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37 沈黙の柩
しおりを挟む「これで幾つになる?」
金色の髪の美青年が苛ついた様子で教会内に並べられた数字の刻まれた柩を眺めながら聞いた。
「駒はKn‐Ⅱ、Kn‐Ⅲ、A‐Ⅱ、A‐Ⅲの四名と他数名です」
ビショップが答えた。
「やつめ!勝手な改変、結末を早めるつもりか」
金色の髪の美青年は何も刻まれていない柩に拳を強く叩きつけると正面の扉が開いた。
「結末を早めるつもりはない」
金色の髪の美青年が左目に十字架のレリーフの入った眼帯を着けた黒毛の短髪の少年が現れた。
「お前は誰だ!」
「察しの悪い奴だな、今の今まで私の話をしていたというのに」
その言葉に金色の髪の美青年はその少年がノウル・エッジであることに気付いた。
「お前がどうしてこの世界にいる!?」
「この世界は私の創りし世界、居ても可笑しくはないであろう?」
「なら、何しに此処に来た?」
「不要な物を消すのにたまには自らの手で遣るのも一興かと思うてな」
ノウル・エッジは金色の髪の美青年に歩みを進めるとビショップが立ちはだかった。
「まさか改変の影響を受けない者が此処にもいたとはな…」
ビショップはノウル・エッジの喉笛を切り裂いた。
「人ごときが神のまね事とは痴がましい」
「ビショップ…お前は一体?」
「そろそろ偽りの舞台から降りるとしましょうか」
ビショップは金色の髪の美青年の問いに答えず、その身に纏う衣を脱ぎ去った。
サファイアのような色をした濡れた髪にその髪とは不釣り合いなほどの深紅の瞳を持つ女性が顕わになった。
「それに人に与えるような世界は一片足りともない」
「…私はもう人ではない、故に此処にいる」
切り裂かれたかに思われた喉笛には傷一つなかった。
「どんな対価を払ったとしても、過ぎたる身は器に納まることは能わず」
女性はそう言うとノウル・エッジの片目を覆う眼帯の縁から血が流れた。
「何故、文字列(フィリスペル)に欠損が…」
ノウル・エッジは片目を手で押さえながら後退る。
「一度崩れ始めた文字列はもう止まらず」
「くっ…何者かは知らぬが、いずれまた…」
ノウル・エッジはそう言い残し、その場から消えた。
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