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124 17歳 in 王城の大広間 ②
「陛下!なりませぬ陛下!力の源となる王を今ここで失えば国力は一気に損なわれるのですぞ!」
「そのためにアルバート、そしてオルランドの命を見捨てよというか!」
「それはっ…!し、しかし…」
「入ることは可能なのだな。陛下、では私が中に入ってどうにか殿下を…」
「モレー!浅はかなことを申すでない!内から出られぬ以上犠牲者が増えるだけではないか!騎士を束ねるお前を失い残った者の安全は誰が守る!」
「ハハハッ、光を持たない者など水槽に入った途端一瞬で呑まれて終わりよ。早くするんだな。見るがいい、足元からどんどん汚濁がカサを増してもう腰の位置だ」
ドンドンドン!!!
「おうおう、中でどれ程暴れても無駄だ!魔力切れのお前に何が出来る!」
「アルバート!」
「いいか、いくら光に護られし王族であろうと身体の内部を侵食されればそこで終わりだ。何をしようともう助からない。さあどうする?クラレンスの王様よ…」
「私と引き換えにお前が王子二人を返す保証が何処にある!」
「信じられぬならそれまでだ。息子の最期をそこで見物するがいい!ほらもう首の位置まで来た。あと少しで満水だな。ハーッハッハッハッ!」
「くうっ!……オルグレン!カニンガム!国は任せた!」
「陛下!」
「アルバート!今父が助けてやる!」
「ちょっと待ったーーー!!!」ドカッ!ドサッ!
「レ、レジナルド! ど、どこから現れた!」
「馬鹿な真似はヤメロ!無駄死にする気か!」
か、間一髪…
冷血漢かと思ったクラレンス王は以外にも…って、言ってる場合か!
あん?あそこに居るのが駅に居た闇魔法使いだな!クソ野郎…
「シャリム、MPはさっき分けてあげたよね。ごめんだけどもう一人いける?」
「いける…。元気いっぱい…」
「全然そうは聞こえないけど…、闇魔法使いは任せたよ!僕はアルバートを助ける!」
「うん任せて…」
慌てるあまり意識の無いオルランド様とエルンスト様を思いっきり放り投げてしまったが不敬罪にはならないだろうか…
彼らが介抱されているのを横目で確認し、僕は父の顔を捨てきれなかった王様へと向き直った。
「レジナルド、何をする気か知らぬがこの水槽は決して破れぬ!禍々しきこの外殻を通るのは人のみ!だが中に入れば光の属性を持たぬ者は即座に呑まれる…。私以外誰がアルバートを助けられるというのだ!」
「陛下にも無理ですよ、多分」
「そうかも知れぬ…。あ奴は内側からは出られると言ったが確かかどうか…」
「内側…、なるほど。コーティングの内側は普通のシールド…それならイケそう…」
「レジナルド、お前内側から破るつもりか」
ああ!この包容力を感じるバリトン寄りのテノールボイスは…
「ヴォルフ!会いたかったヴォルフ…。これが終わったら散歩しよう!王城の庭と言う庭を…!」
「馬鹿者!そんな話は後だ!中に入るつもりか!」
「もちろん!」
「出られなかったらどうする!」
「問題ない!」
「答えになっていない!」
「だから問題ないってば」
「勝算はあるんだろうな!」
「あらいでか!もう時間がない!中に入る!」
「ま、まさか狂魔力を…!正気か!狂魔力をぶつければアルバートも無事で済まぬのだぞ!」
「アルバートを助けられるのは僕しか居ない!」ズズ…
「止せ!レジナルド!レジナルドー!!!」
王様の叫びが外殻越しに響いてエコーが少しうるさい。
心配は分かるけど…四の五の言ってる場合じゃないでしょうが!見なよ?アルバートはすでに顔まで闇の汚濁に浸かっている。必死に息を止めてはいるが、それももう限界だろう。
さて、もう一刻の猶予も無いわけだが…
まずはアルバート自身を復帰させる必要がある。MPさえ充電すれば、彼ら直系王族には強い光の加護があるはずなのだ。
とは言え手を握ろうが抱きしめようが、残念なことに接触で魔力を受け渡すことは出来なかった。汚濁に浸かったこの状態では瞬時に魔力が汚染されてしまうのだ。
残るは最期の手段か…。気は乗らないが仕方ない。内側に直接放り込むアレしかない。人命にかかわる事態だ。選り好みは出来ない。
大事な事だから二回言う。実に気が乗らない…はぁ~……よし!
『アルバート…、アル、こっち向いて、もう大丈夫だから、ほら顔かしてってば、せーの』
目を瞑り耳を塞ぎ息を止め汚濁の侵入を拒んでいるアルバート。
その顔を両手で掴みこちらを向かせると息を吹き込むようゆっくり魔力を吹き込んでいく。
アルバートがホッと緊張を解いたのが分かる…
その一方で僕はアルバートを媒介にして水槽の汚濁を浄化していく。光の加護を持つアルバートを通して光の浄化力を増幅しているのだ。これぞ人間活性炭。
あ、外が見えてきた。
アルプスの天然水並みにきれいになった水槽の中、せせらぎの聞こえそうなその清流の中で僕は風魔法によって顔周りに丸い酸素の幕を張る。これはあれだ。宇宙空間のパイロットみたいなやつね。
それにしても…、これだけ忙しく魔法を展開しているというのにある部分一か所だけは何故か未だにアルバートに接触を…その…
って言うか、もう充分でしょ!何このチカラ!いつの間に人の顔を!離せ!離せってば、はーなーせー!このっ!
ドゲシッ!
『はぁーはぁー、調子に乗んな!』
『嬉しくてつい…』
『…まあいいや、少し離れて…』
『何するんだい?』
『こうするの!『斬鉄剣!』』
なんてね、ただのフルカンスト光の剣でーす。
真っ二つに切れた水槽からはワサビ栽培でも出来そうな清らかな水が流れ出した。
その水たまりの中で感激の対面を果たす一組の親子。
「お、おお!アルバート!アルバートよ、無事か!無事なのだな!」
「父上…、心配おかけしましたがもう大丈夫です。ご覧の通り」
「うむ」
「それより闇魔法の使い手は…」
「あそこだ」
王様の言葉に闇魔法使いと戦うシャリムのことを思い出した!
そうだ!ゲスマンで見そびれた分も今度こそ見届けなきゃ。可愛いシャリムの初陣を!
「シャリムがんばって!そんな奴ボッコボコにやっちゃ…」パタリ
「レジー!」
「レジナルド!」
------------------------------------
「調子に乗るなガキ!俺たちはお前より強い。蟲毒の頂点、それが俺たち兄弟だ…。ハハハハハ!」
「ばかみたい…。汚い闇は全部消してきた…。あの闇は乾いた血のように赤黒かった…。お前の闇はヘドロのように濁ってる…。どっちも汚い…。お前も全部消す…」
「何だと!アウルを消しただと?まさかそんな、嘘を言うな!俺たちには魔力増幅の魔石がある!」
「嘘じゃない。これを見たらわかる『絶望の縄』」
「そ、それはアウルの練り上げた魔法!よ、よせ!」
「よさない…。お前はあいつよりうんと弱い…。消すのは簡単…」
「う、うわぁぁあ!」
「真っ黒じゃない闇なんか闇じゃない。あいつもお前も偽物の闇。闇は僕の友達、闇は僕を裏切らない…」
「シャリム!とりあえず手も足も影も出せないように縛り上げろ!その…」
「『絶望の縄』絡み付いたら最後、相手が死ぬまで離れない縄。ゲスマンへの恨みを練り上げて真似して作った。あいつに出来ることは僕にも出来る…」
「おいヴォルフ、始末しねぇのか」
「人間には人間のケリのつけ方があるだろう」
「けどこいつをこのまんまってのは…、お、おいシャリム!!!」
「汚い闇はイラナイ…『奈落』…、あ、消えちゃった…」
「お前な…」
「ま、まあいいか…」
「そのためにアルバート、そしてオルランドの命を見捨てよというか!」
「それはっ…!し、しかし…」
「入ることは可能なのだな。陛下、では私が中に入ってどうにか殿下を…」
「モレー!浅はかなことを申すでない!内から出られぬ以上犠牲者が増えるだけではないか!騎士を束ねるお前を失い残った者の安全は誰が守る!」
「ハハハッ、光を持たない者など水槽に入った途端一瞬で呑まれて終わりよ。早くするんだな。見るがいい、足元からどんどん汚濁がカサを増してもう腰の位置だ」
ドンドンドン!!!
「おうおう、中でどれ程暴れても無駄だ!魔力切れのお前に何が出来る!」
「アルバート!」
「いいか、いくら光に護られし王族であろうと身体の内部を侵食されればそこで終わりだ。何をしようともう助からない。さあどうする?クラレンスの王様よ…」
「私と引き換えにお前が王子二人を返す保証が何処にある!」
「信じられぬならそれまでだ。息子の最期をそこで見物するがいい!ほらもう首の位置まで来た。あと少しで満水だな。ハーッハッハッハッ!」
「くうっ!……オルグレン!カニンガム!国は任せた!」
「陛下!」
「アルバート!今父が助けてやる!」
「ちょっと待ったーーー!!!」ドカッ!ドサッ!
「レ、レジナルド! ど、どこから現れた!」
「馬鹿な真似はヤメロ!無駄死にする気か!」
か、間一髪…
冷血漢かと思ったクラレンス王は以外にも…って、言ってる場合か!
あん?あそこに居るのが駅に居た闇魔法使いだな!クソ野郎…
「シャリム、MPはさっき分けてあげたよね。ごめんだけどもう一人いける?」
「いける…。元気いっぱい…」
「全然そうは聞こえないけど…、闇魔法使いは任せたよ!僕はアルバートを助ける!」
「うん任せて…」
慌てるあまり意識の無いオルランド様とエルンスト様を思いっきり放り投げてしまったが不敬罪にはならないだろうか…
彼らが介抱されているのを横目で確認し、僕は父の顔を捨てきれなかった王様へと向き直った。
「レジナルド、何をする気か知らぬがこの水槽は決して破れぬ!禍々しきこの外殻を通るのは人のみ!だが中に入れば光の属性を持たぬ者は即座に呑まれる…。私以外誰がアルバートを助けられるというのだ!」
「陛下にも無理ですよ、多分」
「そうかも知れぬ…。あ奴は内側からは出られると言ったが確かかどうか…」
「内側…、なるほど。コーティングの内側は普通のシールド…それならイケそう…」
「レジナルド、お前内側から破るつもりか」
ああ!この包容力を感じるバリトン寄りのテノールボイスは…
「ヴォルフ!会いたかったヴォルフ…。これが終わったら散歩しよう!王城の庭と言う庭を…!」
「馬鹿者!そんな話は後だ!中に入るつもりか!」
「もちろん!」
「出られなかったらどうする!」
「問題ない!」
「答えになっていない!」
「だから問題ないってば」
「勝算はあるんだろうな!」
「あらいでか!もう時間がない!中に入る!」
「ま、まさか狂魔力を…!正気か!狂魔力をぶつければアルバートも無事で済まぬのだぞ!」
「アルバートを助けられるのは僕しか居ない!」ズズ…
「止せ!レジナルド!レジナルドー!!!」
王様の叫びが外殻越しに響いてエコーが少しうるさい。
心配は分かるけど…四の五の言ってる場合じゃないでしょうが!見なよ?アルバートはすでに顔まで闇の汚濁に浸かっている。必死に息を止めてはいるが、それももう限界だろう。
さて、もう一刻の猶予も無いわけだが…
まずはアルバート自身を復帰させる必要がある。MPさえ充電すれば、彼ら直系王族には強い光の加護があるはずなのだ。
とは言え手を握ろうが抱きしめようが、残念なことに接触で魔力を受け渡すことは出来なかった。汚濁に浸かったこの状態では瞬時に魔力が汚染されてしまうのだ。
残るは最期の手段か…。気は乗らないが仕方ない。内側に直接放り込むアレしかない。人命にかかわる事態だ。選り好みは出来ない。
大事な事だから二回言う。実に気が乗らない…はぁ~……よし!
『アルバート…、アル、こっち向いて、もう大丈夫だから、ほら顔かしてってば、せーの』
目を瞑り耳を塞ぎ息を止め汚濁の侵入を拒んでいるアルバート。
その顔を両手で掴みこちらを向かせると息を吹き込むようゆっくり魔力を吹き込んでいく。
アルバートがホッと緊張を解いたのが分かる…
その一方で僕はアルバートを媒介にして水槽の汚濁を浄化していく。光の加護を持つアルバートを通して光の浄化力を増幅しているのだ。これぞ人間活性炭。
あ、外が見えてきた。
アルプスの天然水並みにきれいになった水槽の中、せせらぎの聞こえそうなその清流の中で僕は風魔法によって顔周りに丸い酸素の幕を張る。これはあれだ。宇宙空間のパイロットみたいなやつね。
それにしても…、これだけ忙しく魔法を展開しているというのにある部分一か所だけは何故か未だにアルバートに接触を…その…
って言うか、もう充分でしょ!何このチカラ!いつの間に人の顔を!離せ!離せってば、はーなーせー!このっ!
ドゲシッ!
『はぁーはぁー、調子に乗んな!』
『嬉しくてつい…』
『…まあいいや、少し離れて…』
『何するんだい?』
『こうするの!『斬鉄剣!』』
なんてね、ただのフルカンスト光の剣でーす。
真っ二つに切れた水槽からはワサビ栽培でも出来そうな清らかな水が流れ出した。
その水たまりの中で感激の対面を果たす一組の親子。
「お、おお!アルバート!アルバートよ、無事か!無事なのだな!」
「父上…、心配おかけしましたがもう大丈夫です。ご覧の通り」
「うむ」
「それより闇魔法の使い手は…」
「あそこだ」
王様の言葉に闇魔法使いと戦うシャリムのことを思い出した!
そうだ!ゲスマンで見そびれた分も今度こそ見届けなきゃ。可愛いシャリムの初陣を!
「シャリムがんばって!そんな奴ボッコボコにやっちゃ…」パタリ
「レジー!」
「レジナルド!」
------------------------------------
「調子に乗るなガキ!俺たちはお前より強い。蟲毒の頂点、それが俺たち兄弟だ…。ハハハハハ!」
「ばかみたい…。汚い闇は全部消してきた…。あの闇は乾いた血のように赤黒かった…。お前の闇はヘドロのように濁ってる…。どっちも汚い…。お前も全部消す…」
「何だと!アウルを消しただと?まさかそんな、嘘を言うな!俺たちには魔力増幅の魔石がある!」
「嘘じゃない。これを見たらわかる『絶望の縄』」
「そ、それはアウルの練り上げた魔法!よ、よせ!」
「よさない…。お前はあいつよりうんと弱い…。消すのは簡単…」
「う、うわぁぁあ!」
「真っ黒じゃない闇なんか闇じゃない。あいつもお前も偽物の闇。闇は僕の友達、闇は僕を裏切らない…」
「シャリム!とりあえず手も足も影も出せないように縛り上げろ!その…」
「『絶望の縄』絡み付いたら最後、相手が死ぬまで離れない縄。ゲスマンへの恨みを練り上げて真似して作った。あいつに出来ることは僕にも出来る…」
「おいヴォルフ、始末しねぇのか」
「人間には人間のケリのつけ方があるだろう」
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「お前な…」
「ま、まあいいか…」
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