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48 断罪と助言者
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晩餐会の後、王様は僕の口から出まかせを真に受けて、全ての予定をキャンセルして大急ぎで西の小国地帯へと飛んでいったと聞いたが…我ながら自分の才能がコワイ…
何にしてもこれで王様をアーロンの毒牙から守ることは出来ただろう。徹夜して台本作った甲斐があった。これで心置きなく夏休みを迎えられる。あとは来週に迫った期末試験を終えるだけ。
「シャノン」
げっ!このイイ気分を台無しにする声は…
「コンラッド様…。なんですか?」
今まさに帰ろうとしていた僕と取り巻きたちを呼び止めたのはコンラッドだ。本日はロイドを従えている。何故ならブラッドは今日も屋敷で経営学の個人授業だからだ。
「君は本当に西の小国の一つ、ツェリが反乱の狼煙をあげるとそう思っているのか」
んん?何のことやら。
「あー、…そういう事があったりなかったりするようなしないような。ですがこういうことは予防が大切ですから(テキトー)。揉め事は起きないなら起きないほうがいいですし」
追い払ってしまえばこっちのもんだ。どうせ初冬には現地入りするシナリオだったんだから、行ったからには当分滞在するでしょ。
「それがどうしました?」
どこか不審な動きでも見せてしまっただろうか?おかしいな。僕の計画はパーフェクトだったのに…
「アーロンは行ってはならないと言った…。何の確証もない胡乱気な話であるなら、王の存在はかえって火種になる、ことが起こるまで待つべきだ、…今はここ王都に居て、自分とともに神の言葉に耳を傾けるべきだと」
「んー、それもまた一つの考えかもしれませんね。アーロンはそれを陛下に?」
「ああ」
なるほど。アーロンは僕の予想通り、王様に色々吹き込むつもりだったらしい。…いや?あ…もしや…、まさか!不倫関係にまで持ち込むつもりだったとか!?
アーロンさすがに親子はマズいって…
「…ふー…陛下が正しい選択をなさって良かったです。さすがに僕も王妃様の怒りに触れたら抑えられませんからね」
「信徒の怒り…?」
「ええそうです、コンラッド様。王妃様の怒りです」
「……」
いやマジで。王妃様はいつも何気を装っているが、あれはかなり嫉妬深いと見た。だから王様が第三側妃の後宮に入り浸るんだって。年の半分は出張だし。
「だから言ったじゃないかコンラッド。私の方がよく見えていると」
んん?あー!二人が何の話したか知らないけど…これってあれだ、回収か?回収だな?ご苦労ロイド!
「もういいですか?」
「ああ…」
いやー、それにしても…こうして図らずも親子夫婦の泥沼回避に一役買った僕ってば…
「救世主見参…、なんてね」
くすっと笑って独り言ちた小さな小さなつぶやきは二人の耳には届かなかったみたい。多分ね。
「さ、コンラッド様との話も終わりましたし…良ければ皆さま、その…うちに寄っていきませんか?」
「まぁ!良いんですの?」
「シャノン様は人を招かれるのがお好きでないとばかり…」
これはノベルゲーでもチラッと文章に組み込まれていた情報である。シャノンはすり寄ろうとする有象無象を嫌い、正式な社交の会以外で人を呼ぶのが好きじゃなかった。
因みに転生前の僕も、腐男子としての孤独なオタ活が忙しく、普段友達を家に招くことはほとんどなかった。
ほら、男子は呼べないし…、女子もなんとなく…
それらもあって今世でも、彼らを招くのにここまでの時間を要してしまったのは、まさにヘタレ…としか言いようがない。
笑うなら笑え。でも僕は僕なりに、断罪後に縁の切れてしまう彼らとは、ベッタリしすぎない方がいいかと思っていたのだ。
けど…
こうして一緒にいる彼らはとても温かくて…、シャノンが思うような、お家の事情だけで従う取り巻きだとは、もう考えられなくなっていた。
「皆さまは特別な友達です。ぜひ」ニコッ
「シャノン様…」
「ではありがたく」
その日僕たちは夕食が食べられなくなるほどお菓子をつまんで(ルーシーに叱られた)、そして陽が暮れるまでダベり倒した。前世から通算して初めての体験だ。
「嬉しそうですわねシャノン様」
「ええとっても。もっと早くお妃教育やめれば良かった」
そうすればシャノンだって、こんな楽しい時間が過ごせただろうに。ジンジャークッキーだって、テイクアウトして一人で食べるよりみんなで食べたほうが美味しいに決まってる。
「ですが簡単に止めることは出来なかったのではありませんか?シャノン様は王妃殿下の期待を一身に背負っておいでですから」
「こうなってみればあの大怪我はいいきっかけとなりましたね」
…もうあの件は、僕が大怪我をして生死の境をさまよった、が共通認識となっている。ま、まぁ…、ナンダカンダで三か月近くもお妃教育サボったし…無理ないか。
「あれを機会にシャノン様がご意思を示されるようになってようございました」
…つまり要約すれば、シャノンが黙って王妃様の無理難題をクリアーしていくから状況が悪化したって事か?バカだなぁシャノン。子供は子供らしく、もっとわがまま言えば良かったのに。
僕は子供のワガママで通るうちにやりたいことをやっておくべく、アノンとシェイナには間違えないよう、しっかりと言い聞かせておこう!とそう心に誓った。
何にしてもこれで王様をアーロンの毒牙から守ることは出来ただろう。徹夜して台本作った甲斐があった。これで心置きなく夏休みを迎えられる。あとは来週に迫った期末試験を終えるだけ。
「シャノン」
げっ!このイイ気分を台無しにする声は…
「コンラッド様…。なんですか?」
今まさに帰ろうとしていた僕と取り巻きたちを呼び止めたのはコンラッドだ。本日はロイドを従えている。何故ならブラッドは今日も屋敷で経営学の個人授業だからだ。
「君は本当に西の小国の一つ、ツェリが反乱の狼煙をあげるとそう思っているのか」
んん?何のことやら。
「あー、…そういう事があったりなかったりするようなしないような。ですがこういうことは予防が大切ですから(テキトー)。揉め事は起きないなら起きないほうがいいですし」
追い払ってしまえばこっちのもんだ。どうせ初冬には現地入りするシナリオだったんだから、行ったからには当分滞在するでしょ。
「それがどうしました?」
どこか不審な動きでも見せてしまっただろうか?おかしいな。僕の計画はパーフェクトだったのに…
「アーロンは行ってはならないと言った…。何の確証もない胡乱気な話であるなら、王の存在はかえって火種になる、ことが起こるまで待つべきだ、…今はここ王都に居て、自分とともに神の言葉に耳を傾けるべきだと」
「んー、それもまた一つの考えかもしれませんね。アーロンはそれを陛下に?」
「ああ」
なるほど。アーロンは僕の予想通り、王様に色々吹き込むつもりだったらしい。…いや?あ…もしや…、まさか!不倫関係にまで持ち込むつもりだったとか!?
アーロンさすがに親子はマズいって…
「…ふー…陛下が正しい選択をなさって良かったです。さすがに僕も王妃様の怒りに触れたら抑えられませんからね」
「信徒の怒り…?」
「ええそうです、コンラッド様。王妃様の怒りです」
「……」
いやマジで。王妃様はいつも何気を装っているが、あれはかなり嫉妬深いと見た。だから王様が第三側妃の後宮に入り浸るんだって。年の半分は出張だし。
「だから言ったじゃないかコンラッド。私の方がよく見えていると」
んん?あー!二人が何の話したか知らないけど…これってあれだ、回収か?回収だな?ご苦労ロイド!
「もういいですか?」
「ああ…」
いやー、それにしても…こうして図らずも親子夫婦の泥沼回避に一役買った僕ってば…
「救世主見参…、なんてね」
くすっと笑って独り言ちた小さな小さなつぶやきは二人の耳には届かなかったみたい。多分ね。
「さ、コンラッド様との話も終わりましたし…良ければ皆さま、その…うちに寄っていきませんか?」
「まぁ!良いんですの?」
「シャノン様は人を招かれるのがお好きでないとばかり…」
これはノベルゲーでもチラッと文章に組み込まれていた情報である。シャノンはすり寄ろうとする有象無象を嫌い、正式な社交の会以外で人を呼ぶのが好きじゃなかった。
因みに転生前の僕も、腐男子としての孤独なオタ活が忙しく、普段友達を家に招くことはほとんどなかった。
ほら、男子は呼べないし…、女子もなんとなく…
それらもあって今世でも、彼らを招くのにここまでの時間を要してしまったのは、まさにヘタレ…としか言いようがない。
笑うなら笑え。でも僕は僕なりに、断罪後に縁の切れてしまう彼らとは、ベッタリしすぎない方がいいかと思っていたのだ。
けど…
こうして一緒にいる彼らはとても温かくて…、シャノンが思うような、お家の事情だけで従う取り巻きだとは、もう考えられなくなっていた。
「皆さまは特別な友達です。ぜひ」ニコッ
「シャノン様…」
「ではありがたく」
その日僕たちは夕食が食べられなくなるほどお菓子をつまんで(ルーシーに叱られた)、そして陽が暮れるまでダベり倒した。前世から通算して初めての体験だ。
「嬉しそうですわねシャノン様」
「ええとっても。もっと早くお妃教育やめれば良かった」
そうすればシャノンだって、こんな楽しい時間が過ごせただろうに。ジンジャークッキーだって、テイクアウトして一人で食べるよりみんなで食べたほうが美味しいに決まってる。
「ですが簡単に止めることは出来なかったのではありませんか?シャノン様は王妃殿下の期待を一身に背負っておいでですから」
「こうなってみればあの大怪我はいいきっかけとなりましたね」
…もうあの件は、僕が大怪我をして生死の境をさまよった、が共通認識となっている。ま、まぁ…、ナンダカンダで三か月近くもお妃教育サボったし…無理ないか。
「あれを機会にシャノン様がご意思を示されるようになってようございました」
…つまり要約すれば、シャノンが黙って王妃様の無理難題をクリアーしていくから状況が悪化したって事か?バカだなぁシャノン。子供は子供らしく、もっとわがまま言えば良かったのに。
僕は子供のワガママで通るうちにやりたいことをやっておくべく、アノンとシェイナには間違えないよう、しっかりと言い聞かせておこう!とそう心に誓った。
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