孤高の教師

chandeme

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やっぱり田辺翔一

海の乱

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田辺「やぁ生徒諸君。ではこれより海の授業を始めたいと思います。では今から頭の中で海をイメージしてみてください。」

坂井「...海ね..日本海かしら..それとも海外の海?」

井田「海をイメージすんのに日本も海外も一緒だろ~?なぁ先生?」

田辺「黙れそこの高校生。私は今真剣に海をイメージしているのだ..邪魔をするな。」

井田「...名前で呼べって。」

澤「海..イメージできましたよ~。わたしは今沖縄の綺麗な海をイメージしています..」

田辺「うむ。よくできたな。ちなみに先生は今海をイメージするのに忙しいんだ。私に話しかけないでくれないか。」

坂井「....でなんなのよ。海をイメージできたら次はどうするの?それとも今日の授業の進行を先生は放棄するつもりかしら..?」

田辺「ふぅ..大丈夫だ。先生は今やっとこさ海をイメージできた。というのも先生かれこれ何年も海を見てなかったから海がどういうものか思い出すのに時間がかかったよ。最初海だとおもってイメージしてたのがチクワだって途中で気付いた。」

井田「えーっと...忘れるものなんかな..海を。」

坂井「そうね..すくなくともわたしはチクワを海と勘違いしたことはないわ。そもそもどういう事が脳内で起きたのかわたしにはさっぱり。」

田辺「で、この海なんですけど先生気付きました。もしどうしてもイライラして怒りそうになったときは頭の中に海をイメージすればいいんだと。そうすれば心穏やかになるのではないでしょうか。」

坂井「そんなにうまくいくものかしらね。イライラしてるときは海をイメージする余裕なんてないと思うけど...」

田辺「坂井。怒りそうな時だからこそ穏やかな海を思い浮かべココロに余裕を作るんじゃないか。」

中田「はい!先生!」

田辺「どうした。質問の内容によってはブチ切れるぞ。」

中田「お父さんがインディーズデビューしました!」

田辺「武道館を目指せ。では試しに先生は今から坂井を怒らせたいと思います。坂井さんは必死に海を思い浮かべて平静を保ってください。」

坂井「..無理よ。だって私を怒らせるんでしょ?私は怒るわよ。」

田辺「坂井。きみがジャパニーズなら日本語は通じるはずだ。これは実験だよ。君が怒りそうになったら海をイメージすればいい話だ。」

坂井「..いやよ!私は怒るわよ。大体なんの実験よ..海をイメージしてイライラが静まるなんて聞いたことないわよ..それができればみんなそうするわ!」

澤「さ、坂井さん落ち着いて!もう怒ってるわ!早く海をイメージしてココロを落ち着けて!」

坂井「何言ってるのよ澤さんまで..みんなどうかしてるわ..」

田辺「落ち着け坂井。結論から言えば感情はコントロールできない。コントロールするものではないのだよ。」

坂井「だ、だったらなおさら意味のない実験じゃない...どうして意味のないことを私にやらそうとするのよ..」

井田「でもさぁ~じゃあ海がダメなら山とかでもだめか?あるいは面白いヤツの顔思い出すとか..」

田辺「井田よ。お前だけは居眠りしてていいぞ。坂井。いますぐ『海』を歌え。2番まででいい。」

坂井「だからいやよ!なんでいつもいつも私に歌を歌わせるのよ。音楽の授業でもないのに。」

田辺「どうして歌を歌わないんだ。まさかお前恥ずかしいんじゃないんだろうな?そんな事で恥ずかしがっていては選挙演説の時どうするんだ。お面でもつけて演説するんじゃないだろうな?」

坂井「出馬なんてする予定ないわよ..それに恥ずかしがって何が悪いのよ..」

田辺「顔もかわいいし家も金持ち。おまけに成績優秀のきみがなぜ恥ずかしがる必要がある。堂々と歌え。2番まででいい。」

坂井「お願いだからこれで最後にしてよ..わたし人の前で歌うたうの本当にいやなのよ..」

澤「坂井さん頑張ってくださいね!」

坂井「♪...降り注ぐ..日をあーびて..汚れ~なく..きみ~は笑い...♪」

井田「...なんの歌?」

田辺「...B'zの『オーシャン』だ..坂井よ、相変わらず変化球だな。」




これにて海の授業は無事終わったのでした。
めでたしめでたし。
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