1 / 6
吉野沙良佐
しおりを挟む
”自己紹介をお願いします”
吉野沙良佐です。この会社には三年前に新卒で入社しました。
”所属している部署のご説明をお願いします”
弊社は広告代理店で五つの営業部と四つのクリエイティブチームがあるのですが、私は営業部に所属しています。広告代理店とはいえ、営業とクリエイティブの人数がほぼ半々の会社はなかなか珍しいと思います。
私の所属する営業部は、皆いい人達ばかりです。私が一番年下なのですが、分からない事や困ったことがあると先輩達が優しく教えてくれるので、とても働きやすい環境だと思っています。
”本当に優しい先輩ばかりですか?”
はい、皆さんとても親切で優しい方ばかりですよ。
・・・あ、もしかして志摩さんの事ですか?
社内では色々と噂されているみたいですけど、僕は志摩さんことが大好きですよ。
もちろん怖い人だなと思う時もありますが、それは僕の能力不足のせいもあるので。
それに、志摩さんは意外と可愛い人なんですよ。志摩さんは『吉楽庵』というお店のプリンが大好きなんです。現在僕が担当しているクライアントの会社の近くにあるお店なんですけど、元々は志摩さんがそのクライアントを担当していて、吉楽庵も志摩さんから教えて貰ったんです。だから時々なんですが、お土産で何個か買って帰るんですよ。それで志摩さんにいくつかお裾分けするんですが、その度に志摩さんは子供みたいに目を輝かせて喜んでくれるんです。
他にも、ひと回り近く年の離れている僕のことを呼び捨てではなく、「沙良佐さん」と”さん付け”で呼んだり。
それから、僕も志摩さんも喫煙者なんですけど、志摩さんは煙草を吸う時だけは人が変わったように優しいんです。理由は分からないんですけど、僕は煙草を吸っている時が本当の志摩さんだと思っています。
”志摩さんの事を信頼しているんですね”
はい。
見てください、実はこの時計も志摩さんとおそろいなんです。憧れの人と同じものを身につけたいと思うことってあるじゃないですか。
さすがに男同士でペアルックは気持ち悪いんで、プライベートの時にしかつけないようにしているんですけどね。もちろん志摩さんも僕が同じ時計を持っていることは知らないはずです。
”青木柚葉さんの印象を教えて下さい”
え?青木さんですか?
青木さんは僕より一つ下の後輩ですが、僕以上に仕事ができる優秀な人だと思います。
いつも明るく元気なので、青木さんを見ているだけで自然とこちらも元気になります。
”耳が真っ赤ですが、もしかして青木さんことが好きなんですか?”
ちょっと待ってくださいよ、どうしてそんな話になるんですか。たしかに青木さんを見ていると元気をもらえますが、べつに好きとかそういうわけじゃないですから・・・。
それに、これもここだけの話にしてもらいたいんですけど、たぶん青木さんは三坂のことが好きなんだと思います。この前、青木さんが担当しているクライアントの誕生日が近いとかで、青木さんに頼まれて一緒に誕生日プレゼントを買いに行ったんです。その際に何度も三坂について聞かれたんですよ。「吉野さんは三坂さんと二人で呑みに行ったりするんですか?」とか、「私のことについて、何か言っていませんでしたか?」とか、やたら三坂について聞いてくるんです。
三坂は良い奴なんですけど、ちょっと女にだらしないっていうか・・・。三坂の直属の先輩に高垣沙耶さんという方がいるんですが、三坂と二人で呑みに行くと高垣さんの事を『沙耶ちゃん』って下の名前で呼ぶんです。僕と二人で呑んでいる時は良いけど、本人の前では口を滑らせないようにと何度も言っているんです。あいつの事だから、いつか口を滑らせるんじゃないかと不安で。
でもまぁ、青木さんが三坂のことを好きになるのも納得です。それくらい三坂は良い奴なんで。
吉野沙良佐です。この会社には三年前に新卒で入社しました。
”所属している部署のご説明をお願いします”
弊社は広告代理店で五つの営業部と四つのクリエイティブチームがあるのですが、私は営業部に所属しています。広告代理店とはいえ、営業とクリエイティブの人数がほぼ半々の会社はなかなか珍しいと思います。
私の所属する営業部は、皆いい人達ばかりです。私が一番年下なのですが、分からない事や困ったことがあると先輩達が優しく教えてくれるので、とても働きやすい環境だと思っています。
”本当に優しい先輩ばかりですか?”
はい、皆さんとても親切で優しい方ばかりですよ。
・・・あ、もしかして志摩さんの事ですか?
社内では色々と噂されているみたいですけど、僕は志摩さんことが大好きですよ。
もちろん怖い人だなと思う時もありますが、それは僕の能力不足のせいもあるので。
それに、志摩さんは意外と可愛い人なんですよ。志摩さんは『吉楽庵』というお店のプリンが大好きなんです。現在僕が担当しているクライアントの会社の近くにあるお店なんですけど、元々は志摩さんがそのクライアントを担当していて、吉楽庵も志摩さんから教えて貰ったんです。だから時々なんですが、お土産で何個か買って帰るんですよ。それで志摩さんにいくつかお裾分けするんですが、その度に志摩さんは子供みたいに目を輝かせて喜んでくれるんです。
他にも、ひと回り近く年の離れている僕のことを呼び捨てではなく、「沙良佐さん」と”さん付け”で呼んだり。
それから、僕も志摩さんも喫煙者なんですけど、志摩さんは煙草を吸う時だけは人が変わったように優しいんです。理由は分からないんですけど、僕は煙草を吸っている時が本当の志摩さんだと思っています。
”志摩さんの事を信頼しているんですね”
はい。
見てください、実はこの時計も志摩さんとおそろいなんです。憧れの人と同じものを身につけたいと思うことってあるじゃないですか。
さすがに男同士でペアルックは気持ち悪いんで、プライベートの時にしかつけないようにしているんですけどね。もちろん志摩さんも僕が同じ時計を持っていることは知らないはずです。
”青木柚葉さんの印象を教えて下さい”
え?青木さんですか?
青木さんは僕より一つ下の後輩ですが、僕以上に仕事ができる優秀な人だと思います。
いつも明るく元気なので、青木さんを見ているだけで自然とこちらも元気になります。
”耳が真っ赤ですが、もしかして青木さんことが好きなんですか?”
ちょっと待ってくださいよ、どうしてそんな話になるんですか。たしかに青木さんを見ていると元気をもらえますが、べつに好きとかそういうわけじゃないですから・・・。
それに、これもここだけの話にしてもらいたいんですけど、たぶん青木さんは三坂のことが好きなんだと思います。この前、青木さんが担当しているクライアントの誕生日が近いとかで、青木さんに頼まれて一緒に誕生日プレゼントを買いに行ったんです。その際に何度も三坂について聞かれたんですよ。「吉野さんは三坂さんと二人で呑みに行ったりするんですか?」とか、「私のことについて、何か言っていませんでしたか?」とか、やたら三坂について聞いてくるんです。
三坂は良い奴なんですけど、ちょっと女にだらしないっていうか・・・。三坂の直属の先輩に高垣沙耶さんという方がいるんですが、三坂と二人で呑みに行くと高垣さんの事を『沙耶ちゃん』って下の名前で呼ぶんです。僕と二人で呑んでいる時は良いけど、本人の前では口を滑らせないようにと何度も言っているんです。あいつの事だから、いつか口を滑らせるんじゃないかと不安で。
でもまぁ、青木さんが三坂のことを好きになるのも納得です。それくらい三坂は良い奴なんで。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
筆下ろし
wawabubu
青春
私は京町家(きょうまちや)で書道塾の師範をしております。小学生から高校生までの塾生がいますが、たいてい男の子は大学受験を控えて塾を辞めていきます。そんなとき、男の子には私から、記念の作品を仕上げることと、筆下ろしの儀式をしてあげて、思い出を作って差し上げるのよ。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる