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169 断罪の目覚め
デジャブのような覚醒…。視界に入る部屋にも人物にも見覚えがある。部屋は僕の私室で人物はアレイスター・ルテティア。このルテティア国の第二王子だ。ということは…
ホッ…転生していない。つまり無事生還したってことだ。頭はガンガンするし身体はだるい。なんなら転生直後より絶不調。無事かどうかは微妙なところだが…
「気が付いたかシャノン!誰か!医者を呼べ!」
「頭が割れるように痛い…」
「頭が痛いのは熱のせいだろう。君は高熱を出して何日も寝込んでいた。だがもう安全だ」
やって来たドクターは全身くまなく診察して「問題ありません。頭痛は疲労のせいでしょう」、と一言。カイルはその背後で号泣している。
…言えない。こんな雰囲気の中で、「あっ、頭痛はウォータースライダーの勢いで思いっきり床に頭をぶつけちゃったせいです」とは…。
それにしてもいつの間に助け出されていたんだろう。何日も寝込んでいたとか…はっ!
「と、隣の貯水槽は!アレイスター!あそこにみんなが!」
「アリソン達のことかい?ああ…だからか。彼らがあそこに居ると脅されていた、そういうことか…。確認したが隣の貯水槽は空だったよ」
「どうして?だってミーガン様のコートが…」
「シャノン。川沿いのブティックは既製服の店だ。一点ものじゃない」
「へ?」
「ミーガン嬢は君からの贈り物だとあれ以来毎日着用していただろう?あのコートは商家の女性に今や大人気だ」
つまり…フレッチャーも同じものを買ってあそこに挟んだってことか。チーン…地味に落ち込む…
「…よく私に助けを求めてくれたシャノン。あの手紙は実に見事だった」
「でしょ?あ、イタタ…」
自分の大声がタンコブに響く…ナデナデされる頭。でも痛いのは飛んでかない。
「起きては駄目だ。さあ身体を戻して」
「う、うん…じゃあみんなは?」
「もちろん無事だ。彼らはブラッドが発見し今はそれぞれの屋敷に居る。君を心配しながらね」
「え、待って。ブラッドが?」
「ミーガン嬢の妹、マリエッタ嬢の力を借りてね」
「マリエッタ嬢って?可憐で無邪気な?」
「そのマリエッタ嬢だ。あの日君と別れた後ブラッドは恋人に会うためチャムリー家を訪れた。最も建前だがね。ブラッドから事情を聞いたマリエッタ嬢は〝君に呼びだされて疑問もなく出向く場所”に該当する幾つかの場所に裏口から人を送りそこを見つけ出したそうだ」
そうじゃなくて!だってあの二人には何も知らせてないのに!
そもそもあのブラッドがそれほど知恵者だと思えない。ブラッドはグルグル考えた挙句動けなくなるタイプだ。
その疑問が顔に書いてあったんだろう。アレイスターは事の仔細を説明する。
「ロイドが君の手紙を…手に入れていたのだよ。…ブラッドの言う該当場所とはロイドの推測した場所だ」
ロイドか!それならまあ…。…あん時やたらしつこいと思ったけど…いつすり替えた?
「で…、何処に居たの…?」
「…驚いたことにね、…エンブリー伯爵邸だ」
エンブリー邸!
確かにエンブリー邸なら僕の指示で集合…というのも真に受ける気がしないでもない。そもそも調べない!なんつー灯台下暗し。
そうして彼らもエンブリー邸の執事も偽使者の言葉を真に受け、僕の指示だというありもしない資料を探すために、以前僕とシェイナで目を通した過去の書類を無駄に一日中調べていたのだとか。
「し、信じられない…」
「敵は日暮れまで時間が稼げればよいと考えていたのだろう。もとより危害を加えるつもりは無かったのだよ」
高位貴族の子女、それも僕の側近ばかりが三人も一度になにかあれば…国が動くレベルの大事になる。だって彼らは『神託』の側近で…王様は今王都に滞在中だ。
もしも僕があの貯水槽でグッバイ今世、になっていたら、きっと事件は殺人ではなく失踪扱いになっていただろう。行方不明のまま事件化されなかったロアン侯爵家の様に…
「だからフレッチャーはあの三人に関して事件性を持たせなかったんだよ」
僕の考えにアレイスターは大きく頷いた。
あの水責めと言い悪の手口は踏襲されている。マニュアルでもあるんだろうか?フレッチャー家に代々伝わる悪の教本…とかなんとか。
「よくバレずにあそこへこれたね」
「それなのだが…」
アレイスターは準貴族街入りをする前にコンラッドへ一つの頼みごとをした。なるべく目立つように準貴族街の教会に向かって欲しい、と。
王様からはほとぼりが冷めるまで…と距離を置かれ、次世代トレヴァー君は思うように取り込めていないフレッチャーだ。
いくらもうじき王族離脱するとはいえ今はまだ第一王子のコンラッド。久々のワガママチャンスをフレッチャーがスルーするはずがない。
「コンラッドは足止めを快く引き受けてくれた。ノコノコ姿を現したフレッチャーに食事をと提案し、アーロンの居室で十分ほど過ごすと貴族街のレストランへ移動したらしい。侯の心中は穏やかでなかったろうが…和やかに歓談していたそうだよ。厚顔無恥とはまさにこのことだ」
蛇足だがこの食事会にアーロンは同席していない。今は準貴族街の教会に戻って生活しているアーロンだけど、彼は反省(と身の安全)のために下校後の外出は一切禁止になり、居室で写経三昧の日々を送っている。
ルテティア国教で写経とはこれ如何に。
アーロンの行う写経とは…シッタカブッタとナンダカンダの伝道の書(BL小説ともいう)のことである。
「そうしておいてロイドはもう一つの手を打った」
「手?」
アレイスターの口から語られるのはロイドとスリっ子ジョンの大活躍。聞けば聞くほど僕は、ロイドとジョンが居なかったら助からなかったかもしれないと背筋が凍った。
どうりで…。途中からやけに水位の上がるのが遅いと感じたはずだ。それにウォータースライダーの直前、そういえばなんか揺れてた気もする。
「けど身体の震えがひどくて…てっきりその揺れだとばかり…」
「ああシャノン…」
「…ロイド様にもお礼を言わなくちゃ…。ところでロイド様は?」
「彼とジョン少年もまた熱を出して寝込んでいるよ。冬の川を泳いだんだ。無理もない」
「ロイド様とジョン…、……、ん?」
ここで一つの違和感に気が付く。
ジョンは僕が隊長が歓楽街で動きやすいよう補佐に付けた市井の子供で…、なのに定期報告?マーベリック邸へ?あ、あれ?どゆこと?
「ああいけない。また熱が上がってきたようだね。シャノン、あまり考えこんでは駄目だ」
「…あー…そうする。ところでアレイスター。僕はどれくらい寝込んでたの?」
「五日ほどだ」
五日…ってことは……わお。プロムまではあと十日強。
「…あの…もしかしてずっとここに居たの?」
「…そうだ。と言いたいところだがさすがに無理だ。だが君の目覚めに立ち会えて良かった」
…そこはウソでも片時も離れず側についてたよ、とか何とか言うとこでしょうが…このBL初心者め…
ホッ…転生していない。つまり無事生還したってことだ。頭はガンガンするし身体はだるい。なんなら転生直後より絶不調。無事かどうかは微妙なところだが…
「気が付いたかシャノン!誰か!医者を呼べ!」
「頭が割れるように痛い…」
「頭が痛いのは熱のせいだろう。君は高熱を出して何日も寝込んでいた。だがもう安全だ」
やって来たドクターは全身くまなく診察して「問題ありません。頭痛は疲労のせいでしょう」、と一言。カイルはその背後で号泣している。
…言えない。こんな雰囲気の中で、「あっ、頭痛はウォータースライダーの勢いで思いっきり床に頭をぶつけちゃったせいです」とは…。
それにしてもいつの間に助け出されていたんだろう。何日も寝込んでいたとか…はっ!
「と、隣の貯水槽は!アレイスター!あそこにみんなが!」
「アリソン達のことかい?ああ…だからか。彼らがあそこに居ると脅されていた、そういうことか…。確認したが隣の貯水槽は空だったよ」
「どうして?だってミーガン様のコートが…」
「シャノン。川沿いのブティックは既製服の店だ。一点ものじゃない」
「へ?」
「ミーガン嬢は君からの贈り物だとあれ以来毎日着用していただろう?あのコートは商家の女性に今や大人気だ」
つまり…フレッチャーも同じものを買ってあそこに挟んだってことか。チーン…地味に落ち込む…
「…よく私に助けを求めてくれたシャノン。あの手紙は実に見事だった」
「でしょ?あ、イタタ…」
自分の大声がタンコブに響く…ナデナデされる頭。でも痛いのは飛んでかない。
「起きては駄目だ。さあ身体を戻して」
「う、うん…じゃあみんなは?」
「もちろん無事だ。彼らはブラッドが発見し今はそれぞれの屋敷に居る。君を心配しながらね」
「え、待って。ブラッドが?」
「ミーガン嬢の妹、マリエッタ嬢の力を借りてね」
「マリエッタ嬢って?可憐で無邪気な?」
「そのマリエッタ嬢だ。あの日君と別れた後ブラッドは恋人に会うためチャムリー家を訪れた。最も建前だがね。ブラッドから事情を聞いたマリエッタ嬢は〝君に呼びだされて疑問もなく出向く場所”に該当する幾つかの場所に裏口から人を送りそこを見つけ出したそうだ」
そうじゃなくて!だってあの二人には何も知らせてないのに!
そもそもあのブラッドがそれほど知恵者だと思えない。ブラッドはグルグル考えた挙句動けなくなるタイプだ。
その疑問が顔に書いてあったんだろう。アレイスターは事の仔細を説明する。
「ロイドが君の手紙を…手に入れていたのだよ。…ブラッドの言う該当場所とはロイドの推測した場所だ」
ロイドか!それならまあ…。…あん時やたらしつこいと思ったけど…いつすり替えた?
「で…、何処に居たの…?」
「…驚いたことにね、…エンブリー伯爵邸だ」
エンブリー邸!
確かにエンブリー邸なら僕の指示で集合…というのも真に受ける気がしないでもない。そもそも調べない!なんつー灯台下暗し。
そうして彼らもエンブリー邸の執事も偽使者の言葉を真に受け、僕の指示だというありもしない資料を探すために、以前僕とシェイナで目を通した過去の書類を無駄に一日中調べていたのだとか。
「し、信じられない…」
「敵は日暮れまで時間が稼げればよいと考えていたのだろう。もとより危害を加えるつもりは無かったのだよ」
高位貴族の子女、それも僕の側近ばかりが三人も一度になにかあれば…国が動くレベルの大事になる。だって彼らは『神託』の側近で…王様は今王都に滞在中だ。
もしも僕があの貯水槽でグッバイ今世、になっていたら、きっと事件は殺人ではなく失踪扱いになっていただろう。行方不明のまま事件化されなかったロアン侯爵家の様に…
「だからフレッチャーはあの三人に関して事件性を持たせなかったんだよ」
僕の考えにアレイスターは大きく頷いた。
あの水責めと言い悪の手口は踏襲されている。マニュアルでもあるんだろうか?フレッチャー家に代々伝わる悪の教本…とかなんとか。
「よくバレずにあそこへこれたね」
「それなのだが…」
アレイスターは準貴族街入りをする前にコンラッドへ一つの頼みごとをした。なるべく目立つように準貴族街の教会に向かって欲しい、と。
王様からはほとぼりが冷めるまで…と距離を置かれ、次世代トレヴァー君は思うように取り込めていないフレッチャーだ。
いくらもうじき王族離脱するとはいえ今はまだ第一王子のコンラッド。久々のワガママチャンスをフレッチャーがスルーするはずがない。
「コンラッドは足止めを快く引き受けてくれた。ノコノコ姿を現したフレッチャーに食事をと提案し、アーロンの居室で十分ほど過ごすと貴族街のレストランへ移動したらしい。侯の心中は穏やかでなかったろうが…和やかに歓談していたそうだよ。厚顔無恥とはまさにこのことだ」
蛇足だがこの食事会にアーロンは同席していない。今は準貴族街の教会に戻って生活しているアーロンだけど、彼は反省(と身の安全)のために下校後の外出は一切禁止になり、居室で写経三昧の日々を送っている。
ルテティア国教で写経とはこれ如何に。
アーロンの行う写経とは…シッタカブッタとナンダカンダの伝道の書(BL小説ともいう)のことである。
「そうしておいてロイドはもう一つの手を打った」
「手?」
アレイスターの口から語られるのはロイドとスリっ子ジョンの大活躍。聞けば聞くほど僕は、ロイドとジョンが居なかったら助からなかったかもしれないと背筋が凍った。
どうりで…。途中からやけに水位の上がるのが遅いと感じたはずだ。それにウォータースライダーの直前、そういえばなんか揺れてた気もする。
「けど身体の震えがひどくて…てっきりその揺れだとばかり…」
「ああシャノン…」
「…ロイド様にもお礼を言わなくちゃ…。ところでロイド様は?」
「彼とジョン少年もまた熱を出して寝込んでいるよ。冬の川を泳いだんだ。無理もない」
「ロイド様とジョン…、……、ん?」
ここで一つの違和感に気が付く。
ジョンは僕が隊長が歓楽街で動きやすいよう補佐に付けた市井の子供で…、なのに定期報告?マーベリック邸へ?あ、あれ?どゆこと?
「ああいけない。また熱が上がってきたようだね。シャノン、あまり考えこんでは駄目だ」
「…あー…そうする。ところでアレイスター。僕はどれくらい寝込んでたの?」
「五日ほどだ」
五日…ってことは……わお。プロムまではあと十日強。
「…あの…もしかしてずっとここに居たの?」
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