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断章 傍観者たちの夜会
しおりを挟む「この物語の最後は何処に行き着くのでしょうか」
「さぁね、彼女達の行く末は彼女達の記すべき記述だからね」
「しかし、あの男の退場は案外早いものだったな」
「あれは世界を紡ぐ駒に過ぎないからな」
「実に滑稽だったよあれは、駒だというのに支配者気取りだったからな」
「でも、改変まで行えるのだから駒としては規格外じゃないかな」
「まあ、確かにな、あれで他の駒にも少なからず影響があったからな」
「駒は彼の地から補充すればよかろう」
「補充?そう簡単にゆうな、全ての力は有限だぜ」
「では、このまま欠落した物語を語るのか?者がなければ語ることも能わず」
「そうよね」
「皆さんはお忘れてではないですか?」
「初めて口を開いたと思えば、いきなりなに?」
「私達はキャストではなく、あくまでもオンルッカー、傍観者なのですよ」
「その様なことは百も承知です。でしたら貴方にはこの状況を変える策があるのですか?」
「………」
「ないなら黙っていらしたら?」
「…策なら、策なら簡単なものがあります」
「へぇ、言ってごらんなさい」
「傍観者をやめればいいのよ」
「何を馬鹿なことを」
「だって前例はあるのだから」
「前例だと?」
「先程話されていた支配者気取りの彼、元はこちら側の者ですよね」
「へぇ~僕以外にもそれを知ってる者がいたんだ」
「私も驚きましたまさか貴方が知っているとは」
「まあね、でも僕だけではないはずだよ。前例は彼だけでないのだから」
誰もが沈黙する。
「さっきまでの雄弁に語ってたというのに…まあ、沈黙は美徳だけど愚劣だね」
続けて告げる。
「分かってる者に聞くけど誰が行くんだい?」
「貴方はどうだというの?」
「僕かい?僕は端から傍観者ではないからね」
誰もが今度は驚愕により沈黙する。
「いや、違うかな、此処にいるのだから傍観者でもあるのか…どちらにしても僕は選択肢から外れるってことだよ」
「貴方…何者?」
「それを此処で聞くのはマナー違反だよ」
「貴方がそれを言うの?どちらでもあり、どちらでもない存在の貴方が」
「言えるさ。だったら君達は己が何者かわかるのかい?傍観者たる君達に自己を確立できるのかい?」
「…できる、ます」
「へぇ~」
感嘆の息が漏れる。
「君はどうやら他の者達とは違うようだ、うん」
納得したように続ける。
「君ならば前例に名を連ねることができるだろう。でも、それが駄作になるか、傑作になるか、遺作になるかは君次第だけど…」
指をバチンと鳴らす音が聞こえた後、静寂…人の気配一切なくなり、夜会の終演。
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