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【ミルモの章Ⅰ】8/3【月】AWO、WBO_配信4日目
265_WBO配信!_交換条件
「それじゃ、あたしたちはディノちゃんが使う鉱石素材を集めてくるね。あたしの矢が唸るぜ」
すっかりシーフードピザの恩恵を物にしたお姉ちゃんが怖いもの無しみたいな顔で言った。
「いってらっしゃい。ファンサでピザを焼いてるから、切れたら取りに来てね」
私はその間もファンサービス用のピザを焼き続ける。
もはやptなど知ったことではない。
なんかそんなイベントあったね、くらいのものである。
「すまぬのう。ではアイアン鉱を100、シルバー鉱を200ほど掘ってきてくれぬか? 専用の装備もおまけしよう」
:桁www
:ちょっと行って取ってくるって桁じゃねーのよ
:高級装備だっけ?
:ここ、チュートリアルサーバなんよな
:俺たちは伝説を垣間見ている
「そんなにいる?」
「スタックの最大数は99。せいぜい2、3枠埋める程度じゃろ? 余裕じゃな。吾輩が篭れば念の為で500は掘る。それに比べたら辞儀のようなものよ。足りない分はファンサービスを兼ねて現物交換じゃな」
:鍛治基準やめろ
:本当にそんなに使うの?
:武器製作の基準が鉱石じゃなくてインゴットの時点でお察し
:インゴット一本作るのに10~20消費
:なお、普通に失敗する
:あくまで予備なのか
:鍛冶屋に撮っちゃ、ここでいかに失敗しないかで売値が変わる
:鍛冶屋の失敗を価格に入れるな
:元は取りたいだろ?
:他人に負債を抱えさせるなって話だよ
:武器がやたら高いのってそういうことなの?
「基本は技術料じゃぞ。WBOは武器性能の基本が前提にある。店売りはあくまでも平均値。オーダーメイドはそこからピンキリじゃ。店売りを少しでも上回る腕があれば、多少値段に色をつけても良いと思うじゃろ? 吾輩は新参者ゆえ、そこら辺は疎いが。ギルド側で販売額を公平に決めておる。NPCの職人にだって腕に覚えがあるんじゃな。その職人に認められて、ギルドに名前を覚えられて高値で販売できるようになる。個人での販売はギルドで許可がないとできるようになってないのでの」
:あれ、じゃあディノちゃんは?
「吾輩は金をとっておらん。現物同士の物々交換は鍛冶屋同士での暗黙の了解じゃな。メインはお互いの腕を磨く目的じゃ」
:おまっwww
:めちゃくちゃグレーゾーンやんけ
:え、これ受け取って大丈夫なやつだった?
:あまり自慢しない方向ならOK
:めちゃくちゃ自慢した後だ
:合掌
「なので、吾輩と切磋琢磨したい職人が来てくれたら嬉しい。別にそれでも構わないプレイヤーでもウェルカム。吾輩はハヤテ殿と同様、武器さえ撃てたらそれで構わぬタチ故な」
:あー、そういう意味での理解者か
:素材がやたら必要なのは鍛治仲間向けなのね
:俺も鍛治齧ってるけど、実際初めて触る金属でその数でものになるの?
:鍛治的にその量って難しいのか?
:俺ならダメ元消費の熟練度上げで300は使う
:それは消費しすぎじゃねぇの?
:いや、実際にみんなそれくらいだ
:店売りぜいはもっと消費するって聞いたぞ
:なんでディノちゃんはその数ですむの?
「普通にもうシルバーの『熱感応』『伸び』『耐久』を把握しておるからじゃな。溶かす温度と固まる温度も把握しておる。この時間までずっとWBOのシルバーの特性検証にかけておった。消費したシルバー鉱は500じゃ効かぬぞ?」
:あ、そうですよね
:それはそう
:ずっとこもって消費してたか
:そりゃなんも言えんわ
:熟練度上げの功績を持ってきてとは言えんわな
:この熟練度上げは仲間のため、と言っても現物にならないものに無駄働はしたくないか
:確実に足りる量を見切って持ってきてって話なのね
:把握
:まじでガチ勢じゃんか
:武器が異様に高い理由を知った
:まじで職人の腕によるからな
:なのでクランは育ち切った職人を募集しがち
:アイアンで攻撃力+26作る職人はどこでも欲しい件
:ディノちゃんは精錬関連のスペシャリストだから手元に置いときたいってクランは多いか
「あいにくと、吾輩のプラットホームはAWO故な。ハヤテ殿と同様配信以外での参加は予定しておらぬ。本来なら侍としての立ち回りを求めるのじゃが。武器の質が悪いので自分で鍛えていると言ったところよ」
:さーせん
:いや、チュートリアルから本物求めすぎでしょ
:そのサーバはドロップ武器でなんとかするところだから
:攻撃力+10でも十分足りるんだよなぁ
:ガチ刀匠の侍とかwww
:そういえばAWOの武器も自作なんだ?
「吾輩は可変武器に魅力を感じるロマン勢ゆえな。アトランティスではそれほどの精度のものを作れなんだ。故にレムリア陣営で日々変態武装を制作しておる」
:自分で変態って言っちゃった
:お面の力を借りなきゃ、恥ずかしくて隠れちゃう性質なのに
:弱み以上の強みを持ってる子なんやな
:いや、弱みのうちに入らないでしょ
:ロマン武器、いいよね
コメント欄はすっかりディノちゃんの話題に夢中だね。
その間に私はオロオロしている聖女様に話しかけた。
「ごめんなさい、うちのパーティってあまりにも自由でしょ?」
「いいえ、こう言った遊び方もあるのですね」
「遊び方に理屈は必要ないよ。うちの遊びの趣旨はやりたいことを好きなようにやる、だから」
「羨ましいです。私の家庭はやることを事前に決めて、その通りにやるのが当たり前でしたから」
おっと、社会の闇を感じた。
もしかして今のゲームの配役もご両親が?
聞けば頷く始末。
まぁ親からしたら課金が跋扈してるゲームに娘を放り込んで気にならないわけないもんね。
うちのお母さんだって、配信を通じてどんなゲームをしてるかでのチェックはする。
けど、遊び方にまで口を出すのはあまりにも越権行為じゃないかな?
いや、この場合は先に両親がこのゲームで遊んでたパターンもあるかな?
「ご両親もこのゲームに参加されてるんですか?」
「あ、はいそうです。クランマスターがお父さんで」
お母さんがサブマスターということらしい。
「おー、別のゲームではうちのおじいちゃんたちがクランのマスターさんをしてるんだよ」
「やはりどこのご家庭でも子供は親の所属するクランに所属するものなんだね」
「あー、どうかな? 私たちは特にクランに誘われたりはしてないんだよね」
「そうなの?」
「うん、ただどんな遊びしてるか知りたいからって配信をするようには言われてる」
「この配信はご両親からの配慮でしたのね」
配慮というか、なんというか。
「そんな感じだねー。それよりも聖女様」
「エレインでいいわよ」
「じゃ、エレインさん」
「多分同じくらいの年齢だし、さん付けは」
「うーん、じゃエレインちゃん」
「ちゃんは少し恥ずかしいかも」
ちゃん付けはお気に召さないようだ。
「レインちゃんなら?」
「それなら、恥ずかしくはないかも。でも、他の方からそのような呼ばれ方、初めてかもしれません」
ちょっとしたあだ名のようなものをつけると、満更でもなさそうな顔をした。
今まで交友関係もご両親からキツく言われているようだ。
それはまた息苦しいよね。
:お、ハヤテちゃんが聖女様を口説いてるそ
「口説くだなんて、ただちょっと話してただけだよ」
:ディノちゃんの予約に夢中になってる間に
「まぁまぁ、ただの世間話だよ。両親がクラン入ってると、その子供も同じクランに所属しなくちゃいけないのかなーって」
:ああー
:わからなくもない
:親としては子供がどこで何をしてるか心配だもんなー
「うちの親は私に配信させてますけどね」
:なお、課金したきゃ稼げとまで言われてる
:ひでえ親だ
:逆に、それぐらいやってみせると信頼されてるんだろ
:ハヤテちゃんだしな
:なお、簡単に上回った模様
:¥5000
:¥3000
:¥1000
:¥10000
:思い出した様にスパチャしてきた
:なんかうっかり忘れちまうんだよなー
:いい感じに思い出せた
「ほどほどで大丈夫ですよー。なんか催促したみたいですいません。おかげさまでEPOは月額で遊ばせていただいてます。みなさんのおかげです」
:いやいや、こちらこそ楽しませてもらってるからね
:ほんと、むしろお金払わせてって
「配信て悪いイメージしかなかったんですけど、ハヤテさんの周りは優しい方が多いんですね」
「んー、どうだろ?」
:おいおい
:優しさの権化やろ?
「お姉ちゃんと私を対立させようとしたこと、まだ根に持ってるんだよね」
:あ……
:あれは
:うーん
:あの頃は民度悪かったもんね
:民度悪いやつはSAN値直送されたやろ
:直々に葬った感じやな
「さん……なんですか?」
:教会と相性悪いやつや
:まさか怪異を召喚してお仕置きするとは思わなかった
:AWOあるあるや
:くれくれ勢はあれで死んだよな
「何はともあれ、配信はいいことも悪いこともあるよ。リスナーさんとの付き合い方でそれは大きく変わるんだ。私たちのリスナーさんは最近ようやく物分かりが良くなってきたくらい」
:なお、配信初めて四日目である
「なんだかいろんなゲームやってるのもあって、まだそんなに日数経ってない気がしないんだよねー」
「え、結構手慣れてる感じがしたんですが、まだ数日だったんですか?」
「そうなんだよね。本来はモミジちゃんのお父さんが開発しているEPOのダメ出しをする前提で始めたんだー」
:おいwww
:ダメ出しって言っちゃった
:あまりにも事実
「それが、どうしてこちらのゲームも?」
「お姉ちゃんが神ゲーと呼んでるWBOと、私が神ゲーと思ってるAWOを実際に遊んで比べてから、。そのゲームで遊んで率直なかんそうをいうことから始まった企画なんだよね」
「そうだったんですね、それでEPOというゲームは?」
「みんなが言うほどつまらないゲームじゃなかったんだよね。そりゃ、最初こそとっつきにくいところはあったよ。でもそれは運営側の配慮が足りないだけだった。私たちが面白いところを発掘してから、プレイヤーがあのゲームの本当の楽しみ方を気がついたの。だから本当はもう配信を続けなくても良くなったんだけど」
:ハヤテちゃんのお小遣い問題が急遽浮上
:EPOの月額課金以外に課金をしたければ投げ銭もらいなさいって言われたんだよな
「そうなんです」
「切実な事情なんですね」
「まぁ、こうやって優しいリスナーさんが思い出した時に投げ銭してくれるので、楽しく遊んでるよ。特に何か目標があるわけでもないんだけど」
「イベントは、完全に眼中にないと?」
「あー、うんまぁ。イベントキーを引いた当人としてはそれなりに参加するつもりではいるけど、トップを取ろうと言う気まではないね」
「そうだったんですね。それで、うちのクランに入会するお話なんだけど」
「あー、それなんだけど。条件を呑んでくれたら別に参加してもいいかなって思ってるよ」
「え、いいんですか?」
「うん、交換条件でね」
その交換条件は、私がWBOにログインしている間だけ、配信にエレインさんを借りる、一緒に遊ぶと言うものだった。
あと、クランの強制的な指示は受けないことと、聖女イベントが終了次第抜けることを了承すれば、入らなくもないと言うものにした。
「ずっとは居てくれないんですか」
「私は夏休みの間だけ、遊んでるからね。学校始まったら、そんなに頻繁にログインできなくなっちゃうもん」
「まだ学生さんだったんですね」
「そうだよ、中学2年生なんだ。学校に行ってれば」
「行ってれば?」
「そうそう、私は寝たきりで、最近こうやってゲームで遊べるようになったから。WBOにはお姉ちゃんが誘ってくれたんだよ。お母さんが配信で経過を見て、今の状態だったら編入できるか持って手配してくれて」
「あ……私ったら、なんて自分勝手なお願いを……」
私の境遇を知って、勝手に落ち込んじゃった。
まぁ私が寝たきりだったなんて、誰も信じないもの。
配信を見た人含めて「嘘だー」と思ってしまうのも含めて予測済み。
「あはは、もう言われ慣れたよ。私はどうも他の子よりアグレッシブにのめり込んじゃう性質でね」
「先ほどの料理もお見事でした」
「ありがと。調理人としては味を褒められるのが一番嬉しいからね」
「では、ハヤテさんのクラン加入の条件を、お父様にお話ししてみます」
そう言って、レインちゃんはログアウトした。
サブからメインに変わったのだろう。
でも私、メインのレインちゃんと面識ないんだよね。
その時はサブにメッセージ来るかな?
すっかりシーフードピザの恩恵を物にしたお姉ちゃんが怖いもの無しみたいな顔で言った。
「いってらっしゃい。ファンサでピザを焼いてるから、切れたら取りに来てね」
私はその間もファンサービス用のピザを焼き続ける。
もはやptなど知ったことではない。
なんかそんなイベントあったね、くらいのものである。
「すまぬのう。ではアイアン鉱を100、シルバー鉱を200ほど掘ってきてくれぬか? 専用の装備もおまけしよう」
:桁www
:ちょっと行って取ってくるって桁じゃねーのよ
:高級装備だっけ?
:ここ、チュートリアルサーバなんよな
:俺たちは伝説を垣間見ている
「そんなにいる?」
「スタックの最大数は99。せいぜい2、3枠埋める程度じゃろ? 余裕じゃな。吾輩が篭れば念の為で500は掘る。それに比べたら辞儀のようなものよ。足りない分はファンサービスを兼ねて現物交換じゃな」
:鍛治基準やめろ
:本当にそんなに使うの?
:武器製作の基準が鉱石じゃなくてインゴットの時点でお察し
:インゴット一本作るのに10~20消費
:なお、普通に失敗する
:あくまで予備なのか
:鍛冶屋に撮っちゃ、ここでいかに失敗しないかで売値が変わる
:鍛冶屋の失敗を価格に入れるな
:元は取りたいだろ?
:他人に負債を抱えさせるなって話だよ
:武器がやたら高いのってそういうことなの?
「基本は技術料じゃぞ。WBOは武器性能の基本が前提にある。店売りはあくまでも平均値。オーダーメイドはそこからピンキリじゃ。店売りを少しでも上回る腕があれば、多少値段に色をつけても良いと思うじゃろ? 吾輩は新参者ゆえ、そこら辺は疎いが。ギルド側で販売額を公平に決めておる。NPCの職人にだって腕に覚えがあるんじゃな。その職人に認められて、ギルドに名前を覚えられて高値で販売できるようになる。個人での販売はギルドで許可がないとできるようになってないのでの」
:あれ、じゃあディノちゃんは?
「吾輩は金をとっておらん。現物同士の物々交換は鍛冶屋同士での暗黙の了解じゃな。メインはお互いの腕を磨く目的じゃ」
:おまっwww
:めちゃくちゃグレーゾーンやんけ
:え、これ受け取って大丈夫なやつだった?
:あまり自慢しない方向ならOK
:めちゃくちゃ自慢した後だ
:合掌
「なので、吾輩と切磋琢磨したい職人が来てくれたら嬉しい。別にそれでも構わないプレイヤーでもウェルカム。吾輩はハヤテ殿と同様、武器さえ撃てたらそれで構わぬタチ故な」
:あー、そういう意味での理解者か
:素材がやたら必要なのは鍛治仲間向けなのね
:俺も鍛治齧ってるけど、実際初めて触る金属でその数でものになるの?
:鍛治的にその量って難しいのか?
:俺ならダメ元消費の熟練度上げで300は使う
:それは消費しすぎじゃねぇの?
:いや、実際にみんなそれくらいだ
:店売りぜいはもっと消費するって聞いたぞ
:なんでディノちゃんはその数ですむの?
「普通にもうシルバーの『熱感応』『伸び』『耐久』を把握しておるからじゃな。溶かす温度と固まる温度も把握しておる。この時間までずっとWBOのシルバーの特性検証にかけておった。消費したシルバー鉱は500じゃ効かぬぞ?」
:あ、そうですよね
:それはそう
:ずっとこもって消費してたか
:そりゃなんも言えんわ
:熟練度上げの功績を持ってきてとは言えんわな
:この熟練度上げは仲間のため、と言っても現物にならないものに無駄働はしたくないか
:確実に足りる量を見切って持ってきてって話なのね
:把握
:まじでガチ勢じゃんか
:武器が異様に高い理由を知った
:まじで職人の腕によるからな
:なのでクランは育ち切った職人を募集しがち
:アイアンで攻撃力+26作る職人はどこでも欲しい件
:ディノちゃんは精錬関連のスペシャリストだから手元に置いときたいってクランは多いか
「あいにくと、吾輩のプラットホームはAWO故な。ハヤテ殿と同様配信以外での参加は予定しておらぬ。本来なら侍としての立ち回りを求めるのじゃが。武器の質が悪いので自分で鍛えていると言ったところよ」
:さーせん
:いや、チュートリアルから本物求めすぎでしょ
:そのサーバはドロップ武器でなんとかするところだから
:攻撃力+10でも十分足りるんだよなぁ
:ガチ刀匠の侍とかwww
:そういえばAWOの武器も自作なんだ?
「吾輩は可変武器に魅力を感じるロマン勢ゆえな。アトランティスではそれほどの精度のものを作れなんだ。故にレムリア陣営で日々変態武装を制作しておる」
:自分で変態って言っちゃった
:お面の力を借りなきゃ、恥ずかしくて隠れちゃう性質なのに
:弱み以上の強みを持ってる子なんやな
:いや、弱みのうちに入らないでしょ
:ロマン武器、いいよね
コメント欄はすっかりディノちゃんの話題に夢中だね。
その間に私はオロオロしている聖女様に話しかけた。
「ごめんなさい、うちのパーティってあまりにも自由でしょ?」
「いいえ、こう言った遊び方もあるのですね」
「遊び方に理屈は必要ないよ。うちの遊びの趣旨はやりたいことを好きなようにやる、だから」
「羨ましいです。私の家庭はやることを事前に決めて、その通りにやるのが当たり前でしたから」
おっと、社会の闇を感じた。
もしかして今のゲームの配役もご両親が?
聞けば頷く始末。
まぁ親からしたら課金が跋扈してるゲームに娘を放り込んで気にならないわけないもんね。
うちのお母さんだって、配信を通じてどんなゲームをしてるかでのチェックはする。
けど、遊び方にまで口を出すのはあまりにも越権行為じゃないかな?
いや、この場合は先に両親がこのゲームで遊んでたパターンもあるかな?
「ご両親もこのゲームに参加されてるんですか?」
「あ、はいそうです。クランマスターがお父さんで」
お母さんがサブマスターということらしい。
「おー、別のゲームではうちのおじいちゃんたちがクランのマスターさんをしてるんだよ」
「やはりどこのご家庭でも子供は親の所属するクランに所属するものなんだね」
「あー、どうかな? 私たちは特にクランに誘われたりはしてないんだよね」
「そうなの?」
「うん、ただどんな遊びしてるか知りたいからって配信をするようには言われてる」
「この配信はご両親からの配慮でしたのね」
配慮というか、なんというか。
「そんな感じだねー。それよりも聖女様」
「エレインでいいわよ」
「じゃ、エレインさん」
「多分同じくらいの年齢だし、さん付けは」
「うーん、じゃエレインちゃん」
「ちゃんは少し恥ずかしいかも」
ちゃん付けはお気に召さないようだ。
「レインちゃんなら?」
「それなら、恥ずかしくはないかも。でも、他の方からそのような呼ばれ方、初めてかもしれません」
ちょっとしたあだ名のようなものをつけると、満更でもなさそうな顔をした。
今まで交友関係もご両親からキツく言われているようだ。
それはまた息苦しいよね。
:お、ハヤテちゃんが聖女様を口説いてるそ
「口説くだなんて、ただちょっと話してただけだよ」
:ディノちゃんの予約に夢中になってる間に
「まぁまぁ、ただの世間話だよ。両親がクラン入ってると、その子供も同じクランに所属しなくちゃいけないのかなーって」
:ああー
:わからなくもない
:親としては子供がどこで何をしてるか心配だもんなー
「うちの親は私に配信させてますけどね」
:なお、課金したきゃ稼げとまで言われてる
:ひでえ親だ
:逆に、それぐらいやってみせると信頼されてるんだろ
:ハヤテちゃんだしな
:なお、簡単に上回った模様
:¥5000
:¥3000
:¥1000
:¥10000
:思い出した様にスパチャしてきた
:なんかうっかり忘れちまうんだよなー
:いい感じに思い出せた
「ほどほどで大丈夫ですよー。なんか催促したみたいですいません。おかげさまでEPOは月額で遊ばせていただいてます。みなさんのおかげです」
:いやいや、こちらこそ楽しませてもらってるからね
:ほんと、むしろお金払わせてって
「配信て悪いイメージしかなかったんですけど、ハヤテさんの周りは優しい方が多いんですね」
「んー、どうだろ?」
:おいおい
:優しさの権化やろ?
「お姉ちゃんと私を対立させようとしたこと、まだ根に持ってるんだよね」
:あ……
:あれは
:うーん
:あの頃は民度悪かったもんね
:民度悪いやつはSAN値直送されたやろ
:直々に葬った感じやな
「さん……なんですか?」
:教会と相性悪いやつや
:まさか怪異を召喚してお仕置きするとは思わなかった
:AWOあるあるや
:くれくれ勢はあれで死んだよな
「何はともあれ、配信はいいことも悪いこともあるよ。リスナーさんとの付き合い方でそれは大きく変わるんだ。私たちのリスナーさんは最近ようやく物分かりが良くなってきたくらい」
:なお、配信初めて四日目である
「なんだかいろんなゲームやってるのもあって、まだそんなに日数経ってない気がしないんだよねー」
「え、結構手慣れてる感じがしたんですが、まだ数日だったんですか?」
「そうなんだよね。本来はモミジちゃんのお父さんが開発しているEPOのダメ出しをする前提で始めたんだー」
:おいwww
:ダメ出しって言っちゃった
:あまりにも事実
「それが、どうしてこちらのゲームも?」
「お姉ちゃんが神ゲーと呼んでるWBOと、私が神ゲーと思ってるAWOを実際に遊んで比べてから、。そのゲームで遊んで率直なかんそうをいうことから始まった企画なんだよね」
「そうだったんですね、それでEPOというゲームは?」
「みんなが言うほどつまらないゲームじゃなかったんだよね。そりゃ、最初こそとっつきにくいところはあったよ。でもそれは運営側の配慮が足りないだけだった。私たちが面白いところを発掘してから、プレイヤーがあのゲームの本当の楽しみ方を気がついたの。だから本当はもう配信を続けなくても良くなったんだけど」
:ハヤテちゃんのお小遣い問題が急遽浮上
:EPOの月額課金以外に課金をしたければ投げ銭もらいなさいって言われたんだよな
「そうなんです」
「切実な事情なんですね」
「まぁ、こうやって優しいリスナーさんが思い出した時に投げ銭してくれるので、楽しく遊んでるよ。特に何か目標があるわけでもないんだけど」
「イベントは、完全に眼中にないと?」
「あー、うんまぁ。イベントキーを引いた当人としてはそれなりに参加するつもりではいるけど、トップを取ろうと言う気まではないね」
「そうだったんですね。それで、うちのクランに入会するお話なんだけど」
「あー、それなんだけど。条件を呑んでくれたら別に参加してもいいかなって思ってるよ」
「え、いいんですか?」
「うん、交換条件でね」
その交換条件は、私がWBOにログインしている間だけ、配信にエレインさんを借りる、一緒に遊ぶと言うものだった。
あと、クランの強制的な指示は受けないことと、聖女イベントが終了次第抜けることを了承すれば、入らなくもないと言うものにした。
「ずっとは居てくれないんですか」
「私は夏休みの間だけ、遊んでるからね。学校始まったら、そんなに頻繁にログインできなくなっちゃうもん」
「まだ学生さんだったんですね」
「そうだよ、中学2年生なんだ。学校に行ってれば」
「行ってれば?」
「そうそう、私は寝たきりで、最近こうやってゲームで遊べるようになったから。WBOにはお姉ちゃんが誘ってくれたんだよ。お母さんが配信で経過を見て、今の状態だったら編入できるか持って手配してくれて」
「あ……私ったら、なんて自分勝手なお願いを……」
私の境遇を知って、勝手に落ち込んじゃった。
まぁ私が寝たきりだったなんて、誰も信じないもの。
配信を見た人含めて「嘘だー」と思ってしまうのも含めて予測済み。
「あはは、もう言われ慣れたよ。私はどうも他の子よりアグレッシブにのめり込んじゃう性質でね」
「先ほどの料理もお見事でした」
「ありがと。調理人としては味を褒められるのが一番嬉しいからね」
「では、ハヤテさんのクラン加入の条件を、お父様にお話ししてみます」
そう言って、レインちゃんはログアウトした。
サブからメインに変わったのだろう。
でも私、メインのレインちゃんと面識ないんだよね。
その時はサブにメッセージ来るかな?
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汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。
スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。
この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。
魔力は毒である。代謝こそが命である。
軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。
でも、だからこそ――まず1話、読んでください。
【最新情報&著者プロフィール】
代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作!
◆ 2月に待望の【第2巻】刊行!
◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中!
◆ 【コミカライズ企画進行中】!
すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!
もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!
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【書籍化!】第17回ファンタジー小説大賞『癒し系ほっこり賞』受賞作です。
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~』です)
ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。
最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。
この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう!
……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは?
***
ゲーム生活をのんびり楽しむ話。
バトルもありますが、基本はスローライフ。
主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。
カクヨム様でも公開しております。
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