【完結】4人の令嬢とその婚約者達

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番外編

〜アルバスのその後Ⅰ〜

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"アルバス・ライモンド"

今や、国中の人々がこの名前を知っている。
大人も子供も貴族も平民も、本当に誰もが一度は聞いたことがある!と豪語できる程には、有名な名前だった。
しかし、何故かその有名人への評価に関しては、"天と地"程に分かれていた。

ある人は言う。

『あの男のせいで散々な目にあったわ』と。

しかし、また別の人は言う。

『これも全て彼のお陰です!』と。


前者は、苦虫を噛み潰したように語った。
後者は、希望に満ちた目で彼の功績を語った。

必ず、この前者と後者がペアになるかのようにして、"アルバス"という人物への評価に繋がる。


____それは、何故か?



それは、彼が蓄積し新たにばらまいた病魔を、己の身体を犠牲にし治療薬開発に協力したからだった。
しかし、それにも賛否両論があった。

『そもそも、お前が手当たり次第、女に手を出したせいだ!』

『うちの店の女の子達、皆かかっちまったじゃ無いか!どうしてくれるんだい!?』

『お前…俺の婚約者とも寝ていたのか?友人だと思っていたのに…二度とその面みせるなよ』

『あなた、私の妹とも寝てたのね!最低!!二人して病気にかかるなんていい気味だわ!!』


ひとたび通りに出れば、今まで散々好きかってしてきたアルバスに対する世間の風当たりはとても冷たいものに変わった。

無駄に見目が良く、誘えばすぐに乗ってくるアルバスは、平民の娘や娼館の女達にとっては財布の紐がゆるく確固たる地位を持つ、"手の届きやすい騎士様"だった。
平民の娘達の中には、逞しくカッコイイ騎士との一晩だけの相手でも喜んで身体を差し出す者もいる。
何度か逢瀬を重ねれば、1回することにチップをくれる時もあった。
遊んでいるだけあって、避妊は徹底していたものの、万が一子供ができれば平民の娘達からすれば愛人として召し上げてもらえるチャンスなのだ。
特に、討伐帰りのアルバスは激しかった。一度娼館で、複数人相手に散々縛りだした後、可愛がっている平民の女を抱きに行くときさえあったのだ。
とりわけ女に対してだけは、マメに連絡を取り徹底的に甘やかせ可愛がっていた。だからこそ、アルバスの周りには女の子達が絶えなかったのだ。

しかし、今となっては非難の的だった。

あれだけ可愛がっていた女達が、一同に背を向けアルバスを罵倒した。

「最低!」「最悪!」「治療費を出せ!」「二度と近づかないで!」「顔も見たくない!」

この辺は、『おはよう』ぐらいの気軽さで道を歩けば毎日のように投げかけられている。
しかもそれは、ライモンド家の屋敷でも同じだった。
女大好きアルバスが、屋敷の使用人に手を出していないはずが無いのだから…
どこへ行っても、白い目で見られ、煙たがられる。
もはや、女の身体を抱かなくてもいい…ただ、誰か一人でもいいから側にて欲しかった。
人らしい普通の会話がしたかった。
そして、できることなら…慰めがほしい。

いくら病気が治り、ユーフォニアに掛けられた"病原体収集"を解かれたとしても、誰もアルバスに近づくものはいなかった。


そんな、心身共に疲れたアルバスを救ってくれたのは、批判とは正反対に一部から上げられた声だった。

『アルバス様、貴方様のお陰で長年苦しんできた病の原因が分かりました!』

『父の病が完治しました!アルバス様の集めた、病原体のお陰で治療薬が見つかったのです!』


そして、必ずその後にこう続くのだ。

『貴方がされたことは、決して許せることではありませんが…ありがとうございました!』と。

正直、複雑だった。

しかし、それでもその言葉に縋りたかった。


"ありがとうございました"


この言葉に、どれほど救われたか分からない。


だからこそ、アルバスは今日もこの門をくぐるのだ。

ブレナン伯爵家の研究棟の門を…

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