君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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第四章「嫉妬」

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 最初の頃に作っていたパズルは、結局は青い空に筆を引いたような白い雲の絵だった。五百ピースで五時間。簡単な方だと神近くんはサラッと言ってのけたが、僕にはその数が途方もなく感じてしまう。

 今は目の前ではカラフルな色のピースが散らばっていて、まずは同じ色のピースを分けている最中だった。

「どうしたらいいと思う?」

 僕はとてもじゃないがパズルを触る気にもなれず、神近くんの長い指がパズルを運んでいく様子を目で追う。

「先輩の事を知ってたと言うことは、お姉さんの事もストーカーしていた可能性があります。そもそも生き霊は飛ばしたくて飛ばせるものじゃなくて、強い想いが勝手に飛んで相手につく場合が普通です。そうだとしたらーー」

 神近くんはパズルに向けていた視線を僕に向ける。

「先輩にも、何かしらの原因があるのかもしれません」

「僕に?」

 何も思い浮かばず、僕は緩く首を横に振る。

「その女の特徴とか言ってませんでしたか?」

 僕は必死に姉の苛立ち混じりの会話を反芻する。

「確か……姉たちと変わらないぐらいの歳だって……」

「他は?」

「うーん。見た目は普通で、会話がおかしいぐらいだって……」

「あんな感じとかじゃあ、ないですよね?」

 そう言って神近くんが窓の外を指差した。


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