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14 断罪の念押し
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スッキリしたのはいいが、うっかりアレイスターとトイレで別れてしまった。おかげで進むべき道をロストした僕は、悲しき運命の迷い子…。
そんな僕を待ち伏せていたのは…相変わらずカルガモの親子みたいなコンラッドとご側近一行様だ。
「コンラッド、ここで一体何を…、あの、お茶会は…」
「君がなかなか戻らないのでお開きになった」
げっ!
「大丈夫だ、母の怒りは君ではなく私に向いている…」
セーフ…
「それよりアレイスターといつまでも何をしていた」
「何って…」
えーと、連れショ…じゃなくて
「涙を流しておりました」
これでよし。
「…っ!」
「に、兄さん!あなたは第一王子であるコンラッドの婚約者なのですよ。いくらなんでもアレイスター殿下と懇意にするのはおよしになったほうが…」
「その言葉はそっくりそのままお返しします」
はい!特大のブーメランいただきましたー!かつてこれほど見事な〝お前が言うな!”があっただろうか。いやない!
「僕がアレイスター様と親しくして何か問題が?彼の存在は僕を救ってくれました。これからも僕を救ってくれるでしょう。彼は僕の味方、必要な人です」
そう。彼は僕をお漏らしの危機から救ってくれた。そしてこれからも僕をマナー地獄から救ってくれると確信した。今後の催しにも彼には同席してもらおう、と僕の脳内では満場一致で、すでに決定している。
なーに、シャノンなら少しばかり高飛車に「アレイスターを今すぐ呼んで!」って言えば…
「…それは私への当てつけか…」
「え…?」
「それは私があの踊り場で君に言った言葉、そのままじゃないか!」
あっ…、あー!あったあった。そう言えばあったわ。
「アーロンは宮廷において私の強い味方となるだろう!私にとって大切な人だ!」
踊り場でばったり顔を合わせて言い合いになったシャノンとコンラッド。コンラッドがそう叫んで、その直後にシャノンはアーロンに掴みかかったんだった。
「私との婚約を解消してアレイスターに乗り換える気か…」
「コンラッド、馬鹿なことを言うな!」
ーコンラッド!バカ言うな!ー
おっとロイド。気が合うね。僕もそう思う。
「コンラッド様、僕は婚約解消はしませんよ。アレイスター様にもハッキリそう言いました。コンラッド様…むしろあなたこそ、婚約解消したければ…僕をもっと貶めてごらんなさい」
だーんざい!だーんざい!
「そんなこと出来るわけ…、いや、君にそう言わせているのは今までの私自身か…」
しゅん…ですよね…。やっぱり必要なのはアーロンへの意地悪か…
「婚約は解消しません。ですがお妃教育は…えっと…、その…、もうしばらく猶予をください…」
「…!…」
「兄さん!」
いま勉強中だから!もうちょっとだけ詰め込んだら多分イケるから!こうご期待!
待てよ、この流れ…、コンラッドが王妃に、円満に解消…とか説得しちゃうと、それはそれで困るから念押ししとくか。
「今さら何もなかったように婚約解消なんて…させませんよ。僕は最後までコンラッド様の婚約者として…」
断罪され新世界への扉を開く!社交とかマナーとか、面倒な一切合切とサヨナラするために。
「じゃなきゃ努力が水の泡…そんなの…僕が可哀想だと思いませんか…」
あの分厚い貴族名鑑で、エンブリー男爵のこととか、モリセット子爵のこととか、いろんな情報を探し出すのには3日要した。4センチ四方の紙に米粒よりも小さな字で、みっちり書き込んだカンペ作成だってどれ程苦労したか…
「…し、シャノン!私は!」
「話は終わりです。僕は新学期の準備があるのでこれにて」
今僕は学生名簿を見て必死に同級生の顔と名前を憶えているところだ。他にも覚えることや確認することとかあって…忙しいんだよこっちは!いちいち呼び出すな!って言えたらな…。王妃の命じゃ言えないけど…。
「新学期…学院には来るのだな」
「…これ以上仮病も無理でしょうし。それでは学院で会いましょう。アーロン…どんな顔して現れるのかな…楽しみにしていますね…」
アーロン…ようやく会えるねアーロン。前もって言っとくけど(脳内で)本当にごめん。でも僕の幸せのために…許してください…土下座するから(脳内で)…
そんな僕を待ち伏せていたのは…相変わらずカルガモの親子みたいなコンラッドとご側近一行様だ。
「コンラッド、ここで一体何を…、あの、お茶会は…」
「君がなかなか戻らないのでお開きになった」
げっ!
「大丈夫だ、母の怒りは君ではなく私に向いている…」
セーフ…
「それよりアレイスターといつまでも何をしていた」
「何って…」
えーと、連れショ…じゃなくて
「涙を流しておりました」
これでよし。
「…っ!」
「に、兄さん!あなたは第一王子であるコンラッドの婚約者なのですよ。いくらなんでもアレイスター殿下と懇意にするのはおよしになったほうが…」
「その言葉はそっくりそのままお返しします」
はい!特大のブーメランいただきましたー!かつてこれほど見事な〝お前が言うな!”があっただろうか。いやない!
「僕がアレイスター様と親しくして何か問題が?彼の存在は僕を救ってくれました。これからも僕を救ってくれるでしょう。彼は僕の味方、必要な人です」
そう。彼は僕をお漏らしの危機から救ってくれた。そしてこれからも僕をマナー地獄から救ってくれると確信した。今後の催しにも彼には同席してもらおう、と僕の脳内では満場一致で、すでに決定している。
なーに、シャノンなら少しばかり高飛車に「アレイスターを今すぐ呼んで!」って言えば…
「…それは私への当てつけか…」
「え…?」
「それは私があの踊り場で君に言った言葉、そのままじゃないか!」
あっ…、あー!あったあった。そう言えばあったわ。
「アーロンは宮廷において私の強い味方となるだろう!私にとって大切な人だ!」
踊り場でばったり顔を合わせて言い合いになったシャノンとコンラッド。コンラッドがそう叫んで、その直後にシャノンはアーロンに掴みかかったんだった。
「私との婚約を解消してアレイスターに乗り換える気か…」
「コンラッド、馬鹿なことを言うな!」
ーコンラッド!バカ言うな!ー
おっとロイド。気が合うね。僕もそう思う。
「コンラッド様、僕は婚約解消はしませんよ。アレイスター様にもハッキリそう言いました。コンラッド様…むしろあなたこそ、婚約解消したければ…僕をもっと貶めてごらんなさい」
だーんざい!だーんざい!
「そんなこと出来るわけ…、いや、君にそう言わせているのは今までの私自身か…」
しゅん…ですよね…。やっぱり必要なのはアーロンへの意地悪か…
「婚約は解消しません。ですがお妃教育は…えっと…、その…、もうしばらく猶予をください…」
「…!…」
「兄さん!」
いま勉強中だから!もうちょっとだけ詰め込んだら多分イケるから!こうご期待!
待てよ、この流れ…、コンラッドが王妃に、円満に解消…とか説得しちゃうと、それはそれで困るから念押ししとくか。
「今さら何もなかったように婚約解消なんて…させませんよ。僕は最後までコンラッド様の婚約者として…」
断罪され新世界への扉を開く!社交とかマナーとか、面倒な一切合切とサヨナラするために。
「じゃなきゃ努力が水の泡…そんなの…僕が可哀想だと思いませんか…」
あの分厚い貴族名鑑で、エンブリー男爵のこととか、モリセット子爵のこととか、いろんな情報を探し出すのには3日要した。4センチ四方の紙に米粒よりも小さな字で、みっちり書き込んだカンペ作成だってどれ程苦労したか…
「…し、シャノン!私は!」
「話は終わりです。僕は新学期の準備があるのでこれにて」
今僕は学生名簿を見て必死に同級生の顔と名前を憶えているところだ。他にも覚えることや確認することとかあって…忙しいんだよこっちは!いちいち呼び出すな!って言えたらな…。王妃の命じゃ言えないけど…。
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