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41 墓守りの獣
しおりを挟む洞窟の奥にある古びた墓地。
「ここみたいだ」
少女と背の高い男、アリアとレギオスの目の前には無数の割れた卵の殻が散乱していた。
「分かりやすい目印ね」
散乱していた殻がカタカタと動き始め、一つ所に集まっていく。
「お出ましか」
殻は卵の形を成した。
「うん」
卵の殻に亀裂が入り、卵が割れる。
中から頭に殻を被った肥えた毛玉のような生き物が出てきた。
「久し振りでいいのかな?」
頭に殻を被った肥えた毛玉のような生き物は剽軽な声で聞く。
「さぁ、どうだろうな。だが…まずは死んどけ」
「みたいだね」
レギオスは手を強く握ると表面が鋼となり、その鋼の拳で頭に殻を被った肥えた毛玉のような生き物に殴りかかる。
「いきなりだな」
頭に殻を被った肥えた生き物はレギオスの鋼の拳を躱す素振りも見せず、お腹で受け止めた。
「やっぱり打撃じゃ無理みたいね」
レギオスは拳を引いて、アリアの元に戻った。
「わかってるのにやったの?」
「そのお腹を見たらまずは殴っとかないと」
「そんな挨拶代わりみたいに…」
頭に殻を被った肥えた生き物は溜め息をついた。
「それで本題は何」
「ハンプティ、貴方ならアリスの居場所を知っているでしょう?故にノウル・エッジも貴方を消そうとしたのだろうから」
「それで君達が来たのか」
「アリスの居場所は?」
「僕は知らないよ」
「俺が知ってるぜ」
突然、頭から被っている殻が三日月のような洞が口を開け、がさつな声が響かせた。
「ダンプティ、居たの?」
「居るわ!俺とハンプティは二心同体だ」
「それで」
「どうするかなぁ」
「その殻、割るぞ」
レギオスが拳を構える。
「まったく変わらず冗談が通じない奴だぜ」
ダンプティは詰まらなそうにぼやく。
「どのアリスが知りたいだ」
「すべてよ」
「しゃあねぇな…んっ随分と数が少ねぇな…取り合えず青はいいとして…」
ダンプティはアリアを意識する。
「…黒、いや灰色は盤上には見えんな、あとは…」
ダンプティが次を言い掛けたところで男勝りな少女の声が聞こえる。
「おいおい、珍しい組み合わせだな?」
墓石に腰掛けた黄色の色彩に彩られた服を身に纏った黄色髪のお河童の少女が居た。
「面倒な奴が…」
アリアは溜め息混じりに呟いた。
「なんか言ったか?」
「…それでなんで此処にいるの?」
「決まってんだろ?」
墓石に腰掛けていた黄色の色彩に彩られた服を身に纏った黄色髪のお河童の少女は片手を振り翳すと袖口から黄色い液体が伝い出て手を覆った。そして、指に鋭利な爪を作り出すと少女はそれをアリアに向けて振り下ろした。
だが、黄色の鋭い爪はアリアの鼻先で止まっており、黄色髪のお河童の少女の手首をレギオスが掴み止めていた。
「こっちだったみたいね」
アリアは掌にある三角の石を見ながら言った。
三角の石は黄色髪のお河童の少女を示していた。
「…なら遠慮なく出来る。まあ、そうでなくても遠慮はしないけど」
アリアは喉元に手を翳すと流れるように前に手を送り出すと手の動きに合わせて喉元から青い液体が流れ出る。
流れ出た青い液体はアリアの手に青い槍を形作ると青い槍を掴み、鋒を黄色髪のお河童の少女に向けた。
「そうでないとな」
黄色髪のお河童の少女は向けられた槍の鋒に臆することなく愉しげな笑みを見せると身体を捻りつつレギオスから手から逃れ、レギオスごとアリアを吹き飛ばすように蹴りをいれる。
その蹴りにレギオスはアリアを庇うように背で受け止めた。
「やっぱ竜はかてぇーな」
黄色髪のお河童の少女はもう片方の手にも黄色い液体で手を覆い、指に鋭利な爪を作り出す。
そして、黄色髪のお河童の少女は両手を後方に振り上げ、前方に振り抜くと地面を削るように爪痕がアリアを庇うように背を向けるレギオスに向かって走る。
だが、毛玉によって地面を走る爪痕が消える。
「遊びはそこまでだぜ」
「二人に暴れられると破壊の限りを尽くすからね」
ダンプティとハンプティが言った。
「ちっ」
黄色髪のお河童の少女はハンプティ・ダンプティに水を差され、不機嫌に舌打ちをすると両手を覆っていた液体が袖口に消える。
「暴れてるのはそこの黄色だけ」
アリアは槍を液体と化し、喉元に仕舞いながら言った。
「次は邪魔が入らない場所で」
「次があればね」
黄色髪のお河童の少女は洞窟内に点在する横穴の一つへと消えていった。
「いいのか?」
レギオスがアリアに聞いた。
「いいの、あの男の言いなりになるつもりはないから」
「どうすんだ、お前ら」
「何が?」
何かを聞いてきたダンプティにアリアは聞き返す。
「わかってんだろ」
「そうね」
アリアは周囲に視線を送る。
洞窟内に点在する横穴の至るところからただならぬ気配が漂っている。
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