兄妹心中地獄めぐり~ずっと一緒だよ~

完全に理解したかえる

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第一話 わたしは天国にいけるの?

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私はお兄ちゃんの事が好きだ。

兄としても好きだけど、一人の男の子としても愛してる。



お兄ちゃんは背が高くて、(180cmあるらしい)優しくて、料理も出来て、

何よりかっこよくて頼りになる。自慢の兄だ。

週末は一緒に映画見たり服選んだりするから、仲もいいと思う。



……告白は、してない。

私たちは血のつながった兄妹だから、きっと気持ち悪がられるだろう。

いや、お兄ちゃんは優しいからきっと、そっと距離を置かれてしまうかもしれない。



私はお兄ちゃんの側に、少しでも長くいたい。

だから、この気持ちは隠しておく。死ぬまで。



私は、好きな百人一首の歌がある。



「玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば

忍ぶることの よわりもぞする」



この恋を知られるくらいなら、自分の命が絶えてしまっても構わないという激情の愛を表現した古い歌。



昔の人も、じっと忍んで恋する自分を隠したのだろうか。

切なくて苦い思いを、胸に隠しながら。





-----------------------------------------------------------------------





「んぅ……ふぅ゛っ♡♡」



週末、二人で出かけた後はいつも無性に寂しくて、自分の部屋で一人オナニーする。

もちろん、お兄ちゃんとしている妄想で。

こんな事したって、空しいだけだって分かってるのに。



自分よりもずっと大きい筋肉質な体に押さえつけられるのを想像すると、無性に興奮してしまう。

きっと、無理やりモノのように扱われ性処理の道具にされるんだろう。

いや、優しい兄のことだ。

寸止めされ続け、優しく責められてしまうのかもしれない。



お兄ちゃんに気持ちよくされるのを想像するだけで、全身が甘い快感で刺激されるのが分かる。



無理やりでもいいし、そうじゃなくてもいい。

私はお兄ちゃんの愛がほしかった。

男の子として、欲望を私の体にぶつけてほしかった。



「あっあっあっああっ♡♡♡」



手で自分の気持ちいい所をひたすら刺激していく。

お兄ちゃんに手でされたらもっと気持ちいいのかな、なんて考えると興奮する。



あの大きくて太い指に全身を撫でられる想像をするだけで、

全身が交尾する雌の体へと変わっていくのがわかる。



「お兄ちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃん♡♡♡」



絶対に私の好きな人は振り向いてはくれない。

この行為は苦しさを強くするだけだ。

そう頭では分かっているのに、行為が止められない。



寂しいよ、つらいよ、助けて、お兄ちゃん。

もっと私のこと見てよ。女の子として意識してよ。

気持ちよくなりすぎて深く達しそうになりながら、私は叫んだ。



「あ゛っ♡♡お兄ちゃんすきすきすきぃっ♡♡」

コンコン。

「麻衣、モバイルバッテリー返しに来たから入るぞ~」

「え゛っ!?ん゛っ!!」



限界に達した私が潮を吹きながらイくのと同時に、兄が部屋のドアを開けた。



「あっ、あっ♡♡」

「ま、麻衣・・・?」



扉を開けた兄に応答する前に余韻イキが来て、だらしなく兄の前で絶頂してしまう。



目の前がチカチカするし、手足はガクガクするだけで使い物にならない。

何より、大好きな兄の前でイキ狂っている事がショックすぎる。



でも、体はそんな羞恥に興奮していた。

絶え間なく潮を吹きだし、私に快楽を与え続けて来ている。



何より、兄に全裸でイキ顔を見られ続けているという

シチュエーションが私の体を興奮させた。



「おにい、ちゃ・・・ぁっ♡♡」



よりによって、痙攣しながら兄の前で深イキしてしまった。

パニックになりかけて、布団を被って兄から見えないようにする。



「み、見ないで!みないでよっ!!」

「麻衣……!ご、ごめん!俺、すぐ出てく!」



バタバタっという音がして、ドアが閉まる。

兄が部屋を出た後、しばらく私は部屋で呆然としていた。



「うっ、ううっ……」



大好きなお兄ちゃんにオナニーを見られたショックで、今にも泣き出してしまいそうだった。

きっと気持ち悪いと思っただろう。

もしかしたら、兄を呼ぶ嬌声も聞こえていたかもしれない。



この恋を知られるくらいなら、自分の命が絶えてしまっても構わないと思っていたのに。



知られてしまったかもしれない。

この、この気持ち悪くて汚れた兄への欲望が。



そう考えたら気持ち悪くて、兄に嫌われるのも怖くて。

トイレで、吐いた。

泣いて泣いて泣きじゃくって、疲れて寝た。最悪だった。



-----------------------------------------------------------------------



「おはよう……お兄ちゃん」

「お、おはよう、麻衣」



翌朝。

私の憂鬱な気分とは裏腹に天気は快晴で、窓から光が差し込んできた。

お兄ちゃんが無言で朝食を作るのを、私が無言で眺める。



正直、気まずいのを通り越して、一緒にいるのも辛かった。

私の事を嫌いになっただろうか。それならそうだと言ってほしかった。



お兄ちゃんの気持ちが分からなくて、泣きそうだった。

昨日、涙が枯れるほど泣いたはずなのに。



慣れた手つきでフライパンを扱う兄を見て、きっと他の女の子にもモテるんだろうなと思った。

将来、きっと兄は他の誰かを好きになって、他の誰かと結婚して式を挙げるだろう。



どんな気持ちで、お兄ちゃんの結婚式になんか行ったらいいの。

そこまで考えたら胸が痛くて、涙が出てきた。



「今日はお前の大好きなオムライスにしたからな、麻衣」



お兄ちゃんが、二人分の料理を机の上に置く。

お兄ちゃんのおいしい手料理。なのに食欲は、出ない。



「あ、麻衣、泣いてるのか……?」



心配そうな表情でお兄ちゃんがこちらを見てくる。

こんな顔させたい訳じゃないのに。心配なんてかけたくないのに、涙が止まらない。



「麻衣、これで涙拭いて」

「……うん」



ハンカチを受け取って、こぼれる涙を拭う。



「大丈夫か、ごめんな」

「ううん、お兄ちゃんは悪くない、から」



兄に背中をさすってもらって、やっと落ちつく事が出来た。

少しずつ呼吸を整えて、目を閉じる。



「冬木、お兄ちゃん……」



大好きな人の名前を呼ぶ。わたしの世界で一番大事な人。



「今から、変な事言っていい?」

「いいけど、どうした」

「いいから、お兄ちゃんに聞いてほしいの」



苦しい、つらい。だから、もうこの気持ちは止められないと思った。

隠せないなら、私の人生なんてどうなってもいい。

お兄ちゃんに嫌われたなら……死んでも構わない。



「私は、お兄ちゃんに恋してます。お兄ちゃんの事が好きなの」
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