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危機一髪!危機一発!
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開戦五日目、イシュトバーン降爵を乗せた皇国船の撤退を見届けようやく一息ついた南西の海岸。僕は現在残った重傷者の癒しに忙殺されているところだ。
グラリ…
あ、ヤバ。なんだこれ…視界が霞む…
「欠損を伴わない中軽傷者は癒さない」と告げてある再生の癒し。
いくら生命力の補給が可能になったからといってものには限度と言うものがある。この南西においては戦闘の規模が大きく重症者の数が多すぎるのだ。
身体に感じた異変。
そういえば前世軸のウル様も自分で内なる最期を予期してたっけ…
酷使しすぎた生命力は枯渇が近いのだろう。
早く終わらせたいとは言え、調子に乗って散々武器代わりにもしたし…まずいな。やりすぎたか。
かと言って残された重傷者には長く放置できない状態の人も含まれている。
この状況で西へ帰って…体調を整えそれから再度戻るとしたら所要日数は何日間かかるだろう。彼らの体力はそれまでもつんだろうか?
だけど…
ここまで死者ゼロできたのにこの期に及んで犠牲者はだしたくない!神子ウルリッヒの沽券にかけて!
だからって自分がくたばったらそれこそ本末転倒である。ああ!ジレンマ!
「ウルリッヒ様、今日はここまでとしましょう」
不調を察しローマンは僕を救護小屋から連れ出していく。
「ごめんローマン、少し休む…」
「無理はなさらないでください」
「そうしたい…けど…」
小屋を出る僕に向けられる落胆の視線…。痛みにうめく彼らも死と隣合わせなのだ。
例の潜入計画を伝えるため、ブルクハルトはあの晩一人西へ戻らせている。
しまったな…海から戻るのを待ってもらっていったん一緒に連れて帰ってもらえば良かった。
見誤った。一瞬の判断ミスが最悪の結果を招くとはこのことだ。
眠ったくらいでこの欠乏感はおさまらないだろう。けど…今は休むことしか出来そうにない…
まるで沼にでも嵌ったかのように重い身体。なのに睡魔がやってこないのは何故なんだろう。
どこか遠くの方でガヤガヤとした声が聞こえる。ここが神子の部屋だって知らないんだろうか…
…ん…
…なんだこれ…
…暗闇の中で身体に感じる他者の体温。何かが起こっている!なのに身体が動かない!
…って、重い!
誰かが布団の中に入って来た!!!
ムッカァァ…!こんな不届きなことをする命知らずは誰だ!いくら僕が美人だからって一国の王妃であり神子である僕によくもこんなふざけた真似を!
こうなったら枯渇覚悟で滅殺!僕はオスビーだけのものだ!あとウル様の!
「やめ…」
「押し返す力もないのかウーリ…」
この声は…オスビー!
「!」パクパク
「話さずとも大丈夫だ。待て、今すぐ楽にしてやる」
え…?その台詞じゃ息の根止められるみたいじゃん、って笑う元気もない。
「可哀想にウーリ。君はそのままで。私に任せるがいい」
え?え?えぇーーー!!!
「っ!あ、ああん!」
「私を置いて行くなど許さない!困った人だ…」
「ん、んぅん…ふ…」
人払いは済んでるんだろうけど…簡易の小屋じゃきっと外に聞こえる、恥ずかしい…
「これはただの食事だ、そう思えばいい」
「バカ!ムリ…っん!」
「ウーリ…」
「ん、ぅうー!はぁぁ…」
「愛してるよ…」
けっきょく違う意味で息の根を止められたから、オスビーは何一つ間違っちゃない。
不謹慎なので何があったか詳細は割愛させてもらおう。
「どうだウーリ」
「まあまあ復活」
「君の力に頼りすぎたようだな…すまなかった」
「ううん。来てくれてありがとう。でもどうして?」
オスビーはブルクハルトから例の司令官拉致計画を聞き、僕が無茶をしたのを、そして現在進行形で無茶するのを正確に見越して、制止の声を振り切り駆けつけてくれたらしい。
「全部お見通しか…」
「短くはない付き合いだからな」
ギュウ「あっちはいいの?」
「臣下を信じろと言ったのはウーリ、君だ」
「言ったけど…」グリグリ
なんだろ?色々大変だったせいかいつになく甘えたい気分…
「まったく…無茶をする」ペシ
「先に無茶したオスビーには言われたくない!」ドス!
「私たちはよほど気が合うらしい。実に似合いの夫夫だな」
ボッ!「…うぅ…」
なんて返事しろと?
「だが伝令を待つ手間が省けた。よくやってくれたウーリ。まさか敵船の撤退まで事が進むとは…」
「やり過ぎだった?」
「いや。西の騎士団と名付けたところで所詮初陣の新兵ばかり。いずれ火薬も底をつく…長引けばこちらが不利。お手柄だ」
「じゃあ…」
「ああ。今から報告を受け今後の打ち合わせを行い即時帰還の予定だ。皇国との戦争は終わったわけではないのだからな」
そう。あの撤退はあくまで西及び南西の海から撤退させるためのものであって、北の辺境では今もまだ戦乱が続いている。長引くようならこの西からも救援が必要になるだろう。…爆弾とか。
それに皇国に返したのはイシュトバーン侯爵だけで、捕えた敵兵は捕虜として手中に押さえたままだ。
ギシ…
「さあもう行くとしよう。すべきことをし一刻も早く戻らねばカーステンだけでは荷が重かろう」
「よし!じゃあ僕も残りの重傷者癒してくる!それとユストゥスも!捕虜を連れてくんでしょ?なら一緒に帰る」
「ふふ、足りなければいくらでも補充しよう。気の済むまで癒しを与えてくるがいい」
ギョギョ!何言ってんのこの人!
バシッ!「だから不謹慎だってば!」
「だが必要だろう?」
それはそうだけど!
あーあ、神様はなんだって生命力の補給にこんな手段を選んだんだか。ほかに何かもっと方法がある…、あ、神様は罪人から生命力奪ってたわ。
くっ!それだけは御免!
補給はともかく。こうして僕はなんとか望み通り神子の力で死者ゼロを達成したのだった。
さあ帰ろうオスビー!僕たちのサンクトリウムへ!
グラリ…
あ、ヤバ。なんだこれ…視界が霞む…
「欠損を伴わない中軽傷者は癒さない」と告げてある再生の癒し。
いくら生命力の補給が可能になったからといってものには限度と言うものがある。この南西においては戦闘の規模が大きく重症者の数が多すぎるのだ。
身体に感じた異変。
そういえば前世軸のウル様も自分で内なる最期を予期してたっけ…
酷使しすぎた生命力は枯渇が近いのだろう。
早く終わらせたいとは言え、調子に乗って散々武器代わりにもしたし…まずいな。やりすぎたか。
かと言って残された重傷者には長く放置できない状態の人も含まれている。
この状況で西へ帰って…体調を整えそれから再度戻るとしたら所要日数は何日間かかるだろう。彼らの体力はそれまでもつんだろうか?
だけど…
ここまで死者ゼロできたのにこの期に及んで犠牲者はだしたくない!神子ウルリッヒの沽券にかけて!
だからって自分がくたばったらそれこそ本末転倒である。ああ!ジレンマ!
「ウルリッヒ様、今日はここまでとしましょう」
不調を察しローマンは僕を救護小屋から連れ出していく。
「ごめんローマン、少し休む…」
「無理はなさらないでください」
「そうしたい…けど…」
小屋を出る僕に向けられる落胆の視線…。痛みにうめく彼らも死と隣合わせなのだ。
例の潜入計画を伝えるため、ブルクハルトはあの晩一人西へ戻らせている。
しまったな…海から戻るのを待ってもらっていったん一緒に連れて帰ってもらえば良かった。
見誤った。一瞬の判断ミスが最悪の結果を招くとはこのことだ。
眠ったくらいでこの欠乏感はおさまらないだろう。けど…今は休むことしか出来そうにない…
まるで沼にでも嵌ったかのように重い身体。なのに睡魔がやってこないのは何故なんだろう。
どこか遠くの方でガヤガヤとした声が聞こえる。ここが神子の部屋だって知らないんだろうか…
…ん…
…なんだこれ…
…暗闇の中で身体に感じる他者の体温。何かが起こっている!なのに身体が動かない!
…って、重い!
誰かが布団の中に入って来た!!!
ムッカァァ…!こんな不届きなことをする命知らずは誰だ!いくら僕が美人だからって一国の王妃であり神子である僕によくもこんなふざけた真似を!
こうなったら枯渇覚悟で滅殺!僕はオスビーだけのものだ!あとウル様の!
「やめ…」
「押し返す力もないのかウーリ…」
この声は…オスビー!
「!」パクパク
「話さずとも大丈夫だ。待て、今すぐ楽にしてやる」
え…?その台詞じゃ息の根止められるみたいじゃん、って笑う元気もない。
「可哀想にウーリ。君はそのままで。私に任せるがいい」
え?え?えぇーーー!!!
「っ!あ、ああん!」
「私を置いて行くなど許さない!困った人だ…」
「ん、んぅん…ふ…」
人払いは済んでるんだろうけど…簡易の小屋じゃきっと外に聞こえる、恥ずかしい…
「これはただの食事だ、そう思えばいい」
「バカ!ムリ…っん!」
「ウーリ…」
「ん、ぅうー!はぁぁ…」
「愛してるよ…」
けっきょく違う意味で息の根を止められたから、オスビーは何一つ間違っちゃない。
不謹慎なので何があったか詳細は割愛させてもらおう。
「どうだウーリ」
「まあまあ復活」
「君の力に頼りすぎたようだな…すまなかった」
「ううん。来てくれてありがとう。でもどうして?」
オスビーはブルクハルトから例の司令官拉致計画を聞き、僕が無茶をしたのを、そして現在進行形で無茶するのを正確に見越して、制止の声を振り切り駆けつけてくれたらしい。
「全部お見通しか…」
「短くはない付き合いだからな」
ギュウ「あっちはいいの?」
「臣下を信じろと言ったのはウーリ、君だ」
「言ったけど…」グリグリ
なんだろ?色々大変だったせいかいつになく甘えたい気分…
「まったく…無茶をする」ペシ
「先に無茶したオスビーには言われたくない!」ドス!
「私たちはよほど気が合うらしい。実に似合いの夫夫だな」
ボッ!「…うぅ…」
なんて返事しろと?
「だが伝令を待つ手間が省けた。よくやってくれたウーリ。まさか敵船の撤退まで事が進むとは…」
「やり過ぎだった?」
「いや。西の騎士団と名付けたところで所詮初陣の新兵ばかり。いずれ火薬も底をつく…長引けばこちらが不利。お手柄だ」
「じゃあ…」
「ああ。今から報告を受け今後の打ち合わせを行い即時帰還の予定だ。皇国との戦争は終わったわけではないのだからな」
そう。あの撤退はあくまで西及び南西の海から撤退させるためのものであって、北の辺境では今もまだ戦乱が続いている。長引くようならこの西からも救援が必要になるだろう。…爆弾とか。
それに皇国に返したのはイシュトバーン侯爵だけで、捕えた敵兵は捕虜として手中に押さえたままだ。
ギシ…
「さあもう行くとしよう。すべきことをし一刻も早く戻らねばカーステンだけでは荷が重かろう」
「よし!じゃあ僕も残りの重傷者癒してくる!それとユストゥスも!捕虜を連れてくんでしょ?なら一緒に帰る」
「ふふ、足りなければいくらでも補充しよう。気の済むまで癒しを与えてくるがいい」
ギョギョ!何言ってんのこの人!
バシッ!「だから不謹慎だってば!」
「だが必要だろう?」
それはそうだけど!
あーあ、神様はなんだって生命力の補給にこんな手段を選んだんだか。ほかに何かもっと方法がある…、あ、神様は罪人から生命力奪ってたわ。
くっ!それだけは御免!
補給はともかく。こうして僕はなんとか望み通り神子の力で死者ゼロを達成したのだった。
さあ帰ろうオスビー!僕たちのサンクトリウムへ!
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