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1.5 危険な視聴者
あ、あ、あああ、あー!
あの子が…あの子が亡くなっただってー!
毎週金曜、夜の楽しみ。ファンタジー都市建設ゲーム『フロンティア』。あの実況主、礼二君が…
ブラックデベロッパーに勤め、身も心もぐったりな俺にとって唯一の癒し…それが街作りをまったり実況する金曜夜のあの子のチャンネル、『レイジーシティ』だ。
数年前、仕事でいき詰まった俺は、何をとち狂ったかヒントでもあればと街作り系シミュレーションゲームのサイトや動画を見漁っていた。
そんな時ふと目にしたのが当時はまだ副都心を作るゲームの実況だった『レイジーシティ』。
その実況主はぱっと見普通の高校生なのに、生き生きとした表情が不思議と印象に残る、その語り口調の癒し効果も相まって何か惹きこまれる、そんな子だった。
実況系には珍しく彼は顔出しで解説をする。
その顔はいつも楽しそうでいつも輝いていて、それでいてグイグイ来ない自然体な姿で…彼を見ているだけで俺はいつしか疲れを忘れていた。
気が付いたらそのチャンネルを見るのは俺の生きがいになり…、彼に投げ銭をしレスポンスを貰うのが俺の密かな愉悦になった…
そんなある日画面に映し出されたのは、彼の家族がアップしたと思しき一枚のテロップ。
そこには彼の…事故による訃報が知らされていた。
ああ…。一度も会った事の無い彼なのに涙が止まらない…
正直に言おう、俺は彼に恋してたのだ…恥ずかしながら…。
あの無邪気な笑顔、時々滑るダジャレまで…俺は俺は、彼のことを本気で…
どうやって彼の住所を知ろう?過去動画を見漁りながら、どこかに居住地のヒントは無いか、本気でそう考えてたところだったのに、それなのに…
ストーカーになる前に、俺の真実の恋は…終わりを迎えた…
--------------
クラス内ヒエラルキーの底辺、それがいつもの僕の立ち位置。
一人の友人も無く、息をして帰るだけ。一日誰とも話さない、そんなのは当たり前というのが僕の日常だった。
そんな僕の密かなストレス解消は…、ネットのコメ欄でちょっとした嫌がらせをすることだ。
ネットですら気の小さい僕には誹謗中傷なんか出来やしない。だからほんのすこし意地の悪い粗探しをして悦に入る。
それで相手が怒ったり困ったりするのを見て楽しむのだ。
そんな僕がある日見つけた新しいターゲットは、街作りシミュレーションゲームの実況チャンネル『レイジーシティ』、そのチャット欄だ。
その同い年くらいに見える顔出し実況主はいつもニコニコしながらゲームをしてて…きっとこいつは学校に行っても上位種だ!そう思ったら無性に腹がたって、気が付いたら僕はチャット欄が荒れるくらいヒドイ言葉を投げつけていた。
なのにその実況主、高校生の礼二君は、同年だって言うのにまるで僕より年上みたいに大きな心で僕を包んでくれたんだ…
僕の意地悪い投稿を目にした彼は画面の向こうからこう言った。
見に来てくれてありがとうございま~す。厳しめの意見ですね~、でも確かにそうかも。警察と消防の優先順位…参考になりましたよ~。視野を広くもつ為にもこういう意見はほんとう貴重です、感謝です!良かったらあなたの街も見てみたいです。どこかでアップしてくださいよ。ぜひ仲間になりましょう!
僕は自分を恥じた。彼のピュアな心に打たれて…それからそこへはしばらく行けなかった。
でもどうしても彼の顔が見たくてほとぼりが冷めた頃コッソリチャットを覗いたら、彼は僕のアイコンにすぐ気が付いて…、元気でしたか~?あ、もしかして街作りが忙しかったんですか~?って。お人好しめ…
それから僕は彼と同じゲームをやりこんで、ホンの時々SNSにアップした。公開するのが目的じゃない。彼に見せるためだけの街作り。それでも彼は喜んで、いつしかDMでやり取りするまでに…なって…僕は…僕は…、すっかり彼に夢中だった。なのに…
え…?なにこれ…?彼が…事故?
だって僕は次の夏休みに彼に会いに行こうって計画してて、どうにかして彼を連れ出してどこかで一泊して一緒に夜通し…、そう勝手に思ってて…
初めての一泊デートは…夢となって消え失せた…
--------------
都市建設ゲーム『フロンティア』の実況チャンネル『レイジーシティ』。
登録者数4000人のうち100人くらいが顔出しライブをする実況主のガチ恋勢だったこと、流れていくチャット欄で時折不穏な空気感が醸し出ていたこと、投げ銭の額で誰が一番のファンであるか競い合う輩が居たことなど、それらの事実に本人だけ最後まで全く気付いていなかったのは…おそらく幸いだったのだろう…
あの子が…あの子が亡くなっただってー!
毎週金曜、夜の楽しみ。ファンタジー都市建設ゲーム『フロンティア』。あの実況主、礼二君が…
ブラックデベロッパーに勤め、身も心もぐったりな俺にとって唯一の癒し…それが街作りをまったり実況する金曜夜のあの子のチャンネル、『レイジーシティ』だ。
数年前、仕事でいき詰まった俺は、何をとち狂ったかヒントでもあればと街作り系シミュレーションゲームのサイトや動画を見漁っていた。
そんな時ふと目にしたのが当時はまだ副都心を作るゲームの実況だった『レイジーシティ』。
その実況主はぱっと見普通の高校生なのに、生き生きとした表情が不思議と印象に残る、その語り口調の癒し効果も相まって何か惹きこまれる、そんな子だった。
実況系には珍しく彼は顔出しで解説をする。
その顔はいつも楽しそうでいつも輝いていて、それでいてグイグイ来ない自然体な姿で…彼を見ているだけで俺はいつしか疲れを忘れていた。
気が付いたらそのチャンネルを見るのは俺の生きがいになり…、彼に投げ銭をしレスポンスを貰うのが俺の密かな愉悦になった…
そんなある日画面に映し出されたのは、彼の家族がアップしたと思しき一枚のテロップ。
そこには彼の…事故による訃報が知らされていた。
ああ…。一度も会った事の無い彼なのに涙が止まらない…
正直に言おう、俺は彼に恋してたのだ…恥ずかしながら…。
あの無邪気な笑顔、時々滑るダジャレまで…俺は俺は、彼のことを本気で…
どうやって彼の住所を知ろう?過去動画を見漁りながら、どこかに居住地のヒントは無いか、本気でそう考えてたところだったのに、それなのに…
ストーカーになる前に、俺の真実の恋は…終わりを迎えた…
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クラス内ヒエラルキーの底辺、それがいつもの僕の立ち位置。
一人の友人も無く、息をして帰るだけ。一日誰とも話さない、そんなのは当たり前というのが僕の日常だった。
そんな僕の密かなストレス解消は…、ネットのコメ欄でちょっとした嫌がらせをすることだ。
ネットですら気の小さい僕には誹謗中傷なんか出来やしない。だからほんのすこし意地の悪い粗探しをして悦に入る。
それで相手が怒ったり困ったりするのを見て楽しむのだ。
そんな僕がある日見つけた新しいターゲットは、街作りシミュレーションゲームの実況チャンネル『レイジーシティ』、そのチャット欄だ。
その同い年くらいに見える顔出し実況主はいつもニコニコしながらゲームをしてて…きっとこいつは学校に行っても上位種だ!そう思ったら無性に腹がたって、気が付いたら僕はチャット欄が荒れるくらいヒドイ言葉を投げつけていた。
なのにその実況主、高校生の礼二君は、同年だって言うのにまるで僕より年上みたいに大きな心で僕を包んでくれたんだ…
僕の意地悪い投稿を目にした彼は画面の向こうからこう言った。
見に来てくれてありがとうございま~す。厳しめの意見ですね~、でも確かにそうかも。警察と消防の優先順位…参考になりましたよ~。視野を広くもつ為にもこういう意見はほんとう貴重です、感謝です!良かったらあなたの街も見てみたいです。どこかでアップしてくださいよ。ぜひ仲間になりましょう!
僕は自分を恥じた。彼のピュアな心に打たれて…それからそこへはしばらく行けなかった。
でもどうしても彼の顔が見たくてほとぼりが冷めた頃コッソリチャットを覗いたら、彼は僕のアイコンにすぐ気が付いて…、元気でしたか~?あ、もしかして街作りが忙しかったんですか~?って。お人好しめ…
それから僕は彼と同じゲームをやりこんで、ホンの時々SNSにアップした。公開するのが目的じゃない。彼に見せるためだけの街作り。それでも彼は喜んで、いつしかDMでやり取りするまでに…なって…僕は…僕は…、すっかり彼に夢中だった。なのに…
え…?なにこれ…?彼が…事故?
だって僕は次の夏休みに彼に会いに行こうって計画してて、どうにかして彼を連れ出してどこかで一泊して一緒に夜通し…、そう勝手に思ってて…
初めての一泊デートは…夢となって消え失せた…
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都市建設ゲーム『フロンティア』の実況チャンネル『レイジーシティ』。
登録者数4000人のうち100人くらいが顔出しライブをする実況主のガチ恋勢だったこと、流れていくチャット欄で時折不穏な空気感が醸し出ていたこと、投げ銭の額で誰が一番のファンであるか競い合う輩が居たことなど、それらの事実に本人だけ最後まで全く気付いていなかったのは…おそらく幸いだったのだろう…
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