朝、君におやすみ

真白兎

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青い春2002

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『俺の葬式には来るなよ!』

私の元カレは、こんな可愛げのないことを言うやつだ。
バイクに乗るのが好きで、これで事故して死んでも幸せだからいいそうだ。

そして、ちょっとしたことで泣く私には
笑っていてほしいから、俺の墓で泣かないでほしいとか言っていたな。
なかなか、恥ずかしいことをたまに言ってきた。


『もう!命大事にしてよね?
寂しいことは言わないでよ!』


…今なら言えるけど、あの頃の私は

「ハイハイ」

とこれまた可愛げがなかった。

いつもバイクになると私が見えなくなる。
そこも別れた原因の一つだった。

時折、後輩の子が気を使ってくれて話しかけに来てくれる。

放課後にバイクを走らせにみんなで山に行く日があった。

「寒くないですか?」

そういって制服のブレザーを掛けてくれる後輩君にキュンとしていると
そういうところはしっかりと見ていて、むっとした顔で自分の服を掛けに来る。

バイクを彼の家のガレージで、みんながいじってる時も、私はすることないし、見てても暇になるから犬と遊んでいた。

名前は私がつけたから、めちゃくちゃ可愛がっていた。
名前は【はっさく】
名前に意味は特になかったな。

おばあちゃんの畑仕事の見学したり、話し相手になるのも私の暇つぶしだった。
家の周りは、田舎で田んぼしかなかったから、ちょっと散歩に行っても何もなかった。
家も数軒しかないので、人と会うことがまずなかった。
良かったといえば、星がすごくきれいで、手を伸ばせば届きそうなくらいだった。

そして、私の本領発揮するのがお昼のごはんタイムだ。
ご飯づくりは、小学校のころから手伝わされていたので、一通りできた。
ごはん担当だったので、何か作るね?とキッチンに入る。
すると、また後輩君がやってきて

「僕も何か手伝います!」

そういって野菜を切ったりしてくれる後輩君に、またまたキュンとしていると
早々に作業を切り上げて帰ってきて、みんなの前で私を嫁扱いしはじめる。

わかりやすい性格で
今なら…うん、今ならわかることもある。

彼の精いっぱいのヤキモチと
後輩君は私が好きだっただろうし、彼はそれを知っていた。
私も。

ただあの頃は、不機嫌な彼女だったから可愛げがなかったことを反省している。
強がったり、もっと言いたいこと我慢せずにいろんなこと話せてたらよかった。

そしたら、すこしは今が何か変わっていただろうか。
そんなことを、考えてもしかたないのに。
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