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167 18歳 in 絶景露天風呂
「あ、ニコだ…」
「ゲッ!」
場所はヴィラの絶景露天風呂。
ここは『プレミアムリゾート・ラビエル』の展望風呂と違って完全屋外、大自然と一体になった四季折々を肌で感じる正真正銘、本物の露天風呂である。
専用通路を使いさらに上へと登っていくと、そこに現れるのは断崖絶壁。眼下にウエストエンドの素晴らしい大自然がパノラマで広がる景観最優先の風呂である。
「礼二くん、なんか世界征服も佳境だって聞いたんだけど…?」
「だっ!誰がそんなことを!ってか、堂々と男風呂覗くのヤメテよね!エッチ!」
「いいじゃない。減るもんじゃなし」
「減るっての!」
「シャリムと二人?」
「ヴォルフも居るよ。ほらあっちの岩陰]
「三人だけ?アーニーは?」
「今出張の打ち合わせ中だから。それより誰に何聞いたって?」
夏季休暇も終わりアルバート達も帰って静かになったウエストエンドで、僕は今度こそ心置きなくつかの間の休息を満喫している。
アルバートもお気に入りだったこの素晴らしいお風呂を貸し切りにして孤独に楽しんでいたというのに、気付いたヴォルフがやって来て…なのでちょうどいいからシャリムも呼んでナバテア行きの打ち合わせを始めたんだけど…
そこに乱入してきたのがまさかの女性、ニコだなんて、なんたる暴挙!
良かった。タオル巻いてて…
「週末礼拝に来たセザールくんが言ってたのよ。彼はオスカーに聞いてオスカーはローランドに聞いたって。礼二くんがあの国を狙ってるって」
「あいつらめ…。人聞きの悪いこと言わないでよ。ちょっとばかり移動してもらいたいだけだって。言うなれば区画整理?」
「区画整理って…」
「別マップに移ってもらおうと思って」
「別マップ?どういうこと?」
「イソヒヨドリ、分からない。何?」
「こうね、ガボッっと持ち上げてガーっと移動させて、移動先にドーンと置こうかなって思って」
「擬音が多いわね」
実況の癖かな…?ほら、臨場感たっぷりに伝えようと思うと、ちょっと…ね。
「今在る国を壊すなんてそんな魔王みたいなことさすがに出来ないけど…、どうしてもあの血生臭さが僕のマップに合わないんだよね。住む世界観が違うって言うか…。まあ僕に貴族社会が合ってるか、って言ったら分からないけど、そもそも僕はこの世界観の生まれだし?」
「あなたには合ってるんじゃない?その見た目にクラレンス王国はピッタリよ。中身はともかく」
ウルグレイス国王には我が国こそピッタリって言われたけどね。どうでもいいけど…。
「僕はブッシュクラフトとか好きだし未開の地にはワクワクするよ?けど野蛮な国には少しもワクワクしない。僕は戦争よりディベートのほうがなじみ深い現代人だからね」
「あなた口が達者だものね」
「元実況系ですから。それに帝国…っていうネーミングとかさぁ…怖いって」
「バトル系の敵国って大抵帝国って付くわよね」
「そうそう。エトゥーリアは良く持ち堪えてたよ。武力にものを言わせるとかさ、無いわー」
「あなたが言う?」
「…」
二人揃ってこっちみんな!
「あとこれ一番重要。ナバテアは魔石の採掘ごときのために獣人族を使い捨ての道具みたいに扱った。絶対許さない」
「ええ聞いてる。許せないわね」
「何の話だレジナルド。ナバテアの話か…」
ナバテアの名にやって来たヴォルフは怒気を隠さない。あの国によって獣人族の受けた傷は計り知れないのだ。
その想いに比べれば僕の後悔など足元に及ぶべくもない。だけど…
あの時助けられなかった獣人さんたち…
全ては僕の到着が遅かったばかりに…僕はあの砂を噛むような思いを今も忘れられない!
目には目を!歯には歯を!人権無視には人権無視をだ!
「何も非道な真似をしようって言うんじゃないよ?そこに住む罪の無い人にまで災いを振りまきたいわけじゃない。だからこそちょっと引っ越すくらいで済ませてやろうって言うんだから僕はとっても慈悲深いと思うけど?」
「あの国に慈悲など欠片も必要ない。好きなだけ狂魔力とやらを開放すればいいと思うがな。何を躊躇う?」
「あたしもそう思うわ!やっちゃいなさいよ礼二くん!何なら貸すわよ?聖魔力も」
「僕も手伝う…」
「うーん…その後その土地使うの僕だからね。それに一般の人には関係ない話しだから」
「だがあそこは大半が軍国主義に染まった野蛮な民だ。甘い顔を見せると痛い目を見るぞ」
「…一応考えとく…」
とは言え、ヴォルフにシャリム…これ程心強い助っ人はないな…
特にエルフの長から教授を受け、地の魔法を開花しつつあるシャリムは。
クラレンスの貴族院、エトゥーリアの議会からは今回このナバテアに関しほぼ一任されている。これがエトゥーリアに介入する際、クラレンス王と交わした約束だからね。ナバテアの侵攻を力づくでも終わらせるって。
けど王はまだ知らない。…僕の内に秘めたる真の力を…。あ、…キュン魔力の方じゃなくてね。
「でもナバテアって…」ブツブツ…
「ニコ、考え事なら他所でやってよ。早くどいてくれない?のぼせてきたんだけど…」
「お構いなく。タオル巻いてるでしょ?」
「構うっての。どうもニコの視線にはヤバ味を感じるんだよね」
「失礼ね。そうまで言われたら意地でもどかないわよ」
「…誰かー!ここに変質者がー!」
リマールに連行されてったけど…、女神官の威厳は風前の灯火である…
「ゲッ!」
場所はヴィラの絶景露天風呂。
ここは『プレミアムリゾート・ラビエル』の展望風呂と違って完全屋外、大自然と一体になった四季折々を肌で感じる正真正銘、本物の露天風呂である。
専用通路を使いさらに上へと登っていくと、そこに現れるのは断崖絶壁。眼下にウエストエンドの素晴らしい大自然がパノラマで広がる景観最優先の風呂である。
「礼二くん、なんか世界征服も佳境だって聞いたんだけど…?」
「だっ!誰がそんなことを!ってか、堂々と男風呂覗くのヤメテよね!エッチ!」
「いいじゃない。減るもんじゃなし」
「減るっての!」
「シャリムと二人?」
「ヴォルフも居るよ。ほらあっちの岩陰]
「三人だけ?アーニーは?」
「今出張の打ち合わせ中だから。それより誰に何聞いたって?」
夏季休暇も終わりアルバート達も帰って静かになったウエストエンドで、僕は今度こそ心置きなくつかの間の休息を満喫している。
アルバートもお気に入りだったこの素晴らしいお風呂を貸し切りにして孤独に楽しんでいたというのに、気付いたヴォルフがやって来て…なのでちょうどいいからシャリムも呼んでナバテア行きの打ち合わせを始めたんだけど…
そこに乱入してきたのがまさかの女性、ニコだなんて、なんたる暴挙!
良かった。タオル巻いてて…
「週末礼拝に来たセザールくんが言ってたのよ。彼はオスカーに聞いてオスカーはローランドに聞いたって。礼二くんがあの国を狙ってるって」
「あいつらめ…。人聞きの悪いこと言わないでよ。ちょっとばかり移動してもらいたいだけだって。言うなれば区画整理?」
「区画整理って…」
「別マップに移ってもらおうと思って」
「別マップ?どういうこと?」
「イソヒヨドリ、分からない。何?」
「こうね、ガボッっと持ち上げてガーっと移動させて、移動先にドーンと置こうかなって思って」
「擬音が多いわね」
実況の癖かな…?ほら、臨場感たっぷりに伝えようと思うと、ちょっと…ね。
「今在る国を壊すなんてそんな魔王みたいなことさすがに出来ないけど…、どうしてもあの血生臭さが僕のマップに合わないんだよね。住む世界観が違うって言うか…。まあ僕に貴族社会が合ってるか、って言ったら分からないけど、そもそも僕はこの世界観の生まれだし?」
「あなたには合ってるんじゃない?その見た目にクラレンス王国はピッタリよ。中身はともかく」
ウルグレイス国王には我が国こそピッタリって言われたけどね。どうでもいいけど…。
「僕はブッシュクラフトとか好きだし未開の地にはワクワクするよ?けど野蛮な国には少しもワクワクしない。僕は戦争よりディベートのほうがなじみ深い現代人だからね」
「あなた口が達者だものね」
「元実況系ですから。それに帝国…っていうネーミングとかさぁ…怖いって」
「バトル系の敵国って大抵帝国って付くわよね」
「そうそう。エトゥーリアは良く持ち堪えてたよ。武力にものを言わせるとかさ、無いわー」
「あなたが言う?」
「…」
二人揃ってこっちみんな!
「あとこれ一番重要。ナバテアは魔石の採掘ごときのために獣人族を使い捨ての道具みたいに扱った。絶対許さない」
「ええ聞いてる。許せないわね」
「何の話だレジナルド。ナバテアの話か…」
ナバテアの名にやって来たヴォルフは怒気を隠さない。あの国によって獣人族の受けた傷は計り知れないのだ。
その想いに比べれば僕の後悔など足元に及ぶべくもない。だけど…
あの時助けられなかった獣人さんたち…
全ては僕の到着が遅かったばかりに…僕はあの砂を噛むような思いを今も忘れられない!
目には目を!歯には歯を!人権無視には人権無視をだ!
「何も非道な真似をしようって言うんじゃないよ?そこに住む罪の無い人にまで災いを振りまきたいわけじゃない。だからこそちょっと引っ越すくらいで済ませてやろうって言うんだから僕はとっても慈悲深いと思うけど?」
「あの国に慈悲など欠片も必要ない。好きなだけ狂魔力とやらを開放すればいいと思うがな。何を躊躇う?」
「あたしもそう思うわ!やっちゃいなさいよ礼二くん!何なら貸すわよ?聖魔力も」
「僕も手伝う…」
「うーん…その後その土地使うの僕だからね。それに一般の人には関係ない話しだから」
「だがあそこは大半が軍国主義に染まった野蛮な民だ。甘い顔を見せると痛い目を見るぞ」
「…一応考えとく…」
とは言え、ヴォルフにシャリム…これ程心強い助っ人はないな…
特にエルフの長から教授を受け、地の魔法を開花しつつあるシャリムは。
クラレンスの貴族院、エトゥーリアの議会からは今回このナバテアに関しほぼ一任されている。これがエトゥーリアに介入する際、クラレンス王と交わした約束だからね。ナバテアの侵攻を力づくでも終わらせるって。
けど王はまだ知らない。…僕の内に秘めたる真の力を…。あ、…キュン魔力の方じゃなくてね。
「でもナバテアって…」ブツブツ…
「ニコ、考え事なら他所でやってよ。早くどいてくれない?のぼせてきたんだけど…」
「お構いなく。タオル巻いてるでしょ?」
「構うっての。どうもニコの視線にはヤバ味を感じるんだよね」
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