君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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第二章「正真」

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 本館の一階にある広い職員室は、入るのにも気が滅入りそうになるほど威圧感があった。多分、圧倒的に男性教師が多いことも理由の一つかもしれない。

 僕は声をかけて職員室に入るも、見たことのない教師も多く困惑してしまう。

「誰か探しているのかい?」

 立ち尽くしている僕に不審に思ったのか、ドア付近にいた白髪混じりの男性教師が優しく声をかけてきた。

「パズル同好会の顧問の先生を探しているのですが……」

 僕がそういうと少しだけ驚いた顔をした後、すぐに柔和な表情に戻った。

「あぁ、それなら美術部の門屋先生だなぁ。君はパズル同好会のメンバーかい?」

「まだ入部届けは出していませんが、入部する予定です」

「神近くん……だったかな? 彼とは知り合いなの?」

 どこか探るような声音に、僕は後輩が言っていた言葉を思い出す。

「はい。神近くんに誘われて入るので」

 僕が言い切ると案の定、驚いたように目を見開いた。その反応に、僕は苦い気持ちが込み上げてしまう。

「門屋先生はどちらに?」

 僕は早くこの場から立ち去ろうと、呆気に取られている教師を促す。

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