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10 薔薇薔薇の塔
しおりを挟む白のアリスはふとなにかに気付き振り返ると黒のアリスが立っていた。
「……やはり……」
白のアリスは黒のアリスが立っているのには驚かず、そのことを分かっていたかのように呟いた。
「…死ぬのは初めてのようねノワール」
黒のアリスは何が起きたか、理解するよりも先に大鎌を取り出し、白のアリスを目掛けて振り下ろした。
「無駄よ、私も貴女と同じで死ねないのだから」
白のアリスは剣で大鎌を受け止めながら言った。
「そんなのどうだっていい!気持ちの問題よ!」
「いいじゃない、ただ喉を一突きしたぐらいで、生きているんだから」
白のアリスは悪びれる様子もなく言うと大鎌を剣で受け流し、素早く黒のアリスの横を駆け抜け、扉の前で立ち止まった。
「一つだけ忠告しておいてあげるわ、ノウル・エッジには気をつけることね…」
黒のアリスはすぐさま振り返った。
「ちょっと待ちなさい、何のことを言っているのよ!」
白のアリスは黒のアリスの言葉を最後まで聞かず、扉を閉めて出て行った。
白のアリスが部屋から出た後、しばらくして塔全体が振動を始めた。
「全くおちおち考えている暇もないじゃない!」
黒のアリスは扉の取っ手に手を掛けた。だが、扉は固く閉ざされていた。
「開かない!全く…面倒ね!」
大鎌を振り抜き扉を切り裂くと扉を蹴り破り、部屋から出た。
出た先には来た時とは違う光景があった。それは外にあった棘を纏った蔦が壁、天井、床に食い込んで塔を崩壊させるようすだった。
棘を纏った蔦はスルスルと黒のアリスの足に絡み付き、ギュッと締め付けた。
黒のアリスはすぐさま床ごと蔦を大鎌で切り裂いた。するとその階層の床は一気に崩壊した。
崩壊した床の下方には大きな一輪の赤い薔薇が開いていた。
その薔薇は崩壊した床の破片が花片に触れると薔薇の中心が開き、大きな口を開けた。
「ちょっと!ちょっと!何よあれ!?」
「生きた花にゃ」
塔の中を落ちる黒のアリスの横にチェシャ猫が現れた。
「そんなの見れば分かるわよ」
「じゃあ、ブラッティローズかにゃ」
「誰も名前なんか聞いてないわよ」
黒のアリスはチェシャ猫とそんなやり取りをしながら状況を打開する策を巡らせた。
「壁はあの蔦でいっぱいね…だったらこのまま…」
黒のアリスは大鎌を身体より後ろへ構え、瓦礫を蹴って自ら落下を加速させた。
「そのまま舞い散りなさい!!」
黒のアリスはブラッティローズの目前で身体を前傾させて、その勢いで大鎌を振り下ろした。
ブラッティローズは引き裂かれ、塔が放射線状に広がり崩壊すると薔薇の花片が舞い上がり、その中心に黒のアリスは立っていた。
「……手向けには丁度いいわね」
白のアリスは崖の上からその様子をサンドルと眺めながら言うと去って行った。
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