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22 館のルーワルミ・裏
しおりを挟む「何なのよ…」
ノワールは気が付くと何処までも広がる真っ白な世界にいた。そして、上を見上げると遥か遠くの方に床が閉まり消えるのが見えた。
「落ちてきた所があんなに遠くに見えるにゃ」
「あんな所から落ちて何ともないなんて変な床ね」
ノワールは片足の裏で真っ白な床を踏み締めると波紋が広がった。
顔を上げて辺りを見回すといつの間にか後ろに何の飾り気もない楕円形の鏡が浮いていた。
その鏡には黒い世界にいるブランと同じ姿の自分が映し出されていた。
「何なのこの鏡は……ふざけてるの」
ノワールは怒り気味で言った。
「何がにゃ?」
「ちょっと癪に障る奴が映っているわ」
「何も映ってないにゃ」
「そんな訳無いでしょ?だって目の前にいるんだから」
「僕には何も見えないにゃ」
「いいわ」
ノワールは黒い血で大鎌を形作り構えた。
「何をする気にゃ」
「決まってるでしょ?」
「止めた方がいいと思うにゃ」
ノワールはチェシャ猫が言うことには耳を貸さずに大鎌を下方から振り上げて鏡を斜めに斬った。
すると鏡に一筋の線が入り、ずり落ちる。
「大したことないわね…」
ノワールは大鎌を仕舞おうとした瞬間、ずり落ちていた鏡が止まり、元に戻ると突然、ノワールの胸に鏡と同じような筋が入り、血が噴き出した。
「…なに?…」
「にゃははは~」
ノワールは何が起きたか理解できずにいるとチェシャの笑い声が聞こえた。
「単純にゃ性格でよかったにゃ」
肩に乗っていた猫の人形は黒い霧へと昇華し、ノワールの後方で黒い霧は元の姿のチェシャ猫に変わった。
「これで止まった時が動き始めるにゃ」
「何のこと…?」
ノワールは大鎌で身体を支えながら言った。
「この世界は造られた世界にゃ、だから時間はにゃいにゃ、それは僕達にとってはつまらにゃいことだにゃ」
「それとこれには何の関係があるわけ…?」
「アリスを全て消し去ることがきっかけとにゃるにゃ」
チェシャ猫がノワールにそう言うと何者かが話し掛けてきた。
「それがあいつの目的ってわけね」
声の方向を見ると冑のない純白の甲冑で身を包んだブランが剣を持ち、立っていた。
「にゃんで……」
「何を驚いているの?この私があの程度の力でどうにかできるとでも?」
チェシャ猫は後退ると足元に矢が突き刺さった。
「動かない方がいいわよ」
チェシャ猫は目線を横にずらすと弓矢を構えるジョーヌがいた。
「困ったにゃ…」
チェシャ猫は身動きの出来ないことで動揺した。
「さあ、観念して私達に協力することね」
ブランは剣の切っ先を向けて言った。するとチェシャ猫の背後の地面から朱く錆び付いた色をした髪と鱗のような肌を持った男が浮き上がり、チェシャ猫の身体を掴みそのまま地面の中にまた戻った。
ジョーヌはその様子を見るや否やすぐに矢を射ったが二人が消えた地面に突き刺さった。
「すみません」
ジョーヌは取り逃がしたことをブランに謝った。
「貴女の所為ではないわ、あれで良かったのよ」
ブランがジョーヌにそう言うとドサッという音が聴こえ、音の方向を見るとノワールが倒れていた。
「忘れていたわ」
ブランは甲冑の姿から元のドレス姿に戻った。
ノワールは朦朧とした意識の中、ブランが近付いて来るが見えた。そして、徐々に意識を失った。
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