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第47話 When that mystery is revealed
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とうとう、ミシェルがホテルの部屋で怒りを覚えている。
ダミアン・ダウニーから送られた黒い封筒には「日付が未定だ」ということが書いてあり、事実、向こうからの連絡が来ない。
何が行われているのか。何を思ってダミアンは日付未定などということを言ったのか。
推測されるのは、もう息が長くない人間が――コンスタンス・ダウニーがいて、コンスタンスが死ぬのを待っている状況だ。確かにそれならば、日付が未定だということにも納得がいく。
「だからといって、死人が出るまで待たせる気なんだろうか」
書き物机で読書をしていたミシェルだが、脳内を支配する謎のために集中できず、宙を見る。この二、三日ずっとこうして過ごしている。
もう読書くらいしかやることがない。読むものが無くなったら、適当に新聞や小説を買ってきて部屋に持ち込んでいるが、どれも品として良くないものばかりだ。申し訳ないが、この汚れや萎び方では家に帰る前に廃棄するしかないだろう。
「五日になるが……ダミアンさんは、何を考えているんだ。こちらから連絡をした方がいいのか?」
背中を伸ばすと、椅子が軋んだ。粗末な部屋に何日も泊まり、精神がどんどん擦り減っていく。部屋の中にいれば腐るし、外に出ると――
「堕天使、か」
せせら笑いと共に侮辱されるか、あるいは恐怖の対象として見られるかのどちらかだ。
ミシェルの紅い瞳と銀の髪が『堕天使の姿である』と、ミシェルが宿泊している街、エクリプセに伝わる聖典に書かれているのだ。
ミシェルはこの街の出身だ。どこの誰が産んだのかわからない。親の顔は一切、覚えていない。生きていける程度の年齢になる頃に捨てられたのだろう。散々、堕天使だと罵られてきた。
「もう慣れたもんかと思っていたが……懐かしいってことか、離れすぎていたってことか」
ぼやいてみるも、答えなど思いつかない。こんなことを考えているくらいなら、ヴァレリアンから出された答えのない問いかけを堂々巡りしている方が優位儀だ。
もういい。とにかくダミアンに連絡をしてみるべきだ。ミシェルはイライラしながら立ち上がり、ニット帽とサングラスを身に着ける。
乱暴にドアを開けると――そこに、怯えた表情をした若いホテルマンがいた。ミシェルの形相を見てさらに怯えて震える。
「ひっ、あっ、ええと」
メモを手にしていながら、何を言えばいいのかわからないと言った風にホテリエはあたふたとしている。どうやらミシェルと話すのが恐ろしいようだ。
「……何ですか」
苛立ちを隠さず、ミシェルはホテルマンに要件を訊ねる。
「あっ、あっ、だ、ダミアン・ダウニー様よりお電話をお預かりしました! ふ、ふ、フロントまでお越しくださいませ!」
叫ぶように言うと、ホテルマンはミシェルの視界から脱兎のごとく逃げ出した。途中、掃除道具に躓くほどの慌てようだった。
はあ、とミシェルはため息を吐く。堕天使と聞いて、恐れる人間か嘲笑する人間くらいしかこの街にはいないのか、と。
苛立ちのあまり、階下に向かったエレベーターが上がってくるまで待つことが出来なかった。この部屋は六階の隅にあるが、下りならば大して労力はない。がつがつと、やはり乱暴な足取りで、ミシェルは階段を降りた。
「ああ、お電話きてますよ」
階段を降りてきたミシェルを見るなり、五日前からミシェルに対応しているホテルマンがにやついた顔で言った。身なりからみてそれなりの役職についているようだが、似つかわしくない態度に、ミシェルはまた苛立った。
「どうも」
ホテルマンの半笑いにさらに怒りがこみ上げたが、この先は仕事の話だ。一度、呼吸を整える。吸って、吐いて、吸って、吐いて……最後にニュートラルな状態に肺を戻してから、電話口に出た。
「はい。アンダーグラウンドです」
「お世話になっております、ダミアン・ダウニーでございます」
にやついた声が、電話口の向こうから響いてくる。ミシェルは、どうか葬儀が流れて無事シカトリスに帰れますように、と、少し思っていた。そうなればどれだけいいだろうか、とも。
「葬儀の方、お願いしたいと思いお電話を差し上げた次第でございます」
「ああ……」
期待は無念に終わり、ダミアンの言う通り『数日中の』葬儀となったのだった。
「ご愁傷様です。コンスタンス様に安らかな眠りに就かれるよう、お祈りいたします」
「ええ、ええ。コンスタンスもアンダーグラウンドさんによろしくと言っておりました」
「そうですか。ええと、この後の段取りになりますが、まずはご遺体を綺麗に保ちたく存じます。ご遺体は今、どこに?」
「――――警察署に」
遺体が、警察署にある。
事件性がなければ警察署にあるなどということは考えにくい。何か事件に巻き込まれたのだ、ということくらいはすぐに想像がつく。だが、数日内に葬儀があると伝えられ、実際に起こったことであるのに、事件性……。
「え、は?」
疑問が脳内を巡り巡った結果、ミシェルの口から呆けた声が出る。
「警察署にございます。何か、ご質問が?」
「あ、い、いえ。もしかして、事故にあわれたのでしょうか」
「はい、不慮の事故のようなものです。あんなことになるなんて、わたくしも思いもしませんでした。悲しいことです。大変に」
「そうでした、か」
ミシェルの言葉が、歯切れの悪いものになる。どう考えても、『事故のようなもの』という言葉は、おかしい。事故にあったならば、それを断言するはずだ。
「わかりました。では、警察署の住所をお教え願えますか」
「いえいえ、それには及びません。わたくしめがお迎えにあがります。十一時でいかがでしょうか」
「ええと、」
ミシェルは愛用の懐中時計を開け、時刻を確認する。現在時刻は九時だ。道具を整え、作業着に着替えるには十分時間がある。
「わかりました。では、お時間の頃、このホテルで」
「ありがとうございます。では、お迎えに参りますので、お待ちくださいませ」
その後、二、三ほど挨拶を重ね、電話を切った。
さて、着替えなければ。ミシェルはなんとか気持ちを切り替え、エレベーターに向かう。
「…………?」
そこで、ミシェルはホテルマンの視線に気が付いた。どうも、にやついた顔から、憎悪するような、軽蔑するような顔に変わっている。原因はすぐに思い至った。ミシェルが葬送をすることを侮蔑しているのだ。
逆に、ミシェルもその顔を横目で睨みながらエレベーターを待つ。こんな人間を気にしても無駄だ。自分がやらなければならない仕事は、コンスタンス・ダウニーを葬送することだけである。
とにかくまずは、作業着と道具だ。エレベーターは不幸なことに、六階から動かない。先程は一階にいたことを考えると、まるで嫌がらせをされているような気分になる。
何度も、深呼吸を繰り返す。だが気分が落ち着かない。睨まれているせいもあるが、どこか不安に思っていることも確かだ。
事故のようなもの。
きっと、ダミアンは言葉を選びに選んで使ったのだろう。だが、警察署にあるということを考えれば、不慮の事故であるとしか察することはできない。否、何か嫌な予感がする。
もしかして、もしかしなくとも――
(――――殺された?)
これほどに嫌な想像はなかったが、どうしても脳裏に過る。
もしもコンスタンスが殺されたのであれば、それも計画的に、この日を狙って殺し、ミシェルに痕跡を消させようというのなら、諸々のことに納得がいく。
痕跡を消させようということには、特に、だ。ミシェルの仕事は、遺体を美しく保つことである。痛みや傷を消す、となっては一流だ。
(いや、まさか、そんなことがあってたまるか)
チン、とベルが鳴り、エレベーターが一階についたことを知らせる。ミシェルは音に、はっ、とした。
「まさか、な」
絞りだすように言って、ミシェルはエレベーターに乗り込んだ、ときだった。
「コンスタンスめ、ざまぁみろ」
不意に、ホテルマンの声が届いた。
「なっ」
ミシェルは何かを言い返そうとしたが、遮るようにエレベーターは扉を閉ざした。茫然とするミシェルを乗せて、エレベーターは勝手に動き出す。だれかが呼んだためだろう。何階につくかわからない。
けれど、どうにかあの場から離れることができたことに、ほっとした。
早く、この仕事を終わらせてしまおう。何が起こったとしても、ミシェルにはあまり関係のないことだと割り切ってしまおう。
覚悟するほどに――ミシェルの胸が、締め付けられるのだった。
【その謎が示されるとき――Fin.】
ダミアン・ダウニーから送られた黒い封筒には「日付が未定だ」ということが書いてあり、事実、向こうからの連絡が来ない。
何が行われているのか。何を思ってダミアンは日付未定などということを言ったのか。
推測されるのは、もう息が長くない人間が――コンスタンス・ダウニーがいて、コンスタンスが死ぬのを待っている状況だ。確かにそれならば、日付が未定だということにも納得がいく。
「だからといって、死人が出るまで待たせる気なんだろうか」
書き物机で読書をしていたミシェルだが、脳内を支配する謎のために集中できず、宙を見る。この二、三日ずっとこうして過ごしている。
もう読書くらいしかやることがない。読むものが無くなったら、適当に新聞や小説を買ってきて部屋に持ち込んでいるが、どれも品として良くないものばかりだ。申し訳ないが、この汚れや萎び方では家に帰る前に廃棄するしかないだろう。
「五日になるが……ダミアンさんは、何を考えているんだ。こちらから連絡をした方がいいのか?」
背中を伸ばすと、椅子が軋んだ。粗末な部屋に何日も泊まり、精神がどんどん擦り減っていく。部屋の中にいれば腐るし、外に出ると――
「堕天使、か」
せせら笑いと共に侮辱されるか、あるいは恐怖の対象として見られるかのどちらかだ。
ミシェルの紅い瞳と銀の髪が『堕天使の姿である』と、ミシェルが宿泊している街、エクリプセに伝わる聖典に書かれているのだ。
ミシェルはこの街の出身だ。どこの誰が産んだのかわからない。親の顔は一切、覚えていない。生きていける程度の年齢になる頃に捨てられたのだろう。散々、堕天使だと罵られてきた。
「もう慣れたもんかと思っていたが……懐かしいってことか、離れすぎていたってことか」
ぼやいてみるも、答えなど思いつかない。こんなことを考えているくらいなら、ヴァレリアンから出された答えのない問いかけを堂々巡りしている方が優位儀だ。
もういい。とにかくダミアンに連絡をしてみるべきだ。ミシェルはイライラしながら立ち上がり、ニット帽とサングラスを身に着ける。
乱暴にドアを開けると――そこに、怯えた表情をした若いホテルマンがいた。ミシェルの形相を見てさらに怯えて震える。
「ひっ、あっ、ええと」
メモを手にしていながら、何を言えばいいのかわからないと言った風にホテリエはあたふたとしている。どうやらミシェルと話すのが恐ろしいようだ。
「……何ですか」
苛立ちを隠さず、ミシェルはホテルマンに要件を訊ねる。
「あっ、あっ、だ、ダミアン・ダウニー様よりお電話をお預かりしました! ふ、ふ、フロントまでお越しくださいませ!」
叫ぶように言うと、ホテルマンはミシェルの視界から脱兎のごとく逃げ出した。途中、掃除道具に躓くほどの慌てようだった。
はあ、とミシェルはため息を吐く。堕天使と聞いて、恐れる人間か嘲笑する人間くらいしかこの街にはいないのか、と。
苛立ちのあまり、階下に向かったエレベーターが上がってくるまで待つことが出来なかった。この部屋は六階の隅にあるが、下りならば大して労力はない。がつがつと、やはり乱暴な足取りで、ミシェルは階段を降りた。
「ああ、お電話きてますよ」
階段を降りてきたミシェルを見るなり、五日前からミシェルに対応しているホテルマンがにやついた顔で言った。身なりからみてそれなりの役職についているようだが、似つかわしくない態度に、ミシェルはまた苛立った。
「どうも」
ホテルマンの半笑いにさらに怒りがこみ上げたが、この先は仕事の話だ。一度、呼吸を整える。吸って、吐いて、吸って、吐いて……最後にニュートラルな状態に肺を戻してから、電話口に出た。
「はい。アンダーグラウンドです」
「お世話になっております、ダミアン・ダウニーでございます」
にやついた声が、電話口の向こうから響いてくる。ミシェルは、どうか葬儀が流れて無事シカトリスに帰れますように、と、少し思っていた。そうなればどれだけいいだろうか、とも。
「葬儀の方、お願いしたいと思いお電話を差し上げた次第でございます」
「ああ……」
期待は無念に終わり、ダミアンの言う通り『数日中の』葬儀となったのだった。
「ご愁傷様です。コンスタンス様に安らかな眠りに就かれるよう、お祈りいたします」
「ええ、ええ。コンスタンスもアンダーグラウンドさんによろしくと言っておりました」
「そうですか。ええと、この後の段取りになりますが、まずはご遺体を綺麗に保ちたく存じます。ご遺体は今、どこに?」
「――――警察署に」
遺体が、警察署にある。
事件性がなければ警察署にあるなどということは考えにくい。何か事件に巻き込まれたのだ、ということくらいはすぐに想像がつく。だが、数日内に葬儀があると伝えられ、実際に起こったことであるのに、事件性……。
「え、は?」
疑問が脳内を巡り巡った結果、ミシェルの口から呆けた声が出る。
「警察署にございます。何か、ご質問が?」
「あ、い、いえ。もしかして、事故にあわれたのでしょうか」
「はい、不慮の事故のようなものです。あんなことになるなんて、わたくしも思いもしませんでした。悲しいことです。大変に」
「そうでした、か」
ミシェルの言葉が、歯切れの悪いものになる。どう考えても、『事故のようなもの』という言葉は、おかしい。事故にあったならば、それを断言するはずだ。
「わかりました。では、警察署の住所をお教え願えますか」
「いえいえ、それには及びません。わたくしめがお迎えにあがります。十一時でいかがでしょうか」
「ええと、」
ミシェルは愛用の懐中時計を開け、時刻を確認する。現在時刻は九時だ。道具を整え、作業着に着替えるには十分時間がある。
「わかりました。では、お時間の頃、このホテルで」
「ありがとうございます。では、お迎えに参りますので、お待ちくださいませ」
その後、二、三ほど挨拶を重ね、電話を切った。
さて、着替えなければ。ミシェルはなんとか気持ちを切り替え、エレベーターに向かう。
「…………?」
そこで、ミシェルはホテルマンの視線に気が付いた。どうも、にやついた顔から、憎悪するような、軽蔑するような顔に変わっている。原因はすぐに思い至った。ミシェルが葬送をすることを侮蔑しているのだ。
逆に、ミシェルもその顔を横目で睨みながらエレベーターを待つ。こんな人間を気にしても無駄だ。自分がやらなければならない仕事は、コンスタンス・ダウニーを葬送することだけである。
とにかくまずは、作業着と道具だ。エレベーターは不幸なことに、六階から動かない。先程は一階にいたことを考えると、まるで嫌がらせをされているような気分になる。
何度も、深呼吸を繰り返す。だが気分が落ち着かない。睨まれているせいもあるが、どこか不安に思っていることも確かだ。
事故のようなもの。
きっと、ダミアンは言葉を選びに選んで使ったのだろう。だが、警察署にあるということを考えれば、不慮の事故であるとしか察することはできない。否、何か嫌な予感がする。
もしかして、もしかしなくとも――
(――――殺された?)
これほどに嫌な想像はなかったが、どうしても脳裏に過る。
もしもコンスタンスが殺されたのであれば、それも計画的に、この日を狙って殺し、ミシェルに痕跡を消させようというのなら、諸々のことに納得がいく。
痕跡を消させようということには、特に、だ。ミシェルの仕事は、遺体を美しく保つことである。痛みや傷を消す、となっては一流だ。
(いや、まさか、そんなことがあってたまるか)
チン、とベルが鳴り、エレベーターが一階についたことを知らせる。ミシェルは音に、はっ、とした。
「まさか、な」
絞りだすように言って、ミシェルはエレベーターに乗り込んだ、ときだった。
「コンスタンスめ、ざまぁみろ」
不意に、ホテルマンの声が届いた。
「なっ」
ミシェルは何かを言い返そうとしたが、遮るようにエレベーターは扉を閉ざした。茫然とするミシェルを乗せて、エレベーターは勝手に動き出す。だれかが呼んだためだろう。何階につくかわからない。
けれど、どうにかあの場から離れることができたことに、ほっとした。
早く、この仕事を終わらせてしまおう。何が起こったとしても、ミシェルにはあまり関係のないことだと割り切ってしまおう。
覚悟するほどに――ミシェルの胸が、締め付けられるのだった。
【その謎が示されるとき――Fin.】
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