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シオン

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42 紙とアリス

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墓場から横穴に入った黄色の色彩に彩られた服を身に纏った黄色髪のお河童の少女の前に赤い血文字が綴られた紙が至る所に貼られた洞窟が続いている。



「…ったく、嫌な感じしかしやがらねぇ」



黄色髪のお河童の少女は両手を黄色い液体で覆い、指に鋭利な爪を作り出す。



黄色髪のお河童の少女が赤い血文字が綴られた紙が貼られた場所へと踏み入るごとに紙に綴られた血文字が妖しい光を放つ。



「…ミ、ヅ、ケ、ダ…」



嗄れた声が聞こえた。すると紙の血文字が滲み、一つ所へと集まっていく。



「けっ死に損ないが」



集まった血は湧き上がり、人の形を為していく。



赤い人の形をしたものの顔に瞳と口表すように不気味な虚が開く。そして、赤い血のドレスを纏った赤い人の形をしたものは首を傾げながら口を弓形に歪めて嗤う。



「…アリス…キイロ…アリス…」



鋒が角のように長い斧が掌にから形象した。



「ちっ厄介なものを」



黄色髪のお河童の少女は左手を下方に落とし、右手を上方に引き上げる。



「使う間も無く消してやるよ」



両手を引き寄せるように素早く振り抜くと洞窟に貼り付いた紙を切り裂くように螺旋状に爪痕が走る。



赤い人の形をしたものの身体を削るように血飛沫を洞窟に散らす。



しかし、赤い人の形をしたものは揺らぐことなく首を傾げながら口を弓形に歪めて嗤っている。



「平気な顔、いや、狂気な顔してやがるぜ」



赤い人の形をしたものは腕を鞭のように振るい、鋒が角のように長い斧を持つ腕を黄色髪のお河童の少女へと投げ伸ばす。



黄色髪のお河童の少女は真正面から向かい来る斧に向けて左手を叩きつけるように振り下ろす。



すると少女の左手は髪を梳くように斧を裂いた。



だが、少女の左手は斧の途中で止まり、左手を覆っている硬化した黄色い液体を侵蝕していく。



「くそっ」



少女は引き抜こうとするが動かず、侵蝕部が徐々に橙色に染まっていく。それと同時に赤い人の形をしたものは黄色髪のお河童の少女に近付いていく。



「お困りのようだね、黄のアリス」



黄色髪のお河童の少女の後ろから負ぶさるように抱き付き、少女の肩に顎を置く何の飾り気のない真っ白な凹凸のない仮面と黒いローブの人物が現れた。



「こんなときに鬱陶しい」



「折角、助けてあげたのに」



真っ白な仮面の人物のローブの袖口から透き通る白い肌が現れ、少女の左手に指を差した後、そのまま腕を伸ばして赤い人の形をしたものを差す。



どちらも動きが止まっていた。



「盤上には貴方の居場所はない、自ら幕を引くなら…」



赤い人の形をしたものの表情から笑みが消える。



真っ白な仮面の人物は黄色髪のお河童の少女を飛び越えるように離れると赤い人の形をしたものに歩みを進める。



赤い人の形をしたものは鋒が角のように長い斧を持つ腕を引き戻し、真っ白な仮面の人物から距離を取るように後ずさる。



「…クルナ…チカヨルナ…」



赤い人の形をしたものの顔は恐怖に歪む。



「恐れることはない、すぐに終わる」



真っ白な仮面の人物は手を赤い人の形をしたものに向ける。その手には紙の回転式拳銃があった。



真っ白な仮面の人物は引き金を引く。すると洞窟に貼り付いていた紙が赤い人の形をしたものに向かって跳ねる。



紙は赤い人の形をしたものに貼り付いていき、身体を覆い尽くす。



「…ワタシ…マダ…」



貼り付いた紙は赤い人の形をしたものの身体を押し縮めながら紙の束になるように纏まっていく。そして、一つの束になると赤い装丁が現れた。



「お前、そんなことしていいのか」



「あれ、心配してくれるの」



真っ白な仮面の人物は出来上がった赤い本を取りながら黄色髪のお河童の少女に聞く。



「だ、誰がお前なんかの心配を」



黄色髪のお河童の少女は顔を背ける。



「だったらいいの、馴れ合う関係ではないから」



「そうだぜ」



黄色髪のお河童の少女は真っ白な仮面の人物に視線を戻すと真っ白な仮面の人物の姿が消えていた。



「ちっ、もういっちまいやがった」



黄色髪のお河童の少女は洞窟の先へと歩みを進める。

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