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おまけ ⑥
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色々あって去年は非常に落ち着かない一年だった…
だが今年は平穏と共に日々が過ぎていく…、何かと頼まれ事の多い僕以外は…
とにかく、今年の誕生日はリベンジ!といきたい。自分の誕生日を自分でプロデュースするのも別にそう悪くない。
とまぁ、そんなわけで僕は自分の仕事部屋で色んなプランを書きなぐっていた。
牛追い祭り…、いや危険だ。危険極まりない。
リオのカーニバル…、あれはあれで一度見てみたい気はするが…南の地の方が風土的に合ってる気がする。ケネスに譲ってやろう…。
ホーリー祭…、見る分にはいいが参加するのは微妙だ…。洗濯が大変だって。
うぅ~ん…、え~とそれから…
「アッシュ~!ガトー・ナンテが出来上がったよ~。ラム酒の量これでいい~?」
「あ、今行くー!ガトー・ナンテ、食べてみたかったんだよね。何でも再現してくれるナッツ様様だ!」
そうして僕は部屋を後にした。後に『アッシュ君お誕生日計画書』を放り出したまま席を離れたことを死ぬほど後悔することになるのだが、その時はまだ何も知る由が無かった。…当然だが…。
そして次の日、
「あの、アッシュ様、来月のお誕生日のことなのですが…」
「誕生日…。何?何のこと、あ!僕の誕生日のこと?アルパ君それがどうしたの?」
「あ、ええと、…ノール様、アレクシ様に相談したら力になって下さると仰っていただけて…。」
「相談…?」
「以前より考えていたのです。アッシュ様には当初より色々お骨折りいただいて…それなのに私は何もお返しできず心苦しいと…。なのでこの祝宴は私がきっと立派なものにしてみせます。満足いただけるよう頑張ってみますので。」
「へっ?あ、ああうん。ありがとう。じゃぁ期待して待ってる」
これだけ言われてしまってはお断りするわけにはいくまい。はぁ…仕方ない。アルパ君が主催する以上、ごく普通の祝賀パーティー、お昼間ならガーデンパーティーといったところが関の山だな。
けどまぁ、アルパ君が頼んだらナッツも協力するだろうし…、美味しいお菓子でも期待するか…
なぁんて思ってた時が僕にもありました…。
大人しく祝われようと、アレクシさんやノールさんにすらなにも確認せず、屋敷の外で何か準備しているところさえ、なるべく目にしないようみんなのサプライズを楽しみにしていた僕が1か月後目にしたものは…
「え…、ちょ…、あ、アルパ君、ナニコレ…?」
「あの…、これがおやりになりたかったのですよね?」
「ですよねって…、ど、どうしてそう思ったの…カナ?」
「アッシュ様の書斎に本をお返しに入った際目にしてしまって…、その、机の上に『アッシュ君お誕生日計画書』と投げ出してありましたから…。でも自身の誕生日をご自分で主催なさるのはあんまりだと思いまして…。計画書に大筋は書かれていましたからあとはエスター様とナッツさんが嬉々として協力をしてくださって。いかがですか?」
「エスターとナッツ⁉ アレクシさんとノールさんは⁉」
「途中まではお手伝い下さいました。でもどうしたんでしょう?途中から頭を抱えて何処かに…。アッシュ様?」
エスターとナッツ…。あの二人が絡んで普通の訳がない。あの二人は…僕を困らせるのをライフワークにしているのだから…
「ねぇ、何枚かあったと思ったんだけどどうしてこれに?」
「エスター様とナッツさんがアッシュ様はこれを気に入るはずだ、これがいいと。…あの…、私はなにか間違いをおかしましたか…?」
しょんぼりするアルパ君…、この儚げな彼にこんな顔をさせるわけには…いかないでしょうが!
「ううん!ありがとうアルパ君。最高の誕生日になりそう…てか、なってる既に!…ところでエスターとナッツはどこ?」
「わぁ!お喜びいただけてホッとしました。ナッツさんはあそこに…アッシュ様?」
いたいけなアルパ君をだましてあの二人は全くもう!
「ちょっと二人とも!これどういう事!」
そこに用意されていたのは競技のコース。
全長500メートルくらいのそのコースには砂地・草地・泥地の障害が用意され、なんと深さ1メートルくらいの水溜まりまで用意されている周到さだ。
そのスタート地点には領民・学生含めた様々なペアが待機し、競技のスタートを待っている…。
そしてそのペアは男女男男性別問わず、抱っこされる者…、おんぶされる者…、エストニアスタイルの猛者まで様々だ。
お分かりだろう。これは『奥様運び祭り』れっきとしたフィンランドの奇祭である…
「あ…頭が痛い!エスター!」
「いやぁ…うっかり通りがかったら何やら面白い催しの話をしていたんでね。」
「書物関係ない!」
「後世に書き残そう。領主とその妻、愛の軌跡の1ページに」
「ナッツ!」
「だってトマトぶつけるとかオレンジ投げるとか、シェフが聞いたら怒っちゃう~。食べ物を粗末にするなって~」
「うっ!…それはまぁ…」
「パンケーキ運びもいいな~って思ったけどそれはまた別でやろうと思って~あ、その時は参加する~」
「はいはい」
「アレクシさん…ノールさんも、何で止めてくれなかったの?」
「もう止まらなかったんだよ…」
「だが賞金や賞品を出したことで領民は大喜びだ。賑やかには違いないだろう?」
確かに…。
楽しそうにスタートを待つ領民達。これはこれでまぁ…
「さぁアッシュ。向こうにユーリ君が待っているよ。行きたまえ」
「えっ!まさかと思うけど…」
「そのまさかだ」
「う、うそだ!」
「噓じゃないさ。君が出ないならタピオ君を呼ぶといったら快く参加してくれたよ」
「え、エスター…よくもユーリまで巻き込んだな…」
「アッシュ、これは君の誕生日だ。主役が出ないでどうする。さあ!」
「ぐっ!ぐぬぬ…」
「出るからには一位を狙う」と息巻く領主様。いや優勝は領民に譲ろうよ…。
せめておんぶで、それがだめならエストニアスタイルで、そう願う僕の望みはことごとく却下され可愛くお姫様抱っこになってしまったのは痛恨の極み。
僕は羞恥で真っ赤になりながらユーリの腕の中で祝福の声を浴び続けた。まぁ…トータルで良い誕生日だ!
「アッシュ様21歳おめでとうー!」
「アッシュ様ー!背ー来てるー!来てるよー!」
「アッシュ様ー!今年のナスは大豊作ですー!」
「キャー、領主様素敵ー!こっち向いてー!」
あれ?一個違うの混ざってたな…
だが今年は平穏と共に日々が過ぎていく…、何かと頼まれ事の多い僕以外は…
とにかく、今年の誕生日はリベンジ!といきたい。自分の誕生日を自分でプロデュースするのも別にそう悪くない。
とまぁ、そんなわけで僕は自分の仕事部屋で色んなプランを書きなぐっていた。
牛追い祭り…、いや危険だ。危険極まりない。
リオのカーニバル…、あれはあれで一度見てみたい気はするが…南の地の方が風土的に合ってる気がする。ケネスに譲ってやろう…。
ホーリー祭…、見る分にはいいが参加するのは微妙だ…。洗濯が大変だって。
うぅ~ん…、え~とそれから…
「アッシュ~!ガトー・ナンテが出来上がったよ~。ラム酒の量これでいい~?」
「あ、今行くー!ガトー・ナンテ、食べてみたかったんだよね。何でも再現してくれるナッツ様様だ!」
そうして僕は部屋を後にした。後に『アッシュ君お誕生日計画書』を放り出したまま席を離れたことを死ぬほど後悔することになるのだが、その時はまだ何も知る由が無かった。…当然だが…。
そして次の日、
「あの、アッシュ様、来月のお誕生日のことなのですが…」
「誕生日…。何?何のこと、あ!僕の誕生日のこと?アルパ君それがどうしたの?」
「あ、ええと、…ノール様、アレクシ様に相談したら力になって下さると仰っていただけて…。」
「相談…?」
「以前より考えていたのです。アッシュ様には当初より色々お骨折りいただいて…それなのに私は何もお返しできず心苦しいと…。なのでこの祝宴は私がきっと立派なものにしてみせます。満足いただけるよう頑張ってみますので。」
「へっ?あ、ああうん。ありがとう。じゃぁ期待して待ってる」
これだけ言われてしまってはお断りするわけにはいくまい。はぁ…仕方ない。アルパ君が主催する以上、ごく普通の祝賀パーティー、お昼間ならガーデンパーティーといったところが関の山だな。
けどまぁ、アルパ君が頼んだらナッツも協力するだろうし…、美味しいお菓子でも期待するか…
なぁんて思ってた時が僕にもありました…。
大人しく祝われようと、アレクシさんやノールさんにすらなにも確認せず、屋敷の外で何か準備しているところさえ、なるべく目にしないようみんなのサプライズを楽しみにしていた僕が1か月後目にしたものは…
「え…、ちょ…、あ、アルパ君、ナニコレ…?」
「あの…、これがおやりになりたかったのですよね?」
「ですよねって…、ど、どうしてそう思ったの…カナ?」
「アッシュ様の書斎に本をお返しに入った際目にしてしまって…、その、机の上に『アッシュ君お誕生日計画書』と投げ出してありましたから…。でも自身の誕生日をご自分で主催なさるのはあんまりだと思いまして…。計画書に大筋は書かれていましたからあとはエスター様とナッツさんが嬉々として協力をしてくださって。いかがですか?」
「エスターとナッツ⁉ アレクシさんとノールさんは⁉」
「途中まではお手伝い下さいました。でもどうしたんでしょう?途中から頭を抱えて何処かに…。アッシュ様?」
エスターとナッツ…。あの二人が絡んで普通の訳がない。あの二人は…僕を困らせるのをライフワークにしているのだから…
「ねぇ、何枚かあったと思ったんだけどどうしてこれに?」
「エスター様とナッツさんがアッシュ様はこれを気に入るはずだ、これがいいと。…あの…、私はなにか間違いをおかしましたか…?」
しょんぼりするアルパ君…、この儚げな彼にこんな顔をさせるわけには…いかないでしょうが!
「ううん!ありがとうアルパ君。最高の誕生日になりそう…てか、なってる既に!…ところでエスターとナッツはどこ?」
「わぁ!お喜びいただけてホッとしました。ナッツさんはあそこに…アッシュ様?」
いたいけなアルパ君をだましてあの二人は全くもう!
「ちょっと二人とも!これどういう事!」
そこに用意されていたのは競技のコース。
全長500メートルくらいのそのコースには砂地・草地・泥地の障害が用意され、なんと深さ1メートルくらいの水溜まりまで用意されている周到さだ。
そのスタート地点には領民・学生含めた様々なペアが待機し、競技のスタートを待っている…。
そしてそのペアは男女男男性別問わず、抱っこされる者…、おんぶされる者…、エストニアスタイルの猛者まで様々だ。
お分かりだろう。これは『奥様運び祭り』れっきとしたフィンランドの奇祭である…
「あ…頭が痛い!エスター!」
「いやぁ…うっかり通りがかったら何やら面白い催しの話をしていたんでね。」
「書物関係ない!」
「後世に書き残そう。領主とその妻、愛の軌跡の1ページに」
「ナッツ!」
「だってトマトぶつけるとかオレンジ投げるとか、シェフが聞いたら怒っちゃう~。食べ物を粗末にするなって~」
「うっ!…それはまぁ…」
「パンケーキ運びもいいな~って思ったけどそれはまた別でやろうと思って~あ、その時は参加する~」
「はいはい」
「アレクシさん…ノールさんも、何で止めてくれなかったの?」
「もう止まらなかったんだよ…」
「だが賞金や賞品を出したことで領民は大喜びだ。賑やかには違いないだろう?」
確かに…。
楽しそうにスタートを待つ領民達。これはこれでまぁ…
「さぁアッシュ。向こうにユーリ君が待っているよ。行きたまえ」
「えっ!まさかと思うけど…」
「そのまさかだ」
「う、うそだ!」
「噓じゃないさ。君が出ないならタピオ君を呼ぶといったら快く参加してくれたよ」
「え、エスター…よくもユーリまで巻き込んだな…」
「アッシュ、これは君の誕生日だ。主役が出ないでどうする。さあ!」
「ぐっ!ぐぬぬ…」
「出るからには一位を狙う」と息巻く領主様。いや優勝は領民に譲ろうよ…。
せめておんぶで、それがだめならエストニアスタイルで、そう願う僕の望みはことごとく却下され可愛くお姫様抱っこになってしまったのは痛恨の極み。
僕は羞恥で真っ赤になりながらユーリの腕の中で祝福の声を浴び続けた。まぁ…トータルで良い誕生日だ!
「アッシュ様21歳おめでとうー!」
「アッシュ様ー!背ー来てるー!来てるよー!」
「アッシュ様ー!今年のナスは大豊作ですー!」
「キャー、領主様素敵ー!こっち向いてー!」
あれ?一個違うの混ざってたな…
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