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18 ミルワールの館・Ⅰ
しおりを挟む「いくら王とて私に命令とは痴がましいわ」
ルージュはミルワールの館の前に立っていた。
ミルワールの館は館という割にはお粗末で建物は骨組みだけで正面の扉は鏡で塞がっていた。
「開かずという割には中身がないわね」
ルージュは館に近付くと鏡の前に立った。
「鏡?」
そこにはルージュの姿だけが映っていなかった。
「じゃないわね」
ルージュはその鏡らしきものに触れた。するとそれは接触面から崩壊し、破片がルージュを包み込んだ。そして、破片はルージュを鏡らしきものがあった場所に引き込みと鏡らしきものは元の形に戻った。
「変わった趣向ね」
気が付くとルージュは明かりが灯る吹き抜けの左右上下対称な玄関広間にいた。
「何しに来たの?」
正面にはブランが立っていた。
「貴女に答える義理はないわ」
「当てて上げましょうか?どうせ、アリスを殺す方法が此処にあるとでも聞いたのでしょう?」
「何を言っているのかわからないわ」
「でも、残念、此処にはそんなものはないわ」
「ない?」
「やっぱり探しに来たのね」
「謀ったわね」
ルージュは身構えたがすぐに異変気付いた。
「そう、この場所で私達の力は使えないわ」
「だったら原始的な武器なら?」
ルージュは右足を蹴り上げると足首に備え付けてあったナイフがブランに向かって飛び出した。
ブランは飛んで来るナイフを見据え、動くことはなかった。
ナイフはブランの直前まで迫ると何かに弾かれ、床に突き刺さった。
「そういえば仲間がいたんだったわね」
広間二階の廊下には弓を構えるジョーヌがいた。
「それと………」
ルージュは一階左にある柱へと顔を向けた。
「そろそろ出て来たらどうかしら?」
柱の陰から俯いたノワールが姿を現した。
「盗み見とは寝首でも狙っていたのかしら?」
ノワールはルージュの問い掛けに何も答えなかった。
「だんまり?」
ルージュがそう言うとノワールから影が伸び、足元で止まった。そして、影から大鎌が飛び出た。
ルージュは咄嗟に身を捩ると大鎌はルージュの頬を掠めた。
「どうして、力を」
ブランは驚き、すぐに身構えた。
「くっ!よくも私にぃぃぃ」
ルージュは傷を付けられたことにより憤慨し、しゃがむとさっきとは逆の足首のナイフを引き抜いた。
そして、ノワールの元に走り込むとまたルージュに向けて影が伸び、大鎌を振るう。それを躱しながらもルージュはノワールに近付いていく。
「どうしますか?」
二階から降りてきたジョーヌはブランに聞いた。
「今は様子見ね」
ブランはノワールとルージュのやり取りを見ながら言った。
ルージュはノワールが手の届く範囲まで来るとナイフを投げ飛ばした。そして、ルージュがすぐに後ろへ飛び退いた。
するとルージュが居た場所から大鎌が飛び出た。
投げ飛ばされたナイフはノワールの胸に突き刺さった。
「どうかしら?これで……」
ナイフはノワールの身体に沈み込むとルージュの影から飛び出し、ルージュの胸へと突き刺さった。
「こんなことでアリスである私が死ぬわけ……」
ルージュは今までにないほど悪寒を感じた。
「何…?この感じ………これが死?……」
ルージュはそう思うと床に膝と手をついた。その表情には恐怖の色が滲み出ていた。
「私が…この私が死ぬ……?」
ルージュの背後にはいつもとは違った様子のノワールが大鎌を振り翳し立っており、ノワールの瞳には黒い炎が瞬いていた。
ノワールは大鎌をルージュの首に向けて振り下ろすとルージュの頭が宙を舞い、無残にも床に転がった。
「首狩り女王の最期が首を狩られて終わりとは皮肉ね」
ブランは床に突き刺さるナイフを引き抜いた。
「私が気を引いている間に行って下さい」
ジョーヌはブランにそう言うと弓を引いた。
「修道士を放って行ったんじゃ寝覚めが悪いわ、あの部屋に退くわよ」
ブランはナイフを片手にジョーヌと共に広間二階、奥にある部屋に駆けていくがノワールは何もせずにただ黒い炎の瞬く瞳で見詰めていた。
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