街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

kozzy

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2 0歳

一人では起き上がることも出来ない、そんな無力な僕に会いに来た美しい人が居る。今世での母親だ。

産後の肥立ちが悪く今まで寝込んで居たと言う母親。ようやくベッドから出られるようになったんだとか。

けっして良い顔色とは言えなくとも、それからは時折現れ一時間ほど僕を抱きしめ話しかけていくようになった。
その語り掛けはほとんど独り言に近いもので…でもそれによって自分のおかれた状況はかなりクリアーになってくる。

僕の名前はレジー。正式にはレジナルドというらしい。
とある貴族家の御子息である。

レジーか…

前世の名前とほぼ同じ。耳なじみが良い。違和感が無くてホッとした。

ここは『ランカスター』公爵領、父はまごう事無き公爵閣下、そして母は公爵夫人でありながらハミルトンの女侯爵でもあるんだって。すごいな…

そしてこの国の名は『クラレンス王国』といい、良く栄えた大国だけど近隣にはいがみ合う血なまぐさい国がたくさんあって、そのうえ領地を奪い合う血の気の多い領主も多いってことなんかが分かったわけだが…

あれ…?なんだろうこの既視感、どっかで聞いたような…
出てくる名詞にもどこはかとなく聞き覚えがあるのは…気のせい?


「レジー、あの女はわたくしにひと月遅れて子供を生んだわ。名前は『パーカー』ですって。ああ…旦那様は何故男爵家の娘になど…。こんなことが外に知れれば公爵家にとってどれ程不名誉な事か…」

「派手なだけで決して美しいとも言い難い女ですのに…。旦那様は一体どこが良くて…」

「手練手管に長けているのよ。旦那様はすっかり篭絡されてしまった…。いいえ違うわね。わたくしとの間には初めから愛など無いのですもの、仕方ないわ…。旦那様はハミルトンの莫大な財と広大な領地を欲しただけだったの。そして病に伏したお父様は将来を案じ、王家との繋がりを求めてその要請をお受けになった。…所詮貴族の娘に自由などありはしない。分かっていた事よ…」

「ですが『ランカスター』は公爵家と言っても王家の掃き溜めではありませんか。先々代の夫人は追放された第四王女、先代の夫人は国費を湯水のように使った前国王の第三側妃。現公爵である旦那様が爵位をお継ぎになられる頃にはすっかりこの領の財政も傾いておりましたのでしょう?」

「ある意味旦那様も可哀そうなお方ね。弟様が亡くなられたことであの制御出来ぬ恐ろしい魔力が己に発現するかもしれないと常に恐れておいでだった…。彼は亡くなられた弟様と違って気の小さいお方なの。だから気安い男爵家のあの女に容易く篭絡されてしまったのだわ」

ああ参った…

間違いない。これは近世ヨーロッパを舞台に繰り広げられる『恋バト』の世界だ。
なんてこった!僕は乙女ゲーの世界に転生してしまったのか!ってかなんでまた!
あれか?あの時あのTシャツを持ってたからか?そういやスマホの画面もゲームを開いたままだった。ああ…

クラレンス王国、ランカスター、パーカー…、そうだよパーカー!

パーカーってあの『恋バト』で徹底してプレイヤーの邪魔をしまくる性格最悪、自分の利益しか考えない自己中心的な極悪令息の名前じゃないか!

近隣の好戦的な国には地位の保証と引き換えに重要機密を漏らしてしまうわ、領と領の争いごとにはあっちにもこっちにも情報を売ってかき回すわ、魔の森には調子に乗って突っ込んで、あわや大惨事を招きかけるという…あのパーカーだろ?

最悪だな…

これがゲームの通りなら僕の母親はあと数年で亡くなってしまう。この国では未だ治療法のないある特別な原因で。

特別な原因とは…、それにはこの公爵家の事情をまず説明しなくてはならない。


この『クラレンス王国』王家には代々一人尋常ならざる魔力、狂魔力を持つ子が生まれてきた。
その狂魔力は常人にはとても制御できない大きな力で、そのため魔力の最盛期となる頃、どの人物も類に漏れず魔力暴走を起し王都に壊滅的なダメージを与えてきた。

それに困った先々代の王さまは、当時の発現者である第四王女を、国の辺境に領土を持つ当時は侯爵家であったランカスターの当主に押し付けたのだ。

そして侯爵家は公爵家となり、狂魔力の血筋も王家からこのランカスターへと移行した。

その狂魔力のせいで公爵家は皆短命であり、またそれが関係してこの母もあと数年で命を落とすはずである。

そしてそのあと。父の愛人である男爵令嬢は後添えとなってこの公爵家へとやって来るのだ。将来の極悪令息、パーカー君を引き連れて。

何故それをこの僕が知っているかというと…それはSSRキャラのプロフィールにざっくり書いてあったからだ。
何を隠そうSSRキャラこそ狂魔力の現後継者なのだ!


と言うことはつまり、もう分かったよね?僕の立ち位置は…

僕が妹の為に手に入れたSSRキャラ。名前の出ていなかった隠しキャラ。そしてパーカー君の義理の兄でもある…、その名もランカスター家の嫡男様だ!

このランカスターの長男こそが、アイテムもスキルもフルコンプし、尚且つ全てのレベルをカンストし、そうして開放されたシナリオまで含めてコンプリート完了しないと出てこないと言う…、SNSでも名前の拡散はNGとされ、その存在しかプレイヤーには知らされていないスーパースペシャルレアだ。

だけど何故レジーなのか理由は分かった。手に入れただけで妹はまだ未プレイだった彼。あの彼は裏ルートを開始した、最初のシナリオまでその名前は出てこない。
つまり名無しの彼にはこの世界でまだ名前が無い!だから僕の名前がそのまま付いたんだろう。礼二…レジー…安直だな!

いずれにしろ彼はパーカー君とその母親からの壮絶な虐待によって今後闇落ちしかけるはずだ。

それを救うのが聖女であるプレイヤー、隠しルートの大筋である。
そして上手くいけばその膨大な魔力で魔の森の魔獣を一掃し、そして攻略に失敗すれば…彼の魔力暴走により国は半壊する…

ちっとも笑えないよ!

だけど分かっていれば何とかなる。その為の解決手段は既に頭で出来上がった。

なにしろ僕はこのゲームを知り尽くしている。設定も、ミニゲームも、そしてその細かな攻略方法も。…恋愛へと至る乙女なシナリオ以外なら全て。

メインゲームの設定は変えられなくとも未プレイ設定は変えられるはずだ。だってまだ無いも同然なんだから。僕の名前がキャラ名に繁栄されたのがその証拠。
それなら勝算はある。


腐ってもゲーマー。僕は必ず攻略して見せる!


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