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「それにしても、立派な家だな」
明臣が感心しているように聞こえない低い声音でぼやく。
「僕も最初来た時は圧倒された。清次君は凄いよ」
「……悪かったな。荒ら屋で」
「そんな事、僕は言ってないだろ」
書室の部屋を開き電気を灯すと、明臣が「これは圧巻だな」と今度こそ感嘆の声を上げる。
二人で中に入ると扉を締める。これでそう簡単には話を聞かれる心配はないだろう。春信は明臣が本当に納得しているのか、本音を聞くつもりでいた。
「さすがにこれだけは、勝ち目がないな。もし、これが全部切手のコレクションだったら、俺だってくらっと来ちまう」
明臣は溜息を吐き、周囲を見渡す。切手集めが好きで、今の職に就いている。さすがに好きな物に満たされた部屋には、心を奪われてしまうのだろう。
「別にこれだけじゃない。清次君は色々と僕の為に動いてくれたり、自信をつけさせてくれたりして――」
「あんまり俺の前で、あいつを褒めるなよ」
明臣が春信を抱き寄せる。久しぶりに感じる明臣の高い温度。力強い抱擁に、春信は胸が詰まる思いがしていた。
「僕のことなんて忘れて欲しかった」
春信は胸に顔を埋めながら、弱々しく言葉にする。
「なんでだよ。無理なことぐらい、お前にだって分かってるだろ」
「明臣には幸せになって欲しいから」
「お前は分かってないな。俺だって、お前と同じ気持ちなんだ。幸せになって欲しいし、幸せにしてやりたいんだ」
あやすように明臣が春信の背をさする。
「明臣は本当にいいのか? こんな事になって」
明臣の本心を見極めようと、春信は顔を上げる。
「ああ、俺の覚悟は決まってる。アイツの監視下ってとこが腹立つが、まぁ好きにやらせてもらうからな」
明臣は言うなり、春信の唇を奪う。懐かしい唇の厚みと暖かさに、春信は抵抗する気力を失う。
頭を抱え込まれ、何度も角度を変えては唇を押しつけられる。追い詰められる形で、ソファーに春信の背が落ちる。清次よりも厚みのある舌が、口腔を激しく掻き乱す。
「ん、っ……はぁっ」
堪えきれないとばかりに、明臣が春信の乱れた襟から手を差し入れる。
「ぁ……、駄目だ……清次君が――」
いつ来るか分からない状況に、春信は明臣を止めようと胸を押す。
「関係ねぇな。お前を抱くなとは言われてないからな」
舌と指先で愛撫をし、春信の浴衣の帯に明臣の手が伸びる。
「何しているんだい?」
清次の声に、春信は上体を起こし、慌てて浴衣の前をかき抱く。湯上がりの浴衣姿の清次が扉の前に立っている。表情の読めない顔でこちらを見つめていた。
明臣が感心しているように聞こえない低い声音でぼやく。
「僕も最初来た時は圧倒された。清次君は凄いよ」
「……悪かったな。荒ら屋で」
「そんな事、僕は言ってないだろ」
書室の部屋を開き電気を灯すと、明臣が「これは圧巻だな」と今度こそ感嘆の声を上げる。
二人で中に入ると扉を締める。これでそう簡単には話を聞かれる心配はないだろう。春信は明臣が本当に納得しているのか、本音を聞くつもりでいた。
「さすがにこれだけは、勝ち目がないな。もし、これが全部切手のコレクションだったら、俺だってくらっと来ちまう」
明臣は溜息を吐き、周囲を見渡す。切手集めが好きで、今の職に就いている。さすがに好きな物に満たされた部屋には、心を奪われてしまうのだろう。
「別にこれだけじゃない。清次君は色々と僕の為に動いてくれたり、自信をつけさせてくれたりして――」
「あんまり俺の前で、あいつを褒めるなよ」
明臣が春信を抱き寄せる。久しぶりに感じる明臣の高い温度。力強い抱擁に、春信は胸が詰まる思いがしていた。
「僕のことなんて忘れて欲しかった」
春信は胸に顔を埋めながら、弱々しく言葉にする。
「なんでだよ。無理なことぐらい、お前にだって分かってるだろ」
「明臣には幸せになって欲しいから」
「お前は分かってないな。俺だって、お前と同じ気持ちなんだ。幸せになって欲しいし、幸せにしてやりたいんだ」
あやすように明臣が春信の背をさする。
「明臣は本当にいいのか? こんな事になって」
明臣の本心を見極めようと、春信は顔を上げる。
「ああ、俺の覚悟は決まってる。アイツの監視下ってとこが腹立つが、まぁ好きにやらせてもらうからな」
明臣は言うなり、春信の唇を奪う。懐かしい唇の厚みと暖かさに、春信は抵抗する気力を失う。
頭を抱え込まれ、何度も角度を変えては唇を押しつけられる。追い詰められる形で、ソファーに春信の背が落ちる。清次よりも厚みのある舌が、口腔を激しく掻き乱す。
「ん、っ……はぁっ」
堪えきれないとばかりに、明臣が春信の乱れた襟から手を差し入れる。
「ぁ……、駄目だ……清次君が――」
いつ来るか分からない状況に、春信は明臣を止めようと胸を押す。
「関係ねぇな。お前を抱くなとは言われてないからな」
舌と指先で愛撫をし、春信の浴衣の帯に明臣の手が伸びる。
「何しているんだい?」
清次の声に、春信は上体を起こし、慌てて浴衣の前をかき抱く。湯上がりの浴衣姿の清次が扉の前に立っている。表情の読めない顔でこちらを見つめていた。
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