るい時間が短すぎるし!」
「変顔しないと光れないのか?」
【こwれwはw】
【九の試練を思い出させますなぁ】
【この人昔っからそうだったな】
【ネタを挟まないと呼吸ができないのかな?】
「|◉〻◉)文句を言うなら自分でやってください! 僕だって一生懸命体を張ってると言うのに!」
「張ってる場所が違うと言うか。まぁお義父さん付きの照明は僕がやりますから、スズキさんはリスナーさん担当をよろしくお願いします」
「|ー〻ー)ゞ ガッテン!」
【おいwww】
【ハンバーグさぁん、こっちに被害寄せないでください】
【前々から思ってたけどこの人割と鬼畜だよな】
「まぁ冗談はともかく、陽光操作ぐらいは僕に任せてくれていいよ。こいつをつまみながらほどほどにやろう」
ここでようやく重い腰を上げた探偵さん。
さっさと名乗り出ればいいのに、見てられないとばかりに前に出るあたりは登場タイミングを見計らってたな?
もりもりハンバーグ君にダークマターを差し入れしながら手の平から浮かび上がる光の球を生み出し、それを塔の中央に添えて光量を調節。光源の確保薬を奪われたスズキさんは憤慨しながら探偵さんに付き纏っている。
それをガードしにアンラ君とスプンタ君が前に出て取っ組み合いの喧嘩をしていた。
見ている分には子供の喧嘩だ。
殺しはしないだろう。というかパーティ組んでるからフレンドリーファイヤは適応しない。子供の喧嘩で済んでるのはそのせいか。
「どうも。ちょうど切らしていたところでした」
「えー、結構売れ残ってるよコレ?」
「空の調査隊のほとんどは地力到達してませんからね。後割と消耗品にしては高いですし」
「そうかな? クラン割引してもらってるからかあんまり高く感じたことないや」
「えっ、私は割引してもらったことないよ?」
【草】
【おい、クランマスター!】
【福利厚生がクランマスターに行き届いてない件】
「それはほら、君はサブマスターに色々丸投げしすぎだから。君専用の値段設定がされてるんじゃない? 僕たちは迷惑かけてないから普通に値引きしてもらえてるよ」
「はは、信用問題だったか。俺はそもそも空に上がらんからな。利用したことがないんだ」
「僕はよく買い付けに行ってますよ。AP問題は大体あれで解決出来ますし、娘なんかもお気に入りでAP関係なく求められるので僕の手持ちもすぐになくなってしまって」
「妙に後引く味だよね、コレ」
「そうなんですよ。見た目とのギャップが酷くて。子供心を掴んで離さないようです」
「と、いうわけで食べるかい、君たち」
「えー、真っ黒焦げじゃん。美味しいの、コレ?」
ニコニコしながら幻影達にお菓子を配る探偵さん。
アンラ君は手に取りまじまじ見ながら、しかし口に入れるのを躊躇しているようだ。
まぁ真っ黒な食品て基本食欲湧かないしね。
「俺も頂いていいか?」
「どうぞどうぞ。割引してもらってるから大量に買い付けられるんだ。無駄に余ってるから袋ごとあげるよ」
「すまんな。ほら、涅槃もどうだ?」
「マスターと一緒?」
「そうだ。せーのでいっしょにたべよう」
「それなら食べる!」
「ヤディスも食べる?」
「んー、スズちゃんと一緒なら」
「よし分かった。僕の分も残してくれるならいいよ」
「良かったね、スズちゃん」
そんな一連の流れを見て、スズキさんはこのままもらってしまっていいか迷っているようだった。
というか全員がマスターから手配りされているのに、自分だけがされてない。
僕も欲しいです。と目で訴えてくるスズキさんに、私は貰っておきなさいとウィンクしてやり、ヤディス君に混じってもりもりハンバーグ君からダークマターを授かっていた。
【第三者視点から見たら怪しい薬のやりとりにしか見えないよな、コレ】
【ほんそれ】
【しー、名場面を汚すな】
【言うほど名場面か? これ】
【いがみ合ってた魔道書と聖典が仲良く食事を分け合ってるシーンだぞ。名場面だろうが】
【いがみ合ってたのは一部だけだぞ】
【それ】
【親しき仲にも礼儀ありという言葉を知らないだめな大人達なんだよ。そっとして置いてやろう】
【謎の上から目線!】
光源問題を解決した私は解読する文字そのものが偽装されてる物だといち早く気がついた。
真なる言葉を組み合わせて一つのフレーズになる。
塔の一階に隠されてる文字は一つ。
それをナビゲートフェアリーの反応で確認する。
見えた!
その場面を切り取るようにシャッターを切り、画像に取り込むと<グラーキのかけらを獲得しました>と出た。
あっ あー、そう言う?
なんとなく状況を察してもりもりハンバーグ君達に向き直る。
「何か見つかりましたか?」
「あーうん。どうやらここ……グラーキのカケラを集めるための施設みたいだ」
「あっ」
「つまり?」
「ハンバーグ君の裏技発見でこの塔を攻略する意味が消えたと言う意味だな」
【コンブwww】
【海藻に草を生やすな】
【逆に聖典側は夢魔の鉄鉱石取り放題なんじゃね?】
【いやいや、そこは流石に祠だけだろ】
コメント欄でも察してくれたようだ。
私たちがいかに遠回りしているかを指摘してくれたように、ある種の気付きがもりもりハンバーグ君に謎の行動を取らせる。
ノミとハンマー。
それを使って塔の壁を削り、私へと寄越してきた。
それをスクリーンショットでパシャリ。
判定は見事に夢魔の鉄鉱石と出ている。
もしかしなくとも鉄鉱石フィーバーなのかもしれないね。
「よし、壊そう」
「そうだな、鉄鉱石は手元にいくらでも欲しい」
「その前に上層階の調査をしてからにしませんか? 壊すのはいつでもできるはずです」
「確かにそうだ。もし仮に私の仮説が事実だとしても、取れる素材までが全く同じとは限らないからね」
【仮にそうだとしても壊すの確定なのは草】
【塔を見つけたらまず周辺に何があるか調べるのが探索者の手段じゃねぇの?】
【周囲にいるのなんてバグ=シャースくらいだろ】
【あっ、もしかするとバグ=シャースの復活時間に関わりあるんじゃねぇ? この塔】
コメント欄の指摘に、壊す一択だった私たちの手がぴたりと止まる。
一度撃退したとはいえ、煮湯を飲まされた記憶はそうそう消えない。
私は素材を、探偵さんはリベンジをそれぞれ考えていた。
「少年、もう少し調査を続けようか?」
「そうだね。お互い目先のことに夢中になりすぎてるけど、本来私達は探索をしにきているのを忘れてはいけないよ?」
【諭すように言ってるけど、この人も類友だから】
【自然な流れでバグ=シャース討伐に誘ったもんな】
【それがなければあんな悲劇は起こらなかったわけで】
【あれ? 割と自業自得じゃね?】
【ちくわ大明神】
【なんだ今の?】
【誰だ今の】
【ちくわ大明神警察だ!】
【変なの来た】
【ちくわ自体が魚類殺しに関与してるから怒りを拭えない】
【つーて、普通に魚食うけどな俺ら】
【弱肉強食ですから】
【じゃあちくわOKじゃんか】
【なんだこの流れ】
そうして全部で9階層からなるこの塔を制覇する頃にはグラーキとの再戦が待っていて。
しかしどうにも様子がおかしい。
海中戦や陸上戦とは違い、今度のグラーキは空を自在に飛んでいるのだ。
因みに夢魔の鉄鉱石はレア判定で銀鉱石の入手を確認している。採掘技能の高さがレア判定の高さに繋がるので、探偵さんが掘ったら一発レアだったあたりから素材集めはその道のプロが行ったほうがいいだろうと決まった。
そしてグラーキ戦。
空を飛べるようになって鰓呼吸を忘れたかのようにしていたから海中に引き摺り込んだら溺れて死んだ。
海の上で勝負仕掛けてくる時点で負けは確定していた物だ。
なんせこっちはどざえもんさん以外空を飛べるし、どざえもんさんに至っては巨大化出来るのでどれだけ高く、早く飛べようと土俵の差は変わらなかったりするのだ。
意外と凶悪だったのは巨大化したどざえもんさんの精霊術かな?
あれ、扱う本人の体格で基準値を割り出すのか、普通に災害規模の津波を巻き起こしたり、海の底からの水鉄砲で上空を飛び交うグラーキを狙い撃ちしたりと出鱈目な強さを誇った。
この人が味方で良かったよ。
そして巨大化した時の精霊術の厄介さが身にしみた。
そこに仏聖典側の権能が付加されて攻撃に守りに大活躍だった。
なんだかんだで最後にいいところを持っていった探偵さんの断罪剣でフィニッシュ。
魔道書陣営のNPC、幻影、プレイヤーに特攻する上、攻撃力が増加していくのは本当のチートでしょ。
そしてグラーキ討伐後、
<ワールドアナウンス:グラーキの封印が完全に解かれました。本日より個体グラーキは通常モンスターとしてポップします>
はい、戦犯。
普通に戦って勝てる相手だけど、通常エンカウントするとなると話は別だ。しかし素材集めはしやすくなっただろう。
というか、出現場所が特に指定されてない。
私たちは顔を見合わせ、笑って誤魔化すことにした。
どうせアナウンスが聞こえたのは私たちくらいだ。
黙っておけば平気である。
そういう事にした。
あなたにおすすめの小説
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた
歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
無実の罪で謹慎中ですが、静かな暮らしが快適なので戻る気はありません
けろ
恋愛
王太子妃候補だった伯爵令嬢エレシア・ヴァレンティスは、ある日突然、身に覚えのない疑いをかけられ、婚約破棄と無期限謹慎を言い渡される。
外出禁止。職務停止。干渉禁止。
誰がどう見ても理不尽な処分――のはずだった。
けれどエレシアは、その命令を前にして気づいてしまう。
誰にも呼ばれない。誰にも期待されない。誰にも干渉されない。
それは、前世で決して手に入らなかった“静かな時間”そのものだと。
こうして始まった、誰にも邪魔されない穏やかな謹慎生活。
一方その頃、彼女を切り捨てた王城では、思わぬ方向へ事態が転がり始めて――?
これは、無実の罪で閉じ込められた令嬢が、皮肉にも理想の生活を手に入れてしまう物語。
叫ばず、争わず、ただ静かに距離を取ることで完成する、異色の婚約破棄ざまぁです。
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。