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46 混沌
しおりを挟む「中に入ったはいいけど…」
「何とも難儀だな」
孤城の中は空間が捩れたように天も地も定まりがない。
クリューとアドナは目の前に広がる光景に立ち尽くしていると何処からともなく叫び声が聞こえ、二人の前に何かが鈍い音を立てて落ちた。
「……いたいにゃ」
「チェシャ猫、なんであんたがこんなとこに、それにその姿」
チェシャ猫は人の形を成している。猫の耳を模したような髪型に黒い毛皮、黒い尻尾がユラユラと動いている。
「君達、誰だにゃ?」
「何いってんの?」
「クリュー、恐らく改変の影響だろう」
アドナはクリューにだけ聞こえるように言った。
「あぁ、そういうことか」
クリューは呟くように言う。
「どうしたにゃ」
「で、あんたは此処で何してるの?」
「う~ん、にゃんでにゃろ」
チェシャ猫は顔を手で擦る。
「アドナ、斬ってもいい?」
クリューは剣の柄に手を掛ける。
「止めた方がいい」
「そう、止めた方がいい」
その場にいるものとは別の声が上から聞こえた。
アドナは直ぐに上を見上げ、剣の柄に手を掛けたままクリューも見上げる。
そこには青白い髪に狐目の少年が二人と一匹?を見上げていた。
「リンゼン」
「君達は何者です。私の名前を知ってる者はこの世界では限られてるのですがね」
リンゼンは変わった剣と十字のペンダントに視線を移す。
「なるほどアリスの駒ですか」
リンゼンは呟き、足の裏で床を軽く蹴ると身体を翻し、二人と一匹?のいる床へと降り立つ。
「いや、だったと言うべきですか」
「何を言ってるの?」
「こちらの話です、それであなた達はアリスのお出迎えですか?」
「なんで知ってんの!?」
リンゼンはクリューの反応に微笑む。
「あっ、くうぅ~」
クリューはリンゼンの反応に地団駄を踏む。
「案内しますよ」
「ふぇ?」
クリューは素っ頓狂な声を上げる。
「なんて」
「アリスの元へと案内すると言ったんですよ」
「何故?」
アドナはリンゼンに聞く。
「それは今はいいでしょう」
リンゼンはクリューとアドナに背を向けると捩れた空間に歩みを進める。
「しっかり着いてきて下さい、でないと…」
リンゼンの姿が言葉と共に消える。
アドナはリンゼンの後に続き、歩みを進める。
「クリュー、行くぞ」
「あっチェシャ猫がいない」
「放っておけ、猫は気紛れだからな」
アドナも姿が消え、クリューも急いで後を追って消える。
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