53 / 93
第三章
12
しおりを挟む「もうっ……い、いからっ」
丁寧な愛撫が続き、さすがの天野も荒い呼吸で訴えかけると、やっと恭治が顔を上げた。
「あんまり遅くなると、おばさん達……心配するから」
恭治の頬を撫で、諭すように訴えかける。熱を持った頬に、恭治が興奮していることが伝わってきた。
「そうだな……」
ポツリと恭治が呟き、天野のズボンに手をかける。一瞬躊躇するも、天野は脱がしやすいように腰を僅かに上げた。
速い胸の鼓動と熱を持った下腹部が、如何に自分も興奮しているかを気付かされてしまう。一方で、同じ男の象徴を見て恭治は萎えはしないだろうかという不安もあった。でもこの薄暗い中では、よくは見えないだろう。
恭治にズボンを脱がされると、全身が一気に冷たい空気に晒される。僅かに立ち上がっている天野の昂ぶりに、恭治の手が触れていく。
「んっ、ぅ……」
慣れない他人の手の感触に、天野は息を詰める。恭治の力強い雰囲気からは似合わないほど、慎重な手つきで扱かれていく。
「大丈夫か? どうも勝手がわからないものだから、力加減が難しい」
「……だいじょうぶ」
「俺も……いいか?」
恭治の問いかけに天野が頷く。恭治の手が離れると衣擦れの音が微かに聞こえ、再び覆いかぶさってくる。口づけを交わし合い、互いの舌が絡み合っていく。質量と熱を持ったモノが重なり合い、その昂ぶりに天野の体が強張った。
一緒に銭湯に行った際に何度も目にしてきたが、欲情の象徴を表した状態にはさすがに戸惑ってしまう。
「お前の手も借りるぞ」
そう言って恭治は天野の手を掴むと、重なり合った昂ぶりに手を添わせる。その上から恭治が自らの手を添えて、ゆっくりと動かしていく。
「ふっ……あっ……」
自分でしているようで、他人が誘導しているという不思議な感覚だった。先端から溢れだした蜜が流れ、動きを円滑なものへと変えていく。
「はぁっ……蓮介……」
恭治の辛そうな声に、天野は逸らしていた視線を向ける。恭治は眉根を寄せて、心底苦痛に歪んだ表情で天野を見下ろしていた。微かに目元が潤んでいるようにも見え、普段見せない艶っぽい姿に恭治の胸の内を垣間見てしまった気がしてならない。
妹の夫となるやもしれない親友と、このような不埒な真似をして良かったのだろうかと、遅かれながら気付かされてしまう。それでも今後の恭治の気苦労を考えれば、何も切り出せない。
恩にもならないかもしれないこの行為を恭治が望むのであれば、自分は甘んじて受け入れるつもりだった。
2
あなたにおすすめの小説
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユキ・シオン
那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。
成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。
出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。
次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。
青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。
そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり……
※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
白金の花嫁は将軍の希望の花
葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。
※個人ブログにも投稿済みです。
忘れられない君の香
秋月真鳥
BL
バルテル侯爵家の後継者アレクシスは、オメガなのに成人男性の平均身長より頭一つ大きくて筋骨隆々としてごつくて厳つくてでかい。
両親は政略結婚で、アレクシスは愛というものを信じていない。
母が亡くなり、父が借金を作って出奔した後、アレクシスは借金を返すために大金持ちのハインケス子爵家の三男、ヴォルフラムと契約結婚をする。
アレクシスには十一年前に一度だけ出会った初恋の少女がいたのだが、ヴォルフラムは初恋の少女と同じ香りを漂わせていて、契約、政略結婚なのにアレクシスに誠実に優しくしてくる。
最初は頑なだったアレクシスもヴォルフラムの優しさに心溶かされて……。
政略結婚から始まるオメガバース。
受けがでかくてごついです!
※ムーンライトノベルズ様、エブリスタ様にも掲載しています。
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる